虹が咲き、白が交ざる   作:水甲

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今回は一気に最後まで……


36 一人でいる理由と存在証明

ミアside

 

何とかしてランジュを引き止められる曲を作ってみせる。ボクは部屋に籠ったままずっと曲を作っていた。

 

「ランジュは完璧主義者だ。それにこれまでの傾向からすると…」

 

ランジュの好みを考えればきっと……

 

 

 

 

 

 

 

うらside

 

はんぺんとシニエの所に行くと璃奈ちゃん、愛さんの二人がいた。

 

「あ、うーちゃん」

 

「うらちゃん、ミアちゃん見てない?」

 

「ミアちゃん?見てないけど……」

 

もしかしてまだ曲を?未唯ちゃんも今回はちょっとどうするか悩んでるしな~もう少し私も様子を見るか……

 

 

 

 

 

 

 

それから次の日、璃奈ちゃんと一緒に寮に来て、エマさんの案内でミアちゃんの部屋の近くまで来ていた。

 

「ここがミアちゃんのお部屋だよ」

 

「ありがとうエマさん」

 

ドアをノックしようとすると、タイミング良くミアちゃんが出てきたけど、髪の毛がボサボサだけど……ずっと曲作りをしていた?

 

「璃奈、うら、どうしたの?」

 

「ミアちゃんに会いに来た」

 

「なんで?あ、それより曲できたんだよ!」

 

「ランジュさんの?」

 

「そうさ!ランジュは帰さない!このミア・テイラーがね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ミアちゃんとランジュさんの様子を物陰で侑さん、璃奈ちゃんと一緒に見る私……

 

「どう?君のために書いた君のための最高の1曲だ!」

 

「クオリティーも高いしさすがミアだわ。でもこれは私の曲じゃない」

 

ランジュさんはそう冷たく言い放ち去っていき、ミアちゃんも英語で何かを言いながら何処かへ行こうとする

 

「ミアちゃん!」

 

「放っておいてくれ!」

 

と言うか私はここまで関わっていいものかと今更思い始めた。別にスクールアイドルじゃないし、今回は巻き込まれただけだけど…………

 

仕方ないか。

 

 

 

 

 

 

璃奈ちゃんと一緒に屋上に行くとミアちゃんが怒りに震えていた。

 

「間違いなく今まで一番のクオリティーだった!ランジュの求めるもの、方向性にもピッタリ合っていたのになんで!」

 

「ミアちゃん」

 

「何?笑いに来たの?自信満々で持っていってこのザマだからね。笑えばいいだろ」

 

「笑わないよ」

 

「じゃあ放っておいてくれ!」

 

「無理」

 

「ウザいな!」

 

璃奈ちゃんの手を叩くミアちゃん。すると我に返り、ミアちゃんは謝るのであった。

 

「うらも無関係なのに……お人好しだね」

 

「まぁ無関係だけど……」

 

「ううん、うらちゃんは無関係じゃない」

 

「へ?」

 

一応部外者なんだけどな~ここに来たのは最後まで付き合うと思っただけで……

 

「うらちゃんもミアちゃんの友達」

 

友達か……まぁそうかもしれないね

 

とりあえず璃奈ちゃんの提案で一旦落ち着くために中庭でハンバーガーを食べることになった。

 

「そういえば最近食べてなかった」

 

「食事は大事」

 

「あの曲に全部かけていたんだ。ランジュが歌えば僕の曲をより多くの人に届けられる。アイツがパートナーならやっと結果が残せるって思ってたのに」

 

「どうしてそんなに結果が欲しいの?」

 

「えっ?」

 

「ミアちゃんとても苦しそう。苦しんでまで結果が必要?」

 

確かに……結果を残そうとしていることは何となく感じていた。動画で曲を投稿したりしてるし……まるで自分の存在証明をしているように思えた。

 

「必要だよ。僕はミア・テイラーなんだから音楽で認められなきゃ僕に価値はない」

 

