とある泊地に着任した提督のお話   作:ふじこれ

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 出来立てほやほやです。余裕があったらもう一本書くかも。  

 艦これ、春イベ始まるらしいですね。 
 まぁ丁なんであまり関係ないかも?


二章 72話『指切りげんまん、嘘吐いたら』

 

 

 八崎たちと合流した芙二はどこから入ろうか、相談していた。

 

芙二「やっぱり、正面から扉ごとぶち抜こうか? 俺だったらダメージなく実行できるけど、どうします?」

 

八崎「お願いします。いいですよね、紫月さん」

 

紫月「あぁうん。構わないよ。閣下率いる本隊の到着はあと五時間後だそうだ。思ったよりも時間がかかるそうだけど……どうする? 実行するのは簡単だけど……合流した方がいい?」

 

 待機している憲兵への通信を済ませていた紫月は芙二や八崎を見て、聞いた情報を話す。

 確かに待ち構えている敵の本陣に突っ込んだところで普通だったら無謀もいいところだろう。

 

 だが、化け物染みた人間が三人いるのだ。それだけで事足りる。

 

 だから、芙二は紫月にこういった。

 

芙二「いや合流は片が()いてから。職員の明け渡しと調査は憲兵達に任せるとして。危険を排除するのは俺達の役目って事で、いいかい」

 

紫月「うん、それでいいよ。なら、とっとと行っちゃおうか。八崎さん、自分の()()はフルに発揮できる? そうでない?」

 

八崎「え、あ、はい。しっかりと出来そうです。紫月さんにそれは話しましたっけ――――」

 

紫月「よし、それじゃあ行こう。叢雲さんだっけ、艦娘も心配でしょ? なにかされる前に行かないとね」

 

 八崎の言葉に被せた紫月は芙二に『さぁ行こう』と言って催促する。

 芙二も芙二で頷き、行動しようとする。

 

 正面から行くんですよね、と八崎が聞くも芙二は黙っている。

 なにか嫌な予感を感じ取る二人。おもむろに二人の身体をがっちりと掴む。

 

芙二「あ、やっぱ正面からじゃなくても大丈夫? 天井の一部をぶち破って降りるから」

 

『『!?』』と驚き、脳内では『作戦とは違うじゃあないですか』と叫び声が上がっていた。

 なぜ、声に出さなかったのかというと、出せない状況にいた。気がついたら、上空に居た。

 

『……そんじゃ墜落しますかねぇ!!』

 

 なんてイキイキとした声が上から聞こえると同時に研究施設の屋根であろうものが視界に入る。

 滅多に空中なんぞにいないからか思ったよりも声が出ないでいるのがまずかったのか……いやそんな暇を与えない芙二が悪いのだ。

 

 幸いな事に空気抵抗は一切感じなかった。

 まぁ芙二が何かしているのだろう、と感じたのも束の間。

 

 ズドーン!!

 

 そんな音が聞こえと同時にその衝撃は凄まじく、身体の節々が痛む。

 しかし芙二たちは研究施設の屋根を突き破って、廊下と思われる場所へ着いていた。

 

『この音はなんだ!? 侵入者か!?』

 

『まさか艦娘に砲撃でもされたのか!? いや深海棲艦か!?』

 

 なんて声が下から聞こえる。

 つまりここは二階以上の階層のどこかなのだろう、と芙二は二人に伝える。

 

八崎「……私たちの方に十人の人間が来ますね。どうしますか、と言っても戦闘しかありませんが」

 

紫月「そうだね。芙二殿は今すぐここから離れて――『いや大丈夫。とりあえず俺が全員シバいて情報吐き出させて来る』――あ、ちょっと!」

 

 なんて言いながら、向かって来る職員をシバきに向かった。

 紫月や八崎が追おうとしたが、遅く戦闘は開始されたようだ。

 

『うぐ!?』や『な、なんだこいつは!?』なんて声も聞こえてくる。

 やがて銃声も聞こえてきていよいよ、やばいかなんて思ったとき、芙二が向かった方から獣の咆哮のような声が聞こえてからしばらくすると銃声も何も聞こえなくなる。

 

八崎「これは終わりましたかね?」

紫月「いや警戒を解かないままで行きましょう」

 

 なんて話ながら向かう。

 そこには泡を吹いて倒れる職員と芙二が居た。

 

