異端児(イレギュラー)な僕は異世界(イレギュラー)に愛された   作:妹紅聡

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無意識のうちに能力を使用してしまい、小学校で一躍有名になってしまった聡。そんなさなか、とある人物に声をかけられる。果たして一体なんの用なのか。


小学生編~始まりの風~

周りから注目されていること、自分が無意識に能力を使っていたことに対する羞恥心、そしてこれまた無意識ではあるが知り合ったばかりのしかも異性の手を握っていたというドキドキを誤魔化すように、聡は綾野と一緒に教室のある四階に向かった。二人共注目されていることが恥ずかしくて、一言も話すことは無かった。

 

自分の教室につき、席を確認する。教室で一連の流れを見ていたであろう生徒が何やら話しかけてくるがそれすら耳に入らない。そして運が良いのか悪いのか、綾野との席は前後のようだ。そこは仕方ないと諦め、人避けの力を使って人が来ないように仕向ける。そして、聡が席に着いた頃に一人の少年が話しかけてきた。

 

 

 

「また今回もぶっ飛んだことやらかしたな聡。教室どころか職員室ですらお前の話題でもちきりだとよ。」

 

 

 

「…人避けの加護を使ってるから本来俺に近寄る人はいないはずだが?」

 

 

 

「ほら、それに関してはいつもの事だろ?」

 

 

 

「ははは、そうでしたよ畜生!」

 

 

 

と言いつつ近寄ってきたのは濱田凱士(はまだかいと)。俺が先月まで通っていた月影幼稚園(つきかげようちえん)からの同級生。何故かわからないが、この四年間一度たりとも別のクラスになった試しがない。そしてどういう訳か、凱士に聡の力が効いた試しはない。

 

 

 

「聡。その人は?」

 

 

 

「彼は濱田凱士、幼稚園からの同級生だ。」

 

 

 

「よろしくな、えっと…」

 

 

 

「山崎綾野です。こちらこそよろしくね、濱田君。」

 

 

 

「こほん、ちょっといいかな藤原君、山崎さん。」

 

 

 

突然呼びかけられたので声に出すことが出来なかった。声の主を見ると、どうやら上級生のようだ。しかも、名札には生徒会の証であるバッジがついている。

 

 

 

「えっと…何の用でしょうか、松樹優斗(まつきゆうと)先輩?」

 

 

 

事前にこの学校について調べていたので誰だかすぐにわかった。小学二年生にして勉学の才能を開花させ、全国一位の学歴を持つまさに超人である小学六年生だ。

 

 

 

「ここでは話がしずらい。場所を移動しないか?」

 

 

 

「…分かりました。凱士、先生になんか言われたら生徒会長に呼ばれたと言っておいてくれ。」

 

 

 

「おう、任しとけ!」

 

 

 

「では行こう。」

 

 

 

会長に連れられてやってきたのは生徒会室だ。中に入ると、予め呼んでおいたであろう生徒会メンバーが迎えてくれた。

 

 

 

「初めまして、藤原聡君に山崎綾野さん。いや、藤原君に関しては久し振りかな?」

 

 

 

と言ったのは荒葉巻櫌子(あらはまきゆうこ)先輩。生徒会会計を務める小学四年生。昔からよく遊んでくれた言わばお姉ちゃんのような人である。

 

 

 

「ですね、荒葉巻先輩。というか貴方の家近くなんですから顔くらいいくらでも見えるでしょう?」

 

 

 

「そうだね。でも、今回はまた別の件だよ。」

 

 

 

急に荒葉巻の雰囲気が変わる。それを見て覚悟を決めたのか、聡と綾野は身構える。

 

 

 

「そこまで身構えないでくれ給え藤原君、山崎さん。別に攻撃しようとかそういう訳では無いからね。」

 

 

 

身構えるのを解くように促したのは生徒会書記の佐藤紀梨乃(さとうきりの)先輩。小学三年生とは思えない美声の持ち主である。

 

 

 

「おい優人、まさかなんの説明もせずにここに来たのか?明らかに2人がビクビクしてるじゃねぇか。」

 

 

 

松樹先輩に注意したのは生徒会副会長の本田遥也(もとだはるや)先輩。生徒会の中でも長身を誇る人で、付け入る隙を見せない完璧主義者である。

 

 

 

「だってこの内容はほかの人には言えないだろ?」

 

 

 

「そうなんですか?」

 

 

 

「それは私に説明させてもらおうか会長?」

 

 

 

「あぁ、任せる。俺は演説に向けて準備があるからな。」

 

 

 

そう言い残して松樹先輩はどこかへ行ってしまった。

 

 

 

「さて、それでは本題へ入らせて頂くよお二人さん。今回君たちに来て頂いたのは…生徒会に誘うためなんだよ。」

 

 

 

「「…はい?」」

 

 

 

「うむ、その反応は想定内だ。」

 

 

 

