地方は中央の2軍じゃない!   作:小魔神

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第45話

『さぁ、各ウマ娘ゲート入りです。強いウマ娘が勝つといわれる菊花賞、あなたの選んだウマ娘がその栄冠を掴みとるのでしょうか。

 

 1番人気はダービーウマ娘スペシャルウィーク、世代屈指の末脚はこの距離でも錆び付くことはありません。ここを勝利して世代最強を示したい!

 

 2番人気は同じく2冠を目指すセイウンスカイ。前走で見せた変幻自在の逃げは多くのファンを魅了しました。逃げ宣言のカナメを相手にどのようなレースを展開するのでしょうか。

 

 世代最後の戦いに向けて他のウマ娘も虎視眈々と頂点の座を狙っています。

 

 今ゲートインが完了して、菊花賞のスタートが切られました』

 

◇ ◾️ ◇ ◾️ ◇ ◾️ ◇

 

『まず、ハナを切ったのはやはりこのウマ娘。逃げ宣言のカナメがエンジン全開で飛び出します』

 

 力を出し惜しみするな。

 今までのレースで1番の出なのは間違いない。とにかく先ずは前に行く。セイウンスカイの番手を取るためにも、後のことは考えず今は前へ。

 

『カナメがかなり押している。しかし内からセイウンスカイも位置を取りに行く。激しい逃げ争いが繰り広げられています』

 

 よし、約束はきっちり果たしてくれそうだね。先ずは一安心。さて、ここら辺で前を譲ろうかな。

 後はこの2番手を守りきる。取り敢えず後ろの娘も位置をとってくるだろうし少し牽制しておかないと。

 

『ここで内枠の利を活かしてセイウンスカイが前に出ます。カナメは内を開けての2番手、しきりに後ろを気にしています。リオコウウが上がる形を見せますが、ここは3番手に収まりまそう。そしてブレイブカイザー、フソウタイカがその後ろ。注目のスペシャルウィークは中段からレースを進めます』

 

 取り敢えず、最高の形を取ることができた。ただ一つ懸念があるとすれば、

 

『ハナを進むのはセイウンスカイ。これはかなりのペースで飛ばしています。この長距離でこのペース、最後まで持つのでしょうか』

 

 いくらなんでもペース早すぎない? いや、私のペース感覚だから当てにはならないんだけどね。でも、重馬場だったとはいえ、2,200mの前走よりかなり流れている気がするんだけど。

 

 ううん、ここはセイウンスカイのペース感覚を信じるだけ。

余計なことを考えればスタミナがその分削られる。考えるのは番手を守ることと、いつ前を捕まえにいくかだけ。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 満員のスタンドの最前列、この場所をとるのは相変わらず苦労する。何せ、朝イチから張り込んでなきゃいけないからな。

 いつものようにサウスとシロヤマの2人と見に来たものの、やっぱりこの人混みは堪えるな。

 

 が、それに見合うだけのスタートをあいつは見せてくれた。

 

「行けるぞ! 悪くない出だ。後は作戦通りにやるだけだが」

 

 グリンとの練習以降、あいつのテンは劇的に改善されてきている。はっきり言って予想外ではあったし、同時に少し悔しくもある。あいつと出会った時からその指導をしていれば、もっと上のステージに行けたかもしれない。

 

 今更言ってもしょうがないが。

 

「ちょっとペースが早いんじゃないか? このペースだと前は潰れるだろ」

 

 サウスの言う通り確かにペースは早い。おそらく1,000m60秒フラット、いやそれを上回るペースだ。だけどこれでいい。

 

「心配ない。セイウンスカイはペースを読み間違えないからな。下手なことを考えずについていくのがベストだ」

 

「ずいぶんとその娘を信用しているんだね」

 

「セイウンスカイのレースセンスは抜群だ。将来性はともかく今の段階での完成度は抜けている」

 

 あくまで今回の出走メンバーの中で最強と言えるのはスペシャルウィークだけどな。あいつの脚ははっきり言ってモノが違う。ただあれは天賦の才、普通のウマ娘には手に入れたくても入れられない。カナメもそれなりに才能があるウマ娘には違いないが、あそこまでのモノはない。

 

「なぁ、シロヤマ。お前長距離の経験はどうだ? そこのトレーナーが言う通りに、このペースが持つとは思えないが」

 

「私も長距離の経験はほとんど無いが、君の言う通りこのペースはかなり早い。ただ、私は元々差しのタイプだし、レース展開を作る立場でレースを走ったことはない。結局のところ逃げてる娘の感覚次第だろうね。流石にこのペースのままいくとは思わないが」

 

 金沢で長距離の大きいレースは北國王冠くらいしかないからな。ただ、シロヤマならそつなくこなせる気はするが。流石に地方No.1に立ったウマ娘なだけはあって、こいつの仕掛けのタイミングは金沢のレベルでは遥かに抜けているからな。

 

 それに見る目もある。

 

「あぁ、シロヤマの言う通りセイウンスカイは必ずどこかで息を入れる。そこでカナメがどういう立ち回りをするかだ」

 

 1番不味いのが距離を詰めてバ群を密集させてしまうこと。そうなれば後方勢の切れ味にかなわない、勝つためにはロングスパートの持久戦に持ち込むしかなくなる。

 

 理想としてはセイウンスカイを差し切れるギリギリの間隔で追走することだが、どうなるか。

 

 そろそろレースが動く。

 

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