ゲームの中でコスプレしても問題ないよね?   作:メンツコアラ

8 / 10
第一回イベント・遭遇

【NWO】第一回イベント観戦チャット

 

203:名無しの観戦者

 誰か、あの子をどうにかしろwww

 

204:名無しの観戦者

 誰を?

 

205:名無しの観戦者

 あの遺跡にいる大盾の子

 

206:名無しの観戦者

 どゆこと?

 

207:名無しの観戦者

 ・どんなに攻撃受けても弾き返してる

 ・触れると一撃でヤられる大盾

 ・毒と麻痺を撒き散らす

 

208:名無しの観戦者

 は?

 

209:名無しの観戦者

 は?

 

210:名無しの観戦者

 >207

 ジーマーで?

 

211:名無しの観戦者

 ジーマーで。一応、運営に確認したけどチートじゃないみたい

 

212:名無しの観戦者

 マジかw

 

213:名無しの観戦者

 まさか極振りか?

 

214:名無しの観戦者

 あり得なくもないというか、考えられるのがそれしかない。

 

215:名無しの観戦者

 倒せる?

 

216:名無しの観戦者

 モーニングスター頭で弾いてるから無理w 

 

217:名無しの観戦者

 可能性あるならペインやドラグ

 

218:名無しの観戦者

 その人たちは別のエリアで稼ぎ中w

 

219:名無しの観戦者

 そういえば、タッツンはどうした?

 

220:名無しの観戦者

 それなんだが、これを見ろ

 URL:********

 

221:名無しの観戦者

 なにこれ?

 

222:名無しの観戦者

 別の視点カメラ?

 

223:名無しの観戦者

 ──は?

 

224:名無しの観戦者

 え?

 

225:名無しの観戦者

 人が急にヤられた!?

 

226:名無しの観戦者

 今の何かに撃ち抜かれたような倒れ方したけど…

 

227:名無しの観戦者

 矢は見えない、魔法でもない…

 

228:名無しの観戦者

 間違いなく銃。確か、銃持ちは今のところタッツンしか聞いてない

 

229:名無しの観戦者

 一人だけ違うゲームしてるwww

 

 

 

 

 チャットで話題になってた頃。森の中で一人一人とプレイヤーが倒れる中、開始一分足らずでワンデスを貰ったジョーカーとドレッドは出来る限り潜伏しながら森を駆けていた。

 

(上からの狙撃らと、葉っぱが邪魔で私たちを視認することは難しい。なら、バカキチはこの中にいる)

 

(矢や魔法と違って視認出来る速度じゃないが、他のプレイヤーが倒れた向きや弾痕で軌道は予測できる)

 

((タッツンの居場所はそこから導き出せるッ!))

 

 タッツンの位置をある程度予測した二人は彼の後ろを取るように移動。道中でしっかりとポイントを稼ぎつつ、タッツンを探し、そして見つけた。

 

(いたッ! あそこッ!)

 

(ご丁寧に全身や装備を緑色にしてッ! だが──)

 

「「──貰ったぁぁぁッ!!」」

 

 ドレッドのククリナイフが、ジョーカーの大鎌がタッツンの首を捉える…がしかし、

 

「えッ!?」「はあ?」

 

 ドサリと地面に落ちるタッツンの首。光となって消滅し、ポイントが入るかと思えばその様子がない。まさか、あっちがと見るが、互いが顔を上げたことでそうで無いことが分かる。

 では何故か? 

 

 答えは簡単。

 

「──今のはデコイニャ」

 

「「──ッ!?」」

 

 タッツンの声にその場から飛び退こうとした二人だが、時既に遅し。二人の頭は撃ち抜かれ、光となって消滅するのだった。

 

 

 

 

245:名無しの観戦者

 何が起こった!?

 

246:名無しの観戦者

 見えない何かが攻撃した

 

247:名無しの観戦者

 おい。何もない所からタッツンが現れたぞ!?

 

248:名無しの観戦者

 まるで透明人間!?

 

249:名無しの観戦者

 マジのチーターじゃんwww

 

250:名無しの観戦者

 確認した。運営曰く、『潜伏』ってスキルらしい。

 一応、能力を開示しておくぞ。

 URL:*******

 

251:名無しの観戦者

 >250

 お疲れ( ´_ゝ`)ゞ

 

252:名無しの観戦者

 これ、どうなん?