「ミアちゃんはミアちゃんだよ。価値がないなんてことない」

 

「ダメなんだよ。だって僕にはもう曲を作るしかないんだから」

 

「ミアちゃん?」

 

「テイラー家の娘としてせめてそれくらいは果たさないといけないんだ。小さい頃、僕は歌が好きだった……

歌うのが楽しくていつも歌ってた。あるとき家族と一緒にステージに立つことになったんだ……歌手としてのでビューさ。ワクワクしたよ。でも僕は分かっていなかった。テイラー家の名がいかに大きいものか……何千という目が新しいディーヴァの誕生を待ち望んでいた。ただ歌が好きで楽しむことしか考えてなかった自分がそれに答えられるのか……歌えないテイラー家の娘に価値なんてない。だからせめて自分にできることでこの世界に居場所を作ろうとしたんだ。ランジュを利用してまでようやく手が届くと思ったのに」

 

自分の居場所をか……まぁビジネスパートナーって互いの目的のために利用しあってる感じがするし……

 

「でもミアちゃんは今ここにいるよね」

 

「えっ?」

 

「ここはミアちゃんの居場所にならない?私ミアちゃんの歌聴きたい」

 

「ダ、ダメだよ!だって…」

 

「ミア・テイラーじゃなくてミアちゃんの歌が聴きたいな」

 

「えっ…」

 

「テイラー家がどんなものか私は知らない。でも歌が好きならその気持ちをなかったことにしないでほしい。ミアちゃんにもっと楽しんでほしい。ここならきっとミアちゃんが望むものを叶えられる」

 

「僕が望むもの…。歌いたい…歌いたいんだ」

 

「夢を叶えるのがスクールアイドルだよ」

 

「そうだね」

 

「と言うか……ミアちゃん」

 

「何さ……」

 

「ミアちゃんの家族は歌えなかったことに対して何て言ったの?」

 

「何て言った……か?」

 

「テイラー家の恥さらしとかそういうこと言われたりした?」

 

「まさか、ただ謝られたよ。ボクに重すぎるものを背負わせたことに対してね」

 

「そっか、いい両親だね」

 

「あ……」

 

「価値がないとかそう言うのはミアちゃんがそう思ってるだけだし……きっとミアちゃんの両親はミアちゃんの進む道を認めてくれてるかもしれないね」

 

「そうだといいけどね……」

 

「きっとそうだよ」

 

「だから私も璃奈ちゃんと一緒で……ミアちゃんの歌が聞きたい。ミアちゃんが楽しんで歌っている姿が見たい。だって……私はそういう歌に救われたから」

 

「救われたって……あ……」

 

「うらちゃん……」

 

「あはは、わざわざ話すことではないけどね。両親が死んで……色々と悩んで苦しんでるときに……未唯ちゃんの心から楽しんでる歌に救われたからね……多分だけどランジュさんは苦しんでると思う。だから逃げようとしている……だから」

 

「分かってるよ……ボクは曲をもう一度作る」

 

決意が固まったのかな。これならきっと大丈夫だよね

 

 

 

 

 

 

 

 

未唯side

 

それから私たちはミアちゃんのサポートをしていた。それにしてもうらちゃんが……

 

「救われたか……」

 

「本当に君はangelだね」

 

「いやいや、良く言われるけど……私は天使なんか……」

 

「天使だよ。人を導き、人を救う。そんな天使……」

 

「そっか……」

 

「だから君は誇るべきだよ。その呼ばれ方を」

 

「うん」

 

誇るべきか……少しずつだけど……そうしてみようかな。

 

 

 

 

 

 

次の日、部室に向かおうとすると……何となく嫌な予感と言うべきか……虫の知らせを感じた

 

「…………まさか」

 

ランジュさんの性格を考え、メッセージだけで帰国すると送ったのを思えば……私のこの嫌な予感は当たっているのかもしれない。今から向かうべき?でも間に合うか…………うーん

