地方は中央の2軍じゃない!   作:小魔神

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第11話

『各ウマ娘、それぞれの想いを抱いて最後の直線に向きます。勝つのは一体、どの娘だぁーっ!』

 

 あらら、これは逃げている娘は残らないなぁ。3-4コーナでペースを上げすぎちゃいましたね。私も本番では気を付けないと。

 前回は、同じコースで差し切られちゃったからなぁ。

 

 おっとレースに集中しないと。さてさて、今回勝つのは誰かなぁー?

 

 

『先頭集団、これは厳しいか。ここで一杯になる。代わって上がってきたのは7番サードエトワールと11番カナメ。びっしりと体を併せて追い込んでくる』

 

 お、あの2人が抜け出しそうだね。確かあの娘は・・・そう前走一緒に走った娘だ。でもあの2人程の凄みは感じないかな?で、もう1人の娘は、スぺちゃんとエルの2人と走っていた地方の娘。え、何でそんなこと知っているのかって? ライバルの情報収集は大事ですから。

 

『ここで、サードエトワールとカナメが並んで抜け出す。この2人の争いになるのか? いや、ただ1人後方からから伸びてくる! ここで来たぞ、一番人気ベアエクジスタンス』

 

 どうやら、決まったみたいだね。さて、もう1人はどうなるのかな?

 

 

 どっちにしろ、本番で勝つのはセイちゃんなんですけどね☆ 

 

 

 ◇  ◾️  ◇  ◾️  ◇

 

『ここで、サードエトワールとカナメが並んで抜け出す。この2人の争いになるのか? いや、ただ1人後方からから伸びてくる! ここで来たぞ、一番人気ベアエクジスタンス』

 

 これが中山の坂、まるで壁みたい。けれどこの坂さえ超えてしまえば・・・。

 もうちょっとだけ頑張れ私! 絶対、隣の娘に負けない、踏ん張れ!

 

 その時、サァーっと冷たい衝撃が私に走る。

 

『伸びるベアエクジスタンス。ここで前の2人に並び・・・いや並ばない並ばない! これは脚色が違う、粘る2人を交わして一気に先頭に立つ』

 その衝撃の正体が分かったのは自分の前を走るウマ娘が視界に入った時だった。

 

 これは厳しい・・・。私の脚だともう、あの娘は捉えることはできないかもしれない。いや、実際は捉えられないだろう。だったらどうする、1着は諦める? いや、そんなわけない!  

 全力で走って勝つ、そして権利を取る! 2着でいいなんて考えるな!

 

 ◇  ◾️  ◇  ◾️  ◇

 

『伸びるベアエクジスタンス。ここで前の2人に並び・・・いや並ばない並ばない! これは脚色が違う、粘る2人を交わして一気に先頭に立つ』

 

 これは勝てない・・・。いや、2人のような脚があれば勝てるのかもしれない。けれど今の私は、この差を詰めることはできない。

 

 プツンと何かが切れた。前走の大敗の後、絶対に負けられないと必勝を期して臨んだレース。負けたくない、負けられない、けれど分かってしまった。

 

 このレース・・・勝てねぇ。ちくしょう。

 

 ◇  ◾️  ◇  ◾️  ◇

 

 伸びろ、差し切れ!

 私の祈りが届いたのだろうか? 今日の私は絶好調だ、いつもの力以上の走りが出来ている。

 

『伸びるベアエクジスタンス。ここで前の2人に並び・・・いや並ばない並ばない! これは脚色が違う、粘る2人を交わして一気に先頭に立つ』

 

 坂を登る。このコースを考えた人は絶対に性格が悪い。こんなの坂じゃなくて、壁でしょ!

 もう少し、もう少しで超えられる。

 

『坂を登って、ベアエクジスタンスが1バ身から2バ身のリード! 続くのはカナメ、サードエトワールは後退気味か。残り100M』

 

 もうすぐゴール! いける、勝てる、勝てるんだ。持ってよ私の脚!

 

 

『ベアエクジスタンス、1バ身のリード! しかし、後ろから1人カナメが差をじりじりと差を詰める』

 

 ッツ、2着でも皐月賞に出られるんだよ! ここは私に勝たせてよ!

 ・・・けどそうはいかないよね。いいよ、相手してあげる。そして教えてあげる!

 

「勝つのは私だーーーッ!」

 

 きっと、これが私の最後の輝きだろうから・・・。

 

 ◇  ◾️  ◇  ◾️  ◇

 

 坂を登った直後、前までの差は2バ身。

 これを捉えるのは難しい。けど、私は見逃さなかった。

 

 今あの娘、バランス崩した・・・よね?

 

 潰えかけてた勝利への道が、ここに来て見えてきた! 今のあの娘の走りなら、100Mもあれば捉えられる。

 

『ベアエクジスタンス、1バ身のリード! しかし、後ろから1人カナメが差をじりじりと差を詰める』

 

 もう、皐月賞の優先出走権のことなんて頭から離れていた。

 今はただ、このレースを勝つ!

 

 差し切れる! そう思った時だった。

 

「勝つのは私だーーーッ!」

 

 鬼気迫るような声だった。でも、勝ちたいと思う気持ちは私も負けていない。

 

「負けるもんかーーーッ!

 

『ベアエクジスタンス、カナメが並びかける。しかし抜かせない、ベアエクジスタンスがクビ程のリード』

 

 気圧されたわけじゃない。ただ、あと一歩が遠い。

 行けっ! 行けっ!

 

「あと一歩なんだ! 踏み込め私の脚!」

 

「抜かせない、絶対に抜かせない! 勝つのは私なんだーーー!」

 

 

『ベアエクジスタンス、カナメ、この2人の追い比べ。しかし制したのはベアエクジスタンス! 勝ったのはベアエクジスタンスです! 無傷の2連勝でトライアルを制しました!』

 

 

 ◇  ◾️  ◇  ◾️  ◇

 

 「いいレースだった」

 

 今はその言葉しかでてこない。

 

 

 若葉S 確定

 1着 ベアエクジスタンス

 2着 カナメ

 3着 サードエトワール

 

 1着のベアエクジスタン及び2着のカナメには、G1皐月賞の優先出走権が与えられます。

 

 

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