初めて仕えた神様は 作:メイドさん大好き
オラリオという場所には神々が実在している。
オラリオという場所には神々が降臨する。
オラリオという場所が存在する世界では神はそんなに信奉する対象でもない。
神々が降臨した理由は実に俗っぽい理由だった。
娯楽を求めていただけ、いつも天界から人間を見ていて面白そうだと降りてきた。
その実、人間というものは面白かった。
その性格すら根本からではないがあり方に魅了されて変わるくらいには。
愛着が湧いて子どもだと可愛がるくらいには。
だから彼ら彼女らは【ファミリア】を作った。
血を分けて
ダンジョンの蓋とするために【バベル】を建立し、都市として【オラリオ】が作られた。
冒険者とはファミリアに所属している人間である。
【
そうやって人間は神と
英雄と呼ばれた人間はついぞ現れなかったがオラリオは【英雄を生む都】として世界に期待されている。
少年は祖父に先立たれた。
遺書の通りに少年は女を、英雄を、まだ曖昧なものを求めた。
ハーレムなんて下心に塗れたものをめざしてオラリオにやってきた。
その兎は正しく貧弱で、戦闘の心得なんてものはなかった。
武器もない、鎧もない、ガタイもない。
そんな少年がファミリアに受け入れられるはずもなく、門前払いが果てもなく続いていった。
リストにあるファミリアの名前にはひとつ残らずバツ印がつけられている。
「‥‥‥はぁ」
最後のファミリアに門前払いされたところだ。
ペンを懐にしまって、リストを睨みつける。
バツ印のつけられていないファミリアは存在しないことを確認して再びため息をつく。
「もう、夕方かぁ」
市壁に見えるのは溢れる夕日。
見えないながらも主張しているのが見える。
宿を探さなくてはならない、そんなことを思って肩を落とす。
「どーしたんですか?」
女の子の声が下から聞こえた。
後ろには路地がある、邪魔をしてしまったのかとその場を退く。
「いやっ、えっと‥‥‥」
僕より小さい、明らかな幼女。
赤毛で、目をぱちくりさせて僕を見上げている。
背中には大太刀と腰にはバックパックがあって、こんな子も冒険者なんだと思った。
「あのー!」
「あっ、ごめん。君は‥‥‥」
明らかな幼女、守りたいと思えるような存在にファミリアから連続で門前払いされたんですなんて言えない。
誤魔化そうとして、女の子について聞き返した。
「わたしはローズマリーです!かみさまがつけてくれました!」
「ローズマリー、ちゃんでいいかな?」
「ローズってよんでください!それであなたはどうしたんですか?」
少年は実に困惑する。
やっぱりファミリアを追い出されたなんて言いたくない。
どういえばいいと少し考えた後に答えが自然も口から出てくる。
「ファミリアに入りたくて、探してるんだ」
そう幼女の質問に答える。
「そーですか‥‥‥。ならうちにきますか?」
「‥‥いいの?」
大声を出すのは、何故か止まって落ち着いた。
僕の言葉にローズははい!と元気よく答える。
「ありがとう。じゃあローズちゃん、案内を」
「わかりました!」
「あ、ありがとう」
元気のいい返事は僕の言葉を遮る。
驚いてつい感謝を返してしまい、それと同時に可愛いと思った。
最初から可愛いとは思っていたけれど。
ものすごく庇護欲が湧いて出てくる。
「こっちです!」
「ちょっ」
ぴょこぴょこと、猫のように駆けるローズは可愛いけれど追いつけないのは駄目だ。
冒険者だからなのか元々なのか、ローズは速かった。
瞬きする間にもう別れ道に至っていた。
「おそいですよー!」
「君が速いんだよー!」
ローズの言葉に焦って走り出した僕が返す。
メイド服を着た幼女が前を走って僕は慌てて走って息を切らしながら追いかける。
「ふぅ、着いた?」
「ここです!」
「えっと、教会?」
「はい!」
ローズの自信満々な笑みと、どうにも釣り合いが取れないように見える。
ボロボロの、人が住めそうには見えない廃教会。
ここにローズと神様が住んでいるのかと思うとなんだか複雑だ。
「本当にここなの?」
「地下ですけどね」
「地下、そういうことね」
ああ、と納得する。
地下なら雨風の心配はないし、家具が揃っているなら住めるだろう。
それに地下室なんて秘密基地みたいで興奮する。
