虹が咲き、白が交ざる 作:水甲
侑お姉ちゃんの様子が気になり、探していると丁度階段に座りながら、ミアちゃんと話しているのを見つけた。
「どうしたんだよ?」
「ミアちゃん」
「んっ…ミア先輩だろ?」
「あはは……」
「ミアちゃんって相変わらずそこら辺厳しいね」
「未唯まで……」
「厳しくってダメかい?」
「ううん、ミアちゃんなりに年下だからって言われないようにしてるのかなって」
「本当に……君たちは似ているね。まぁ君がそう思うならそうでいいんじゃない?」
「うん、そうする。それでお姉ちゃん、どうしたの?」
「うん……さっきのランジュちゃんのライブ、私すごいときめいたよ。うまく言えないけど私はこうなんだって気持ちが歌や踊り全部から伝わってきて…あの瞬間ランジュちゃんで心の中がいっぱいになった」
「ランジュは最高のプレイヤーだから……ランジュだけじゃない。他のスクールアイドルだってきっとそうだ。自分の存在全てをステージに懸ける。そういうものなんだ。でも僕たちはそんなことをする必要はない。求められる曲を作って評価してもらえるんならそれでいいじゃないか。同好会のアイドルのために作るっていうベイビーちゃんの判断は絶対に間違ってない。みんな喜んでくれるさ」
「そう……なのかな?」
お姉ちゃんなりに自分の求めているものが本当に正しいのか悩んでるけど……私としてはミアちゃんと同じ考えだ。お姉ちゃんはただ評価されたいからじゃない。みんなのために作ってるんだよね
「確かに今のままでもみんなに喜んでもらえるかもしれないけど…今 私が感じているこのトキメキはもっとなんていうか…そっか。私は…ファンの私はスクールアイドルのパフォーマンスや音楽だけにときめいてたんじゃなくって……歩夢、しずくちゃん、せつ菜ちゃん、愛ちゃん、果林さん、かすみちゃん、璃奈ちゃん、エマさん、彼方さん、そして未唯……自分を目一杯伝えようとしているみんなの姿にときめいていたんだ!
私もみんなに近付きたい……みんなと一緒に今ここにいる私を伝えたい!そうなんだ!これが私のトキメキ!」
お姉ちゃん、ようやく自分の求めている答えが見つかったんだね。
お姉ちゃんは早速曲を作り上げるためにミアちゃんの手を引いて、部室へと向かう。私も追いかけていき……
「Are you serious!?本気で言ってるのか!?」
「うん。それに合わせてアレンジを変えたいんだ。手伝ってくれる?これが同好会の中で私のやりたいこと、スクールアイドルがみんなと一緒に叶えたい夢!」
その後、みんなを集めて出来上がった曲を聞かせたお姉ちゃん。お姉ちゃんのトキメキが沢山詰まったこの曲……きっとそうだよね……これが…………
そして最後のステージ……虹ヶ咲の最後の曲の前に……私と栞子ちゃんの前座ステージが始まりつつある。
「栞子ちゃん、緊張してる?」
「……はい、とても」
私は白いドレスを、栞子ちゃんは私のドレスのカラバリで黒いドレスを着ている。このドレスは苺ちゃんから貰ったものを、栞子ちゃんに合わせたもの。間に合って良かった……
「高柳さんは……緊張してないんですか?」
「してるよ……すっごく!」
笑顔でそう言うと栞子ちゃんも釣られて笑った。私は優しく頬笑み……
「大丈夫……栞子ちゃんは私が補う」
「私は未唯さんを補います」
「互いに補い合い」
「高めあっていき」
「「二つの光を一つに……それが私たち……白翡翠!!」」
私たちはステージに上がり、挨拶をした。
「今日はみなさん、楽しんでくれましたか?虹ヶ咲最後の曲の前に私たちのステージを見て、もっと楽しくなってくれればいいと思います!」
「初めまして、三船栞子です。こうしてステージに上がれたのは、同好会のみなさんや姉……そして高柳さんのお陰なのかもしれません」
