初めて仕えた神様は   作:メイドさん大好き

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【火葬 真打】
新しく変成した、特大剣。
灰となった竜の特大剣を使用した、魔剣の新しい姿。
血と共鳴し、炎を操ることができる。
どんな血だろうと炎を操ることができる。
ヴェルフがたどり着いた、魔剣のひとつの到達点かもしれない。

戦技は【薪の王】
全身に炎を滾らせ、持ち主を薪の王へと変える。
炎は鎧となり刃となり、王たる力を獲得する。



第四十二話

あら、と素っ頓狂な声がテントの中に木霊する。

理由は単純だ。

静かに、起きるはずのない少女が目を覚ましたからである。

 

「起きるのね」

 

「何か問題が?」

 

「特に?」

 

「嫌な顔したでしょう」

 

「襲い掛かられなくて安心はしてます」

 

「へー」

 

「でもなんか拒否反応出てたでしょ。いまはいいの?」

 

「克服しました」

 

「ほぉ、夢で?」

 

「ええ。久々に話しました。楽しかったですね」

 

「おっけおっけ。じゃあ何する?」

 

「…なぜあなたと?神様とベルのところに行きたいんですけど」

 

「親子だぞ」

 

「あなたへの悪感情は消えてないんですけど??」

 

「だからこそよ!」

 

冷めた視線を博士に突き刺す。

それでもニコニコしている博士にあきれる。

もう何千年も生きているのであり方はもう変えられないのだろう。

ホントに呆れる。

なんだこの愚か者は。

 

「てか何私に入れてるんですかこれ」

 

なんか私に入れてるし。

血液のようだが誰のだこれ。

 

「無視だー」

 

とりあえず博士は無視だ。

コイツに関してはこの対応が正解だろう。

てかホントになんだこの血。

ベル君のものとは違うし、私のものとももちろん違う。

…あ、おめぇのか?

 

「あなたの血ですよねこれ。死ねよ」

 

「真っ直ぐ〜」

 

「真っ直ぐじゃねぇんですよ。なんであなたの血を輸血されなきゃいけないんですか?」

 

マージでコイツ。

死んでなかっただろうが私。

必要性が絶無のはずだが~?

 

「秘密」

 

「死ね」

 

「直球~」

 

「さっさとベルたちのいる場所教えろよ」

 

「どんどん口が悪くなる」

 

「あんたのせいでしょうが。なんで輸血してるの、ベルたちどこ。ハイ教えて!」

 

「教えません」

 

「なんでだよ!」

 

「まだ要安静だからだよ!」

 

少し気圧されたとともに目を丸くする。

記憶にない、そんな声の出し方であったからだ。

目に光がなく、大口を開けて、眉をしかめて。

話に聞いた、医療従事者のような剣幕で。

恐怖を感じたが、私は体に異常を感じない。

 

「動けますが?」

 

「それでも色々あんのよ」

 

「色々って何ですか」

 

「色々」

 

「詳細を教えろよ馬鹿野郎」

 

「専門的だからねー。理解出来ないと思うし〜?」

 

ぶん殴りて〜。

すっごく泳いでる目を潰してぇ。

マジで体に何か異常あるのかと焦ってしまったではないか。

誤魔化したいだけじゃねえか。

 

「誤魔化したいだけですねはいはい」

 

「そ、そんなことないしー」

 

博士は口を尖らせる。

本当にバレバレで、安い芝居だ。

そんなものに付き合う必要は皆無である。

 

「まあいいでしょう」

 

なんかもうどうでもいい。

コイツはもうこんなやつだ。

腕に繋がれた管をぶっちぎって布団から出る。

 

「あらもったいない」

 

輸血されていたため、ちぎられた管から血液が垂れている。

それを見て、博士が呟いた。

 

「必要ないでしょう」

 

「あるかもよ」

 

「今はないです。あったとしてもストックあるでしょうが」

 

博士は宵越しの銭は持たないタイプではない。

しっかり対策やら、準備やらは徹底的にやって完封を目指すタイプである。

ここになくとも、ダンジョン内に点在させているであろう拠点にあらかたの設備は用意しているはずだ。

 

「さて、ベルたちは?」

 

「リヴィラよ」

 

「ふむ。で、ベルの武器は?」

 

「ヴェルフ君におまかせー。少し教えることはあるけどねー」

 

「ほいほい……」

 

寝すぎたからか、関節が少し痛い。

まあこれは動けばいずれ治ることだろう。

 

「どっか行くの?」

 

立ち上がって、少し柔軟を行う。

パキパキなど、首や指から軽快な音が鳴って少し楽しくなった時、博士から言葉がかかる。

 

「さんぽ」

 

「散歩かぁ。お気をつけてー」

 