芙二「おー。お二人さん。先にやっちまったけど、全然弱いな。本当にやる気ある?」

 

 とぴくりとも動かない職員にビンタをかましながら言う。

 目を覚まさないと文句を言いながら、八崎と紫月は残りを拘束する。

 

 全員、見事に気絶させられている。

 これは私達要らないのでは?なんて八崎が考え始めたとき、絶叫が真後ろから聞こえる。

 

八崎「な、何が一体……」

紫月「うん、そうだね」

 

 あらかた縛り終わっていたので絶叫の方を向くとそこには芙二とさっきまで気絶していた職員が今度は涙を流して、震えていた。

 

職員「ひっ……あ、やめっ……あぁ!?」

 

 ブルブル、ガタガタと震え顔をしわくちゃにしながら芙二に対して怯えていた。

 八崎達を見ると、その職員は懇願するように声を張り上げて助けを請う。

 

職員「あ、あんたら……憲兵だろッ!? な、あ俺を助けてくれッ!! こ、ここここの男はやばいッ!! ころ、、ころッされる!! おねがい、だからっ! おね、おねねねがいだかラッ!」

 

 自分達を憲兵だとしっかりと分かっている辺りまともなのだろう。

 末路が見えているはずなのに、こうも懇願してくるのが異常に見えて一歩下がってしまう。

 

職員「ひっ……そ、それ、、、、! やめ、やめめめめ……あぐぁぁぁぁ!!!!」

 

 芙二が目の前にいるだけなのにまた極度に怯えた表情をする。言葉に震えが出てまともに伝えれていないように思える。

 止めろ、と言いたかったのだろうか。言葉は途中で途切れ、激痛に哭くような声を上げる。

 

紫月「芙二殿は一体何を……この短時間で彼に何をしたんでしょう?」

 

八崎「いや分からないです。でも、やりすぎかと……」

 

 いい加減に止めようと言おうとした時ぎょっとする。

 ニコニコとして、痛みに哭く職員を見つめている芙二もそれで気味が悪い。

 

芙二「あぁそうですね。話す前に壊れてしまっては意味がないですし」

 

 パチンと指を鳴らすと職員は前に手を突きながらぐったりする。

 ぜーはー、と息を切らして自分の胸を撫でていた。

 安心したから撫でたわけじゃなくて、そこに何かがあったから今はそれが無いかの確認をしているように見えた。

 

芙二「さて、職員君。君が話したい事はある程度知っているのだが……憲兵が目の前にいる今、君たちではこの状況を覆すことは不可能だ」

 

 抵抗は止めろと、話す。目の前に憲兵がいるのは事実だ。一人殺した所でなにも変わらない。

 普通なら、威勢よく芙二や憲兵に噛みつくのだろう。だが、目の前にいる職員は憔悴しきっていた。

 

芙二「で、提案だ。普通なら俺は君たち全員……皆殺しにして回ってもいい。それくらいしても怒られないと思うからね。しかし俺もそこまで悪魔ではない。君が全フロア、全部屋を案内するのなら、皆殺しにするのは止めておこうと思うんだけど、どうする?」

 

 さっきとは変わらずの笑顔で恐ろしい事を口にしていく。

 八崎や紫月の顔が引き攣っていた。

 

 こいつ、尋問に向くのでは?と。

 あと敵に回したら確実に厄介なことをしてくる、なんて。

 

職員「話すから、俺にも他のやつにもさっきのことはしないで、ください。おねがい……します」

 

 芙二の顔を見ないで、下を向いたまま話した。

『うん、分かった。約束だ』と言いながら職員に近づいて小指を差し出す。

 

芙二「職員君、君さ名前なんて言うの? 教えてくれない?」

 

 突然、名前を聞かれた職員は瞠目していたがあの痛みが再度くるのかと思ったのかすぐに言った。

 

榎本「榎本 満(えのもと みちる)です」

 

芙二「そっかァ……じゃあさ、満くん。家族はいる? 祖父母も親、兄弟でも姉妹でもいいんだけどさ。恋人でもなんでもいいんだけど。それに該当する人はいる?」

 

 今度は個人情報を聞き出そうとしている。

 なにをしているのだろうか。そんなことしている暇はないのではないかと八崎は思う。

 

