寒い日が続くので体調管理に気を付けてください。
私は正月にコロナになりました。
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良い位置をとったな」
「あぁそうだな。にしても、あいつが前でレースをするとはなぁ。こう言っちゃなんだが、面白味は無くなったな」
「そう言ってやるなよ、サウス。大体、捲りなんてリスキーな戦法、いつまでも続けられるものじゃない。結局、捲って勝つっていうことはそのウマ娘の実力が抜けていただけなんだよ」
「まぁ、そう言われればそうなんだが。ただ私が戦うとしたら、先行するあいつより捲りを打ってくるあいつの方が嫌ではあるな」
「それは、お前が前でレースをするからだろ? そりゃ、下手な捲りでペースをかき乱されるのは迷惑な話だからな。でも一つ、勘違いしているぞ」
「勘違い?」
「あぁ。捲りっていうのはな、どこからでも打てるんだよ」
◇ ◾️ ◇ ◾️ ◇
内目、4番手。うん、悪くない位置だ。
この雨で多少馬場は荒れているけど、それでも外を回されるよりは遥かにいい。
問題はいつどのタイミングで仕掛けるか、多分ペースは緩まない。なら、この位置をキープするのもありではある。
けど、私の横には例の3番の娘がいる。さっきの接触の件もあるし直線まで動かなかったら、間違いなく進路を閉められる。その場合前の娘が垂れてくれば私はお終いだ。
‥だったら、いつもと同じように早めに仕掛ける。と、いきたいところだけど、中山の外回りはいつもの内回りと違って仕掛けるタイミングが難しい。外回りは基本的にペースが緩まない。だから仕掛けるタイミングは4コーナー、荒れた内を避けて外に振ったタイミングで一気に内を突く。
内が開かなかったら? その時はその時だ。
◇ ◾️ ◇ ◾️ ◇
10番人気? そんなものは関係ない。
このレース、私リオコウウには作戦があった。
なんてことはない、とにかく前に行くだけだ。たったそれだけかと言う人もいるかもしれないが、たったそれだけの作戦がこの舞台では大きな武器になる。
「コウウ、お前の走りはどうもチグハグだな。前に行ったり後ろに行ったり。まあそれでも掲示板をほとんど外さないのは流石だが」
「でも、トレーナー。レースには展開っていうものがあるんです。柔軟な対応ができないと上のクラスでは通用しないのでは?」
「馬鹿。そんな小難しいこと考えるな。いいか、今のお前にそんな器用な真似は無理だ」
「そこまで言わなくてもいいじゃないですか」
「そう怒るなよ。いいか、そんなお前に俺がアドバイスをやる」
「アドバイスですか?」
「あぁそうだ。いいか、騙されたと思って前に行け。グランドサクセス辺りの出方次第では逃げてもいいくらいだ」
「・・・逃げですか。正直、自信はありませんね」
「心配しなくても今のお前がどんな戦法で走ったところで自信なんて出ないさ。だったら俺の指示通りに走った方が気が楽だろ? それに大穴っていうのは、逃げ先行が開ける。それにメンバー的にも前が有利になるはずだからな」
「さすが大穴ウマ娘のトレーナーとして名が知れている人は詳しいですね」
「ならおめでとう、次のレースが終わった暁にはお前もその大穴ウマ娘の仲間入りだな」
「ハハ、とにかくやるだけやりますよ」
さぁ、本番。ゲートが開かれる。
『先ずは外枠から押し出されるように、リオコウウが前に上がって行きます。続いてオリンピック、その後ろフソウタイカが内から押し上げて3番手。そして、おおっとカナメがこの位置、4番手まで上がっています』
スタートは悪くない。競りかけてくる娘もいない。だったら、逃げるか。
中山2,200mは外回り、ペースは緩まない。ただ、どこかで息を入れる必要はある。そういう意味では単騎の逃げは願ったりかなったりだ。後は如何にペースを落とすか。
なんて、考えていたら外から位置を上げるウマ娘に気付かなかった。
『先ずは外枠から押し出されるように、リオコウウが前に上がって行きます。続いてオリンピック、その後ろフソウタイカが内から押し上げて3番手。そして、おおっとカナメがこの位置、4番手まで上がっています』
前に行ったのは人気を集めるグランドサクセス。ただこれは、考えようによっては悪くない。風よけもできるし、何よりペース配分に気を使わなくていい。
人頼みにはなるけど、今の私にとってこれも立派な戦いだ。
さぁ、大穴ウマ娘の仲間入りを果たしてこよう。
◇ ◾️ ◇ ◾️ ◇
ここまで目下三連勝。私グランドサクセスには4番人気に支持される理由があった。
おそらく、今回の最大の敵は2番人気のフソウタイカ。ダービーではあの皐月賞ウマ娘セイウンスカイに先着しての3着。それにダートでも勝利しているようにパワーもある、この重馬場ではそれも怖い。
後は、カナメ。ダート実績ではフソウタイカよりも遥かに上。それに芝でも若葉S2着と実績もある。その時の1着ベアエクジスタンスは、怪我で皐月賞には出走できなかったもののかなりの実力者。油断はできない。ただ、この舞台なら彼女の捲りは不発の可能性も高いとみている。
とみている。
1番人気のロイヤルキングについては、ノーコメントだ。
この2人に勝つためにはどうすればいいか考えた。1つは逃げること、これが一番勝率は高い。ただ、前に行くウマ娘が多いのも事実。ペースが早くなって自力勝負になればフソウタイカにはかなわない。
だったら、ここは賭けに出る。道中は後ろから、それもカナメの後ろまで下げる。後は彼女の捲りを利用して上がっていく。前は彼女が掃除してくれるだろうし、風よけがいるだけ私の方が脚は残るはず。それに今回のレースの目的は、あくまで権利取り。勝ちに行く必要はない。
よし、腹はくくったこの作戦でいく!
・・・と思っていたのに。
『先ずは外枠から押し出されるように、リオコウウが前に上がって行きます。続いてオリンピック、その後ろフソウタイカが内から押し上げて3番手。そして、おおっとカナメがこの位置、4番手まで上がっています』
スタートは悪くなかった。後は下げてポジションを取る。そう考えていた時、私の眼には内目でポジションを上げるカナメの姿が見えていた。
ふざけるな! そう言ってしまいたくなる気持ちを必死でこらえる。たた、完全に描いていたプランは崩れてしまった。
どうする? このまま後ろからレースをするか。いや、私一人の脚だととてもじゃないがそれは厳しい。なら、前に行くしかない。幸いなことにペースは緩い、ここからでも十分に巻き返せる。叩き所は1コーナー。ペースが緩んだ瞬間にハナまで取りきる。
『1コーナーに入って、ここで先頭に立っていたリオコウウを一気に叩いて、3連勝中のグランドサクセスがハナを奪います。リオコウウは2番手キープ。その後ろにオリンピック』
よし、作戦は成功。多少脚は使ったけどハナはとりきった。あとは、いかに直線までお釣りを残せるか。番手の娘があっささり私を前に迎え入れたのも気になる。でも、考えたって仕方ない。なるようになるだけだ。それに逃げた以上は着を取りに行くのは難しい。
このレース、私には厳しい戦いになるのは間違いない。
6〜8話冒頭に取り上げた金沢の名ウマ娘の元馬わかりましたか?
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2人
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3人
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全員分かった
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1人も知らんわ