「うん」

 

【無銘】は、テントの片隅に立てられている。

元々は博士の所有物だし、必要もないだろう。

博士のテントの周りは完全に安全地帯だし、少し先に【ロキ・ファミリア】のテントもある。

かのファミリアには知り合いも多い。

特に料理班とは、浅からぬものがある。

 

「あ、ローズさん」

 

「あら、リヴィラに行ってると思ってましたが…」

 

雑に歩いているとアイズと遭遇。

てっきりベル達を案内してくれてると思っていたが、ここにいるとは意外だ。

ベルに対して何やら特別な感情を抱いていたように思えていたのだが、

 

「行ってきた、よ?」

 

「もう帰ってきたってことですか?」

 

「うん…。でも、ローズさん喋り方…」

 

「ん?気にしないでください。色々あったんです」

 

「色々……?」

 

「あ!アイズー!と、ローズだ!」

 

「あら」

 

ティオナの声が聞こえて、駆けてくる影が見えた。

 

「起きたんだ!」

 

「ええ、万全です」

 

「よかったぁ。そういえばさっき【アルゴノゥト】くん達と一緒にリヴィラ行ってきたよ!装備とか見繕ってあげたんだ」

 

「ほう……?リヴィラに行ったとは聞いていましたがそこまでしてもらっていたとは。それで?アイズさんに用があったのでは?」

 

リヴィラの製品だ、そこまで高品質ではない。

しかし、ティオナ…多分アイズも一緒だろう。

しかしこの2人に見繕ってもらったのであれば、使えるものではある。

 

「あっそうそう。水浴びに行こうと思ってさ。ローズも一緒に行かない?」

 

「水浴びか、いいですね。でも遠慮しておきます」

 

「えっなんでー!」

 

「入るならお風呂がいいんです」

 

「なら、しょうがないね」

 

「そっかー…。アイズは?行こうよ!」

 

「うん、行く」

 

「そうですか。では戻るのを楽しみにしててください」

 

アイズとティオナの二人の頭の上にハテナが浮かんでいる。

気にするなと突っぱねて、さっさと水浴びに行かせた。

二人を見送って本来の目的地に向かうことにする。

 

「ん?あ、久しぶり!」

 

「お?おお!」

 

「お久しぶり、2人とも」

 

炊事場にいる2人、今は食糧の点検を行っているようだ。

まだ私が新米の頃、この2人にパーティとして拾ってもらったことがある。

それからの付き合いだ。

今ではレベル3になり【ロキ・ファミリア】の料理番になっている。

遠征で団員たちの栄養を管理しているのはこの二人だ。

 

「ほんっと久しぶり!何年ぶりよ」

 

「二年ぐらい?」

 

「ごめんごめん。でも許してくれるでしょ?友達だし」

 

「それで許すと思う?」

 

「連絡もよこさないで!」

 

1人はエルフ、もう1人は小人。

小人族(パルゥム)の彼女は極東出身の【ジュンヤ・タカシマ】。

色々と込み入った事情でここに来たらしい。

まあ名前から想像に難くはないが詮索はせず。

そんな彼女はボディタッチが少々激しい、活発な性格だ。

事実、今私は肩を抱かれて髪を弄り回されている。

 

「ジュンヤ。髪はダメでしょ」

 

「別にいいじゃん!」

 

「よくない。ごめんね?でも連絡よこさなかったのは…」

 

「ごめんって…。ツテあるからさ、デザートでも作りましょ?一緒に」

 

エルフの彼女は【アモール】。

偽名はこの世界では問題にならないだろう。

詮索するようなバカはあんまりいない。

王族なのは周りの反応で何となくわかる。

彼女も込み入った事情はたくさんあるのだろう。

まあ、そんなことはどうでもいい。

今はジュンヤと仲良くやっている、それが重要なところである。

元々料理が好きだったようで前に教えた時はぐんぐん飲み込んでいって気持ちよかった。

思えば【ロキ・ファミリア】との繋がりはこいつらからだったなぁ。

 

「デザート?」

 

「うん。甘いものでもあれば気分も、ね?」

 

「まあ確かに…。味には気を使ってますがそれでも遠征中の食事はあんまりですからね」

 

「そうそう。だからやりましょ?時間あるんだし!」

 

「いいね。でも材料は?」

 

「ツテあるって言ったでしょ」

 

「なら可能ね」

 

「よーし、じゃやろっか」

 

人数が多く、病人も多数。

それで作れる簡単な甘味。

まあなんとかなるだろう。

だって博士いるし。

つまりはそういうことである。

 




すごく不定期ですが更新は続けます。
良かったら待っててくださると嬉しいです。
割とローズちゃん友達多いんですね。
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