「私は誰かずっとユニットを組みたいと思ってた。他のみんなのユニットに交ざったりしてましたが……私は心から組みたいと思った人と組んでみたいと思い……そしてスクールアイドルフェスティバル……みんなの夢が叶う場所で、私の夢が叶いました!それでは見てください!」
「私たちの…白翡翠のステージを!」
ステージが終わり、私は少しだけ水分補給をし……
「……」
みんなの待っているステージに行こうとするけど……駄目だ……折角勇気とかもらったのに……まだ緊張してる……
「高柳さん……大丈夫ですよ」
「栞子ちゃん……」
「未唯さんはもう大丈夫です。貴方の適正は……あの9色の虹に交ざる事ができる人ですから」
「それなら栞子ちゃんもだよ。知ってる?虹って見た人によっては何色にも見えるんだって……だから私たちの虹がいつかもっと交ざった大きな虹になるのを待ってる」
「はい!」
「それと……最後の一押しに……名前で読んで」
「……分かりました。行ってらっしゃい。未唯さん」
「うん!行ってきます」
ステージに上がり、みんなと並び立った。
「5日間にわたった合同文化祭、スクールアイドルフェスティバルも最後のステージとなりました」
「参加していただいたたくさんの学校、スクールアイドル、ご来場の皆さんにこの場を借りてお礼を言わせてください」
『ありがとうございました』
「次が最後の曲になります。私たちの大切な仲間が作ってくれた曲です」
「これから歌う曲、そしてこのステージは今日まで出会ってきたみんなのおかげでできたものです」
「たくさんの出会いが私たちに力をくれました」
「ある人が助けてくれたから新しい歌は生まれました」
「ある人が提案してくれたから今回のフェスティバルは実現しました」
「ある人が素敵なライブを見せてくれたから私たちはもっと成長することができました」
「そしてここに集まってくれたスクールアイドルを愛してくれる皆さんがいてくれたから、このフェスティバルは無事フィナーレを迎えることができました」
「そしてまたここから次の夢は始まります」
「私たちと一緒に走り出していきましょう」
「みんなと……そしてあそこにいる……私たちを支えてくれた人と……」
私は観客席のある場所を見た。これがやりたいことなんだね。お姉ちゃん。
「それでは聞いてください」
スポットライトが観客席の奥の方に照らされた。そこにはお姉ちゃんとピアノがあった。お姉ちゃんは丁寧にお辞儀をし……ピアノを弾こうとすると……
「頑張れ」
ぽむお姉ちゃんの小さな声が私には……ううん、きっと侑お姉ちゃんに聞こえたはずだよね。
そしてピアノの伴奏と共に始まる私たちのこの10色の虹の始まりの曲……みんなのトキメキが走り出すような曲……これが私たちのステージ!!!
長かったスクールアイドルフェスティバルもこれで終わり、みんなで打ち上げをしていた。
『かんぱ~い』
「みなさん最高でした!」
「ありがとう!」
「未唯ちゃんも良かったよ」
「えへへ~」
みんなで楽しく打ち上げをしているとランジュさんがやって来た。ランジュさんも見てくれたんだよね?
「辛苦了」
「ランジュちゃん」
「よかったわよ」
「ランジュちゃんのおかげだよ」
「あなたの覚悟伝わったわ。あなたたちも見事に正しさを証明してみせた。私は100%やりきったけど同好会はそれ以上だった」
「ん?」
「ここに来た価値は十分あった。後悔はないわ。それに……」
ランジュさんは私と栞子ちゃんの方を見て、何故か安心したような顔をしていた。そして……誰にも聞かれないように……
「バイバイ」
そう呟くのであった。だけどそれは誰にも届かなかった。
そして……
「みー、みー」
一匹の黒猫が外で寂しそうに泣いていた
ランジュの本当の目的は……一体……
次回は幕間にてあの子がついに
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