ゲーム開始から三日が経過し、現在のタッツンのステータスはこうだ。
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NAME:タッツン
Lv.15
HP:75
MP:139《+15》
STR:23
VIT:21《+6》
AGI:33
DEX:37《+15》
INT:12《+7》
装備
頭:レザーハット
胴:革の鎧
右手:アイアンショット《DEX+15》
左手:装備不可
足:革のズボン
靴:アイアンシューズ
装飾品:フォレストクインビーの指輪《VIT+6》
ゴーグル《INT+7、MP+15》
スキル:【属性弾・火】【属性弾・水】
【属性弾・風】【属性弾・岩】
【属性弾・光】【属性弾・闇】
【パワーアックス】
【パワースマッシュ】【バーンスマッシュ】
【狙撃手】【鷹の目】【気配察知Ⅲ】
【気配遮断Ⅲ】【体術Ⅲ】
【リロードⅣ】【静音Ⅱ】
【両手銃の心得Ⅲ】【片手銃の心得Ⅱ】
【斧の心得Ⅰ】【棍棒の心得Ⅰ】
【一撃必殺】【採掘Ⅱ】【採取Ⅱ】
【料理Ⅳ】【麻痺耐性・小】
【毒耐性・小】
【武具達人】【跳躍Ⅰ】
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スキル【一撃必殺】は低確率でクリティカル率とクリティカル威力を三倍にするスキル。取得条件は同じ場所を一ミリのズレも無く射ち続けること。タッツンはこれをそこら辺に生えている木を射ち続けることで取得した。
……さて、それよりも注目するべきなのは他のスキル。このステータスを見て、多くの者は『何故銃使いなのに斧や体術系のスキルを持ってるの?』と疑問符を浮かべるだろう。実は彼、両手銃以外にも斧や片手銃、体術で戦っているのだ。
事の始まりは数日前、モンスターを狩っている途中にMPを切らしたタッツンは回復ポーションを持っていなかった為、弾切れになった長銃を棍棒代わりにして狩り続けてみた所、スキル【棍棒の心得Ⅰ】を取得。それ以降、タッツンは両手銃をメインに、斧、片手銃、棍棒を状況に応じて使い分けるようになったのだ。
それによりゲットしたスキルが【武具達人】。武器によってステータスのどれかに50%の補正がかかるという、名前はともかく便利なスキルだ。
そんなスキルを手に入れた彼は今日もモンスターを狩りに行くために、街中にある生産職プレイヤーの店を訪れていた。
「イズさん、いますか~?」
「いるわよ。今日はどうかしたの?」
カウンターの奥から蒼い長髪の女性プレイヤー『イズ』が姿を現す。
タッツンは斧のメンテを頼みたいとストレージから自分が使っている『アイアンアックス』を取り出した。
「オッケー。ついでだし、銃のメンテもする?」
「なら、お言葉に甘えて。今日は北東の森を散策するつもりなんで念入りにお願いします」
「だいたい5分くらいで終わると思うから」
タッツンから武器一式とドーナッツを受け取り、メンテに取りかかるイズ。待ち時間の間、タッツンはイズとお喋りをすることにした。
「そう言えば、妹さんとは仲直り出来たの?」
「何とか。一週間一緒に寝るのと今度の休み、デートに連れていくので許して貰えました」
「ちょっと待って? 一緒に寝る? 妹さん、今幾つ?」
「俺と一つ違いですけど?」
「……ごめんなさい。ちょっとゲームをログアウトするわ。警察に貴方の事を通報しなくちゃ」
「なんでッ!?」
「冗談よ、冗談。でも、年頃の兄妹が一緒に寝るのっておかしくないかしら? まさかとは思うけど、手を出したりしてないわよね?」
「手を出す? いやいや。俺たちは普通の兄妹ですよ。そんな漫画みたいな展開あるわけ無いですよ」
「普通の兄妹なら一緒に寝ないと思うわよ……と。はい。メンテ終わり」
「ありがとうございます。これ、代金と新作のドーナッツです」
「あら~美味しそうじゃない。どうせなら店でも開いちゃえば?」
「一応考えてますよ。それじゃあ、行ってきます」
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静かな森の中で乾いた音が響くと同時にモンスターが撃破される。立て続けに鳴り響く音に比例して、次々と撃破されるモンスターたち。音源はただ一人、二丁拳銃で舞うように引き金を引き続ける。
「これで最後……ッ!」
タッツンの放った弾丸が蜂の頭部を撃ち抜き、蜂はエフェクトとなって姿を消す。【気配察知Ⅲ】で周りのモンスターを一掃したことを確認した彼は二丁拳銃を仕舞い、再び森の奥へ進み始めた。
(やっぱりソロだとキツいな。パーティー組んでもいいけど、不遇扱いの銃使いと組むような物好きは居ないか)
別に寂しいって訳じゃ無いんだからね、と誰に需要があるかもわからない言い訳をしながらタッツンは歩み続けるが、
────ズボボォッ!
