高咲侑はどうする?
たたかう
逃げる
→お前ガチオタだな?
でんでんでん
「ふぁ〜あ」
我が家だからこそできる特大のあくびをかます朝7時。
ベッドの上、目覚めたばかりの半端な思考でただただボーッとする。
数十秒後、出勤を始めた脳内細胞達は昨日起こった出来事や今の状況を脳内会議で確認し出した。
「はぁぁぁ…」
そして数分経ったのちに、俺は特大のため息をついた。
かめはめ波とか、ファイナルフラッシュくらいなら打てそうなほど深く長いため息をつく理由?
第一に、西木野さんと許嫁事件。
第二に、姉廃人化事件。
いきなり○テーキもびっくりの高カロリーな内容のパワーワードの前には日本男児たる俺も片膝をつく程度では済まない。
サイコロを振ったら博多号さんが出たくらいの受け入れがたい事実なわけだ。
西木野さんが許嫁か…。
一夜経っても未だに信じられなくて夢でも見ているかの様な気分だが、それが現実であることを証明しているのが第二の事件である。
昨日、西木野邸から帰宅すると部屋にこもっていたはずのことり姉が電気もつけずリビングにぽつりと座っていた。
その様子を一言で表すのが「廃人」である。
そんな廃人姉さんとの会話を思い出してみよう。
「ことり姉…大丈夫?」
「…ちゅん」
「ちゅ、ちゅん?」
「…ンミチャ」
「へ、へ?」
「…ホノカチャ」
「ちょ、ちょっと姉さんしっかりしてよ!」
「…チーズケーキ…ちゅん」
このように、謎の単語を発しては微笑を浮かべるというなかなかの廃人っぷりな我が姉である。
何が原因なのか全く見当がつかない。
俺や母さんにも言えない様な悩み…も、もしかしてストーカー被害!?怪しいバイト!?
「んー分からん」
冬の時よりかは離れやすくなったベットから出て、リビングへと続く階段を降りる。色々とことり姉を元に戻す案を練っていると、当の本人が階下にいた。
「あ、姉さん…」
「はーくん♡おはよう♪」
「うん、おはよう…ってあれ」
あまりに自然すぎていつものように返してしまったが、おかしい。
いや、おかしくないんだけれど明らかにおかしい。
「姉さん…その、大丈…夫?」
未知のトサカ生物と恐る恐る対話を試みる。
「何が〜?」
「いや、何もかもだよ。昨日あれだけ沈んでたから心配で夜も眠れなかったんだけど」
「えぇ!?…はーくん、お姉ちゃんの事を想って夜も眠れなかった…の?」
「いや、言い方。あってるけどその言い方は全世界に勘違いされるんだよ」
「そっかぁ〜ウフフ♡…弟から性的対象に見られてるなんて…素敵」
「目にハート浮かべるな。違うから。
やっぱりおかしかった。
狂気のベクトルが多少変わっただけの様だ。昔からたしかに周囲がちょっと引くくらいにはブラコンな姉ではあったが、今のそれは完全に姉物ギャルゲーそのものではないか。
いくら姉が美人で可愛いからと言って、守るべき境界線はあるだろう。
「でも、今はお姉ちゃんの作った朝ごはん食べてね?あ、お姉ちゃん的には洗い物中に後ろから…っていうの結構好きだなぁ♡」
「だなぁ♡じゃねぇよ。俺の声を聞けぇぇぇ!!!」
制御不能になった姉に、熱気バ○ラ以来のセリフで対抗策を取る。
そんな突撃ラブハートも虚しく、ことり姉はそそくさとリビングに戻って行ってしまった。
「はぁ…一体何をその腹に抱え込んでるんだ我が姉は」
とりあえず、朝食に媚薬やら怪しいものが入ってやしないかと怪しみながら愛のこもったトーストに齧り付いたのだった。
→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→
「ことり…!大丈夫なんですか!?」
いつも通りの時間に、いつもの様に十字路に向かうと海未さんが待てない!と言った様子で汗を振りまきながらこちらに走ってきた。
