お前ら人間じゃねぇ!   作:四季織

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今までノリで書いていたのですがいろいろ先の展開を考え出したらすさまじい急ブレーキがかかってしまいました

のんびりとではありますが続けていこうとは思っていますのでこれからも読んでいただければ幸いです


第九話

 グラウンド・β。

 入学試験でも使われた、所狭しとビルが立ち並ぶ街を一つ切り取ってきたかのような、雄英にいかに金がかかっているかを実感させられる施設の一つ。

 ここに訪れるのは2度目だが、やはり圧巻だ。

 

「聖ちゃんコスチュームかっこいい!」

 

「ありがとうございます、三奈ちゃんもコスチューム似合ってますね」

 

「聖剣使いの聖さんにはぴったりですわね」

 

「ヤオモモは……、素肌から創造物が排出する関係とはいえなかなか攻めてますね」

 

「ねー。ヤオモモセクシー!」

 

「そうでしょうか? これでも提出したものより布が多いのですけど」

 

 着替え終えビルに見降ろされながらほかのクラスメイトを待っている間やることと言えば、コスチュームをまとったクラスメイト同士でのお披露目会だろう。 

 響香ちゃん協力のもと纏ったコスチュームの出来は、見た目に関しては問題なく満足のいくものだった。

 イメージ通りの可愛らしさとかっこよさを両立した想像通りの女騎士の風貌。

 機能性にしても、鎧部分は個性で強化できるので軽めの材質と注文しておいたが、叩いた感じ強度と軽さを両立した謎物質でできている。

 

 が、実際に手元に来て、着てみて、やはり想像と現実とは違うものだと痛感させられる。

 

 パンツなんぞ見せるつもりはねぇと着こんだスカート下のスパッツとズボンの中間のような衣類……なんというのかあまり思いつかないそれと鎧。努力はしてくれているようだが、着脱のしづらさは否めない。最初はここにマントもつけようかと迷っていたが、やめておいてよかった。

 まぁ、ロマンを追求しすぎた結果といえる。

 ボディスーツバカにして悪かった、着用者が多いのはそれなりの理由があるということだ。オールマイトやエンデヴァーもそうだし。考えてみれば手入れや破損時の修繕費はもちろん、下世話な話をすればトイレの時の着脱など、着て構えをとった瞬間だけを考えてデザインするものではないのだ。

 解決策としては鎧をあきらめるかシンプルなデザインへの変更か、あるいは開き直ってとことんロマンを追求すべく聖剣でコスチュームを操ってどこぞの鉄男みたくガチャガチャと着脱できるように練習するか。

 ……練習かな。

 こう、うまい感じに光で包んで持ち上げればできる気がする。

 今回は手伝ってもらったが、やってもらった感じ理解さえすればサクサクと着れそうなものではある。プロが作ってくれたのだ、その辺は考えてくれているだろう。

 

 続々と集まるクラスメイト。

 男性陣のコスチュームは何か変更があるかと思ったが、それほど見覚えのないコスチュームをまとっているものは少なかった。

 青山優雅が全身からレーザー出せるようになったせいか鎧のレンズがなくなり、緑谷出久がうさ耳フードをかぶっていないくらいだろうか。

 機能としての変更はあるかもしれないが、さすがに見ただけではわからない。

 

「格好から入るってのも大切なことだぜ少年少女、かっこいいじゃないか、みんな!」

 

 そろったクラスメイトにオールマイトからそんな言葉がかかる。

 コスチュームは皆自分でデザインし考えたものを着用しているのだから、かのオールマイトからそう言われればこれ以上うれしいことはないだろう。

 

「さ、みんなコスチュームを着て気合が入ったところで戦闘訓練のお時間だ、が」

 

 が?