 

253:名無しの観戦者

 スキル発動後に指定範囲内を出なければ姿を消せるって所は遠距離職からすると万々歳だけど…

 

254:名無しの観戦者

 MP食い過ぎw しかも一日一回w

 

255:名無しの観戦者

 弓矢使いには無理だ

 

256:名無しの観戦者

 魔法職も無理www

 

257:名無しの観戦者

 銃も無理じゃね? 確か、魔弾系スキルにMP使うし。

 

258:名無しの観戦者

 他の武器も使ってたし、極振りではない

 

259:名無しの観戦者

 あとはスキルスロットか

 

260:名無しの観戦者

 答えは本人しか知らない…

 

 

 

 

 

 皆がチャット内でタッツンのプレイを検討している中、イベント内でアナウンスが流れる。

 

『ガオ~ッ! 中間発表~ッ!』

 

「ニャ? もうそんな時間かニャ」

 

『残り時間は一時間。現在、三位はメイプルさん。同率二位でドレッドさんとジョーカーさん。同じく同率一位でペインさんとタッツンさんドラ』

 

「マジでッ!? まさかのメイプルちゃん三位かニャ…まあ、あのVITとスキルを考えると納得。しかし、今回は順位が飛んだりはしないのかニャア」

 

『これからは三位以内のプレイヤーを倒した際、得点の三割が譲り渡されるよ。五人の位置はマップに表示されるドラッ!』

 

(なるほど。なら潜伏の意味は無いな。ついでに他の皆の位置も確認しとくか──て、あれ?)

 

 マップを開くと自分のもの以外にも表示される四つの赤点。そこまでなら良かったのだが、一つだけ。たった一つだけがタッツンの位置から異様に近い。しかももう既に接触する位置。

 

(やば──ッ!?)

 

 咄嗟に赤点が標示されている場所に向かって虎皇を盾にする。タッツンの予想通り、虎皇に剣が当たり、ノックバックで数歩分後ろに押されたが、防御が間に合った事によりダメージはない。しかし、状況としては最悪だった。

 

「まさか、お前が来るニャんてニャ…──ペインッ!!」

 

「予想外だったかな?」

 

 そう言って、剣先を向けるペイン。さすがのタッツンもペインがこの段階で来ると思っておらず、しかも彼は自身を狙っているなんて考えてもいなかっただろう。

 

(不味いな。この距離じゃあ、虎皇は使えない…仕方ないか…)

 

 虎皇を仕舞い、イズに特注で作って貰った籠手を装備するタッツン。ステータスが武器にあった数値へ変動するが、それでも勝てるかどうかは怪しかった。

 

「トラを狙って来るなんて、何か酷いことでもしたかニャ?」

 

「いや。君にはいつも世話になりっぱなしだよ」

 

「じゃあ、意味もなく攻撃したと? 傷ついちゃうニャア…傷ついちゃおっかニャアッ!」

 

「意味はあるさ。一度でいいから、本気で君と対戦したいと思ってた」

 

「こっちはお断りニャア」

 

「それは出来ない相談だ」

 

 

 

 

 

 

301:名無しの観戦者

 ヤバいよヤバいよヤバいよ

 

302:名無しの観戦者

 騎士vsキグルミ

 

303:名無しの観戦者

 構図がすげぇwww

 

304:名無しの観戦者

 これ、タッツン終わったな

 

305:名無しの観戦者

 そんなこと無い

 

306:名無しの観戦者

 >305

 お?

 

307:名無しの観戦者

 >305

 ん?

 

308:名無しの観戦者

 タッツンは絶対に負けない!

 

309:名無しの観戦者

 謎のタッツン推しw

 

310:名無しの観戦者

 いやぁ。流石に無理があるって

 

311:名無しの観戦者

 私は信じてる。絶対に負けないって

 

 

 

 

●●●●●●●●●

 

 

 

 

 残り時間30分。茂みに隠れていたフレデリカは目の前で行われている激戦を観戦していた。

 

(いやぁ。まさか、ペインがタッツンに挑むなんてねぇ)

 

 ペインが振るう聖剣を巧みに避けるタッツン。所々に傷があるが、現時点最強とも言えるプレイヤー相手にその程度で済んでいるのは流石と言うべきか。

 

「どうしよう…漁夫の利を狙ってたんだけd「これは無理らね」うh「静かにしろ」ムグッ!?」

 

 突然の声に悲鳴を上げそうになり、何者かによって口を塞がれるフレデリカ。見れば、その犯人はいつの間にか左側にいるドレッドであり、自身の右側にはジョーカーもいた。

 

「~~~ぷはぁッ?! ちょっとドレッドッ! 何すんのよッ!」

 

「悪いな。声を出すと二人にバレるからな」

 

「本当ならバカキチを倒すのはジョーカーの務めらけど、相手がペインだから諦めて観戦してるのら」

 

「あ、そう…それで? アンタたち、狙われているんじゃないの?」

 

「それがそうでも無いんだよな」

 

「今、ここには赤点が四つ。つまり、強いプレイヤーが集まっているのら。もしかすると戦闘してるかも知れないけど、なら四人も集まることはない。共闘しているのではと大体の奴は考えるのら」

 

「なら一人でいるメイプルちゃんを狙おうって事か。まあ、そうじゃなくても来た所でって感じよね」  

 

「だな。俺たちは一位を諦めて、ここでゆっくり観戦させてもらうよ」

 

 

 

 

 

 近くでフレデリカたちが観戦する中、そんな事も露知らずに二人は戦闘を…いや。ペインからの一方的な攻撃をタッツンが捌いていた。

 

「どうしたッ! もっと攻めて来たらどうだッ!」

 

「うるせぇニャッ!」 

 

