お前ら人間じゃねぇ!   作:四季織

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第八話

「蒼軌さん、見た目通りといえば見た目通りですけど……それだけで足りるんですの?」

 

 雄英高校入学二日目。

 昨日は初っ端から化け物カーニバルである意味雄英らしいといえる規格外の初日だったのに対し、二日目の今日は今のところいたって普通の学校生活を送っていた。

 登校した瞬間出会い頭に三奈ちゃんにタックルをくらわされ吹っ飛んだ以外は何事もない午前中だった。

 当然だが特に当たり障りないテンションで授業を行うプレゼントマイクには知っていたこととはいえ違和感があったが、いくら彼でも年中あのメディア向けのテンションで居ることは厳しいだろう。

 それにしても勉学への不安のない学生生活のなんと楽なことか。

 昨日は少々自身に自信を持てなかった初日であったが、こうした地味な場面でちょくちょく自らの恵まれ具合を思い出す。初日とはいえ雄英ヒーロー科、勉学もそれなりのレベルを求められたが、特に苦労する場面はなかった。

 

「ええ。まぁ普段はもう少し食べるんですけどね、今日はちょっとおなかが……」

 

 そんなこんなで迎えた昼食の時間。

 せっかく雄英に来たのだからランチラッシュが振舞ってくれる料理を食べよう、と三奈ちゃんに誘われ学食に来ている。

 最初はそこに切島を加え3人の予定だったが、教室を出る直前に意外な人物から声をかけられた。

 八百万百。

 昨日ふざけた身体能力を持った化け物だらけの体力テストの中、増強系の個性を持たずに一桁台に食い込んだ推薦入学者。

 地味に俺を含めほか二人より身長が大きく、口調の端々から漏れ出すお嬢様オーラからか近づくものも無く午前中クラスメイト達と話している様子のなかった彼女が1-A屈指のやかましさを持つ二人のいるこのグループに声をかけてくるのは意外だった。

 俺? 俺はどう見ても小さくて可愛らしいマスコット枠だろう。

 物語としてみていた時のクラス内での友好関係などは詳しくないが、イメージではないのは確かだ。

 だがそんな彼女の次の一言で声をかけてきた理由に、

 

 ――昨日創造して放置してしまった物を片付けてくれたのがお二人だと聞きまして。

 

 なるほど、と。納得がいった。

 謝罪と感謝を受け取り、こちらもほとんど三奈ちゃんがやったのだと説明した。

 ど天然オッパイとか言って申し訳ねぇ、普通に常識あったわ。

 そういえば昨日三奈ちゃんと午後に青春するに至った経緯はそれが始まりだったな。

 そのままどうせならと昼食に誘い、今に至っている。

 

「へー、蒼軌は環境の変化で体調を崩すタイプか」

 

「いえ、食べすぎですね。昨日ケーキをたらふくおなかに詰め込みまして」

 

「聖ちゃん大食いじゃなかったの?」

 

「普通に小食ですね。あと甘いものも特に好きじゃないです」

 

「ならなぜそんな無茶なことをしたんですの?」

 

「体づくりを本格的にしなきゃなって」

 

 本当のところは只のやけ食いだったのだが。

 

「あれだけの個性持っててさらに鍛えるとは漢だな!」

 

「余計なこと言っちゃだめだよ! 昨日危うくムキムキになりかけたんだから!」

 

「何があったんだ……?」

 

 いやあれは正気じゃなかったというか。

 よくよく考えればこの容姿でその選択はないだろうと思うのだが、なぜだか知らんがあの時はこれだ! って思ったね。

 あの時羽交い絞めにして引きずり戻してくれた三奈ちゃんには感謝しかない。

 俺の目の前にあるのはおにぎりセットだった。

 本来は麺類などと一緒に頼むようなサイドメニューなのだが、今の俺にはこれで十分だ。

 バランスの取れたサラダなどを含めた鮭定食の三奈ちゃん、かつ丼とラーメンとでかいあんパンを頼んだ切島に比べれば確かに八百万の心配もわからなくはない。彼女自身は学食を利用する予定がなかったとのことで、三奈ちゃんと同じものを頼んでいた。個性の影響か量は多めなのでなおさらだ。

 そういえば切島は入学2日目にして女子3人と昼食を共にしているのか、リア充だな。

 