「海未ちゃんおはよう〜。あ、今日ねことりはーくんと結ばれる夢見たの〜♡」
「隼人…!ことり(の頭)は大丈夫なんですか!?」
「いえ、末期です。余命1週間かと…俺の」
「俺の!?隼人が放り投げている!?こ、これは只事ではない様ですね…」
危険思想を語ることり姉を無視して、海未さんに話を聞くと姉さんから呪いの様なメールが届いたらしく、俺と同様ろくに寝付けなかったらしいのだ。
ちなみにメールの文がこれ。
ンミチャイッパイ。ウフフ。
ホノカチャイッパイ。ウフフ。
はーくん渡さない。
私のものだもの。 ことを
「み○をみたいに言うな」
「流石に私も肝を冷やしました…ことりにこんな暗黒面があったなんて…」
「なぁことり姉。何か隠してるなら教えてくれよ。俺たち力になりたいんだ」
「隠してなんかないよ〜♪強いて言うなら、毎晩自作のはーくん人形と一緒に寝てることくらいしか」
「それは後でじっくり聞くとして、他にはないの?」
遠い昔、遥か彼方の銀河系よろしくなダークサイドっぷりにそこいらの大人よりも精神が図太い海未さんでさえ、顔をひきつらせている。
末恐ろしい姉だ。やはり悪魔の子は悪魔か。
とにかくことり姉がこのままだと今後のマイライフがバッドエンドに満ち溢れたものになりそうなので、海未さんに洗いざらい昨日のことを話して一緒に対策を練ってもらうことにしよう。
数分後
「そうですか…隼人に許嫁なんてものが…理由はおそらく…それでは?」
話を聞いて、少し驚いた様子を見せた海未さんは口に手を当てて何か考え込む。
そして俺の耳をぐいぐいと引っ張ると小さな声で耳打ちしてきた。
「隼人は許嫁を受け入れる気なんですか?」
「まさか。相手方の女の子も俺も有り得ないって感じですよ」
「ではそれをことりには伝えたのですか?」
「いいや、ことり姉それどころじゃなかったからまだ伝えてませんけど」
「はぁ…それですよ」
…?それ?
「今、ここで、すぐに!それをことりに伝えてあげてください」
よくわからないが、海未さんがそういうなら素直に従ってみるか。
「あのー、姉さん?」
「なーに?はーくん♡」
「許嫁の事なんだけど…」
許嫁。
その単語を発した瞬間、不思議なことが起こった!
なんと、南ことりの身体から禍々しく邪悪なオーラが溢れ出し、その体を包み込んだのだ!
「呪…殺…死…獄…滅…虚…塵…焼…刺…」
「隼人!なに特撮風のナレーションつけてるんですか!早くその先を!ことりが何か唱え始めました!!」
「そ、そうだ!こ、ことり姉。許嫁の件なんだけどさ!あれあるようで無いようなもんだから!」
「… 呪…殺…死…獄…滅…虚…塵…焼…刺…」
「隼人!もっとはっきり言わないとだめです!!」
「あぁもう!!だから!!許嫁なんていない!!俺にとってことり姉は今までもこれからも特別な存在のままだから!!」
「…はーくん」
「隼人…」
「分かってくれた?姉さん」
「…えへ。えへへ。えへへへへへへへへへへへ…どうしよう海未ちゃん。はーくんにプロポーズされちゃった…」
「ど、どうしましょう隼人!ことりが可愛すぎます!」
「知るか。ぶん殴れ自分を」
海未さんも何故かあっち側に行ってしまったようでなすすべがなくなる。
てか気づいたらすでに校門に着いてるし、さらに周りにはギャラリーが…
「朝から楽しそうやんな☆」
そして背後にはこれまた波乱を呼びそうな人が現れたのだった…
高咲侑は黒澤ダイヤの正体を見破った!
ダイヤ「べ、別に恥ずかしいことではありませんわ。優木せつ菜以前にオタク生徒会長キャラは私のものだったんですから!」
高咲侑は優木せつ菜と黒澤ダイヤのスリーサイズを比較した!
ダイヤ「私が比較して劣っていると言いたいのですか?殺しますわよ?というか殺す」
高咲侑は目の前が真っ暗になった…
善子「あなたっていつになったら勝てるのよ…」