初めて仕えた神様は   作:メイドさん大好き

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ここからは完全にローズ視点にします。
たまに変えるかもしれません。


第二話

朝早く、日は完全に上っている。

ほとんど徹夜をした私もベル君も欠伸をしながらメインストリートを歩いている。

昨日はヘスティア様が酒を持ち出したことで部屋の片付けをしてから寝たのだ。

微妙に品質の悪いソファで寝たことによって少し背中も痛い。

 

今は朝ごはんを食べて、ベル君と私とヘスティア様の分のお弁当を作って、ベル君と一緒にギルドに向かっている。

【ギルド】は実質的なオラリオの中心ともいえる組織であり、建造物だ。

冒険者の管理やファミリアの管理、都市の経営を行っていてそこで冒険者登録をしなければ冒険者として認められない。

認められなくてもダンジョンには潜ることができるがギルドの施設は使えないので不利益が大きい。

ベル君お望みの美人なアドバイザーさんもつくので万々歳なのである。

 

「べる、おちついて」

 

ベル君の足は軽快に運ばれている。

スキップしながら、そのペースはかなり早いものだ。

それでも容易に追いつけるので問題はないがウキウキ気分なのはいただけない。

 

「ダンジョンにもぐるのにそんなきぶんはだめ」

 

「えっ、えっとぉ」

 

ベル君の目が泳いでいる。

昨日、結構話してたけどベル君はダンジョンに夢を見すぎている。

楽観視しすぎていることは昨日に叱っておいた。

 

「あまくみちゃだめ」

 

「う、うん」

 

自分より背が高いベル君の瞳を見つめて言う。

ベル君は頬を赤らめながらも返事をしてくれた。

私に言われて恥ずかしいのだろうか、照れているのだろうか。

なぜだかベル君のことは弟のように思えて、お世話をしたくなる。

だからか朝も忘れ物はないかとお母さんのように詰め寄ってしまったし、昨日もかなーり大声で叱ってしまった。

反省しなければならないだろう。

 

目の前はギルド、話しているうちに着いていたようだ。

隣のベル君はズーンという効果音が聞こえるくらいには落ち込んでいる。

 

「だいじょうぶ?」

 

「‥‥‥大丈夫だよ」

 

確実に大丈夫ではない。

どんよりとした空気は私にも伝わるくらいには発している。

年下から心抉られるダメージは計り知れないがここまでは予想外だ。

 

「いくよ?」

 

「うん‥‥」

 

手を繋ぐ。

ベル君の手を引っ張って無理やり行くことにする。

朝だからかギルド本部内に冒険者はあまりいないようにみえる。

これならばベル君の羞恥心をあまり、いや受付嬢さんの目が痛いだろうか。

 

「ローズ?」

 

少し考えているとベル君が私を見ていた。

手はベル君によって強く握られているように思える。

 

「行こうか」

 

「うん」

 

何故かベル君が立ち直って良かった。

ベル君に手を引かれて受付に向かうことになった。

視線が集まっていると感じた。

言わずもがなギルド職員のものだろう。

そんなに私がヘスティア様以外と一緒にいるのが珍しいか。

たまにバイトはしてるんだぞ。

 

「ローズちゃん。それに」

 

机が高い。

でも声から分かる、私の担当だったエイナさんだ。

ベル君のことを知っているらしい。

 

「ローズちゃんと一緒ってことはファミリアに入れたんだね」

 

「はい!」

 

エイナさんの安堵したような声とベル君の元気のいい返事。

聞いているだけで元気が湧いてくるようだ。

見えないけれど問題はないのでベル君の冒険者登録の手続きを見守る。

 

「冒険者講習って‥‥‥」

 

冒険者講習とは、エイナさんが行っているものだ。

多分、他の人はやってない。

エイナさんが担当冒険者にダンジョンの基本を教えるスパルタ教室だ。

 

「やったほうがいい」

 

「そう?なら」

 

やる、とベル君が言った。

エイナさんは教えるのが上手いし、ダンジョンのことは知っておいた方がいいことだ。

やっておいて損はないし、今のままでは足でまといになるので知識だけは付けておいて欲しい。

そんな思惑でベル君にやった方がいいと言った。

となると今日はまだソロで探索をすることになるが、まあそれでも良い。

 

「がんばってね」

 

「ローズこそ」

 

