七人の魔女と一人の転生者。   作:しじみかん。

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1:開眼

「明るい……まぶしいな……」

 

 暗い空間の中に一筋の光が灯る。何かと思い、俺はその光に対して反応するも、あまりにも輝かしい光なもので、遮ろうとする。

 

 光は俺を待っていた。そう思えるほどに一斉に小さな隙間から入り込んできた。

 

 こじ開けるかのようにして、入り込む光に、俺はついに負けを認めた。開かれた視界の先には、うっそうと生い茂る自然と呼べる光景が広がりを見せていた。森? と思わしき、その景色から、自分の知っている自然の香りが次第に鼻を伝っては認知と言う形で身体全身に伝達される。

 

 次第に脳や体、五感のすべての機能がここが現実である。そう確信をし始めようとしていた。俺は小さく呼吸をする。鼻から吸い、口から吐く。ただの何気ない動作でさえも、身体全体にそれを体現させるかのようにはっきりと現実だと理解を示す。

 

 だが一つ困ったことに、身体的な存在は、ここが現実だと理解するも、精神的な部分ではそれを非現実だと考えてしまっているところがある。

 

 何よりそれをより非現実だと思い知らせるものが目の前にはあった。

 

「上が暗い……なぜ……?」

 

 上が暗い。今の俺が言葉で表現できる最大限の語彙。非常にむず痒いものがあるが、精神が追いついていないため、語彙力が欠損してしまう。ただ、目に映る光景が、混乱を招いてしまい仕方がない。自分から見えている光景の上半分がきっちりと線を引いたかのように分断されて暗かった。

 

 そこには木々がなく、下半分とは違い何も見えない状態であったのだ。ただただ暗いと思わせるその部分に興味が湧いた。

 俺は、気が付けばその黒い部分に向かって手を伸ばしていた。そこには何があるのだろうか? ただの興味本位だった。

 

もにゅん。

 

 右手から今までに味わったことがない感触が伝わってきた。暗いにも関わらず、それははっきりと柔らかいと思える感触だった。興味が次第に強まり、それが何か確かめたい! そう思えるようになっていた。

 

 俺は何度もその暗い対象を触った。触り続け、自分の記憶にある何かと判断しようとしていた。結果は喜ばしくない。どんなに触れようが、どんなに考えようが、それは俺が味わったことないと断言できるほど整合性のとれるものはなかった。

 

 頭を悩ませているとどこからともなく声が聞こえてくる。

 

 

「体調どうですか? そんなに触っても何もないですよ」

 

 上の暗い部分から綺麗であり、聞きやすい少女らしき声が聞こえた。どうやら俺の体調を気にしているようだった。すかさず、反応を示そうとするも声がでなかった。

 人がいると思えず、言葉にも詰まった。すると少女らしき声の持ち主は話す。

 

「ゆっくりで大丈夫ですよ。今は私のお膝の上なので安心してください」

 

 膝の上……? 確かに少女らしき声はそう言った。俺は何のことかと思った。

 だが、声の通り頭の方に意識を向けるとふわふわとした感触が伝わってくる。どうやら本当に膝の上に寝ているみたいだ。

 

 同時に俺はふと考える。膝の上に自分の頭が置かれているということは、つまりはあおむけの状態で膝枕をしてもらっているということに繋がる。だとしたら、今見えている暗い部分はもしかして……?

 

 俺は何かに気付き一気に精神が現実を直視する。うそだろ……そう思った瞬間に体はすでに行動を起こしていた。勢いよく起き上がろうとした途端。

 

もにゅん!

 

「ぐふぅっ!!」

 

 俺は暗い部分に顔面が激突する。変な声と共に定位置に戻った。少女らしき声は、その行動に驚いたのか、きゃっ! というこれまた、女性が驚いた時に発する定番中の定番の声が聞こえて来た。混乱した意識の中で、少女らしき声は俺の体調を気にかけてくれた。

 

 

 

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