「蒼軌さんの個性は昨日拝見しましたが……とにかくいろいろできる、ということくらいしか分かりませんでしたわ。どのような個性ですの?」

 

「八百万さんにだけは言われたくないセリフですね」

 

「そうだよ! 八百万……さんの個性もいろいろ作っててすごかった!」

 

「さん、はいりませんわ。どうぞ気楽に呼んでください」

 

「じゃあヤオモモだ!」

 

「や、ヤオモモ……?」

 

 いや早いなあだ名付くの。

 さすがコミュニケーション能力お化け。

 

「二人の個性は派手だもんなぁ、うらやましいぜ」

 

「うんうん! でもすごすぎていまいちピンとこないっていうか……、実際のところどんな個性なの?」

 

「「…………」」

 

 八百万と目を見合わせる。

 【聖剣】はネタバレしたところで優位性を欠くものではないので説明してもいいが、せっかくの機会なのでここは彼女の個性の詳細を聞いておきたい。

 アイコンタクトでお先にどうぞ、と送る。

 そうですか、と八百万は咳ばらいを一つ。食事の手を止め、説明する体制になった。

 さすが感動シーンごっこをした仲だ、理解が早くて助かる。

 

「では私から。私の個性は【創造】、文字通りあらゆる物を創り出す事ができる個性ですわ」

 

「すっご! 何でもって、何でも!? 最強じゃん!」

 

「すさまじいですね。どう見ても身体の体積を無視したものを結構な早さで作り出してましたし」

 

「そうですわね、一度作ったことがあるものでしたらすぐに取り出せますし、数や量も無限に作り出せるというわけではありませんけれど、作成時に特に不自由したことはありませんわ」

 

「で、デメリットはないんですか?」

 

「もちろん制限はあります。生き物は無理ですし、作成するには対象物の分子構造まで理解する必要がありますから」

 

「それだけですか……質量はいったいどこから?」

 

「わかりませんわ」

 

 わかりませんってあんた。

 いや俺の聖剣だってどこから出てきてるのか光は何でできてるのかわからんけども。

 ほぼ彼女に与えられていた弱点と呼べるすべてがなくなっている。

 生物まで作り出せるとか見ただけで作れるとか言い出したらどうしようかと思ったがさすがにそれはないらしい。

 俺やらエリちゃん然り物理現象に喧嘩売る個性がないわけではないが、強すぎるだろう。

 彼女自身の知識量がどれほどかはわからないが、場合によっては万能の称号をかっさらわれかねない。

 やけにためらいなく話すと思ったら、俺と同じ詳細を聞いても欠点が明確でないタイプになっていたのか。

 

「創造かぁ……蒼軌もそっち系の個性なのか? たしかテスト中どこからか剣出してたよな」

 

「あ、そうそう。一番気になってた、ずっと剣握ってたよね」

 

 おっと、もう俺のターンか。

 もう少しヤオモモの個性について知りたかったが、まぁいい強化しなきゃならん理由が増えただけだ。

 

「いいえ、創造とは違います。私の個性は【聖剣】。剣の召喚は付属的なものと言いますか」

 

「聖剣……? 見た目通りではありますけれど」

 

「それだけじゃわかんないね」

 

「よく言われます」

 

 幾度となく帰ってきたその反応は、もはやお約束ともいえる。

 そして次の反応もまたお約束といえた。

 剣を持つことで得られる効果、その説明を続けていく間、彼女らの表情は何とも言えないものになっていくのだ。

 

「何でもありかよ」

 

 率直な反応どうも切島。

 

「一体いくつの効果がありますの……、1つの個性がそれほど多岐の能力を保有しているなんて聞いたことがありませんわ」

 

「いろいろしてるとは思ったけど、すごい個性なんだね!」

 

 欲しかった反応、求めていた反応ではあるが……。

 正直あまり心が躍らない。

 なにせ俺以上がゴロゴロいるクラスだ。そしてその中でも同じ万能たり得る個性である創造を持つ八百万と、不可侵だと思われた俺の剣を破壊しうる三奈ちゃん、そして多分想像を絶するほどに硬い切島。

 今はうれしいというよりどうしたら彼女らを圧倒できるかで頭がいっぱいだった。

 

「ありがとうございます。まぁ弱点もありますけどね」

 

「どんな?」

 

「秘密です。それよりいいんですか、時間」

 

