高咲侑はどうする?
たたかう
逃げる
→生徒会長ですよね?
でんでんでん
「ねぇ、ちょっとそこのあなた達」
西木野さんにも負けず劣らずなよく通る声に振り返ると、そこには2人の生徒が立っていた。
リボンの色からして…3年生の先輩だ。
片方は桔梗色にエメラルドの瞳。そして母性の象徴である二つの丘、いや山が素晴らしい…ありゃチョモランマだな。
っと、も一方は…
「あなたが転入した男子生徒?」
「あ、はい。南隼人、1年です。よろしくお願いします」
「………。南ことりさん、あなたに聞きたいことがあるのだけれど」
ってあれ?
差し出した手は握られることなく、無視されてしまった。
日本人のブリーチした髪なんかとは比べ物にならないほど綺麗な金色の髪。
その中でより一層目を引くアイスブルーの瞳は俺ではなく、すでにことり姉の方へ向けられていた。
なんか、感じ悪いな…
「あなた理事長の娘よね?理事長、廃校について何か言ってなかった?」
「いいえ…私も今日知ったので」
「…そう。聞きたいことはそれだけよ」
三年生のハーフ?な先輩は欲っしていた返答でなかったなのか、すこし肩を落とすと踵を返してそそくさと去ろうとする。
「ちょっと待ってくださいよ。こっちが名乗ったんです。あなたも教えるのが筋ってものじゃないでしょうか?」
「ちょ、ちょっと!隼人!」
なんか、後ろで海未さん達が汗を振りまいてるが、そんなことより今はこのなんだかいけ好かない先輩の名前を聞くのが先だ。
「…あら、知らなかったのね。…絢瀬絵里。三年生で生徒会長をやってるわ」
「げっ。せ、生徒会長!?」
「で、ウチは同じく三年生の東條希や。副会長してるんよ」
「は、はぁ…」
2人の先輩は、なんと生徒会ツートップだった。
予想外の素性に圧倒された俺は思わず眉をビクつかせる。
あーもしかして俺、今マズイ感じ?
「なぜ理事長があなたをオトノキに入学させたのかはわからないけど。私は認めないわよ」
「認めない?」
「オトノキは伝統ある女子校。そんなところに男子が1人入ってくるだなんてトラブルに繋がるに決まってる。どうせあなたは女子に囲まれてさぞかし嬉しいのでしょうけど。変な気は起こさないで欲しいわ」
この時俺は、彼女が歳上で、生徒会長という学園内のカーストの頂点にいる存在だと十分に理解していた。
普通ならヘコヘコしておいた方が後々の事考えれば正しいということも。
しかし、俺にだって男のプライドというものがあるのであって、ここで黙っている事はできなかった。
「そんだけ言われたら、こっちも笑って流すことはできないですね」
そう口にすると、生徒会長の足が止まる。
「大体、伝統ある学校の生徒会長が、人の素性もよく知らずに自らの価値観だけで判断してる時点で、悪いが学校のレベルの低さが窺えるよ…あぁ、すみません。窺えますね」
「……なんですって?」
「生徒会長のくせに何も分かってないんじゃないですか。そんなあなたに、そこまで言われたくないって話ですよ」
「はーくん!!いい加減にしなさい!!」
「っ!」
ヒートアップしていた思考が、響いた怒声によって一気に熱を失う。
そして、気づいた時にはことり姉が俺の前に出て生徒会長に頭を下げていた。
「生徒会長、弟が失礼なことを言ってしまってすみませんでした。でも、弟が音ノ木に入ったのは決してそんなふざけた理由じゃないんです。誤解しないでください」
久々に見たことり姉の表情に呆気にとられていると、ことり姉に目で頭を下げるように促される。
こうなっては逆らえない。
渋々俺も軽く頭を下げた。
冷徹な輝きを伴う瞳でこちらを睨んだ生徒会長は、そのまま何も言わずに校舎へと入っていった。
「ごめんな。エリチもエリチで廃校の事で少しナイーブなんよ。だから南君も怒らんといて、な?」
それまで後ろから傍観していた副会長さんが手を合わせてウインクをしてきた。
「あぁ、いえ、俺の方もついカッとなってしまって…呼び止めてしまってすみませんでした」
軽く頭を下げると、不意に頭を撫でられた。
「ええよ、お互い様やから。…あ、でもな。初対面の女の子の胸を見つめるのは、よくないんやない?減るもんやないし、ウチは一向に構わんのやけど。ほな♪」
ば、バレてたのか。
いやぁ良かった。副会長さんが生徒会長とは表裏一体おおらかな人で。
何か困ったことがあったら副会長さんに相談しよう。そうしよう。
「っとごめん3人とも、巻き込んじゃって…早くお弁当の続き食べよう…ぜ?」
そういえば副会長さんが陽気な笑顔で去ってから、後ろの空気がやけにこう、静かぁというか、張り詰めてるような気がする。
「隼人くーん。穂乃果ねぇ、お餅つくのは昔から得意なんだぁ〜」
「ほ、穂乃果ちゃん?」
「隼人、不埒な輩は切り捨てよと父に教わっていますので」
「ヒッ!?う、海未さん!?」
2人はどこから取り出しのか分からないが、杵と刀を持ってにじり寄ってくる。
「た、助けてことり姉さん!!」
咄嗟に隣にいたことり姉に助けを求めたのだが、それはまったくもって頭の悪い行動だった。
ことり姉さんの身体は闇に包まれて目の当たりに見える白くもやっとした双眼がこちらを捉えて離さない。
そしてしがみついた俺の手はなんか毒というか闇的な何かでダメージを喰らい続けている。
あぁ。俺の姉さん厄災か何かだったんだ。
と、どこからともなく声が囁く。
「もちろん。大丈夫だ問題ない」
口が勝手に動いたかと思えば、次の瞬間目の前が真っ暗になった。
それから学院内では、放課後中庭から男の断末魔が聞こえるという奇怪な噂で持ちきりだったとかそうでなかったとか…。
高咲侑は正体を見破った!
せつ菜「正体を知られたからには生きて帰しませんよ?」
高咲侑はプレッシャーで動けない!
せつ菜「せつ菜スカーレットストォォォム!!!」
高咲侑は目の前が真っ暗になった…