 一度言葉を切るオールマイト。

 そのままそっぽ向いたかと思うと、ビルの陰から意外な人物が現れた。

 

 セメントス。

 

 本名は忘れたが、例にもれずプロヒーローでありながら雄英教師。数少ないオールマイトの正体を知る人物で、直方体の顔をした大柄な体格は文字通りセメントで作られた人形が動いているかのようだ。

 彼の活躍はもう少し先のはずだがなぜここに。

 

「紹介しよう、セメントス先生だ。今日は彼にも授業を手伝ってもらう」

 

「やあ、みんな。俺のことは知っているかな? オールマイトとの初授業にお邪魔させてもらうのは忍びないけど、その彼からの頼みだからね。勘弁してほしい」

 

 勘弁も何もないだろう、と。

 特に不満を漏らす生徒もなく、先を促すような沈黙が場に満ちる。

 言われるまでもなく、俺は何となく彼がここにいる理由を察した。

 自分のこれからやコスチュームで気を取られていたが、よくよく考えればこのクラスでよく初っ端戦闘訓練の許可が下りたものだ。

 身体能力の暴力複数人や、まだみんな知らないだろうが一番やばい三奈ちゃん。

 そんな面子でいきなり戦闘訓練?

 死人が出るのでは?

 いや、ほかならぬオールマイトが来るどころかいるのだから問題ないともいえるのか。

 

「今日は市街地演習などではなく、屋内におけるヴィランとの戦闘を想定したものだ」

 

 オールマイトの説明が始まる。

 これといった大きな変更はなく感じた。

 前提としてヴィランとの戦闘は派手な屋外戦より室内で潜んでいるものとの戦闘が多いということ。

 それを踏まえ、行うのは2対2のヒーローとヴィランに分かれたチーム戦。

 ヴィランの隠し持つ核を奪取するか二人とも確保及び戦闘不能でヒーローの勝利。

 ヒーローを確保する、または核を守り切ることでヴィラン側の勝利。

 違うのはヒーローヴィランともに捕獲テープでの戦闘不能判定があることくらいだった。ヴィラン側にも捕獲テープが支給されるのはセメントス先生しかり、そういうことなのだろうか。

 

「今回は相手がロボではないこと、屋内であることがみそだ」

 

 そこまで言って、オールマイトの声音が今までの物から真剣なものに変わる。

 

「みんなは昨日、相澤先生が行った個性把握テストで素晴らしい力を示してくれたみたいだね。私も詳細を聞いたが、さすがだ。私もOBとして素晴らしい力を持った君たちがヒーローを目指して雄英に来てくれたこと、本当にうれしく思う」

 

 歓喜の声が上がる。

 が、それを遮ってオールマイトは続ける。

 

「しかし、だ。その素晴らしい力は、同時に大きな危険もはらんでいることを忘れてはいけない。そうさな……蒼軌少女」

 

「はい」

 

「君は昨日、いろんな種目で目を見張る力を示してくれたそうだが……その力を何も考えずヴィラン退治に用いればどうなると思う?」

 

「容易く殺してしまうと思います」

 

 おおよそ来ると思っていた質問。

 だからこそ、あえて最も強い言葉で返答する。

 殺す、というセリフに周囲の雰囲気が変わったのを感じる。

 まさか考えていなかったわけではないだろうが、今までロボットを壊したり力の限り使えばいい状況ばかりを経てここに立っているのだから、改めて言葉にされると思うところがあるということか。

 雄英のやり方が欠陥だということはできないだろう。

 どう考えてもこの世界の平均から逸脱した俺をして力不足を感じるクラスメイト。それが19人そろっていきなり入学してくるなど誰が想定できるか。

 本来ならこの授業の後にこの問答があるはずだが、みんなの強さは個性把握テストだけでもそんな危惧を抱かせるに十分なものだ。

 ここで活躍しようと考えていた手前、俺は都合のいい個性の力をフル活用し殺傷力を抑えた攻撃を多数考えている。コントロール次第では豆腐に聖剣をフルスイングしても任意の場所で刃を止めたり、表面だけの破壊でとどめられるほどに。

 同じように非殺傷を考慮しているクラスメイトもいるだろう。

 葉隠透のようにもとから破壊力とは別方向に吹っ飛んでいる個性持ちもいる。

 しかし、みんながみんなそうではないだろう。

 

「そうだ。ならばなぜ戦闘訓練からと思うだろうが、だからこそ、と私は言わせてもらう。このオールマイト(わたし)とセメントス先生が全力でバックアップする。まずはヴィランに、人に向けて個性を使うということの意味と難しさを身をもって体験し、覚えてほしい」