「は───はにゃあああああああッ!!?」
突如出現した謎の落とし穴。彼は回避することも出来ずにそのまま穴の底へと落ちていった。
一分程経っただろうか? 何とか着地に成功……という訳にも行かず、頭から落ちて犬◯家のように腰から下を残して地面に突き刺さってしまい、何とか脱出に成功したタッツンは現状を確認する。
「いつつ……何処だ、ここ?」
遥か上に見えるのは自分が落ちたと思われる穴。自身のすぐ横には、明らかに怪しげな一本の横穴があるだけ。
「跳躍を使いながら壁を蹴って上るって方法もあるけど、先にMPが尽きるな……仕方ない。こっちに行くか」
何が出てきても良いようにストレージからアイアンメイスとバックラーを装備し、横穴の奥に進んでいく。だが、どういう訳か、モンスターが現れる事は無く、暫く歩いた所で大きな扉が姿を現した。
「……まさか、ボス部屋?」
いやいや。そんなまさか、とマップで自分の現在地を確認してみるのだが、そこは紛れもなく立派なダンジョンだった。
「《戦虎の洞穴》ねぇ。情報が一切無いってことは新発見のダンジョンかッ!?」
それが分かった瞬間、誰もクリアしていない未知の存在にタッツンの気分は高揚する。クリア出来れば、ユニーク装備が手に入る確率が高い。
すぐさま武器やHP、MPをチェック。問題ない事を確認し、武器をメイスから両手銃に変更。意を決して扉を開ける。
そこは何もない空間だった。あるのは四方を囲む岩壁と洞窟の暗闇を照らす光る苔。自分の考えすぎだったか? そう思ったタッツンが前に一歩進んだ……その瞬間だった。
突如として、部屋の中心に巨大な火柱が立ち上がる。その火柱の中でソイツは鋭い眼光を見せ、雄叫びを上げた。ガキンッと牙を鳴らし、猛虎は焔を払い、その姿を見せた。
焔を携えた尾。苔の光を反射する美しい毛並みとその身を守る蒼の鎧。凛々しく、雄々しく輝く黄金の双角。その眼光は正しく戦国の世を駆け抜けた武将の如し。
初めて対峙するボスモンスターに額から冷や汗が流れるのが感じる。それほどまでに、そのボス……『戦国猛虎』の迫力は凄まじい物だった。
「これ、初心者が挑んでいいダンジョンじゃないだろ……ッ!」
だが、逃げはしない。
タッツンが武器を構えれば、戦国猛虎は雄叫びを上げ、襲い掛かってくる。今まさに戦いの火蓋が切って落とされたのだ。
虎のモンスター……『戦国猛虎』は雄叫びを上げ、タッツンに襲いかかった。
【跳躍Ⅰ】を使い、横に飛んで回避したタッツンは挨拶代わりに引き金を引く。放たれた銃弾はまっすぐ戦国猛虎に命中するが、表示されているHPバーは8ミリ程しか減っていない。
「だったら──【属性弾・水】ッ!」
火には水。その考えから放たれた水属性の弾丸は僅かとはいえ、先程の弾よりも十分な効果を見せた。
「MPポーションもあるし、このまま押しきれたらいいんだけど───」
だが、現実はそう甘くはない。戦国猛虎の双角に稲妻が走り、次の瞬間、タッツンに向かって雷炎が放たれた。タッツンは先程と同様、【跳躍Ⅰ】を使い右に飛ぶのだが、それを読まれていたのか、戦国猛虎の鋭利な爪がタッツンを襲った。
「が───ッ!?」
ガクッと減っていくHP。何とか体勢を建て直したタッツンはすぐさまHPポーションで回復し、武器を斧に変更。【武具達人】によりSTRに50%の補正が掛かった。
またも飛び掛かってくる戦国猛虎。タッツンはその動きに合わせて体を捻り、上手く懐に入り込むとカウンターとして大斧の一撃を腹に容赦なく繰り出した。
「お返しだッ! 【パワーアックス】ッ!」
強力な一撃が戦国猛虎の防御の薄い場所に命中し、HPを先程の2倍ほど削る。怒ったのか、戦国猛虎は雄叫びを上げ、雷炎を乱射。タッツンは武器を二丁拳銃に変更して、AGIに補正。上昇したスピードで雷炎の隙間を縫うようにかわし、【属性弾・水】を戦国猛虎に数発撃ち込む。両手銃程の攻撃力は無いにせよ、連射性はこちらが上。先程よりも早いペースでHPが削れていくのを確認出来る。
