異端児(イレギュラー)な僕は異世界(イレギュラー)に愛された 作:妹紅聡
二人は同時に走り出し、小学校前の坂道を上る…はずだった。正確には坂道を上ったことに関しては間違っていないが、その光景は「異常《イレギュラー》」の二文字を与えるには十分だった。普通人間が坂道を上る際、走る速度は遅くなり、最大加速度に達するまでにそれなりの時間を要する。ところが、聡に関しては違った。まるで風が吹き抜けるかのような速さで坂道を駆け上り、小学一年生が五分かかるであろう坂道をたった三十秒で上り切ってしまった。もちろん、綾野はその速度に引っ張られて駆け上るというよりつんのめっていたらいつの間にかそこにいた…という感じである。
一般の大人ですら二分半はかかろうという坂道を風のように駆け抜けたにもかかわらず、聡は息一つ乱れていない。綾野も息切れは起こしていない(走っていないので当たり前ではあるが)。
「ほら、着いたよ。」
誇らしげに振り向いた聡であったが、ここで回りの異変に気が付いた。
「お、おい。あの子たちさっきまであんな所にいたか!?」
「いや、そもそも上ってきたところを見た奴いたか?」
「あの子たち私たちより後に上ってきたはずなのになんで先にいるの!?抜かれた記憶すらないのに!」
そう、この異常事態に(聡を除く)周りはついていけていない。
「さ、聡君?い、今何をしたの?なんとなく察しはついたけど。」
(しまった!無意識に能力を使っちまったのか!)
「…こ、このことは誰にも言わないで。」
「…わかったわ。」
すくなからず、暫くはおとなしくしていようと思う聡であった。
「すー…はー…」
初めこそ驚いていた綾野だったが、深呼吸した事によって落ち着きを取り戻し、聡の現象について考え始めた。
(成程…藤原君も何かしらの能力を持っていて、それを無意識に使ったと。あの加速度と最高速度…という事は強化ブースト系統かしら?)
さて、ここで能力について詳細をば。あ、どうも。皆様とは1話ぶりですかね?ショウです。ここからは私が能力について説明致しましょう。能力には大きく分けて、強化《ブースト》、連鎖《チェイン》、自然《ネイチャー》、手品《マジック》の4系統があります。強化は身体能力の向上…つまりは支援系ですね。連鎖はその名の通り、身動きを奪う身体能力妨害です。続いて自然ですが、炎や水等、普通の人には道具なしにして操作出来ないものを操るものを指します。最後に手品は、超能力者や手品師がよくやるような手品を、種なくして行うものである。但し4系統のうち、2系統を司るものなどもあります。さて、この辺りで本編の続きを覗いてみましょう。
「…ねぇ聡、一つ質問しても?」
「な、何かな?」
「あなたのその力…能力よね?」
「っ!?なんでそれを!」
「それは入学式の後で。注目浴びすぎて恥ずかしくなってきたわ。」
「そ、そうだね。まぁあそこのクラス表見たら同じクラスだったから行こ?」
「あんなに遠くのものを見たの!?」
どうやら聡の言うあそこは、500m離れた文字が点にしか見えないものを見て同じクラスと判断したらしい。
(待って待って!?強化は部分的なものしか強化できなかった筈…脚力の強化じゃないの!?)
能力には、幾つか制限がある。強化は、部分的な身体能力強化しか与えられず、他の部分を強化すると、体の組織が壊れてしまうというものがあった。
(何がどうなっているの?組織が壊れる特有の現象は見られていない…これは詳細を聞く必要がありそうね。)
綾野は疑問に思いつつも、それを一切顔に出さずに歩いていった。今尚慌てながらも綾野の手を離そうとしない聡とともに。
「えっと…聡?そろそろ手を離してくれる?」
「えっ?…あっ、ごめん。」
自分で離して欲しいと言ったにもかかわらず、未だに収まらないこのドキドキは何なのだろうか・・・
と、離してもらった手をしばらくの間眺めている綾野なのであった。
どうも、妹紅聡です!
先程の投稿に続き、2話目の投稿です。2話進んでるのに、未だに朝なんですよねぇ…一体いつになったら次の日になるんでしょうかw