 

「あら、高柳さん。こんなところで何してるの?」

 

「あ、薫子先生……そうだ!薫子先生!お願いしたいことが!」

 

「お願い?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ランジュさんがもしかしたら急に今日帰るかもしれないと思い、私は薫子先生に頼んでバイクに乗せて貰い、空港に来ていた

 

「それじゃ私はまだ仕事があるから」

 

「すみません。こんなこと頼んで……」

 

「いいから、行ってきなさい。栞子たちには私から伝えておくから」

 

「はい!」

 

私は薫子先生と別れ、ランジュさんを探し回った。そして……

 

「ランジュさん……」

 

「未唯……見送りに来たのかしら?」

 

「まさか……引き留めに来ました」

 

「……悪いけどどんな事を言われても……」

 

「…………まぁ引き止めるって言っても、私は足止めに来たの」

 

「足止め?」

 

「そう……私一人じゃ止められないけど……私たちなら……」

 

「ランジュ!」

 

間に合ったみたいだね。みんな……

 

「栞子…」

 

「ランジュちゃん見つけた!」

 

「一体何なの?」

 

「少しだけ時間をくれないかな?」

 

「ミアがあなたのために曲を作ってるわ!」

 

「ランジュちゃん!」

 

「悪いけどどんな曲を持ってきても答えはノーよ」

 

去ろうとするランジュさん。だけどかすみちゃんたちが道を塞いだ。

 

「なに?」

 

「ダメ」

 

「行かせませんよ!」

 

「ミアさんの曲聴いてください!」

 

「言ったでしょ。全部やりきったの。未練はないわ」

 

「鐘嵐珠がそれでいいのか!?」

 

ようやくやって来たミアちゃんとうらちゃん。ミアちゃんはランジュさんに向かって更に言い続けた

 

「僕はずっと思ってたよ。鐘嵐珠ほどパーフェクトなヤツはいないって。歌もパフォーマンスもプライドも努力も嫌味なくらい全部……そんなヤツが本当の夢には手も伸ばさず諦めて帰ろうとするなんてらしくないだろ」

 

「たとえどんな曲を作ってきても私には…」

 

「これは君の曲じゃない。僕もずっと手を伸ばせずにいた夢があった。でも諦めるのはもうおしまいにする。君と違ってね。歌が好きだったのに自信がなくて目を逸らしていた。でも教えてもらったんだ。スクールアイドルはやりたい気持ちがあれば誰でも受け入れてくれる。だったら僕の手もきっと届く。僕は夢を掴むよ」

 

ミアちゃんは歌い出した。自分の夢を掴むための歌を……

歌い終わり、ミアちゃんはランジュさんに手を差し伸べた

 

「君はどうする?」

 

「ランジュ、私はあなたと一緒にスクールアイドルをやりたい。私と一緒にステージに…」

 

「無理よ……」

 

「あっ……」

 

「無理なのよ。私は誰とも一緒にいられないの。昔からそうなの。仲良くなりたいと思うのにどうしてもうまくいかない」

 

「そんなことは……」

 

「栞子だけよ。私と友達になってくれた人は。他の人はみんな初めはよくてもだんだん遠巻きになって離れていった」

 

ランジュさんは何でも完璧にこなしてしまう。だからつい周りの人にどうして出来ないのとかそういうことを言ってしまうと前に栞子ちゃんに聞いたことがあるけど……でも……

 

「まぁ分かるけどね。ランジュの言い方は癇にさわるときがある」

 

「だって分からないんだもの。何が悪いのか、なんで避けられるのか……どうやっても人の気持ちが分からない。だったらもう一人でいようって……ここに来たのもソロアイドルならできると思ったから。相手の気持ちが分からなくても認めさせることはできるって」

 

「誰だって相手の気持ちが分からないことはあります。ランジュだけじゃ…」

 