 光を纏った刃を、闇を纏ったで受け止め、すかさず拳を繰り出すもバックステップで威力を軽減される。だが、これで距離は開いた。

 

「【戦国猛虎・火炎ノ咆哮】ッ!!」

 

 右手を突き出し、雷を纏いし金色の炎の砲撃を放つタッツン。だが、それでもペインは顔に驚愕を浮かべるだけ。体を傾けて回避。右肩を焼いたもののダメージは最小限に押さえられてしまった。

 

「今のは危なかったッ!」

 

「避けたくせに良く言うニャッ!」

 

「だが、今の攻撃ッ! そう何発も撃てないだろうッ!」

 

 ペインの言う通り、スキル【戦国猛虎】はスキルスロットに入れているため、五回はMP消費無く使えるが、戦国猛虎で使える魔法にはそれぞれリキャストタイムがある。先ほどの一撃はイベント中にはもう撃てない。つまり、ペインを確実に倒す可能性の札が無くなってしまった。

 手の内がバレた事で焦りが出ていたのだろう。ペインはその隙を突き、肉薄する。

 

「しま──」

 

「遅いッ! 【聖剣ノ一撃】ッ!」

 

 ペインの一撃を諸に食らってしまったタッツンの体は斬られた衝撃で後ろに翔び、近くの木に叩きつけられる。

 VRMMOが故に襲ってくる二つの痛み。恐らく、現実では苦悶の表情を浮かべているだろう。

 

「…これで終わりだ。楽しませて貰ったよ」

 

 止めを差しに歩み寄ろうとするペイン。

 だが、その足はタッツンが動き始めた事ですぐに止まる。

 

「いつつ…やるじゃねぇか、ペイン。正直、あと少し、剣がもう1cm深く切り裂いてたら負けてた」

 

「いつものロールプレイは良いのかい? 語尾が抜けてるよ」

 

「今からマジになるんだ。語尾なんて気にしてられるかよ」

 

「(まだ闘志は衰えていない、か…)じゃあ、どうする? 言っておくが、先ほどの砲撃はもう効かないよ」

 

「だろうな。あれは当たれば確実に倒す為の一撃だ。避けられたら終わり。()()()()()()()()()()

 

「…どういう意味だい?」

 

「このスキルはまだ使った事が無いんだよ。だからこそ賭けるッ!」

 

 次の瞬間、タッツンの体が焔に包まれた。

 自滅技か?

 そう考えたペインは巻き込まれる前にと聖剣を振るう。

 

「【聖光斬】ッ!」

 

 聖属性を秘めた強力な一撃がタッツンに向かって放たれ、爆発が起こる。

 モウモウと立ち込める煙。倒したかどうか分からない以上、油断は出来ないと武器を強く握りしめるペイン。だが、煙から出てきた()()はペインを容赦なく殴り飛ばし、聖剣を盾にしたというのに少なくないダメージをペインに与えた。

 

「く──ッ!」

 

 すぐに立ち上がり、煙から出てきたそれを見据えるペイン。

 黒と赤に彩られ、所々に営利な刃を携えたアーマー。頭部は獰猛な虎、両肩の肩当ては燃え盛る焔を模している。

 先ほどまでのデップリとしたキグルミでは無く、何処か特撮ヒーローを思わせるスラリとした出で立ちに、チャットでは大盛り上がりを見せていた。

 

 

 

756:名無しの観戦者

 トラ系ヒーロー来たあああああ!!!

 

757:名無しの観戦者

 ちょっと待って何が起こったwww

 

758:名無しの観戦者

 ありのまま今起こったことを話すぜ! ペインの攻撃でキグルミが爆発に巻き込まれたと思ったら煙の中からアーマーヒーローが出てきた! 何を言ってるか分からねーと思うが俺も分からなかった!

 

759:名無しの観戦者

 普通にカッコいい

 

760:名無しの観戦者

 乱入者? それともタッツン?

 

 

 

 

 アーマーの正体が議論に上がった所で、それが声を発する。

 

「【纏刀将鎧(まといとうしょうがい)】。一日に一回しか使えない奥の手。使ったのは今日が初めてだが、中々に良いじゃないか」

 

「その声…まさかタッツンかッ?!」

 

「驚いたか? まあ、俺も驚いているよ。何せ、キグルミから特撮ヒーローに大変身だもんな。

 

 ──さて。残り時間は10分。第二ラウンドといこうじゃねぇか、ペインッ!!」

 

 

 




本日出てきたオリジナルスキル
【潜伏】
 1日1回MP1000を使用し、他から姿を視認出来なくする。使用地点から半径1.0m外に移動すると強制解除される。

【戦国猛虎・火炎ノ咆哮】
 【戦国猛虎】によって使用できる魔法の一つ。15時間に1回対象に攻撃力×5倍の火・雷属性の魔法攻撃を放つ。


【聖剣ノ一撃】
 対象に攻撃力×1.5倍の光属性の物理攻撃を与え、一定時間の間、通常攻撃に光属性を付与する。

【聖光斬】
 半径10m以内の対象に攻撃力×1.5倍の光属性の魔法攻撃を与える。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。