「紀梨乃、遠回しにではなくはっきり説明しろ。二人は育成…つまりは次期生徒会候補だと言うことをな。」

 

 

 

「本田先輩、はっきり言われても僕達には現状が理解出来かねますよ…」

 

 

 

「生徒会には育成枠…今回で言う藤原君と山崎さんのものと、生徒推薦枠がある。枠はそれぞれ二人ずつだ。何時もなら始業式から三ヶ月経ってから決めるんだがな…今回は特例だ。君達の勉強のレベルでは今の学校ではつまらないだろうからな。だから先生にお願いして先に君達の素性を調べさせてもらった。そしたら驚いた。まさかその歳で中学三年までの勉強レベルに到達しているとはな。つまり、君達に育成枠を与えたいという訳だ。勿論決定権は君達にある。一度考えてみてくれ。」

 

「そんなの、考えるまでもないですよ。ね、綾野?」

 

 

 

「そうね。私としては分かってたことだし、これも何かしら今後の生活にも役に立つと思うし。引き受けます。」

 

 

 

「いやぁ、助かるよ二人とも。是非とも今後に役立ててくれ給え!」

 

 

 

呼び出した理由は生徒会に誘うだけだったらしく、あとは特にないようだったので、教室に引き返した。戻って席に着いたところで先生が登場した。入学式及び始業式は、生徒数が多いということもあり教室のテレビを通して行われた。

 

 

 

「さて皆、改めて本校への入学おめでとう!俺はこの三組の担任を務める岡嶋智章(おかじまともあき)だ。まずはクラスの全員の顔を知るために自己紹介をしよう!はいじゃあ…廊下側の一番前の子からいこうか。」

 

 

 

知っている者知らない者が自己紹介をする中、聡は何を自己紹介するか迷った。考えた結果、趣味や得意なことを言うことにした。

 

 

 

「藤原聡です。趣味は絵描き、歌、読書。得意なことはスポーツ全般とダンスです。よろしくお願いします。」

 

 

 

「山崎綾野です。趣味は絵描き、歌、裁縫(さいほう)。得意なことはスポーツ全般とダンスです。よろしくお願いします。」

 

 

 

クラスの子達が黄色い歓声を送る中、聡と綾野はただひたすら驚愕して顔を見合わせた。まさかここまで被るとは思っていなかったからだ。

 

こうして波乱の予感を秘めた学校生活が始まった。学業自体は専念しなくても常に満点を取っていた。だが他の面で驚いたことがあった。綾野の父親が、母の務める一菱の専業依頼会社の娘だったということだ。普段の生活からは想像が出来なかったが、父親が夜に経営する私営カラオケ店で受付の手伝いをしていた時に偶然山崎家が訪れたのだ。

 

そんなこんなで一ヶ月が経った。元から趣味が合うこともあり、聡と綾野はかなり仲良くなった。そんなある日のこと。帰る準備をしていた時のことだ。

 

 

 

「ねぇ聡…ちょっといい?」

 

 

 

「どしたの?そう言えば今日そこまで話しかけてこなかったけど。」

 

 

 

「今週の土曜日から一週間空いてる?」

 

 

 

「うん、特に用事はないけど…なんで?」

 

 

 

「両親が揃って社員旅行で家を空けるのよ。私その間1人だし、使用人が家の事はおまかせをって言われちゃって…実質寂しいのよ。」

 

 

 

「…なるほどね。じゃぁ一旦学校を出ようか。電話で聞いてみるよ。」

 

 

 

「ありがと。」

 

 

 

教室に残っていた先生に挨拶して学校をあとにする。校門から出たのを確認し、すぐさま携帯を取り出し、現在休憩を取っているであろう父親に電話をかける。

 

 

 

「もしもし父上?…うん、ちょっと頼み事。今週の土曜日から一週間友達を家にあげていい?…ほら、前カラオケ店に来た母上の専業依頼会社の娘さん。両親が一週間社員旅行で家を空けるんだって。…うん。…うん。分かった。伝えとくね。じゃあまた夜に。」

 

 

 

「…何だって?」

 

 

 

「問題ないって。内容聞いた瞬間すぐさま綾野のお父さんに頼まれてた事説明してくれたから…元からそのつもりだったんじゃないかな?」

 

 

 

「分かった。じゃあ土曜日に矢矧公園(やはぎこうえん)に集合ね。時間は9時で。」

 

 

 

「オッケー任して。っと、もうそろそろバスが来るか。じゃまたね!」

 

 

 

「うん!また明日!」

 

 

 

こうして土曜日から一週間綾野が聡の家に泊まりに来ることが決まった。だがしかし、この約束事が想像を絶する冒険になることを、まだ知らない。




皆様どうも、妹紅聡です。
今回は生徒会が出てきましたね。あと、聡の能力をさらっと受け流す人物も現れていましたねぇ...この話一体どうなるんでしょうw
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