 

「うん。俺の個性は知っているかな? 【セメント】、今日みんなが訓練の場とするここは俺の力が最も発揮できる場だ。もちろん、事前に派手な破壊行為につながる行動――ビルを倒壊させるとかは禁止させてもらうが、必要以上に力を使うなとは言わない。そのうえでどう行動し、どう相手を無力化するかを考える。大変だろうけど、それを求められるのがヒーローというものさ」

 

 なるほど。

 雄英は緑谷が四肢骨折という大けがを負ってもその日のうちに治せるほどの力を持つリカバリーガールの存在もあり、割と無茶な課題を平然と出してくる傾向がある。

 巨大ヴィランだって下手すれば死人が出るものだ。

 そんな考えで無謀にもこれも試練だPlusUltra! と無茶苦茶な結論に至ったかと思ったがさすがにそんなことはなく。

 言って聞かせるよりも自分で経験し、体で覚えることで早々に理解させようということらしい。

 ほかならぬオールマイトの存在がこの無謀ともいえる戦闘訓練の開催に一役買っているのだろう。

 それに、すさまじい個性の持ち主どうしなら多少は力加減のミスもなんとかなる……か? 少なくとも一般的なヒーローなどよりは何とかなりそうではある。

 いろんな考えが交差しているのか、ざわつくもののこれといった意見は出てこない。

 

「いろいろ言ってすまなかったね。でも大丈夫! 私がいる! 全力で悩みたまえ!」

 

 励ましにしては雑だったが、そこはほかならぬオールマイト。

 それだけで多少みんなの雰囲気はましになった。

 たとえ今までのセリフがカンペをチラチラ見ていたとしても、だ。

 

「さぁ、チーム分けだ! チームを組んだ相手ともいろいろと相談してみるといい」

 

 

 

 

 

 

 

 

「よろしくお願いします」

 

「ああ、よろしく」

 

 俺のパートナーはまさかの心操人使だった。

 一応初日に少しだけ会話を交わした仲ではあるが、ベストコミュニケーションだったとはいいがたい。

 原作では普通科所属であった彼はコスチュームというものを持っていなかったが、今は違う。

 イメージとしては相澤先生が近いだろうか? 厳密にはそれほど似ているわけではないが、黒を基調としたシンプルなデザインと口元を覆っている姿がイレイザーヘッドの姿を浮かばせる。

 彼の場合下手に目立つわけにもいかないので、ヒーロー科に属した影響で相澤先生に個人的な師事を受ける予定はなくなっても、はからずしも似たような格好になったというところだろうか。

 師事を仰いでいるわけではないので捕縛布を巻いてはいないが、コスチュームを作るうえでいろいろ考えた結果なのかすでにあのマスク、ペルソナコード? だったか、も装備している。

 声を発して発動する個性だ、雄英で教えられなくても思いつくのは当然といえよう。

 

「前は悪かった」

 

「はい?」

 

 観察しつつ、どう作戦を相談したものかと考えていたらいきなり謝罪を受けた。

 八百万にしろよく謝罪を受ける日だ。

 気だるげな瞳、しかしどこか気まずそうなそれに、すぐさまその理由は思い当たった。

 

「小学生がどうのっていうやつですか?」

 

「ああ、女子にあの言い方はなかったと思ってな。容姿をバカにするようなあれはさすがに、な」

 

「気にしていませんよ。ああいった遠慮のない物言いはあまり経験がなかったのでむしろ新鮮でした」

 

 整った容姿にはデメリットもある。

 自衛手段には事欠かなかったので直接的な被害にあったことこそないが、こう、何とも言えない不快な雰囲気で近づいてくる輩は少なからずいるのだ。

 不快でなくても子ども扱いされることが多かった身、そこに遠慮のない言葉を浴びせたのが彼だ。

 人間結局ないものねだりなのだろう、自分に興味を必要以上に示さない人間というのも時には欲しくなるのだ。

 

「よかった。怒り心頭で作戦会議もできなかったらどうしようかと思ったからな」

 