「ボスだから結構ヤバいのを覚悟してたけど……」
実際に戦ってみれば、予備動作が大きく、動きもそこまで早くは無い。攻撃力は高いが、それさえ気を付ければ十分対処できる。強い事には強いが、それでもボスと呼べるほどではない。
その事から考えられる可能性はいくつかある。
単純に弱いモンスターなのか。
本当はボスではなく、真のボスモンスターが奥で待ち構えているのか。
それとも───
「出来ればその可能性だけは無いと思いたいんだけど───」
だがしかし、そんな時に限って物事は当人の起こってほしくないと願う方向に進んでいく。
戦国猛虎が雄叫びを上げた。攻撃かと身構えるが、次の瞬間にタッツンが目にしたのは攻撃ではなく、天井を砕き、天から落ちてきた一つの炎。
そこから姿を現したのは全身から刃を生やした黒鎧を纏う獅子。
新たなモンスターの登場に驚くタッツンだが、一対多はまだ想定内。気持ちを切り替えて挑もうと武器を構えるのだが、そこから更に彼の予想外の事が起き始める。
咆哮する猛虎と獅子を業火が包み、二匹は猛炎の球体となって天に舞い上がったかと思えば、二つの炎球は宙でぶつかり、一つの焔となって地面に落ちてくる。
焔が霧散し、そこから姿を見せたのは獅子の黒鎧を身につける戦国猛虎……いや。刀将猛虎だった。
「よりによってパワーアップとか、ふざけんなッ!」
想定した中で嫌な可能性の一つが当たり、悪態をつくタッツンだが、逃げることは出来ない。
まずはどれ程のものか知るために先程と同様、【属性弾・水】を放つのだが、命中してもHPの減りを確認することが出来なかった。
お返しだ、と言わんばかりに刀将猛虎が雷炎と共に無数の火炎弾を放ち、同時に召喚された焔で象られた三頭の寅がタッツンを襲う。
「いやッ! いくらなんでも鬼畜過ぎるだろッ!!」
弾幕の密度も違えば、威力も違う。その光景は例えるなら焔の嵐。しかも、刀将猛虎は時折放ってくる破壊光線を放ってくる。
立ち止まれば、すぐさま火だるまになること間違いなし。攻撃する暇があるのなら、死にたくないのなら逃げ続けるしかなかった。
「難易度上げすぎだろぉぉぉぉッ!?」
右へ、左へ、時には跳び跳ねて、時には斧でガードして、とにかく回避だけに専念し続ける。隙はないか、何とか攻撃出来ないかと集中力を高める。
だが、いくら集中力を高めようとちょっとした切っ掛けで人の集中力は切れる。
5分くらい避け続けた時だろうか? ピロリンッと脳内にスキル獲得のアナウンスが流れる。それがタッツンの意識を引き寄せ、集中力も途切れてしまう。
(しま───)
気づいた時には既に遅し。足元にあった石ころに躓いてしまい、火炎弾の一つがタッツンに直撃してしまう。
たった一撃で2/3ほど削れるHP。
刀将猛虎はトドメと言わんばかりに咆哮と共に雷炎を纏った強力な破壊光線を放ち、タッツンの視界は白く染まった。
必殺の一撃によって大きく抉られた地面。それを一瞥した猛虎は鎧を解除し、召喚した炎寅を消してその場を去ろうとする。
───だがしかし、
「───【パワーアックス】ッ!!」
猛虎の脳天を予想外の一撃が襲う。見れば、猛虎の一撃で死んだ筈のタッツンが大斧を手に居るではないか。
(まさか、手に入れたばかりのスキルを早速使うことになるとは思わなかったけど、これで漸く勝つ道が見えて来たッ!)
『スキル【緊急回避】
相手の攻撃を低確率で自動回避する。回避した後の移動先はランダム』
自動的に発動された【緊急回避】で戦国猛虎の頭上数メートルに移動したタッツン。
彼の放った、自身の中で最も攻撃力のある一撃は落下の勢いと脳天に命中した事、更に【一撃必殺】によって大きなダメージを与えることが出来た。
(次はないッ! ここで倒すッ!!)
