拓巳が現在進行形で構えているバズーカを見て、一同は固まってしまった。
「道は空いたみたいだね。じゃあ行こうか」
その隙をついて6人は、階段を下りて行った。それを見た女子生徒の一人がハッとした。
「ひ、怯むな!!全員、再度突撃!!」
ようやく我にかえった女子生徒達は、再び男子を追いかけようとしたその矢先に、突如出てきたネットが彼女たちを襲った。
『きゃあぁぁぁぁぁぁ!!?』
「おい、拓巳!それはなんだ!」
「あれ?言ってなか「「「「言ってない!!」」」」…このバズーカ、モデルガンを改造した物だから火薬とか入ってないし、改造といってもたネット弾を使えるようにしただけだよ」
悠冱の質問と、4人の綺麗にハモったツッコミを受けた拓巳は、自身が持っていたバズーカについて解説した。
「いやー、毎回毎回女子に追いかけられるの辛いじゃん?だからこーゆーので動きを制限することができたら、多少はマシにはなるかなぁと思って作ったんだ」
もう呆れるしかなかった5人を他所に、拓巳は大満足のようだ。
「まぁ、結果的には俺たちは楽になったのは事実だな。それより今空いているアリーナはどこだ?」
「確か第6と第7、第11アリーナが空いてるって千冬姉が言ってた」
「よし、ここは3手に別れよう」
一夏と悠冱は第6アリーナ、颯也と零滋は第11アリーナ、拓巳はシャルルは第7アリーナに向かった。
~第7アリーナ~
「はぁ…まさかとは思うけど、5人ともずっとこんな目にあってるの?」
まさか初日からこんなに走るとは思ってもいなかったシャルルは、肩で息しながら拓巳に質問する。
「今日はまだましな方だし、ひどい時なんかあれの3倍ぐらいの人数に追いかけられるけど」
「さ、3倍!?」
拓巳の思わぬ返事に、シャルルは驚きを隠せなかったようだ。
「あっ、そういえばまだ名前言ってなかったね。俺、仙道拓巳。よろしくね」
「よろしく。ええーと…」
シャルルは、呼び方に迷っていたが、拓巳はふふと笑いながら言っていた。
「拓巳でいいよ。それに君のルームメイトは俺だから、あんまりかたっ苦しいのはなしで」
「うん。そうさせてもらうね。僕のこともシャルルって呼んで」
「OK」
2人とも挨拶を済ませた。その後、拓巳はチラと時計を見た。
「やば!時間がない!」
慌てて拓巳は上の服を脱ぐと
「わ!?うわ!?うわ!?」
「?どうしたの?早くしないと千冬さんの説教くらうよ」
「うん。着替えるよ。でも、その…こっち見ないでね」
シャルルの台詞に、巧は少し冷めた目をする。
「……なーに考えてるかは知らないけど、俺はそんな趣味ないから」
2人は着替え終わると、拓巳はふとシャルルにある質問をした。
「ねぇ。そのISスーツ、どこ製なの?なんか見たことのないタイプだけど…」
「僕のISスーツはデュノア社製のオリジナルなんだ」
「そういえば、シャルルの苗字もデュノアだったけど、あのフランスの?」
「う、うん。そうだよ。父さんが社長なんだ」
「そっか、きっと大切に育ててくれたんだろうね」
拓巳はどこか寂しげな表情で言っていた。
「大切に…か……」
拓巳の表情に気づかなかったシャルルもまた、どこか浮かない表情だった。
「…て、あれ?」
「?どうしたの?」
「いや、なんでもないよ。先に行ってて」
実は拓巳の心中には、疑問が浮かんでいた。
(おかしい。男性操縦者がいたならもっと早く公表したほうが会社の宣伝にもなるに違いない。なのになんでそれをしなかったんだ?それに、今も殆どの国が男性操縦者探しをしてるにも関わらず、六人目が現れたなんてニュースはなかった。……つまり)
「何かある?」
拓巳はこの件についてじっくり考えたかったが、授業に遅れてしまいそうだったので取り敢えず後回しにした。
「全員揃ったな。これより一組、二組合同で、格闘及び射撃を含む実践的な授業を始めるぞ」
ジャージ姿の千冬の声が響いた。
「まずは…桐崎と仙道、こっちに来い」
千冬に呼ばれた悠冱と拓巳は頭に?を浮かべながら、指定された場所に来た。
「あの…なんで「あああぁぁぁぁぁぁ!!!ど、どいてくださぁぁぁぁぁぁい!!!」え?」
生徒全員が上から声がすると思って見上げると、なんということでしょう!真耶が空から急降下してきたのだ!
