ゆるキャン☆~十人十色~   作:完全怠惰宣言

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イヌネコ狂想曲

とある目的から金のかかる遠出を辞め、休みの日は自室で部屋キャンプをするようになった白哉。

 

「なぁなぁ、ビャッくん。何処か行こう」

 

今日も遊びに着ている犬山さん家のお孫さんは、椅子に座りながらほうじ茶と漫画を楽しんでいる白哉の膝の上で仔犬のように甘えた声を上げでいる。

 

「無理、金無い」

「ぶぅ~」

 

そんな会話のキャッチボールの後はお互いが漫画をめくる紙の音が部屋に響いていた。

 

「というかさ」

「ん~、何々?」

 

漫画を下ろし、膝の上に座る少女を呆れたように見つめる白哉。

 

「なにしに来たの“あかり”ちゃん」

「えへへへぇ~」

 

いつもなら其処にいるであろう“犬山 あおい(・・・)”ではなく、スケールダウンしたような少女、“犬山 あかり(・・・)”は人懐っこい笑みを浮かべていた。

 

白哉とあおいが正式にかつ非公式にお付き合いを始めて以降、あかりは何かにつけて休日の白哉の部屋に訪れるようになった。

今日もあおいがバイトに勤しんでる時間帯を見計らったかのように現れ、白哉にベッタリとくっついて離れないあかりに少し困惑気味の白哉。

 

「ビャッくん、おやつまだ」

「ちょいまち」

 

そう言うとLINEを確認する白哉。

何回かの操作の後、少しだけ顔が緩む。

 

「パンケーキで良いか」

「わーい、ビャッくんの手作りや」

 

姉に似たのか感情表現が素直なあかりを膝から下ろし、白哉はキッチンへと向かう。

 

冷蔵庫に保存してあるベリーの蜂蜜漬けとホットケーキミックス、牛乳、卵を机におく。

ジップロックにベリーとホットケーキミックス、卵、牛乳を入れしっかりと閉める。

後は入れたベリーを潰しながら袋を揉む。

小さめのスキレットにバターを溶かし、出来上がったタネを流し込む。

両面に良い焼き色がついたら火を止める。

瓶に残った蜂蜜をかければ出来上がり。

 

「はいよ、召し上がれ」

「わーい、いただきまーす」

 

あかりが笑顔で食べる姿をキッチンで見ながら白哉はお茶ともう一人分のパンケーキを準備し始めた。

 

「ただいま~」

 

玄関から二人にとって聞き慣れた声が聞こえてきた。

 

「ただいま、てまだ一緒に住んでる訳じゃないだろ“あおい”」

 

そこには、バイト終わりで、息を切らして玄関に佇むあおいがいた。

パンケーキと飲み頃のお茶をお盆に乗せ、エプロンを外して玄関に出迎えに行く白哉。

白哉を視認したあおいは靴を脱ぎ終わると白哉へと抱き付いたのだった。

 

「ただいま、“白哉”さん」

「ふふふ、おかえり“あおい”」

 

その姿をあかりは不機嫌そうに見つめていた。

 

「それじゃまたな、しろにぃ」

「またね、ビャッくん」

「はいはい、またね二人とも」

 

夕方になり、二人が帰る時間になった。

 

「あ、マフラー忘れた」

 

あかりはそう言うとリビングへと走っていった。

 

「元気な子だね」

「なぁなぁ、白哉さん」

 

部屋着となったワイシャツを引っ張られ下を向く白哉。

 

「何だ、あおい」

 

下を向いた白哉の頬、唇に当たらないギリギリの場所。

あおいはそっとキスをした。

 

「えへへへ、“(ココ)”は卒業まで我慢やね」

「勘弁してくれ」

 

額に手を置き踞る白哉。

 

「あまりオレの理性を削らないでくれ」

 

そう呟くと、同じ場所にまた唇の感触を感じ隣に目を向ける。

 

「えへへへ、今日のお礼や。ごちそうさまビャッくん」

 

そこには同じ高さになるように膝を抱えて座るあかりがいた。

 

「(小悪魔どもが)」

 

精神的に何かがゴリゴリ削れる音が聞こえた白哉だった。

 

帰り道、仲良く手を繋ぐ犬山姉妹。

 

「あんな、あおいちゃん」

「なんや、あかり」

 

顔こそ笑顔の二人だが、その周囲は二人を避けるように誰もいなかった。

 

「白哉くん、飽きたらウチがもろうたるから安心して別れてや」

 

ニコニコと笑いながらとんでもないことを言う妹。

 

「安心しいや、絶対に逃がさへんから、あかりも早う恋しいや」

 

ニコニコと笑いながら牽制する姉。

 

終始笑顔の二人の帰路は不気味な程静かであった。

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