「遊びに行けって言われてもなぁ」
午前中の授業を終えた教室で、机に突っ伏しながら私はいう。
次のセントライト記念まで1ヶ月半。少しでもトレーニングを積みたいところなんだけどなぁ。
「なになに、カナメちゃんどこか遊びにいくのー?」
そんな私の様子を見て声を掛けてきたのはシャインちゃん。というか、他の娘たちはお昼に行っちゃってるし。
「そうなの、トレーナーさんに言われちゃったんだよね」
「へー。で、どこにいくの?」
「いや、全然決めてないんだよね」
というか、正直めんどくさい。私って昔からそうだけど出不精なんだよね。友だちと約束してても当日になると行きたくなくなるタイプ。行ったら行ったで楽しいのは分かるんだけどね。
「カナメちゃん、あんまり外で遊ぶイメージないもんね。普段はオフの日に何してるの?」
「うーん、本を読んだり、ゲームしたり、インドアばかりかも。それにトレーニングしない日はできるだけ身体を休ませたいんだよね」
「あぁー、それはよくないよカナメちゃん。私たちみたいな年頃は遊び回っていないと」
やれやれといった様子で首を振りながらシャインちゃんは言う。
「そういうシャインちゃんは、結構遊びにいったりするの?」
「うーん、それなりに」
まぁ、シャインちゃんは外で遊んでても絵になるもんなぁ。何て言うか、青春の一ページみたいな。
それにしても、あんなハードなトレーニングをして休みの日に遊びに行けるなんてシャインちゃんはすごいなぁ。私もトレーニングしている方だとは思うけど、シャインちゃん程じゃないし。
「大体、カナメちゃんなんて、レースの賞金ですごい稼いでいるんだから遊びにもっと使えばいいのに」
確かに、これまでの賞金を全て合算したらかなりの額にはなるはずだ。でも、私にはお金を自由に使わない理由がある。
「私、全部お母さんに預けちゃってるからなぁ」
「え、お小遣い制?」
「ううん、欲しいものがあったりするとお母さんに都度頼んでる。あ、でもちょっとはお金ももってるんだよ」
私、お金の管理とか苦手だしね。それにそんなにお金を使う機会もないし。それだったらお母さんに預けておいた方が安心だ。ただ、シャインちゃんはどこか引いたような目で見てくるのは気になるけれど。
「…は、はは。そうなんだ。じゃあさ今度私と一緒に遊びに行こうよ。友だちも誘ってさ」
うーん、正直めんどくさいだけどなぁ。部屋でゴロゴロしたいのが本音だ。けど、トレーナーさんにも言われてるし遊びに行くか。考えてみればシャインちゃんと一緒に出掛けたこともなかったし。ただ、一つ懸念事項がある。
「友だちかぁ。でも、私プライベートで遊ぶような友だちほとんどいないからなぁ」
そう、シャインちゃんとも出掛けたことのない私。当然、一緒に遊びにいくような仲の娘なんているわけもない。いやまぁ、入学当初にご飯とか一緒に食べに行ったりした娘はいたんだけど。だんだんと疎遠になったり、転校や引退もあったりして今じゃほとんど交流がない。
「あ…、そうなんだ」
また、シャインちゃんから哀れむような視線を向けられる。これはまずい、訂正しておかないと私がボッチだと思われちちゃう。
「地元に行けばいるんだからね! こっちでいないだけだから」
ひろくんとけんちゃんとみぃちゃん。うん、3人は確実にいる! なんだったら呼びつけても来てくれるかも。いや、そんなことはしないけどね。
というか、こっちでも私ってそれなりに人気者だから、遊びに誘ったら付き合ってくれる娘もいるはずなんだけどね。
「大丈夫。わかってるよ」
「絶対、分かってないでしょシャインちゃん」
「分かってるってば。じゃあ私と2人でいく?」
シャインちゃんと二人でも悪くないけど。どうせ出掛けるならもう少し人数がいてもいいなぁ。だったら、
「どうせならグリンさんでも誘う? 最近、グリンさんにトレーニング見てもらってるし。シャインちゃんも仲いいもんね」
「グ、グリンさん。えと、カナメちゃん誘えるの? 私、オフの日に遊びに行ったりしたことないんだよね。もしカナメちゃんが誘えるならお願いしてもいい?」
「ん? 別にいいよ。じゃあグリンさんに聞いて見るね。返事もらえたらシャインちゃんにも伝えるよ」
6〜8話冒頭に取り上げた金沢の名ウマ娘の元馬わかりましたか?
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2人
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3人
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全員分かった
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1人も知らんわ