「ご安心を、そうそう感情的になることはありませんよ」

 

 今は剣もあるしな。

 

「さて、作戦会議でしたか。何せ一回目ですからね、どんな感じでやったものでしょう」

 

「とりあえず、あんたもう何人かと仲良くなってただろう。相手の個性、わからないか」

 

「ふむ。葉隠透さんと、砂藤力道くん……あいにくどちらとも交流はないですね」

 

 戦闘訓練第一回、まさかの蒼軌聖・心操人使VS葉隠透・砂藤力道。こちらがヒーローだ。

 俺と心操というイレギュラーが固まったのでほかの面子や対戦相手はそのままかと思いきやそうではなかった。いや、厳密な組み合わせは覚えていないが、第一回がこの組み合わせである時点で今後も無茶苦茶だろう。緑谷と爆豪が敵対するかどうかも怪しい。

 それはともかく対戦相手の二人だが、一応単純強化されている感じなのでわからないではない、が。

 

「把握テストでの様子を見る限り、怖いのは葉隠透さんですかね。服やボールを透明にしていましたし、捕獲テープや核そのものを消されたらそれだけで厄介です」

 

「そうか? 砂藤力道? だったか、あのバカ力のほうが……あんたも似たようなもんだったな」

 

「おや、さっき謝ったばかりなのにもう同じ過ちですか」

 

「褒めてるんだよ」

 

 砂藤力道はいいのだ、バカ力だが、それは対応できる。見た感じ砂糖は必要なままのようだし、純粋な身体能力強化なら聖剣が負けているとは思えない。

 問題はデメリットが消えたせいでばかげた強化をされているらしい葉隠透だ。

 自分以外も透明にするとかそれはだめだろう。どう対応しろってんだ。小麦粉でもぶち撒きながら戦えというのか。あいにくそんなピンポイントな物資は持ってないぞ。

 それにパートナーが厄介だ。敵も、味方も。

 ビルを破壊しないように、とくぎを刺されたのでまさか全力で殴りかかっては来ないだろうが、砂藤力道が大暴れしながら向かってくる隙に葉隠透に隠密キル(捕縛テープ)されるのが一番怖い。

 俺一人ならば個性で自分を天井に固定して立っていればいいが、決して機動力があるとは言えない心操人使を守る必要もある。

 身体能力が増強なしにしては高いようだが、砂藤力道にしてみればないも同然。

 ヒーローとしても友人になるクラスメイトとしても、守りもせず彼に早々に脱落してもらって一人でやるというのはよろしくないだろう。

 

「そうなるとこちらの個性をどう生かすかですね」

 

「ああ。あんたの個性は……なんだ。増強系、でいいのか」

 

「万能です」

 

「は?」

 

 胸を張って説明してやる。

 予想通り表情が曇っていく様は、昼に体験したとはいえ、多少気分がいいものだ。

 

「……えげつないな」

 

「そうでしょうそうでしょう。私の聖剣は万能ですよ」

 

「万能なら葉隠透も怖くないんじゃないか? 全部あんたに任せるよ」

 

「――まぁ万能とはいえまだ対人は経験不足です。慢心はよくありません、うん」

 

 聖剣探ったら透明看破とかサーモグラフィとかないだろうか。

 隠された力、みたいな。

 感覚を強化すればいけないこともないだろうが、完全不可視を増産できるかもしれない相手はさすがにね。

 

「そんなわけであなたにも大いに活躍していただきましょう。心操君、あなたの個性は?」

 

「………」

 

「………」

 

 気持ちはわかる、わかるが言ってくれないと反応できない。

 時間もない、あえて気が付かないふりをして先を促す。

 

「どうかしたんですか?」

 

「俺の個性は……【洗脳】だ。あんたや、ほかのクラスメイトみたいにいいもんじゃない」

 

 言いづらそうに、目をそらしながら彼は言う。

 予想はしていたが、ヒーロー科に入れるほどには強化されているらしい彼は当然、そのいわれのない悪意も変わりなく向けられているらしい。

 

「洗脳ですか、てっきり増強系かと思っていましたけど」

 