幸いにも誰もいないところに墜落したので怪我人はおらず、本人も保護機能のおかげで怪我もなかった。
「……まさか、山田先生と模擬戦するってことですか?」
「そうだ」
「それにしても…なんで俺達なんですか?こういうのって代表候補生の方がいいんじゃあ…「それも一理あるが、お前らは他の専用機持ちに比べるとISの起動時間が短いだろ?それを少しでも埋めるためだ」あっ、なるほど」
千冬の意図を理解した拓巳と悠悟は真剣な表情を浮かべた後、ISを展開した。
「これが仙道君と桐崎君のISかー!」
「翼が天使みたいでかっこいー!」
因みに、2人が一般生徒に展開したISを見せたのはこれが初めてなので、箒以外の一般生徒ははしゃいでいた。
「騒ぐな小娘ども。三人とも、準備はいいか?」
「はい」
「うっす」
「は、はい!」
「よろしい!では始め!」
千冬の合図とともに颯也はバルカンで、拓巳はビームライフルで牽制射撃を放つ。
「このまま観戦するのもいいが、この際だ。デュノア、ラファールの解説を頼む」
「わかりました。ラファール・リヴァイブはデュノア社が開発した第二世代機です。量産型ISの中では最後発でありながら世界第3位のシェアを持ち、7ヶ国でライセンス生産、12ヶ国で正式採用されています。初期型とはいえ第三世代機に匹敵する
シャルルがラファールの説明を聞いていた一夏をはじめとする生徒たちが感心している一方で、拓巳と悠冱はだいぶ苦戦したのか、一度真耶との距離をおいていた。
「やまちゃん先生ってほんわーかしてんのに、めっちゃつえーんですけど」
「ISの教師が操縦が下手な訳があるか。どあほう。だが、せめて一矢は報いたいな」
攻撃できないわけではない。ただ、バルカンやビームライフルでの射撃が多く、高出力のバスターライフルのような動きを止める射撃や、ビールサーベルでの接近攻撃のような決定打になる一撃が上手くできずにいたのだ。
「なぁ、ちょっと考えがあるんだけど…」
拓巳は自身の思いついた作戦をプライベート通信で話した。
「…いくらなんでも無茶だ」
「じゃあ、なんか他に考えがあるんかよ」
最初は反対した悠冱だったが、拓巳の反論に言葉を詰まらせた。数秒後、
「……仕方ない。やるだけやってやる」
そう言って悠冱は諦めた口調でバスターライフルを構えた。
拓巳は真耶の方に突っ込んだ。バスターライフルの直線上に合わせるように。
そして、悠冱はバスターライフルのトリガーを引くと、強烈なビームが発せられた。拓巳はそれがくるのを知っていたかというタイミングで、旋回回避した。
「え!?」
これには流石の真耶も驚きはしたが、ギリギリのところで回避した。
…が、その先には拓巳が既に5門の砲門を展開しており、一斉発射した。
真耶はこれも回避しようとしたが、ラファールのカスタムウィングにあたり、破壊されたことで態勢を崩した。
「「今だ!!」」
その隙を逃さかった悠冱は、ビームサーベルを抜き出し、一気に近づいた。
拓巳も2つのビームサーベルを連結させたアンビデクストラス・ハルバードにして、突っ込んだ。だが、そこは先生。真耶は2人をギリギリまで近づけてからバックイグニッションで回避した。
グレネードを投げるのを忘れずに…
結果2人は爆発に巻き込まれて、地面に落ちた。
「くっそー!!もーちょっとでも勝てたのにー!!」
「はぁ、こんな無茶苦茶な作戦、初めから通用すると思っていなかったがな」
「このように、山田先生は普段ドジなところが目立つが、訓練機で専用機持ち2人を倒せるほどISの実力はかなり高いから、これからはちゃんと敬意を持つように」
どうやらこの模擬戦には2人の操縦時間確保の他にも、真耶にいいところを見せる為でもあったようだ。
「だが、最後の連携攻撃は少しばかり驚いたぞ」
「ですけど、あんな無茶はしないでくださいね!」
最後の連携を千冬は賞賛したが、真耶は危ないと注意していた。
「さて、今から諸君達にもグループに分かれて実際にISを動かしてもらおう。専用機持ちにはグループリーダーとしてサポートしてもらおう。勿論、教える側も評価するぞ」
専用機持ち、ISについて説明中。
「今から評価の高い者三名と、低い者三名を発表する」
「まずは高い者から。デュノア。自身が代表候補生というのがあったのか、自身の経験談を交えながら説明。次は築原。難しい理論を分かり易いように説明できていたな。最後は仙道。イメージしやすい例えを使っての説明、中々良かったぞ」
シャルルと颯也は安堵のため息をついていた。一方で拓巳は信じられなかったのか、「あんな説明だったけど、わかりやすかったの?」とグループのメンバーに質問していた。すると、同じグループの子は『良かった!!』と声を揃えて答えた。
「次に低い者だ。オルコット。お前は難しい理論を使いすぎだ。もう少し分かり易い説明を心掛けるように。次に鳳、誰しもお前みたいに感覚だけでISを動かせるわけじゃない。口でも説明できるように努力しろ。最後にボーディビッヒ。何故お前は一つも教えなかったのだ?これは流石に問題だ」
セシリアと鈴は、自分の説明に問題ありと言われしょげていた。ラウラは自分は悪くないオーラを出していた。
「午前の授業はここまで。午後はISの整備についての授業だ。専用機持ちは自機と訓練機の両方みるように。以上、解散!!」
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2024/6/4
ラファールの説明をはじめ、色々追記しました。