地面に着地した彼は二丁拳銃に切り替え、一気に肉薄。すぐさま武器を斧に変更し、足に【パワーアックス】をお見舞。よろついた所を狙ってもう一度【パワーアックス】を繰り出し、横腹を大きく抉り取る。その瞬間、またも【一撃必殺】が発動。派手に飛び散るダメージエフェクトに確かな手応えを感じる。
悲鳴を上げる猛虎は暴れまわるが、大斧を盾にして被ダメージを回避。耐久限界を迎え、大斧が壊れてしまったが、今はそんな事を気にしている場合ではない。
猛虎は怒りを込めた眼光を向け、その双角に雷炎を纏わせる。
距離を置いたタッツンは両手銃を装備。
狙うのは戦国猛虎の頭部。
スキルをフル活用し、この一発に賭ける。
チャンスは一回。
外せばHPの保証はない。
戦国猛虎が突進してくる。
残り距離7m……6……5……4───
「───今ッ!」
引き金が引かれ、一発の弾丸がまっすぐ猛虎の眉間に飛んでいく。
猛虎は避けず、その身に纏う炎で焼き消そうとするが、タッツンが放ったのは【属性弾・光】。光を焼く事など不可能であり、弾はそのまま猛虎の眉間を貫く。
ほんの一瞬。されど、タッツンにとっては永遠にも思える時間。
猛虎の体がタッツンに迫り、その双角が彼の体を貫かんとする。
だが、その直前……タッツンの体と猛虎の双角が触れるまで僅か数ミリとなった瞬間、猛虎の姿は光となって消滅した。
目の前の出来事に呆けるタッツン。しかし、彼が猛虎に勝ったのだと理解するのに、そう時間はかからなかった。
「~~~ッ! よっしゃああああああああああッ!!!」
歓喜の叫びと共に地面に大の字になって倒れる。
初めてのダンジョンで初めてのボス攻略。色々改善すべき点はあったが、それでも自分なりによく勝てたと誉めてやりたい気持ちで一杯だった。
ピロリンッ♪
『レベルが29に上がりました』
『スキル【
『スキル【戦国猛虎】を取得しました』
『スキル【一撃必殺】が【戦国猛虎の魂】に進化しました』
「お? 新スキルか?」
体を起こし、パネルを操作して獲得したスキルを確認する。
『スキル【大物喰らい】
HP、MP以外のステータスのうち、4つ以上が戦闘相手よりも低い値の時にHP、MP以外のステータスが二倍になる
取得条件
HP、MP以外のステータスのうち、4つ以上が戦闘相手であるモンスターの半分以下のプレイヤーが、単独で対象のモンスターを討伐すること』
『スキル【戦国猛虎】
MPを消費することで戦国猛虎の魔法を使用することが出来る。ただし、このスキル以外でのMP消費量が3倍になる
取得条件
戦国猛虎を初回戦闘かつ、単独で撃破すること』
『スキル【戦国猛虎の魂】
HP、MP以外のステータスが一つでも戦闘相手より低いとき、30%の確率でVIT無視の大ダメージを与えることが出来る
取得条件
【一撃必殺】を取得した状態で戦国猛虎を討伐すること』
「【大物喰らい】はちょっと微妙だなぁ……ステ変動系のスキルは持ってるけど、相手によって変化するんじゃ逆にやりづらい。だけど、他の二つは使えるな。一つはMP消費が難点だけど……」
しばらくはMP強化かなぁ、と今後の事を考えるタッツンだが、そんな彼の前に大きな宝箱が現れた。
間違いなく、クエストクリアの報酬だろう。一体どんな物だろうと嬉々として宝箱に近づき、その蓋を開けてみる。
「おおおおぉぉぉぉぉ─う?」
歓喜の声を上げたかと思ったら声のトーンが変わり、最後に疑問符を浮かべているタッツン。
その原因は宝箱の中に入っているアイテム。
中に入っていたのは武器と防具だった。
『多重砲身変換銃【虎皇】《MP+70、STR+20》
【
【破壊不可】
【スキルスロット空き有り】』
『戦国猛虎の装い《HP+50、VIT+90、
STR+80、AGI+55、
DEX+30、INT+10》
【猛虎顕現】
【纏刀将鎧】
【破壊成長】
【他装備不可】
スキルスロット:2
※この装備を纏っている限り、頭、脚、靴の装備を装備することは出来ない』
『スキル【砲身変換】
砲身を射程距離の長い「スナイパー」、連射性が最も高い「ガトリング」、攻撃力が最も高い「バスター」の3つに変換することが出来る。ただし、砲身によって弾数、リロード時間が異なる』
