――続き
ここは北方AL海域の中にある島。
昔は人間が住んでいたが、度重なる深海棲艦の出現により、人間たちは出て行った。
そこで廃村となってしまっているところを、姫級の深海棲艦達が改築していった。
人間に敵意剥き出しの深海棲艦がいる中でもある意味で目を引く深海棲艦がいた。
それは北方棲姫もといほっぽちゃんである。
容姿は頭の上側に低く緩い一対の角、駆逐艦娘や海防艦にも遜色ないちんちくりんな体型。
それを覆うAラインワンピース、その両手に鍋つかみミトン、警戒心いっぱいに見開かれた大きな瞳の深海棲艦だ。見た目はただの幼女であるが、彼女はれっきとした深海棲艦であるため騙される提督がいるのだとか、いないのだとか。
今日は彼女の姉に当たる港湾棲姫、戦艦棲鬼、空母水鬼、北方水姫と各海域を支配する面々が揃っていた。急な招集ではなく、元より予定されていたモノであった。司会は港湾棲姫が務めていた。
自分の領土なのに当の本人である北方棲姫は自身の艦載機を手に取って遊んでいた。
それを見て北方水姫は誰にも気づかれないように、溜息を吐く。
彼女はこの会合みたいなものが嫌いなのだ。
北方水姫(……コノ私ト組メバ、
北方AL海域から大艦隊で侵攻していけば、落とせるだろうと港湾棲姫や戦艦棲鬼の会話を聞きながら考えていた。各々が持つ力を合わせれば、ここから勝利を得ることは確実だと高を括っていた。
本土には怪物がいるということを知らない。
会合のようなものは恙なく行われ、終わった。
結果としては今回の話し合いの内容はこうだ。
『近々、ぬるま湯に浸かりきっている人間を急襲し、我らの海を取り戻す』という事らしい。
それを聞いて、元々好戦派な北方水姫は手を上げて、最初の出陣を名乗り出た。
彼女が従える姫や鬼出ないものたちは深海棲艦の中でも屈指の強さを持っていた。
これまでの侵攻戦もいくつもの人間を、艦娘を屠り撤退させてきた。
だから港湾棲姫はそれを了承し、任せる事にした。
任された北方水姫は『必ズ、ヤッテミセル』と言い残し自分が支配する領域へ部下を連れて戻った。
港湾棲姫は戦艦棲鬼と空母棲鬼に一礼すると自身の妹分である、北方棲姫を連れて何処かへ行った。
先ほどとは打って変わって静まり返った部屋の中でやっと空母水鬼が口を開いた。
空母水鬼「ネエ、戦艦棲鬼。北方水姫ハ勝テルト、本気デ思ッテイルノカ?」
戦艦棲鬼「サァナ。最近、聞イタ噂ダト本土ニハ我々スラ凌駕スル怪物ガ居ルト……」
空母水鬼「ソンナノ、居ルノカシラ?」
戦艦棲鬼「所詮ハ噂。真実ハ闇ノ中ダ」
と、淡々と会話していると急に扉が開く。
二人の意識はそちらへ行く。
そこには腰まで伸びる薄い水色の髪に、切れ長の緑色の目の童顔の黒いスーツを着た少女が居た。
少女は二人に一礼し、口を開いた。
『あれ、もう会合終わっちゃいました?』と。
空母水鬼は呆れていたが、戦艦棲鬼はその問いに答えた。
戦艦棲鬼「モウ終ワッタ。近々、侵攻を開始スル。ソウカ、貴様ガ協力者ノ……」
??「アイリ・ブルグレスと申します。今回はよろしくお願いしますね。深海棲艦の皆さま」
と、挨拶をして話し始めた。
アイリ・ブルグレスは戦艦棲鬼や空母棲鬼と話す中で時折、微笑を零していた。
そこに変な違和感を感じた、空母水鬼だがこの場では言及することはなかった。
今回の会合の内容を知れたアイリ・ブルグレスは二人の方を向いて深く頭を下げながら、お礼を言う。
足早に部屋を出て行ったのだった。
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本土 静岡県 下田市にある一軒家にて。
アイリ「カインちゃんの反応が無くなった、かぁ。あの子死んじゃったのかな」
と、少し残念そうに呟いた。
でもまぁ……と続けて独り言を呟き始めた。
アイリ「人間に、この世界に復讐する
考えただけでも、ゾクゾクすると口をだらしなく開けて悦に入った表情をしていたのだった。
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六月 下旬。
カイン・アッドレアと似た境遇を辿った者が起こす災いは、かつてないほどの戦いとなった。
『私の命、尽きるまで……世界の脅威で居続けてやるわ』
新キャラクター:<深海棲艦>
空母水鬼:
銀色のロングヘアーにカチューシャらしきものを頭につけている。
3段に分かれるブーツに、入り口に縦縞の入ったニーソックスを着ている。
戦闘では空母棲鬼によく似た空母型の艤装に座っている。
北方水姫:
背後に青白いオーロラの様なオーラが揺らめき、目は青く光っている。
茨模様が入った丈の高いミトラ(東方正教会の宝冠)のような冠をつけている。
艤装の上から白いマントを羽織り、サイハイブーツを履いている。
胸元には深海棲艦に特有の「歯」の意匠がある。
背後から伸びる2本の巨大なマニピュレータの上に三連装砲塔が付き、両腕の籠手に似た艤装には鋭い爪が付いている。
港湾棲姫:
彼女と対面した際、まず目に飛び込んでくるのは分厚い胸部装甲である。
その豊満な胸部装甲を覆うトップスはリブ生地。
つまりは縦セタを着ており、その縦セタからは横胸部装甲がはみ出ている。
挙句、ボトムスは何も穿いていない、という。
戦いでは困り顔にジト目であまり戦いたくないという旨を言っており、あまり積極ではない。
アイリ・ブルグレス:
かつてカイン・アッドレアと共に、この世界に連れてこられた人間族の少女。
アイリ・ブルグレス――――この世界の破滅を願い続けている。