 紫月は八崎と同じ事を考えていたのだが、ふいにハッとして聞こうとした時だった。

 

榎本「……います。本土に両親も祖父母も…兄はいませんが、姉と妹がいます。歳は――『ストップだ』……はい」

 

 芙二にベラベラと話してしまう。この時、口角が僅かに上がるもすぐに戻して話し始める。

 小指を差し出したまま、指切りをさせようとする。

 

 榎本はやらざるを得ないのだが、芙二の口から衝撃的な事を言われる。

 

芙二「指切りをしよう。指切りげんまん……嘘を吐いたら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()~~! ……指切った!」

 

 ニコニコしながら言うと二人の間に契りは交わされた。

 今の宣言には憲兵である、二人も思う事があったようだ。

 

八崎「流石に今のは、ないんじゃないでしょうか? こいつは悪でも、その家族は悪じゃないのでは?」

 

芙二「まぁ人質さ。人間のやる事じゃないのは分かってるけど、それくらいしないとこいつ仲間を売って逃げるでしょ?」

 

紫月「でもほら、聞こえてないよ? 今にも死にそうな顔してるけど……」

 

 本当だ、と今にも死にそうな顔をしている。まぁ死ねないと思うけど。

 

芙二「まぁ満君が変な事しなかったこのまま、捕まって終わりだよ。この約束は、ね」

 

榎本「本当ですか……? 家族にはなにも、しない……んですか?」

 

芙二「やらん。(外道みたいなことしてるのは重々分かってるけど)

流石に今回は許せそうにないんでね。君にはいい人質になってもらう。さて、案内してくれ」

 

 榎本を起き上がらせると、予め作っておいた拳銃を頭に突きつけて今のフロアから案内させる。

 芙二も一応憲兵に見えるように細工をしておくが。その方が、言葉に信憑性が出るだろう。

 

八崎「紫月さん……私達、とんでもない場面に出くわしてしまいましたね?」

 

紫月「そうだね。芙二殿はいつもあんな感じなのかい? とてもじゃないけど、提督をしている者には見えないんだけど……」

 

 芙二は榎本に案内させていくなか、二人はひそひそと会話をしていく。

 

 

 

 ======

 

 

芙二「よし、これで二階までは全員拘束出来てよかった。満君、君は優秀だねぇ。さて、一階はなにがあるのかね?」

 

榎本「い、一階は生体実験室があります。そこで深海棲艦や艦娘に投薬実験を行っています。他には管制室や研究員が使う研究室。警備室などが――ひっ!!」

 

 一階の説明が終わろうとする時、榎本は突然怖がる。

 八崎と紫月はなにがあったのだろう、と思うがすぐに分かる。

 

芙二「生体実験室がなんだって? いや説明はいいや。八崎さん、紫月さん。これから戦闘になるだろうけどその辺は任せるよ。とりあえず……満君。ここまでご苦労様。君はこれにて退場だ」

 

八崎、紫月「「了解です」」

 

榎本「え」

 

 二人はようやく自分たちの仕事が回ってきたのか、声を揃えて返事をする。

 榎本はただ一人、困惑していた。

 これから解放されるようなフレーズに聞こえたが、絶対に違うと分かる。

 

榎本「えっと、俺はこれから――ぐぇ!!」

 

 芙二は思いきり、腹パンした。

 短い悲鳴を上げ、榎本は気絶し倒れる。倒れた榎本の身体を拘束しながら二人に指示を出す。

 

芙二「数は多いだろうけど、君たちだったらきっと出来る。まぁ無理そうだったら逃げてもいいよ。どうせ、この後大人数で検挙するのだろう? っと、こいつは当分動かないからこれにて二手に分かれよう」

 

八崎「分かりました。叢雲ちゃんを任せます」

 

芙二「うん、任された。抵抗しない者はそのままきつく縛って転がしておいて。抵抗する者は徹底的にやっちゃって。利口な人間だったら、その後はすんなりいくと思うから」

 

 

 八崎と紫月は下へ降りる。降りてすぐの戦闘はないと思いたい。

 

 

 なんて思いながら、縛った榎本を壁際に転がしておく。

 そして一番気になっている生体実験室へ足を運ぶのだった。




 ここで八崎と紫月とは別になりました。
 お次は生体実験室での話からですね、多分。
 
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