初めて仕えた神様は 作:メイドさん大好き
プレゼントは
結局のところ無難ではあるしエイナさんのおかげで格安で手に入ったからである。
ちゃっかり私の分の買っておいた。
しばらく使わないだろうが。
ベル君は喜んでくれた。
無論だがファミリアのお金には手をつけていない。
私の個人的な貯金から支払ったので、ベル君の出費は浮いたのだ。
そんな訳で喜んでいた。
大部分は純粋に贈ったことに喜んでくれたのだろう。
彼は馬鹿正直に相手を信じすぎる。
だからこその信頼ではあるのだが、すこし心配にもなる。
彼は誰も恨まないし憎まない、怒るとすれば大体自分に。
普通の人としての感性も持っている。
私とは違って、普通の感性をだ。
ベル君とヴェルフとリリの中層突入は遂に今日である。
荷物は完璧、武器や防具も完全に新調した。
輸血液もベル君の血で作ったものをナァーザさんに頼んで、先日貰った。
それにベル君で新しいものが作れそうだと言っていた。
間に合わなかったみたいだが、様子見程度だ問題ないだろう。
そんなわけでヘスティア様は今日は休みを取っている。
私も今日は何も予定を入れていない。
ベル君のお祝いのための準備のためである。
初めての中層突入、私の時もヘスティア様がじゃが丸くんを用意してくれていた。
「‥‥‥神様」
風は冷たく吹き抜けてくる。
時計はもう夕方を示している。
地下室には私とヘスティア様の二人、台所の鍋の中には温かいシチューが入っている。
つまり、ベル君はまだ帰ってきていない。
様子見程度でこの時間になるのはおかしい。
「うん」
「ベル君はまだでしょうかね」
「まだ、だね」
「生きてます?」
「生きてはいるよ、うん」
生きていることはわかる。
ヘスティア様が分かるのはそこまでだ。
生きている、帰ってくる。
「さて」
「どこに?」
「ギルドだよ」
ヘスティア様が立ち上がった。
どこに行くのか問うてみたら、ギルドに行くという。
ベル君が帰ってきているかを聞くため、まあ確実に帰ってきていないだろう。
「私も行きます」
「え?うん、そうしておくれ」
このままではシチューが冷めてしまう。
冷める前にベル君を帰らせて、その上ですこしの説教を添えよう。
そうしたら楽しく食卓を囲むとしよう。
遭難の可能性が大きい以上、そうはならなそうではあるが一縷の望みにかけるのだ。
ということで、エイナさんに聞くとしよう。
ダンジョンから無事に出られたなら彼女に報告は最低限しているだろう。
「え?ベル君帰っていないんですか!?」
エイナさんの反応に絶望である。
もんのすごく、絶望である。
「そうなんだよ。―――決まりだね」
「ええ、遭難ですね」
この状況で、ベル君の性格ならと考えるならこれが妥当だ。
彼が飲み歩いている風景とか、歓楽街に行っている風景とか、想像ができない。
ヴェルフとリリルカが許さないし、絶対にないだろう。
うむ、最初から可能性は一つだった。
「私が行きましょうか?」
「うーん、戦力的には問題ないだろうけど。不安だな」
「まあ確かに。となれば」
遭難していたとして、十三階層にいるなら意地でも帰ってきているだろう。
なので、今頃は十八階層を目指している頃合だと思われる。
まあ、余裕はあるだろう。
「
「うん、それがいいね。、お願いできるかい?」
「ええ、もちろんです」
「ありがとうございます」
一旦、そこでは解散となる。
「冷めちゃいましたね」
「‥‥‥そうだね」
「食べます?」
「うーん、申し訳ないけどやめておこうかな」
ベル君が心配だろうから仕方ない。
私はというと、そんなに心配はしていない。