エイナさんとベル君の間での話が進み、退屈であった。

個室に行く時に一声かけて、ベル君はいい笑顔でエイナさんについていった。

夕方に帰る頃にどんな顔になっているかは密かに楽しみにするとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は流れて、夕方。

私は何とか返り血をつけることなく中央広場(セントラルパーク)に出てくる。

モンスターとの戦闘は大体が心臓に拳をねじ込む位しか出来ないので華がない。

完全に脳筋なのでベル君に戦い方を教えられるかと少し不安に思う。

多分ベル君が選ぶのはナイフ。

ナイフなら、と戦闘を考えながらメインストリートを歩く。

多分もう帰っているだろうから市場に寄って今日の夕飯を買っていこう。

 

野菜に肉、魚。

今日の夕飯で頭を悩ませながら買い物を進めていく。

安いものを優先として、栄養バランスも考慮するのは中々大変だが楽しい。

 

「あ、ローズちゃん」

 

「あ、しるさん」

 

買い物を終えて、紙袋を両手で抱きかかえている時だ。

後ろから声が聞こえて、振り返ると銀髪が見えた。

緑の給仕服に身を包んだ彼女はたまにバイトに出かけている【豊饒の女主人】という酒場の従業員のシル・フローヴァさんだ。

 

「いま帰り?」

 

「はい!しるさんはかいだしですか?」

 

うん、とシルさんは頷く。

まだ手ぶらなことから簡単に想像できた。

 

シルさんについてはよく分からない部分が多い。

【豊饒の女主人】という店は訳あり揃いの中で彼女だけがタダの町娘ということも考えづらい。

両親などの肉親の話も聞いたことがないし。

幼少の頃にミアさん、店の女将さんに拾われたのかというとそれもよく分からない。

あとは雰囲気だろうか。

あのお店の中で一番恐ろしいのは誰かで言うならわたしは間違いなく目の前のシルさんを選ぶ。

 

「はやくかえらなきゃなので、しつれいしますね」

 

だからかなり苦手だ。

なのでさっさと退散してしまいたいとぺこり、と礼をして去る。

シルさんはまたね、と見送ってくれた。

ありがたいことだ。

 

【ヘスティア・ファミリア】の本拠地(ホーム)である廃教会の地下室。

ソファで疲れきったように項垂れているベル君とベッドで寝転がって本を読んでいたであろうヘスティア様。

ただいま、と扉を開けたらヘスティア様が飛んできた。

 

「おっかえりぃぃ!!」

 

「‥‥‥!!」

 

何とか受け止めると滑らかな動きでお姫様抱っこに繋ぎ、下ろす。

心配で仕方ないヘスティア様を何度も受け止めて慣れたものだ。

 

「かみさま。うれしいですけど」

 

「分かってるんだけど、嬉しくてねぇ」

 

ははは、とヘスティア様は苦笑いをする。

 

嬉しいという言葉とともに分かるのはまだ、私がヘスティア様を心配させてしまっていることだ。

 

「しんぱいしないでください」

 

まだまだ私の実力が及ばないのだろう。

しかし、それでも遺憾だという意を込めてヘスティアに言った。

不機嫌だと顔でも物語る。

 

「ごめんよ‥‥‥。でも心配はさせておくれ」

 

「じゃあ、とびつくのはやめてください」

 

「明日からはベル君も一緒だからね。できるだけしないさ!」

 

‥‥‥信用できない。

なんだか明日も抱きつかれることが易々と想像できる。

 

「それでべるはどうしたんです?」

 

「講習がキツかったみたいだよ」

 

「あ、やっぱりですか」

 

死んだように俯いているベル君は一旦無視して台所に向かうとしよう。

ヘスティア様は掃除はボクがしようっ!と胸を張っていた。

ご厚意はしっかり受けるのが良い従者というもの。

お願いすることにした。

 

 

 

 

 




ローズの推定年齢は一桁後半、推定種族は小人族。
実際はヒューマンの可能性が高い。
魔法は二つ、スキルは三つ。
メイドさん狂いで、超強いけど見た目から侮られる。
背中に差している大太刀は銘が分からないので一旦は【無銘】としている。
次回で細かなステイタスを書きます。
記憶喪失だが、記憶が消えているのは自分に関することだけ。
知識は他の人を凌駕するくらいにはある。

これからも頑張ります。


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