『クラシック最終戦、菊花賞。最も強いウマ娘が勝つと言われるこのレース。最後の一冠を掴むのはどのウマ娘か』
大勢のファンの声がこだまする。
ここは京都レース場、そしてクラシック路線の終着点。一つの世代の集大成の場所だ。
『それでは、各ウマ娘のバ場入場です』
流れるのG1ではお馴染みのあの楽曲。今日もこの場所で1人のチャンピオンが生まれる。
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『1枠1番、そしてもう一つの1を狙ってひた走る、前走の快勝は記憶に新しいところ、6番人気アドミラルリーオー。神戸新聞杯で見せた最速の末脚は今日も炸裂するか』
前走では、初めての重賞勝利をトレーナーさんにプレゼントできた。次はG1勝利のプレゼントの番だ。
ある程度、勝負の形は見えてきた。狙いはスペシャルウィークただ1人。道中は彼女をマークし続ける。
そして、最後に笑うのは私とトレーナーさんだ。
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『1枠2番、シニア級と鎬を削ったその実力は侮ることなかれ。シービー、ルドルフが伝説を達成したこの場所で、彼女の力が爆発する。名門シンボリからの刺客シンボリオーカンは9番人気です。』
京都3,000mは伝説が生まれる場所だ。そして、ルドルフさんもシービーさんもその伝説を生み出してきた。
だったら、その2人に教えを受けた私が続かなくてどうするんだ。
最後の王冠を掴むのはこの私しかいない!
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『2枠3番、春に見せた末脚をファンを忘れてはいません。今日も一部のファンから熱狂的な声援を受けて登場。11番人気サンハオウズイです』
はい、こんにちは。サンハオウズイです。
こう見えても、ダービーでは掲示板に入っています。なんでも私、穴人気?ってやつに結構なるみたいで、一部のファンの人たちからは熱狂的に応援されているんですよね。
まぁ、期待されている以上応えないわけにはいかないので、今日も一生懸命走ってきます。
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『皐月賞ウマ娘の登場です。2枠4番セイウンスカイ。絶好枠を引き当てて、青雲の空の下、今日も悠々一人旅。2冠に向けて準備は整ったか。2番人気に支持されています』
どもどもセイウンスカイです。今日の作戦? もちろん考えていますよ。
にしても、いいお天気ですよね。セイちゃん眠くなってきたかもしれません。
というわけで、後は他のウマ娘のところでお願いします。
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『そして出ました、3枠5番地方から唯一の参戦、その名もカナメ。逃げ宣言の彼女が今回のレース展開を握っています。地方初の夢を、ファンは7番人気に支持しました』
皐月賞、あの時は勝つなんて夢にも思えなかった。
ダービー、そもそも走ることすら叶わなかった。
そして今、最も強いウマ娘が勝つと言われる菊花賞で、私は勝ちを意識してレースに臨む。
地方の夢? 金沢の期待? 大いに結構、その全てを受け止めて私は私のために、このレース絶対に勝つ!!!
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『同枠6番リオコウウ。前走セントライト記念では先行策で大穴を演出。ここも前々で運んで前走の再現を狙います。12番人気の評価も彼女には追い風かもしれません』
大穴は常に逃げ先行から。
前走、確かに大穴を開けたけど、それでもあくまで2着どまり。大穴ウマ娘の仲間入りにはパンチが弱い。
でも、今回も12番人気。そして舞台はG1。ここで勝ってこそ、真の大穴ウマ娘になれる。
つまり、風は私に吹いている!
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『こちらも前走セントライト記念から参戦。4枠7番はフソウタイカ。日本ダービー3着の実績はここでも侮ることはできません。長距離向きの評価を背に、4番人気で菊花賞に臨みます』
前走は完全にしてやられた。特にあの地方のウマ娘にはだ。
ただ、熱くなった私にも非があることは分かっている。
冷静に運べば、私の力はこの中でも上位なはず、この距離なら私の持ち味を存分に出せる。
最強の座につくのは、この私だ。
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『ダービー2着ウマ娘の登場です。4枠8番はブレイブカイザー。8番人気の評価は不服でしょう。末脚は魅力十分、ファンの度肝を抜く走りを期待します』
人気がないのはいつものこと、そう思うには私は幼すぎた。つまり何が言いたいのかというとだ、人気なさすぎない!?
大体、ダービー14番人気っていうのが、もうおかしいのよ。ダービー前にG2も勝ってるし、重賞でも2回複勝圏内に入ってるのに。
それに今回も8番人気ってどういうわけ?
こうなったら勝って、私のファンに大サービスしてあげないと。考えようによっちゃ、ファンの人も伸び伸びとライブを見られるってことだし。
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『3番人気はこのウマ娘。かつての3強も、気付けば彼女1人が無冠。この菊花賞を勝利して、真の最強を証明する。5枠9番、キングヘイローの馬場入場です』
ダービーでは無様な姿を見せてしまった。
それでも私は私。キングの走りに反省はあっても後悔はないもの。
それに色々分かったこともある。今の私はスペシャルウィークさんには末脚では敵わない、かと言ってスカイさんのような技術もない。
それでも、他のウマ娘に負けない、いやそれ以上の一流のトレーナーが私にはついている。
だったら、それだけでキングが負ける道理はないわね。
さぁ、あなたと私で作り上げた一流の走りを見せてあげるわ。