なんやかんやで生きて帰ってくるだろうし、心配なのはヴェルフやリリルカの方だ。
ベル君は輸血液とか魔法を覚えたことによる少しの不死性も相まってしぶとすぎるくらいである。
私は一息ついて、ヘスティア様は落ち着かない様子。
夕方から日も傾いて夜になる頃合いに、音が聞こえてきた。
ノックにしては荒々しい音だ、焦っているのだろうか。
「ん、行ってきます」
うるさいなぁ、と思い表情を変えぬまま扉を開ける。
扉の向こうにいたのは、タケミカヅチ様だ。
後ろには桜花さん、命さん、千草さん、ファミリアの方々がいる。
皆、表情が優れないようだ。
「どうしました?」
何か嫌な予感がして聞いてみる。
するとタケミカヅチ様の土下座が見れました。
少し動揺したが、嫌な予感って当たるもんだなぁと思った。
「ふむ、少し待っててください」
ヘスティア様を呼びに行く。
タケミカヅチ様が来たというと協力しに来てくれたんだとウキウキしながら廃教会に上がっていった。
いやぁ、そんな雰囲気でもないですよとは言えなかった。
土下座通しのタケミカヅチ様はそのまま。
私とヘスティア様は顔を見合わせて同じ思考に至ったのだと思う。
そして、その思考通りの説明をタケミカヅチ様から受ける。
桜花さんの決断、ベル君達に
その決断はリーダーとしては良いことだ。
私でもそうする、簡単にそうする。
謝るのはベル君達にすればいい、私とヘスティア様にすることではないとなぜか同時に言った。
いやぁ、ホントに一心同体だね私とヘスティア様。
「さてどうしましょう」
状況説明の後、どうするのかを聞く。
しかしながら、戦力になってくれるだろうかと失礼なことを考えてしまう。
ものすごくありがたいが、もう一人くらい欲しいなぁとミアさんに土下座でもしに行こうかと考えた。
前向きに話が進んでいたのだが、もう二人お客さんが来た。
ヘファイストス様とヘルメス、あとアスフィさん。
見えた瞬間に顔が引き攣ってしまった。
「ローズちゃんそんな顔しないでくれよ」
「どんな御用で?」
満面の笑みでヘルメスに返答する。
もちろん攻撃的な意味だ、それを見てヘルメスは顔を引きつらせる。
抑えちゃいるがヘルメスへの殺意は薄れていない。
アスフィさんを同行させてくれる、それはものすごく嬉しい。
ヘルメスがついてくる、それは絶対嫌だ。
ヘスティア様もついてくる、それにたいしてはマジで頭の中がハテナで埋まった。
うん、なんで?そう思った。
ま、まあ私が守ればいいし問題ないし。
ヘルメスは明朝に出発しようと場をまとめだした。
ものすごく気に入らぬ。
それはそれとしてもう一人欲しいなぁ、と呟いたのを聞き逃さなかった。
誰を連れてくるつもりなのだろうか、もういいや、
コイツなんやかんやで有能だし任せるとしよう。
「‥‥‥マジかぁ」
私の分の
タケミカヅチ・ファミリアのメンバーとアスフィさんにヘルメス、あと覆面姿のリューさん。
割とわかりやすい格好なのですぐにわかった。
「お二人」
「分かってますよ」
「うん、オーケーだよ」
「ありがとうございます」
短くそうやり取りをするとリューさんは離れていく。
リューさんがいるのは心強い、アスフィさんも心強い。
タケミカヅチ・ファミリアの皆も実力はちゃんとある。
レベル2に上がったばかりの、零細ファミリアの冒険者を捜索するには豪華すぎる面々だ。
安心だとダンジョンに潜っていく。
ベル君だけなら生きて帰ってくるのは確実である。
ヴェルフとリリが帰ってくるかは謎ですがね。
簡単に全快できる時点でね、簡単に探索はできるよね。
ローズの輸血液はただの回復、ベル君の輸血液は火炎耐性付与。
次回から頑張りたい。