「入っていいの?」
「すこしまっててくださいね。かみさまはかえってきてるとおもうので」
「分かった」
床に扉があってそこを開けると階段が出てくる。
ローズはそこを降りていった。
その中にはどんな神様がいるのだろうと思うと少し緊張してきた。
『何だって!?入団希望者が!?』
あ、ローズの声とは違う声が聞こえてきた。
ものすごく驚いているみたいだ。
そういえばローズ以外の団員はいないのだろうか、そこは気になるところである。
「おにいさん!」
階段を駆け上がる音が聞こえてローズの姿が見える。
「きてほしいんですって!」
「本当!?」
「はい!」
「やったっ!ありがとう!」
面接のようなものをしなければならないのだろうか、入団試験があるのだろうか。
最後の希望に縋り付くようにローズの後ろをおっかなびっくりついていく。
扉を閉めて階段を降りるとまた扉が現れて、ローズが背伸びして扉を開いた。
「かみさま、つれてきました!」
「おお、でかしたよ!ローズ君!」
いえーい!とハイタッチをするローズと小さい女神様。
はっきり言ってものすごく可愛い。
「わたしはごはんつくりますね!」
「頼むね!」
はーい!とローズは女神様の言われた通りに台所だと思われる部屋に駆け込んでいく。
それを見送ると、女神様が僕の方を向いた。
「さて、ボクの名前はヘスティア。【ヘスティア・ファミリア】の主神だよ。まあ今の団員はあの子だけなんだけどね」
「そ、そうなんですか‥‥‥」
ローズについては気になることはある。
でも今聞こえてくる鼻歌は幸せそうだ、あまり触れない方がいいかもしれない。
「それで、君は?」
「ベル・クラネルです」
「ベル君でいいかな」
「はい!」
ヘスティア様は真剣な顔で僕に聞く。
すぅ、とヘスティア様は息を吸い込んで僕を見据えた。
「君は
「ち、違いますよ!!たしかに可愛いとは思ってますけど!」
「嘘じゃないね。それに緊張も解けたかな?」
「あっ」
真剣な目は変わらないままだが朗らかにヘスティア様は笑う。
僕はため息をついて椅子に座り直して深呼吸をした。
ガチガチに緊張していたのは結構解けたみたいである。
「ありがとうございます‥‥‥」
「ハハハ!まあ歓迎するよ、ローズ君を頼まれてくれるかな?」
「逆にお世話されそうですね」
「一人じゃないだけでもいいのさ。いつまでもソロでダンジョン探索をさせる訳にはいかないんだ」
見た目故に誰もパーティを組んでくれず、そしてファミリアにも入ってくれない。
だからソロでダンジョンに潜ることを強いられたのだという。
自分のバイトの給料も少なくてね、とヘスティア様は自嘲気味に笑っていた。
「‥‥‥頑張ります!」
「その意気だ!」
そんな話を聞いて頑張らないなんて選択肢は存在しない。
あんな子を放っておくなんてできるはずもないのだ。
「はい!‥‥‥ローズのこと、教えてくれますか?」
「ん?んーっと、それはボクにもよく分からないんだよね」
「え?」
「メイドさんにすごく憧れているのと、いつの間にかここにいた、そんな感じかな」
本当によく分からないだろう?ヘスティア様はそう言った。
「だって調べてもらってもどこから来たかもどこにいたのかも何もかもがわからなかったんだ。多分奴隷みたいな身分だったと思うよ」
呆然として聞いていた。
何の痕跡もなく、教会で倒れていたらしい。
痣だらけだったけれど特注で新品なメイド服を着ていた。
事細かに説明してもらうほどに意味がわからなくなり、犯人が憎たらしく思えた。
「さて、ローズ君の可愛いところを教えてあげよう」
「お願いしますッッ!!」
机を叩いて勢いよく立ち上がってしまった。
だって興味があるんだもの、聞きたいのだもの、仕方のない話だ。
「よぅしわかった。取り敢えず座りなよ」
「は、はい」
ヘスティア様はニコニコしている。
心的にもローズのおかげで潤っていることが丸わかりだ。
癒し要素いっぱいな彼女だから当たり前の話だね。
ランキングに乗っててビビって書いちゃった。
名前はローズマリー、ただのローズマリーだよ!
身長は110くらい、武器は基本大太刀か素手。
大体肉弾戦で敵を潰すよ。
魔法も覚えてるけど肉体強化系で、めちゃくちゃ強いよ。