 と、そこまで口にして。

 俺の一言に思ったより時間がたっていたことに気が付いたようで、慌てたように食事を再開する3人。

 俺はおにぎりなので、お茶で流し込んでみんなが食べ終わるのを待つ。

 別に時間ギリギリというわけではない。

 それでも、少し早めに食事を終えておかねばならない理由があるのだ。

 なにせ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わーたーしーがー! 普通にドアから来た!」

 

 午後。

 静まり返っていた教室にそんな声が響いた。

 響いた瞬間、静寂は驚愕と歓喜の声に変る。

 当然だろう、原因が彼の到来を今か今かと待っていたせいなのだ。

 オールマイト。

 No.1ヒーローにして平和の象徴。そんじょそこらの芸能人など足元にも及ばない超有名人にして、ヒーローを目指す人間のあこがれにして目指す場所。

 

「すげぇや! 本当に先生やってるんだな!」

 

「あれシルバーエイジのコスチュームね」

 

「画風違い過ぎて鳥肌が…」

 

 カラフルな色合いでその鍛え抜かれた肉体を強調するスーツとたなびくマント。

 ヒーローの到達点がこれでもかというほどヒーローらしい衣服に身を包んだ姿は、俺でもが心躍る。

 こればかりはどんな個性を持っていても変わらないのか、クラス全体のざわめきは想像通りだった。

 あの心操ですら普段眠そうで不機嫌そうな顔に笑顔を浮かべているくらいだ。

 画風が違う画風が違うといわれていたが、こうして実物を目にすると確かに彼の姿はそうとしか表現できないものがある。

 とてもじゃないがこれで服の下はあのえぐい傷跡が刻まれているとは思えない。

 

「私の担当はヒーロー基礎学。ヒーローの素地を作るためさまざまな訓練を行う科目だ」

 

 派手で仰々しい動作は、しかしその威圧感と存在感に後押しされるように1つ1つが美しくかっこよく見える。

 割と情けない姿をすることも知っているが、やはりNo.1。

 未来のヒーローである雄英の生徒を前に、ヒーローとはこうあるべきというものを見せてくれる。

 

「早速だが今日はこれ! 戦闘訓練!」

 

 ざわめきが一層大きくなる。

 ここからは見えないが、ヴィラン顔で笑う爆豪の顔が目に浮かぶようだ。

 かくいう俺も、今回こそはと気合を入れる。

 さんざん困惑させられてばかりだったが、ケーキのやけ食いからの夜は精神統一も行った。

 

 初めての戦闘訓練。

 

 これもまた、昔からアピールの場として考えていた場だが今はそんな考えを持つことはできない。

 俺もまた学び鍛え成長を目指す1生徒としてこの授業に向かうのだ。

 

「そしてそいつに伴ってぇ……こちら! 入学前に送ってもらった個性届と要望に沿ってあつらえた、戦闘服(コスチューム)!」

 

 おおお! とさらにクラス内のざわめきレベルが一段階上がる。

 オールマイトが手元のスイッチを操作すれば一部色が変わっていた教室の壁がせり出し、数字の振られたケースが20個現れる。

 無駄に凝った演出。

 とはいえただのかっこつけではなく、一応ヒーローが纏うコスチュームはデザインがどうであれそれなりのお金と技術がつぎ込まれた高級品だ。学生の身では自分の判断で着ることは許可されず、その収納場所が厳重になるのも仕方のないもの。

 俺はせっかくだからと割と凝ったデザインで頼んだが、一体どんな仕上がりになっていることやら。

 順に呼ばれ、それぞれが自分の出席番号の書かれたケースを手にすれば、それを開け身にまとう瞬間が待ちきれないとばかりに皆ケースを大事そうに抱える。

 

「みんな間違えずに持ったな? 着替えたら順次、グラウンド・βに集まるんだ!」

 

 

 

 

 ところ変わって更衣室。ケースを開きコスチュームを取り出す。

 いくつになっても自分専用という響きはいいものだ。

 肉体に引っ張られているのか肉体通りの生活に準じているせいか、そこまで肉体と実年齢が乖離している自覚はないが。

 肉体と乖離しているといえば、そう言えば俺は元男だということを最近よく失念する。

 最初こそ異性の肉体にいろいろ思うところはあったし、自分の新しい体をいろいろ観察はしたが……覚醒した時点で4年間は女性として生きていたせいか、肉体が幼かったせいか小学生半ばに差し掛かるころには何も感じなくなっていた。

