インフィニット・ストラトス 交差する閃光   作:飴玉ベジット

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今回は零滋と鈴の出会う話です。


episodeR 狼と龍の出会い

 ~ある日のこと~

 

「な〜。リンってパンダみたいな名前だよな」

 

「おい。笹食えるのか?リンリン」

 

 いじめっ子の2人組は中国から転校してきた女の子をからかい、女の子は泣いていた。因みに他の3人はというと、去年とある5人にボコボコにされた時、改心してもうイジメをするのはやめたらしい。そんな時。

 

「邪魔」

 

 突然、誰かがいじめっ子の1人を後ろから蹴飛ばした。

 

「いってーな!なにしてくれ…」

 

 蹴られたいじめっ子は怒りを露わにしていたが、蹴った人が誰かわかると青ざめていた。

 

 その人物とは、かつてそのいじめっ子軍団と喧嘩し、圧勝した5人の少年の一人。成宮零滋だった。

 

 零滋はこの状況を見て、ため息をついた。

 

「まーた女の子いじめてるの? 馬鹿なの? あっ、馬鹿か」

 

「てめぇ! また俺達に関わる気か!」

 

 焦りを隠すように男子に対し、零滋は再びため息を吐く。

 

「だから邪魔だって言っただろ。お前ら本当に馬鹿なんじゃないの?」

 

 その口から出た馬鹿という単語に、男子2人は憤慨する。

 

「なに!!俺達のことを3回も馬鹿って言ったな!もう許さねぇ!!ボコボコにしてやる!」

 

「はぁ。懲りないな。まぁ返り討ちにするだけだけどね」

 

 こうして始まった喧嘩は、二対一にも関わらず零滋の圧勝で幕を閉じた。

 

「「くっそー!!覚えていろよ!!」」

 

「ばいばーい」

 

 毎度お馴染みの捨て台詞を吐きながら逃げていくいじめっ子達を、零滋はハンカチでヒラヒラしながら見送った。そして、女の子の方に向かって歩いた後、しゃがんだ。

 

「…大丈夫?」

 

 女の子はただ零滋を見てるだけだった。

 

「…取り敢えず、日本語わかる?」

 

 そう聞くと女の子はコクっと縦に頷いた。

 

「よかった〜。俺そんなに他の国の言葉わかんなかったから」

 

 さっきまでの野生の獣みたいな雰囲気から一変、のんびりとした雰囲気に、女の子は内心戸惑っていた。

 

「家まで送るよ。だから案内してもらえる?」

 

「なん…で?」

 

 なぜ自分を助けてくれたのかわからなかった少女はそう問うが、零滋はなぜ送るのかと勘違いし、

 

「なんでって言われても…またあいつらみたいなやつにからまられたら面倒でしょ?そうならない為に」

 

 と言った。

 

 

 2人は無言で帰宅していた。零滋はいつも通りなのだが、鈴は考えていたのだ。理由は簡単、零滋()は自分を助けてくれたのかわからなかったからだ。

  

「ね、ねぇ」

 

 意を決して理由を聞こうとした瞬間、鈴のお腹が鳴ってしまったので、恥ずかしさのあまり顔を赤くなってしまった。

 

 もし、先ほどの男たちがいたら確実に馬鹿にされていたに違いなかっただろう。だが零滋は笑うことなく、近くにあったコンビニに入った。しばらくすると、袋を持って戻ってきた。

 

「食べなよ。これ、おいしいから」

 

 そう言って袋の中からあんまんをだした。

 

 それをもらった鈴は一口かじると、美味しそうに食べていた。

 

 それを零滋は横目で見ながら、もう1つ、自分用に買っていたあんまんを食べていた。

 

「ねぇ」

 

「ん?」

 

「なんで、助けて…くれたの?」

 

 鈴は、さきほどからずっと気になっていたことを聞いた。何故自分を助けてくれたのかを。

 

「なんでって、それは……あれ? なんでだ?」

 

 予想だにしない回答に、鈴はキョトンとしてしまった。

 

「強いて言うなら、あいつらが邪魔だったからかな? わかんないけど」

 

 それ以降、しばらく会話はなかったが、突然零滋が口を開いた。 

 

「零滋」

 

「え?」

 

「成宮零滋、俺の名前だよ。言い忘れてたの、思い出したから」

 

「あたし、鈴。凰鈴音」

 

 女の子、鈴の名前を知った零滋は「可愛い名前だね」というと、鈴の顔が少し赤くなる。

 

「…じゃあ、鈴ちゃんって呼んでいい?」

 

「うん!」

 

 その後、色々なことを話していた。鈴の中国での思い出や零時が友達と馬鹿騒ぎしたことなど色々だ。やがて、一見変わった家があった。

 

「ここ、あたしの家」

 

「鈴ちゃんの家、料理屋さんなんだ。今度、食べに来ていい?」

 

「うん!」

 

「じゃ、ばいば「待って!」ん?」

 

 自分の家に戻ろうと踵を返したが、鈴に呼び止められた。

 

「ありがと!零滋!」

 

 鈴の明るい笑顔を見た零滋は、

 

「可愛い」

 

 無意識に見とれていた。

 

 

 

 

 

 

 この日以降、鈴と零滋は一緒にいることが多くなった。親友と別に帰る時はいつも一緒に帰ったりしたり、零滋は家族と一緒に鈴の両親が経営する店に通ったりもした。

 

 しばらくすると、零滋は自分の親友を鈴に紹介した。基本的に他人と関わりを持たないタイプの零滋から紹介される日が来るとは思わなかった4人は驚いていたが、すぐに仲良くなった。

 

 この時間が永遠に続くと思われ、2人もずっと続いて欲しいと願っていたが、別れは突然きた。

 

 鈴の両親が離婚することになってしまったのだ。しかも親権は母親で中国に帰ることになってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 ~空港~

 

 送別会もおえ、零滋は1人で鈴を見送りに行っていた。なお、他の4人はそれぞれ用事があったので、来ることはできなかった。

 

 「ねぇ零滋。料理の腕が上がったら、あたしの酢豚、毎日食べてくれる?」

 

 「え?鈴ちゃん…それって…」

 

 

間も無く、中国行きの便が発進します。
 

 零滋がその意味を聞こうとした途端に、空港のアナウンスが鳴った。

 

 「もう行かなきゃ。またね。零滋」

 

 そう言って鈴は儚げな笑顔で、零滋と別れた。

 

 

 

 

 飛行機の中で鈴は泣いていた。それは両親の離婚もあったが、なにより零滋と会えないかも知れないと思っていたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 一方、鈴を見送った零滋は、帰りに鈴との思い出のあるコンビニで、あの時のようにあんまんを1つ買って食べていた。

 

 「あれ?なんか…いつもよりしょっぱいな……なんでだ?」

 

 この時、零滋は自分が泣いてることに気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜現在 IS学園〜

 

 

「こんな感じだったよね」

 

「そうね」

 

 零滋と鈴は、自分達の出会いを思い出していた。

 

「でもよかった。また鈴ちゃんと一緒にいれて」

 

「あたしもよ。……ねぇ、零滋」

 

「ん?」

 

 鈴に呼ばれた零滋が振り向くと、鈴は零滋の腕に飛びついていた。

 

「だぁーい好き!」

 

 鈴のとびっきりの笑顔とその言葉に、零滋も笑顔で言った。

 

「俺も、鈴ちゃんのこと大好きだよ」




因みに今回のタイトルにあるRの意味は鈴と零滋の頭文字にRと、回想という意味のRecollectです。
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