「自分を洗脳したんだ。人間は普段から全力を出しているわけじゃないって話聞いたことないか。あれを無理やり引き出しているんだ」

 

「そんな使い方ができるんですか? すごいじゃないですか」

 

「……洗脳だぞ」

 

 嫌味のように聞こえたのだろうか。

 彼は呆れたように、なにをいってるんだと皮肉った笑みを浮かべる。

 

「相手を操って、好きにできる。それが洗脳だ。よく言われるよ、悪いことし放題だなって。ヴィランみたいな個性だなって」

 

「それは何とも想像力のない発言ですね。むしろ誰よりもヒーロー向きといえるのでは」

 

「はっ、何言ってんだ。ヒーロー向き? あんたに俺の何が――」

 

「だってあなたはヒーローを目指しているから雄英(ここ)にいるんでしょう?」

 

 彼の過去や人柄を知っているからの発言ともいえるが、しかしご機嫌取りのための言葉ではない。

 

「正直なところ個性にヒーローもヴィランもないんですよ。私の聖剣だって見方によっては人間を切り伏せられる刃物をどこからでも取り出せて、光だって人知れず人間の体内に侵入させて内臓ぐちゃぐちゃに引っ掻き回せます。盗みから猟奇殺人まで遠隔で、証拠も残さず行えるヴィラン向きの個性ともいえます」

 

 前々から思っていたことだし、何より彼がヒーローを目指している時点で当然の考えだ。

 

「相手を好き放題できる洗脳? つまり私がいくら剣を振り回しても倒せないかもしれない強力なヴィランを一瞬で無力化することもできる、今回で言えば周りへの被害ゼロで相手を圧倒できる――ヒーローに求められる、被害を出さず迅速にヴィランを無力化できる素晴らしい個性じゃないですか」

 

 最後まで彼から目を離さずに言い切った。

 ヒーロー向きだ、といった時彼は鋭い目でこちらをにらんできた。

 さんざん悪意のある言葉を向けられて生きてきて、クラスメイトとはいえ初対面と言って差し支えない人間にあっさりヒーロー向きだなんて言われてもばかにされていると思うのは当然だ。

 ごまかすようにまくしたてたはいいが、さて、なんとまとめたものか。

 

「つまり……ヴィラン向きだヒーロー向きだなんて所詮は他人の評価。雄英に入学したエリート、その言葉に俺もだと心操君言ったじゃないですか。目指しているのなら――実力で実績で、在り方で結果で、私たちがなんであるかを示してやろうではないですか」

 

「…………」

 

 努めて何でもないように言う俺を見る心操の目からは、少なくとも怒りは薄れたように見える。

 どうだ、やらかしたか、やったか。

 ごまかすように、ね? と首傾げてみせると、ようやく彼はため息をはいて口を開いた。

 

「さすがは雄英、か。あんたみたいに洗脳と聞いて真っ先にヒーローとしての有効活用方法を考えるやつなんて初めてだよ」

 

「他人の考え方なんてそんなものですよ。場所によって変わるものです」

 

「そうなのかもな。それに、実力で俺が何を目指しているのか示してやるって考えは……悪くない」

 

 どうやら険悪な雰囲気になるのは避けられたようだ。

 本来なら緑谷との戦いの末、その思いと頑張りが普通科のクラスメイトとプロヒーロー等に伝わり認められることで改めてヒーローになるという決意を固めていたはず。

 俺の言葉など大したものではないだろうが、少なくとも変な方向に歪ませてしまうことがなくてよかった。

 

「とりあえずはこの訓練で勝つのが第一目標だな。俺の個性も詳しく話す、勝つぞ」

 

「ええ、もとよりそのつもりです」

 

 気だるげな瞳に闘志が宿る。

 今までと違ったやる気に満ちた表情でシニカルに笑う彼に、頼むから攻略法の思いつかないとんでも個性であらないでくれと祈りつつ、俺は洗脳の詳細説明を促した。




心操君について変更があります
ここで書くのはあれかと思ったので活動報告のほうで書かせていただいていますので良ければ読んでいただけたら幸いです

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