―続き
執務室にひとり残った芙二は、とりあえず今置かれている状況を整理する。
芙二(えっと、夕雲と清霜と研究員とか言われてたやつらが関係するのはもう分かるとして……)
襲ってきた、というか脅し紛いなものをしたのは夕雲からだ。
なんで、そんな手をしてきたのか今なら合点がつく。
俺を再帰不能にして、泊地を乗っ取るつもりだったのか。
あぁ浅ましい、連中だ。この吾から奪おうとするとはな。
夕雲は餌か? 俺をおびき出して時間を稼ぐための。
で、本命は清霜たちか。
大艦隊はほぼほぼいなくなったから、向こうは顔を青くさせてるのかもな。
はっは、ザマァみろ。つーか、そんな戦力どこから持ってきたんだろうな?
芙二「しかし、叢雲を人質にされるとはな……あぁ実に許しがたい」
いやまぁ誰でもキレる案件だけどさ。
ほら、強い思い入れのある
そして時雨を今さら必要とする理由が分からない。――あぁサンプルの回収か。
清霜がサラトガを見て『副産物』と言っていた事も納得する。
芙二「あーでも……やることは変わらんし、いいか。ただ紫月憲兵をどうするかだよな……いっそ、ここに入れてしまおうか?」
なんて考えながら食堂へ向かう。
前々から密かに作っていた甘味を取り出す時が来たようだ、と思ったからである。
芙二「ついでに、おにぎりと味噌汁も作っておくか。ちょいと、質素で申し訳ないと思うけどね。その辺はまぁ分かってくれるでしょう」
五分ほど、歩くと食堂についたので早速調理に取り掛かる。
今回ばかりは、時間が惜しいからだ。
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同日 十七時 十二分 工廠
夕方になり工廠の窓から橙色の光が照らすなか、明石は各方面の妖精さんを集めて大忙しで整備やら製作をこなしていった。
いつもは
やる事が次から、次へと流れてくる。
だが、みんな苦しそうな、辛そうな顔は一切していない。
むしろ、喜んでいた。
それもそのはず、いつもは仕事がなく暇なのだが今日は大忙しだ。
だが、一部の妖精さんは堪忍袋の緒が切れていた。
大事な艦娘が身勝手な理由で痛めつけられて且つ奪われたという話を聞いたからだ。
ぷんすか、なんて可愛いモンじゃない。
ゴゴゴ……と、なにか恐ろしい事でも起こりそうな
夕張「あ、明石さん……私、妖精さんが怒ってるところを初めてみました」
明石「分からなくはないけど――あ、夕張さん! そこの装備かご持ってきてください!」
夕張「は、はい!」
明石「それと――」
夕張は明石の指示のもと、動く。
流石にこんなことは初めてなので慣れないのか、徐々に彼女の表情が疲れていくように見えた。
工廠に差し当たっていた夕日も徐々に沈み、辺りは暗くなっていく時間帯へと変わる。
そんなころには、明石も妖精さんも、夕張の顔にも疲労が見え、彼女らの後ろには修理または整備の終わった装備が山積みになっていた。
最後は艦種別、型別にするだけなのでゴールは近い。
そう思った時に、スピーカーから芙二の声が響く。
『全員、これからの予定を話す。二度は言わないのでしっかり聞いてくれ!
なんならメモを取ってほしい。
本日、二十一時より、執務室で作戦会議を行う。
これは叢雲を奪い返すための作戦会議だ。
本日出撃した者、遠征を行った者は、泊地近海の警備にあたってほしい。
日中に出撃、遠征していない者の中から当作戦に参加する艦娘を呼ぶのですぐに来てほしい。
それと簡単だが、夕食と甘味を作ったので各自、食べに来てくれ。
尚、本日の作戦は二種同時進行とする!
第一部は俺と共に内部へ潜り込む人員。
第二部はのちに知らせる場所付近の海の安全の確保を目的とする。
そして作戦決行時刻を知らせる、第一部の開始は深夜零時より!
第二部は深夜四時から、ここを出て目的地まで向かってくれ。
異常海域の事は気にするな!
俺がなんとかしておくから、各個撃破に臨んでほしい。
以上、終了する』
ブツッとスピーカーから音が聞こえて放送は終了する。
明石は額に手を当てて思った。
これは明日から大変なことになるな、と。
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マイクのスイッチを切り、芙二は放送室を後にする。
現在の時刻は十八時 二十五分。
会議の時間までには余裕がある。
食堂のことは妖精さんたち(報酬与え済み)に任せて、おいて……。
芙二「あ、そうだ。時雨に話しを聞かないとだったわ」
叢雲が攫われるときのことを知っておきたい。
どんな状態であったか、また清霜以外に誰か居たのか。
少し険しい表情をしながら、寮へ向かって歩いて行く。
しかし階段を降りる時に、立ち止まる。
芙二(あぁでも、寮に居なかったら持たせてある発信機代わりのモノですぐに探し当てる他ないよな?)
なんて考えながら、再度足を動かすのだった。
戦闘は、まだしないですね。はい。