初めて仕えた神様は   作:メイドさん大好き

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原作開始。


第五話

採血をしに私とヘスティア様は【青の薬舗】に向かっている。

ベル君はダンジョン探索だ。

 

「‥‥‥むぅ」

 

「機嫌直しておくれよ」

 

「ならなんでべるにはひとりをゆるすんですか」

 

ベル君は一人でダンジョンに行っている。

そのことで私は少し不機嫌になっていた。

私の方が先輩だ、私の方が強いのに。

 

「それは君がどんどん下に潜っちゃうからだろ?」

 

「うっ」

 

アドバイザー君、つまりはエイナさんから聞いてるんだぞ、とヘスティア様は口をとがらせる。

ベル君も割と無茶をするほうだと思うのだが。

そんなことを思ってもヘスティア様の方が正論で、心にくる。

 

「休みだし、散歩でもしようよ。ミアハの所に行ってからだけどね」

 

「ちゅうしゃ、いやです」

 

「我慢だよ。確かに嫌だけど」

 

なんかあの変な感じが苦手なのだ。

あと、注射器そのものがなんか怖い。

痛覚のないこの体で何故怖いのか、嫌いなのかは分からない。

あのチクッとする感じが嫌だよねぇ、とヘスティア様は苦笑いしている。

‥‥‥そんな感じなのか。

 

「むぅ、こどもみたいです」

 

「君は子供だろ?」

 

「……そうですけど」

 

ヘスティア様と手を繋いで歩いている。

ものすごく暖かい、ものすごく嬉しい。

けれど、なにか恥ずかしい。

フンフーン、と鼻歌交じりに歩くヘスティア様はものすごく可愛い。

繋ぐ手は暖かいし、一緒にいれば癒されるし、家族になれたことも嬉しい、それにものすごく可愛い。

んぅ、ウチのヘスティア様最強か‥‥‥?

ベル君も家族思いで、鍛錬もサボらないし家事もやってくれて、冒険者稼業にも貪欲にやっている。

あれ、ウチのベル君最高か‥‥‥?

 

「どうしたんだい?」

 

「わたしのかぞくのさいこうさをかんがえてました」

 

「え‥‥‥」

 

手をしっかりと繋いで目を閉じて考えていた。

足を止めた私をヘスティア様は気にしてくれて、首を傾げている。

超可愛い、そう思って返答したら目を丸くしてる。

 

「そんなに褒めないでおくれよっ。最高なんてさっ」

 

「さいこうですよ!」

 

「きゃっ」

 

ヘスティア様を赤面させるの楽しい。

ツインテールがもはや別の生き物のように暴れてる。

超可愛いけど危ない。

なんだか地面抉ってる。

 

「店の前でイチャコラは‥‥‥って危なっ」

 

「かみさま、ついんてーるをひっこめて」

 

「あっ、ごめんよ」

 

ブンブンと振り回していたツインテールがさっきまでが嘘のように大人しくなる。

【青の薬舗】から出てきたナァーザさんの顔のすぐそばを掠めていったツインテールの威力は凄まじいものだっただろう。

地味にナァーザさんがブルってた。

あの人、冒険者は辞めてるけどレベル2のはずなんだけども。

 

「‥‥‥じゃあ、入って」

 

「「はーい」」

 

ナァーザさんについていってお店の中に入る。

中は、華やかさはない。

棚には薬の入った木箱が積まれている。

回復薬(ポーション)やら精神力回復特効薬(マジックポーション)などなどが置かれている。

回復薬(ポーション)しか買ったことはないのだが。

 

「いい加減慣れたら?」

 

「はやくやってください」

 

目を閉じて注射を待っている。

チクッとした感覚は来るけれど痛みは来ない。

 

「どれだけ採るの?」

 

「いくらでも」

 

「‥‥‥それじゃとりあえず1リットル」

 

血ならばいくらでも採っていい。

どれだけ採られても私は貧血にもならないし、干からびもしない。

特別な血が流れていて、どれだけ出血しても死なない。

血はナァーザさんによって輸血液になって私に返ってくる。

新しい看板商品のための研究を重ねているそうだ。

 