「ただ一人の友達のことも分からないのよ?ひとりでいるしかないのよ」

 

「それで同好会の誘いも断ったの?」

 

「そうよ。むしろソロのスクールアイドルたちが同好会として絆を深めていたことに驚いたわ……互いに信頼し合ってユニットもそれ以上のこともできる。それがスクールアイドルなら私にはできない」

 

「なぁその腑抜けた目で周りをよく見てみろよ。ここにいるみんなが誰のために来たと思ってるんだ。僕が頼んだだけじゃこんなに集まるわけないだろ。過去に囚われたままじゃ今目の前にいる人の気持ちを踏みにじることになるんだぞ。ランジュ 僕と君は似ているよ。ずっと過去に囚われ 夢に手を伸ばさずにきた。でもここは今までの場所とは違う」

 

「ランジュちゃん、私たちがユニットを始めようと思ったのはランジュちゃんのおかげなんだよ!」

 

「ランジュちゃんの真っ直ぐな言葉があったから私は前に進めたんだ。ありがとう」

 

みんながランジュさんへ向けての言葉を言い、栞子ちゃんはランジュさんをそっと抱き締めた。

 

「もう一度ここから始めませんか?私たちもっと仲良くなれると思うんです」

 

「栞子いいの?」

 

「うん」

 

「僕たちはもうビジネスパートナーじゃない。これからよろしくライバルさん」

 

「まだデビューもしてないのに私に張り合うなんて……」

 

「ランジュさん……全部やりきったって言ってたけど……スクールアイドルはやりきるとかじゃないと思うよ」

 

「未唯……そうね。私は届かないからやりきったって結論を出したわ」

 

「私はランジュさんの事をまだまだ知らないことだらけだけど……届かないから諦めて、終わりにするような人じゃないよね?」

 

「えぇ、勿論よ……未唯」

 

「良かった」

 

お互い笑い合うと、ランジュさんはみんなの方を見て……

 

「今からでも間に合う?」

 

「もちろん!ようこそ虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会へ!」

 

こうしてランジュさんとミアちゃんは同好会へと入るのであった。

 

 

 

 

帰り道、私はうらちゃんとお姉ちゃんたちと一緒に帰っていた。

 

「人の気持ちが分からないか……確かに分からないままだと……辛いよね」

 

「侑ちゃん……」

 

「未唯は人の気持ち分かってるように思えるけど……」

 

「私?私は……分からないかな」

 

「そうなの?未唯ちゃんは分かる感じがするけど……」

 

「分かるんじゃなく、分かろうとしてるだけ……それでも分からない事があるけどね……特にお姉ちゃんたちのとかね」

 

「「あ……」」

 

「まぁ……侑さんたちは……」

 

「それにしても栞子ちゃん、ランジュさんたちと一緒のステージか……」

 

「「「あ!」」」

 

「楽しみだな~」

 

この時は純粋に楽しみにしていた。三人がどんなステージを見せるのか……それと栞子ちゃんとの今後予定とか合わせないといけないよね。練習が被ったりしたら栞子ちゃん大変だろうし……ランジュさんに後で相談してみよう。そう思っていたけど、後ろでお姉ちゃんたちは……

 

「み、未唯ちゃんは……その栞子ちゃんを盗られちゃうから……」

 

「いやいや、そんなことは……」

 

「でも未唯ちゃん……侑さんたちの悪いところとか無意識に影響受けてるし……」

 

「「「ど、どうしよう……」」」




最後の最後で……この続きは多分幕間かもしくはリバース結成の時にやります
因みに前回やろうとしていた足止め方法は……

うらちゃん、ランジュのパスポートをこっそり持っていく。
ランジュ焦る
足止め成功
後でちゃんと返す

をやろうとしましたが……未唯ちゃんたちがやることではないと思い、やめました。そう、未唯ちゃんたちならやらないけど…………某彼女なら……やりかねない……

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