『スキル【猛虎顕現】
HP最大値が1000になる。[STR]、[AGI]が60増える。
HP0になるとスキルが解除され、発動前のステータスに戻る。
ゲーム内時間で1日1回しか使用出来ない。使用中、名前に[戦国猛虎]を含むスキル、スキル【纏刀将鎧】しか使用出来ない』
『スキル【纏刀将鎧】
[AGI]が10減る代わりに、[STR]、[VIT]、[DEX]が50増える。
ゲーム内時間で1日1回しか使用出来ない』
武器は虎を模した銃器だった。現在、銃身は大口径のバスターだが、スキルを使う事で状況に応じた戦いをすることが出来る。
防具も凄まじい物で、最初からスキルが2つ付与されており、しかも1日5回もMP消費を0にするスキルスロットが2つもある。
こんなブッ壊れ装備と言ってよい装備を序盤で手に入れるなんて、本来なら大喜びする所なのだが、タッツンは相変わらず渋い表情を浮かべていた。
その理由は『戦国猛虎の装い』の
「……いや。これ装備するの? マジで?」
その防具の見た目は、男性が身に付けるにはあまりに抵抗があり、もし着ければ、一瞬の内にスレの晒し者になるだろう。だが、この装備はあまりにも魅力的過ぎる。
羞恥心を棄てるか、装備を棄てるか……。
「ぐぬぬぬぬ……いや……でもぉ……~~~~ッ」
悩みに悩んだ末、タッツンが出した答えは────
●●●●●●●●●●
『戦国猛虎がやられたッ!』
『お。遂にやられたか。倒したのは何処のパーティーだ?』
『パーティーじゃねえッ! ソロプレイヤーにやられたッ!』
『はあッ!? あれはソロだと絶対にキツいだろッ!』
『やったのは誰だッ!? まさかペインかッ!?』
『タッツンだッ!』
『タッツン……ああ。銃使いながら斧とか使うアイツか』
『不遇扱いの銃を使い続けながら他の武器も使うアイツか』
『【器用貧乏】のアイツだよ』
『おいおい。それよりもソロで倒したってことはユニーク装備がタッツンの手に渡ったって事だよな?』
『お前の言いたい事は分かる。プレイヤーから問い合わせが来るだろうな』
『誰だよ? あんな装備を考えたの』
『冗談で考えた物がまさか採用されるとは思わないだろッ!』
『とりあえず、俺たちはタッツンの動きを見守るしかない。何も起きないことを願おう……』
●●●●●●●●●●
その日、第一層の街で奇妙な物が現れた。
「な、なあ……あれ、なんだ……?」
プレイヤーの一人が『
モッキュ、モッキュと足音を鳴らしながら歩く『
モンスターかと思い、運営に問い合わせてみるが、その運営からプレイヤーであると教えられる。だが、それでも本当かどうか疑う者達も多かった。それほどまでに『
歩く度にユラユラと揺れるしっぽ。
思わず抱き付きたくなるようなモフモフの黄地に黒縞の体の上に纏う青い鎧。
頭部にはデフォルメされた顔と二本の角。
「あれって……虎、だよな?」
「ああ。虎のキグルミだな」
「なんであんなの装備しているんだ?」
プレイヤー達が疑問符を浮かべるなか、『
「───ていう話がスレで上がってるんだけど、どう思う?
「やっぱりそうなりますよね~……」
クエスト終了後。例の虎のキグルミにしか見えない『戦国猛虎の装い』を装備したタッツンはイズの店に訪れ、カウンターで項垂れていた。
「それにしても本当に凄いわね。敵には回したく無いわ」
「自分でもそう思いますよ……あ、すいません。斧壊しちゃいました」
「別に良いわよ。その子で頑張ってくれたんでしょ? なら、何も言わないわ」
「ありがとうございます……しっかし、これからどうしよう……」
「いっそのこと、そういうキャラ作りしてみたら?」
「キャラ作り?」
「ここはゲームなんだし、そういう風に振る舞っても誰も文句は言わないわ。試しに今からやってみましょう」
「え、いや……でも……ちょっと恥ずかしいですし……」
「そういうキグルミ着る時点で羞恥心は捨てたんでしょう?」
「そうですけど…仕方ない、か。まあ、ゲーム中だけどコスプレしていると思えばいっか」
「頼んでくれたらコスチューム作るわよ」
これの瞬間、後に『
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