「終わったよ」

 

「はーい」

 

「じゃあ戻って。報酬持ってくるから」

 

ナァーザさんに言われたように部屋から出ていく。

ここには依頼で来ているのだ。

ヘスティア様と一緒にナァーザさんを待つことになる。

 

「はい、これ報酬」

 

「ありがとうございます」

 

中の物を確認する。

回復薬と私の血から作られた輸血液。

私の血を使って作られた回復薬と私専用に作られた特別な輸血液である。

まだ試作品らしいが、性能としては十分なものだ。

 

「しさくひん、かんそうつたえればいいかんじですか?」

 

「お願いできる?」

 

「りょうかいです」

 

木箱を受け取る。

全く重くないので持って薬舗の外にヘスティア様と一緒に出る。

 

「一旦帰るかい?」

 

「そうしましょう」

 

とりあえず本拠地(ホーム)に帰って木箱を置いてそのまま出る。

バックパックにしまうのは少し後にしよう。

輸血液と回復薬(ポーション)を分けなければならないし。

ヘスティア様と買い物をするのだ。

ベル君は笑顔で祝福してくれるだろうか、祝福してくれるだろう。

 

「まずは」

 

「いちばです。あと、でめてるさまのところに」

 

デメテル様とは結構親交はある方だと思っている。

だってたまに団員の人を手伝ってるし。

デメテル様には畑を貸し出してもらっていて、農業を教えてもらってたりもしている。

汗を流すのは楽しいものだ。

数年でかなり上達したと思っている。

 

今日はヘスティア様と散歩をする。

そのついでに買い物をして、買い食いをする。

楽しくないわけがなく、ヘスティア様と一緒に歩いているだけでも幸せなものだ。

無欲だと知り合いの人達は言うけれど、十分わがままだと私は思う。

主と仲良く歩けて、語らえて、働けて、これ以上の幸福はメイドさんにとっては存在しない。

故に、ヘスティア様なしでは私は成立しない。

一心同体なんておこがましいけどヘスティア様がいなければ私には存在意義なんてないのだから仕方ない。

 

「じゃがまるくん、おいひいです」

 

「うん、やっぱりこれだよね」

 

じゃが丸くん、ヘスティア様がバイトしている屋台で作っているオラリオのメジャーなジャンクフード。

様々な味があって、かなり売り上げを伸ばしているみたいだ。

権利の関係もあって、それでさらに業績を伸ばしていると聞いた。

じゃがいもを潰して揚げるだけ、それだけで美味しいのは何だかずるいと思う。

下準備は当然いるのだけど。

 

「かえました」

 

「今日のご飯は……なんなのかな?」

 

「ひみつです」

 

デメテル様のところで野菜を買い込んだり、市場で魚を買ったり。

まだ太陽は真上にある時間帯だ。

買ったのは鮭、本拠地(ホーム)には西京味噌がある。

野菜はあたらしく漬けるので買い込んだだけだ。

 

帰る頃には日は傾きかけている。

夕方頃で、まだベル君は帰っていないであろう時間だ。

急いで戻って夕飯の準備をしなければならない。

そう思ってヘスティア様と一緒に急いで戻った。

 

「ベル君?」

 

「あ、おかえりなさい」

 

「はやいね」

 

なぜだかベル君が掃除をしていた。

髪は濡れていて、さっきシャワーを浴びたことが分かる。

帰ってきて間もないのであろう。

 

「いやぁ、なんだか異常事態(イレギュラー)に遭っちゃって」

 

異常事態(イレギュラー)?」

 

「うん。それで早めに帰ってきちゃった」

 

ハハハ、と苦笑するベル君。

僅かに血の匂いを漂わせるベル君を見て私とヘスティア様はアイコンタクトを交わす。

尋問の時間だ。




血を抜いても死なない、血が特別なもの、痛覚がない。
普通に頭潰されたりしたら死にますよ。
失血死が有り得なくなっているだけです。
ミノタウロスとの交戦がないですが、ご勘弁を。
ローズだと割と余裕で倒せてしまうので。
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