「紅蓮を纏えッ! 【戦国猛虎・
全身に焔を纏い、【纏刀将鎧】で変化した拳で殴りつけるタッツン。鋭利な爪で刺し、肉を抉り取ることに特化した籠手は僅かにかするだけでも痛手を負わせるだろう。
更に…
「オラッ! オラオラッ! オラオラオラオラッ!」
「く──ッ!?」
タッツンのラッシュを避けるペイン。しかし、タッツンの纏う炎が、彼のアーマーの節々に生えた鋭利な刃が追い討ちをかける。僅かに触れただけで肌を焼かれ、鋭利且つ高熱の刃がペインの体を焼き切り、その痛みに気を取られるとタッツンの拳が深々と刺さる。
だが、ペインだって負けては居ない。タッツンの攻撃の合間を狙い、的確に剣を当ててくる。【纏刀将鎧】によってVITが上がっているとはいえ、先ほどまでのダメージがある。わずかなダメージも今のタッツンには致命傷に成りかねない。
「やっぱり強いなッ! だが、俺だって負けたくないッ!」
「それは俺の台詞だッ!」
先ほどまでペインの一方的な戦闘が一転して互角の戦いに。チャットやゲーム内の観戦者たちはその熱戦に昂りを覚えていた。
1420:名無しの観戦者
ヤベえ!
1421:名無しの観戦者
負けるなタッツン!
1422:名無しの観戦者
ジーマーでバイヤー過ぎるでしょw
1423:名無しの観戦者
これ、どうなる!!
1424:名無しの観戦者
分からん
1425:名無しの観戦者
よっし! そこを右! 次に回し蹴り!
1426:名無しの観戦者
>1425
謎のタッツン推し、まだいるwww
1427:名無しの観戦者
聖剣のペイン 破壊のキグルミのタッツン
マジでどうなる!?
1428:名無しの観戦者
正直なところ、今はタッツンの攻撃が多いけど、さっきまでのダメージがあるから五分五分
1429:名無しの観戦者
行っけぇぇぇ! タッツン負けるなぁぁぁ!!
1430:名無しの観戦者
いい加減誰? このタッツン推し
ちょうどその頃、イベント時間は残り5分を切っていた。互いのダメージ量からして、恐らく次が最後の攻撃になるだろうと考えた二人は互いに距離を取る。
「流石だな、ペイン。その強さに思わず敬服するぜ」
「ありがとう。だけど、最強の名を持ってしても俺はまだ勝ちたい…まだ足りないッ!」
光輝く剣を構えるペイン。己の欲望を満たすために。
「溢れんばかりの我欲ッ! 衝動ッ! だけど、それはゲーマーなら誰しもそうだッ!」
スキルで紅蓮に燃える刀を生み出すタッツン。己が勝利を掴み取るために。
「NWOをッ! 俺が一番好きなんだとッ!」
「NWOでッ! 俺が一番上手いんだとッ!」
「「──この拳ッ! 空高く掲げる為にッ!!」」
──【戦国猛虎・
──【断罪ノ聖剣】!!
紅蓮の炎が、聖剣の輝きが辺りを塗り潰し、二人の姿を隠す。近くで見ていたフレデリカたちは勿論、遠方にいたメイプルたちでさえ、その光を確認することが出来た。
チャットやゲーム内で何事かと騒ぐ者たち。
光が収まると、そこに立っていたのは互いに武器を振り抜いた状態で背を向ける二人。結果はどうなったのかと固唾を飲んで見守る観戦者たち。僅かな静寂の後、先に膝を着いたのは…
──タッツンだった。
「やっぱり、強いな、ペイン……」
「……ありがとう」
「次は、負け、ねぇ…ぞ……──」
地面に倒れ、光の粒子となるタッツンの体。観戦者たちはやはりペインが勝ったか、と健闘したタッツンに拍手を送る。
──筈だった。
「それは、こっちの台詞、だ……──」
ドサリと崩れるペイン。先ほどのタッツン同様に消える彼に、観戦者たちは何が起こったのかと目を見開く。
1910:名無しの観戦者
ペインが倒れた!
1911:名無しの観戦者
この人でなし!
1912:名無しの観戦者
誰かの乱入か!?
1913:名無しの観戦者
いや、その様子はない
1914:名無しの観戦者
つまり、相討ち?
1915:名無しの観戦者
ジーマーで?
1916:名無しの観戦者
お前ら静かにしろ。今から結果発表だ
『ガオ~♪ 終了~♪
みんな、今日は楽しんでくれたかな? それでは結果発表ドラ!
三位 メイプルさん!
二位 ドレッドさんとジョーカーさん!
そして、栄えある一位!
──ペインさんとタッツンさんドラ!』
1936:名無しの観戦者
ウオオオオオ!!
1937:名無しの観戦者
ウオオオオオ!!
1938:名無しの観戦者
スゲエエエエ!!(゜ロ゜ノ)ノ
1939:名無しの観戦者
マジかΣ(゚◇゚;)
1940:名無しの観戦者
あのペインと相討ち、だとぉ!?
1941:名無しの観戦者
流石タッツン! 好き!
1942:名無しの観戦者
二人の健闘に敬礼(*`・ω・)ゞ
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運営の予想以上の盛り上がりを見せた第1回イベント。メイプル、ドレッド、ジョーカーの順で今回のイベントの感想を言い(※ドレッド&ジョーカーは『タッツン後で覚えてろ』とコメント)、遂にペインとタッツンの番が回ってくる。
『それでは今回のイベントで最高の戦いと昂りを与えてくれた二人に最後のコメントを頂くよ♪ ペインさん、タッツンさん、振り返ってみてどうだったドラ?』
「今回は第1回のイベントという事もあって、いろんなプレイヤーと戦うことが出来たよ。だけど、目立ちすぎた俺たちは運営から目をつけられるだろうね」
「そもそもトラはペインが襲ってきた事に驚きニャ。心臓に悪すぎるニャア」
「それは隠れて射撃した君が言えるかな?」
「それが銃って奴ニャ。まあ、最後に一つ。
──ありがとうございました。いいバトルでした」
「──こちらこそ」
固く握手をかわす二人。観戦者たちは二人のプレイヤーに盛大な拍手を送るのだった。
【オマケ】
「よっしゃああああッ! 見たか、ペインッ!」
白峯家の一室。勉強の息抜きで観戦していた理沙は思わずシャドーボクシングをするほど興奮していた。その昂りは戦っていた本人たち以上かもしれない。
「はあ…やっぱり龍兄はカッコいいなぁ…」
物心着いた時にはいた最愛の兄。血の繋がりがないせいか、兄弟以上の愛が無いと言えば嘘になる。だが、自分達は兄弟でいい。兄弟だからこそ、妹という特権を使って名一杯甘えられるのだから。
「よっしッ! それじゃあ勉強を再開しますかッ!」
全ては大切な親友と遊ぶ為、最愛の兄と遊ぶ為、絶対に明日の実力テストで高得点を取ってやる、といつも以上に勉強に精を出す理沙だった。