 TSにありがちなイベントをほぼ体験しなかったといってもいい。

 もったいないと思うべきか、欲望が強すぎて変な方向へと人生踏み間違えなくてよかったと思うべきか。

 そんなわけで、今の状況にも特に何の疑問なく順応している。

 クラスメイトの女子たちと同じ更衣室で着替えているという状況に。

 

 ちらりと目を向ければ、今ばかりは俺に目を向けもせず自分のコスチュームをいろいろと観察している三奈ちゃんがいた。下着姿のまま観察を始めるのはいかがなものと思う。

 まだら模様のコンビネゾンにファー付きのベスト。コスチュームというには割とラフな格好だが、個性の能力的に何を着ていてもあまり変わらないのだろう。

 

 隣にはすでに半分着終わっている麗日お茶子。パツパツスーツんなった、とは彼女の言だが、なるほど確かにあれはパツパツスーツだ。何を思ってどうデザインしたのだろうか。重力を操る次元にいる彼女だが、デザインセンスは特に変化しなかったらしい。

 

 まぁさらにその横、ヤオモモに比べればかわいいものだろう。

 超露出過多といえる真っ赤なハイレグレオタード、前面にへそ下まで腕二本は入りそうなほどにがっつり露出しており生で見るとなかなか……。こう、欲望とは別の意味で目のやり場に困る。スタイルが崩れたら一瞬で着られなくなるので自分を律する意味ではあり、と言えるのでは? うん。

 

 変わって蛙吹梅雨。

 緑を基調とした水中戦想定のボディスーツに、大き目のグローブとゴーグル。一転これでもかと露出を抑えたコスチュームにはもはや安心感すら覚える。まだ交流はないが、そのうちは彼女とも仲良くなりたいものだ。

 

 そして地味に気になっていた葉隠透。把握テストでのやり取りから見るに全裸にならずとも透明になれる、自分以外の物も透明にできるらしい彼女は思い切りコスチュームが変わっていた。

 黒を基調としたまるでスパイ映画の女スパイが着ているような真っ黒い全身スーツ。足には頑丈そうなブーツをはいており、腰には細々とした何か……スタンガンやらなんやら非殺傷の鎮圧を目的とした武器らしきものが並んでいる。素っ裸に手袋と靴とかいう正気を疑うそれではない。制服の形で知ってはいたが、意外といいスタイルをしている彼女には似合っている。

 スタイリッシュなその格好は人気が出そうだ。

 少しだけ残念な気もするが。

 しかし頭部分が何もないのでこう、スパイ以外の何物でもない恰好をしているのにバイクに乗って鎌とか振り回してそうなイメージが。なんていったかなぁ、あの作品は。

 

 なんかボディースーツ率高くない?

 今更ながら、知っていたとはいえそう思う。

 プロでも割とボディスーツ着用率高いんだよなぁ女性ヒーロー。

 

 そんな流れに真っ向から逆らう俺のコスチュームはいわゆる騎士をイメージしたものだ。

 【聖剣】なんて個性を持った時点でボディスーツは合わないだろう。着たくはないが。

 いわゆる女騎士風ではあるが、くっ殺を思わせる守りたいのか襲われたいのかわからない肌を露出しつつ胸元だけ鎧を着ているようなばかげた格好ではない。誰があんな格好して戦うか。見るならともかく自分で着るのはごめん被る。

 バトルドレスとでもいうのだろうか。お姫様のドレスを思わせる真っ白なドレスでありながら戦闘服を意識したデザイン。ロングスカートではあるが、その下はきっちり着ているし露出もない。腰回りに無駄に垂れ下がった無骨なベルトがいいアクセントになっている。

 とはいえすべてのベルトが飾りというわけではなく、うまい具合に重ね合わせると聖剣が収まるようになっている。後ろ腰に斜めに納刀する感じだ。

 そこに防具として足に股当、脛当、鉄靴を。腕に手甲を。胸部に胸当を。それぞれ装備している。いずれも漆黒に着色され、白いドレスとのモノクロのコントラストが大変俺好みだ。

 好みもあるが、これは俺の白い髪と黒い目にちなんだカラーリングだ。イメージカラーの確立はヒーローとして活躍するうえでいろいろと役立つ。

 グッズとかアイテムとか。

 気が早い? こちとら12年前から高校生活のことをメインに考えてきたんだ、ヒーローになった後も考えているのは当然だ。

 そして最後に大きめの黒のリボンで髪をポニーテイルにまとめれば俺のヒーローとしての姿は完成する。

 

