―続き
芙二と夕張が入り口へ向かうと憲兵の隊服を着た者が数名こちらを見ていた。その中で一際目立つ格好をしている男が二人に向かって口を開いた。
??「ようこそ。東第一泊地の芙二殿、艦娘の夕張殿。私は現陸軍の元帥の
芙二「! 織間殿、お会いできて光栄であります。私は東第一泊地の提督の芙二凌也です。以後よろしくお願いします」
夕張「私は軽巡洋艦の夕張です。よろしくお願いします」
二人は織間に向かって軽くお辞儀をした。頭を上げると織間の隣に居た白い軍帽、白い軍服を着た中年の男も自己紹介した。
??「織間閣下よりも先に挨拶するつもりでしたが……コホン。私は木村。階級は中佐です。芙二提督殿はこのあと私達についてきてください。部屋へ案内します」
そういい一礼すると後ろにいる憲兵や海兵も何人か後に続き礼をした。
芙二「中佐殿、了解です」
夕張「私はどうすればいいんですか?」
眉間に皺を寄せながら困った顔をする夕張。そんな夕張の質問には織間が答えた。
織間「君は私達と共に行こう。途中で海堂のところの艦娘に引き渡す約束になっているからね」
夕張「了解しました。織間閣下、よろしくお願いします」
芙二の隣にいた夕張は織間に一礼した。
互いに自己紹介も終えると木村中佐が口を開く。
木村「では、芙二
にこりと笑みを浮かべ誘導する。芙二は夕張に『あとで』と言い残し木村たちの方へ向かった。
芙二が後ろにつくと『では中へ。案内します』といい玄関から移動した。
木村(これでひとまずは……いいのか? どう見ても目つきの悪いガキだが?)
上司からの指示通りに動いていた木村だが芙二をチラ見した時、どこにでもいる
芙二はなんか表裏ありそうな人間だなと観察しつつ表情は変えず木村たちについて行く。
芙二(とりあえずは、だ。これをとっとと終わらせないと話が出来ないな)
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残された織間たちと夕張。織間が口を開こうとした時、玄関から誰かが走ってくるのが見えた。夕張や憲兵達は誰だろうかと思うも織間だけは分かっている様だった。
あきつ丸「大変であります! 織間ど「あきつ丸。今は客が来ているのだ。要件は後で聞くから」そ、それどころじゃないのであります!」
『はっはっ』と息を切らせて焦った声で織間に伝える。織間は片手で眉間の辺りを抑え、正体が分かった憲兵達は『なんだ、お前か』と言った顔をしていた。
夕張「えっと何かあったのですか?」
あきつ丸「! そうです。あなたは私達と同じ艦娘ですね?それならばっ!! 協力してほしい事がありまして――「あきつ丸。それは重要案件か?」……残念ながらそうであります」
夕張の独り言に対してハッとしたあきつ丸は『協力してほしい事がある』といい夕張に接近しようとした時、織間の顔は険しくなるも優しい口調で聞く。
あきつ丸は目を落として伝え、織間は『そうか。夕張君、すまないが』と言いながら自分達の部下の元を向いて海堂の元まで連れて行ってくれという旨を伝えた。
『了解しました!』と声を揃えて敬礼する憲兵達。織間は夕張の方を向き『夕張君、申し訳ないが君を連れて行く事は私の部下に任せることになった。では、失礼するよ』といいあきつ丸と共に建物の中へ消えていった。
憲兵「では、夕張殿。私達と行きましょう」
夕張「あ、はい。よろしくお願いします」
憲兵達と夕張は海堂の元まで行く事になった。歩きながら夕張は今さっき織間の問いにあきつ丸が答えた内容が気になって仕方ないのだった。
夕張(『重要案件』……? なんだか不穏ね。何か良くない事が起きたのかしら……)
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陸軍棟 1F 空き部屋。
織間とあきつ丸はせっせと歩き、陸軍棟へ。そして適当な空き部屋を聞き出して入室した。
織間「それで、なんだ。その重要案件というのは?」
あきつ丸「はっ! ついに奴らの尻尾を掴んだのであります。候補地は二か所ありまして、そのうちのどちらかは禁止薬物を投与などの実験を行っている施設がある場所となっています」
織間「!! そうか。でかしたぞ。それで、候補地はどこだ?」
あきつ丸「二つとも南西諸島海域であります。一つ目はバシー海峡付近の孤島。二つ目はオリョール海域内にある孤島。さっき仲間から入った情報によるとバシー海峡付近の海域に到達すると身体が痺れるなどの異常が発見されるも航行は可能との事。それに身体に異常をきたすのは深海棲艦もそうなのだとか」
織間「ふむ? 海域異常、か。一体なにが起きているんだ……いや我々もすぐに行動するべきか。私はこれより執務室へ戻り、急遽各自へ連絡をする。手が足りない。だからついてこい」
あきつ丸「はっ! 了解であります」
空き部屋を出て、執務室へ向かう織間とあきつ丸。織間はあきつ丸に深海棲艦が受けている異常について疑問に思い聞いた。
それが我々の技術になったら人類が勝つ未来は近いと確信したからだ。
しかしあきつ丸は目を伏せ、立ち止まって話した。
あきつ丸「奴らが原因かは分からないのですが、深海棲艦達を観察した艦娘の証言によると会敵した時から様子が変で、突然苦しみだし、自分の身体を掻き毟り始めるそうです。そして自らの砲を扱うこともままならず血を吐きながら苦痛を叫び息絶える、と聞きました」
立ち止まったあきつ丸は再度織間の元へ歩き出した。
衝撃的な事実を知った織間はほんの少しだけ、深海棲艦に同情の念を持った。勝手に自爆してくれるのは助かるが艦娘達の精神に悪い影響を与えそうだとも思った。
変な話だが、深海棲艦も被害者なのではないかとも思ってきた。
我々のいいように扱われて――。いやよそう。これ以上深く考えるのはいけない気がした織間はあきつ丸と共に執務室へ向かったのだった。
―続く
刻一刻と迫りくる災いと白い心が染まる瞬間はもう