 いやぁ、とはいえケースにぎっしり詰められた各種パーツ。着るのは一苦労だな。

 もう少しシンプルなデザインも考える必要があるだろうか。

 そう例えば最後の一人、耳郎響香のような――

 

「!? な、なんでしょうか、耳郎、さん……?」

 

 びっくりした。

 あのシンプルイズベストと言わんばかりのコスチュームを見ようと耳郎響香に目を向けようとしたら、その彼女が目の前に立っていたのだ。

 女子高生として一般的な身長である彼女だが、俺からすれば見上げる形になる。

 目つきが鋭いほうなのはしっているが、割と怖い……いや、真剣な目で見降ろされると威圧感がある。いくら着替え途中のスポブラ姿とはいえ、だ。

 

「…………」

 

「えっと……?」

 

 まさか俺の視線に邪なものが混ざっていたとでも言いたいのだろうか、無言で見つめられる。

 まさかそんなことはあるまい。

 こちらもキャミソールと下着というあれな姿なので何か用なら早く言ってもらいたいものだが。

 

「わかる」

 

「……はい?」

 

 ポン、と肩に手を置かれる。

 何がわかるというのか。

 俺には全然わからない。

 

「大丈夫、ウチらだってこれからだよ。ウチらにだってああなる未来があるはず」

 

「…………」

 

 視線が下に。

 小学生時代から使っている少しよれたキャミソール……の下。

 そこだけ切り抜けば男子小学生と見分けがつかないだろうといわれた経験もある俺の絶壁に彼女の目が移り、次に俺がさっきしていたようにこっそりとほかの女子たちを見渡す。

 なるほどね。

 俺が自分の貧相な体と高校生になったばっかりにしては発育のいい同級生を見比べて嘆いていたと思ったわけだ。

 それで、わかる、と。

 なるほど確かに耳郎響香という少女は俺ほどではないが女性的魅力に乏しい体をしている。本来俺はいないはずなので、彼女の味方はこのクラスにはいないはずだったのだ。

 気にしていると思われる場面の描写も覚えがある。

 そんなところに彼女よりさらに成長の乏しい体を持つ俺がいれば声をかけてくるのも道理というもの。

 

「そうですね、我々の未来は無限大です」

 

「……! そうだよね、無限大だよね! あんたとは仲良くなれそう!」

 

「はい。仲良くしましょう、今後とも、末永く」

 

「うん! あ、ウチ耳郎響香。好きに呼んでくれていいよ」

 

「蒼軌聖です。聖と呼んでください、響香ちゃん」

 

 がしりと握手を交わす。

 なんという友情の結び方だろうか。

 別段俺は自身の体に劣等感を抱いたことはないが、彼女がそれを求めてくるというなら断ることもなし。

 新たな友達と今後の健闘を祈りあう。

 ついでに今度服でも一緒に見に行こうといわれた。

 ヒーロー科のみんなはコミュニケーション能力がずば抜けてるわ、すごい勢いで距離詰めてくる。

 まぁ仲良くなれたことには変わりないのだ。

 多分響香ちゃんもぶっ飛んだ個性の持ち主ではあるのだろうが、胸の大きさ一つ、同志の一人でああもうれしそうな笑顔を浮かべる姿は可愛らしい少女そのものだ。

 

 新しい友も得たことだ、より気合を入れて戦闘訓練に臨むとしよう。

 そうして、俺はパズルじみたコスチュームを引っ張り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「聖、アンタこれ次回から自分で着れる?」

 

「た、多分」

 

「……ま、しばらくはウチが手伝ってあげるよ」

 

 悲しいかな。

 結局着れなかったので新しい友達に早速手伝いを依頼することになった。




TS要素を生かしきれてない感

主人公のコスチュームイメージできましたかね?

くっ殺女騎士に対していろいろ言わせましたが、くっ殺を愛してやまない方がいたら申し訳ない

ご感想はすべて読ませてもらっています
なるほどと思うものや思わず笑ってしまうものまでいろんな感想があってとても楽しませていただいています
平日は返している余裕がなく最近は滞っていますが、時を見て返していこうと思っていますので今後ともいただけたらうれしいです

ここで一言言わせていただけるなら、みんな筋肉好きだなって
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