今書いてるやつで中二病を展開するのが楽しい。
五月 十三日
昼食を食べ終えた芙二は応接室にて、先日の職員を待っていた。
待っている間、ボロが出ないようにしないとなーと考えていた。
芙二(大淀さんが連れて来てくれるっていう話だけど。おっさんにはどこまで話すべきかな? ただもしも……それ以外がいるのならば、込み入った話はしない方向で行こう)
もしおっさんの部下がカインの龍神状態を見たのなら、話は別だが。
芙二(でもなぁ……その事実を言うとシナリオからかけ離れてしまうからなぁ)
と、考えながらそれ以外がいてもいなくても関係なしに言わない方向でと決めた。
コンコンコン
扉がノックされる。芙二が問う前に扉の向こうにいる大淀が『提督、観測所の方と本営の方、それに……』と言葉が続く。
芙二はやけに多いな。今回はそこまで問題なのか、と認識を改めた。
扉の向こうにいる大淀に入ってもらうように、指示を出した時だ。
ガタン! ガタン!
扉を強く雑に開ける音が聞こえ始めた。外に居る大淀が『ちょ、ビスマルクさん! やめてください!』と言って声を荒げた。芙二が扉へ近づいて、鍵を開けると勢いよく開いた。
バァン!
大きな音が扉から聞こえて、応接室の中へビスマルクが突撃してきた。大して驚かずに彼女の表情を見て見ると激情が滲んでいた。
芙二(おや?)
ビスマルクは芙二と目が合うとさらに殺意を滲ませ睨みつけてきた。
本営の職員であろう人も『ビスマルク! やめなさい!!』と大声を出しながら彼女の腕を掴んだ。
ビスマルク「なによ!! 邪魔をしないで! こいつの発見がもっと早かったら、プリンツは、レーベやマックスは……壊されずに済んだのに!!」
憎き敵を討つべし、なんて言葉を言わなくても表情で分かった。何を勘違いしたのか、分からないが俺は彼女に強く恨まれているらしい。なんの発見か分からないが、最近のことだと先日の戦闘かあるいは研究所のことか。
芙二「はぁ。お前は研究所の所にいた
ビスマルク「裏で繋がっていた、あんたには絶対に教えない!!」
芙二「埒が明かない。えっと観測所の……『
観測所の職員の名は山方という中年の男性だ。赤髪のオールバックに、黒い丸眼鏡をかけていた。
髪色だけで判断するのは申し訳ないと思いながらも、他の方へ目をやる。
もう一人の方は黒髪のポニーテールで青い三白眼の男性は紺のスーツを着ており、ビスマルクを必死に止めていた。今は険しい表情で彼女を見ていた。
芙二は少し考える。聞いたことのある単語があったからだ。
えっと北第八だと……谷部提督だったっけ。確かあの実験に関わっていた……。
芙二「は?」
北第八と聞いてピンときた。先日、南西諸島海域から世界を滅ぼそうとしたカインを実験台にしたリストにいた人物の一人だ。非情派の大物だったような気がする。
なんでそいつが、そこの艦娘が俺を訪ねてきたんだ?
あぁレポートの回収か。まぁあれだけのことを書いてあったら、隠蔽したいよなぁ。
ビスマルク「ッ! その表情……!! やっぱり持っているのなら早く寄越しなさいよ!!」
芙二「何のことだか、さっぱりですね」
ビスマルク「レポートよ! 持っているでしょう?!」
芙二「あーそれならもう憲兵に渡してしまったよ。嘘だ、なんてことを言わないでくれ。もう私の手元にはない。時間が惜しい。これ以上喚くなら、黙らせるまでだが?」
ギロリ、と視線で威圧する。
あのレポートにそこまでの価値があるとは、交渉材料のために保管しておこう。
危なくなったら、データを複製したあとで捨ててしまえばいい。
ビスマルク「あ……そ、その眼……」
芙二「目? 目がどうかしたのか? 大淀、ビスマルクを医務室へ。彼女は目に異変があるらしい。明石の触診で分からなかったら高速修復剤を使ってもいい」
青い顔をして固まるビスマルクを尻目に大淀へ指示を出す。
彼女が芙二を見て、なにを感じたのかは彼女にしか分からない。
茫然としているビスマルクの手を大淀が引っ張って出て行った。
これで話し合いを出来ると芙二は溜息をついた。
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芙二「さて、時間も惜しいので始めましょう。遠路はるばる、ようこそ東第一泊地へ。本日は先日の一件の話し合いと補佐から聞きましたが?」
山方「はい。先日の南西諸島海域で起きた島が崩壊するレベルの爆発について、です。これから調査を行うのですが、その前に事実確認をですね……」
芙二「なるほど。この件はあまり多方面に知られたくないのですが……本営の職員の方ですよね? つい、ふらっと誰かに話してしまったら、と思うと」
三木沢「申し遅れました。私は本営の
芙二「ふむ。なるほど、承知しました。では少しだけお待ちください。報告書のコピーを持って参りますので。では一度失礼します」
そういうと芙二は部屋を退室した。
この部屋に盗聴器やレコーダーを持ち込んでないか、チェックをする。
芙二「信用されてないなぁ……」
山方と三木沢のバッグから二つずつ。上着からは小型の盗聴器が三つ入っていた。
まずはそれらをすべて無効化させる。ちょいと干渉してしまえば、なんとかなるもの。
既に完成された報告書を虚空から取り出して、先日即興で作ったシナリオを確認する。
芙二(これでいけるだろう)
と思ったので、再び入室するのだった。
芙二「お待たせしました。先日の爆発についての報告書ですね。二枚お持ちしたので、どうぞ」
山方「ありがとうございます。まず一つ目ですが研究員が隠したがっていた成果とはどんなことだったのでしょうか?」
芙二「そこに書いてある通りです。解体されつつある、元研究所と同じことですね。それに加えて艦娘と深海棲艦を配合……のようなおぞましい実験をしている、と報告を受けました」
山方「芙二提督殿が信頼されている密告者という方からですか?」
芙二「ですね。その者も今や連絡が取れず……あの爆発で死んでしまった可能性もありますしそれ以上の事は分からないですね」
三木沢「なるほど。芙二提督殿も運が悪いですな。非情派と言われる連中につけ狙われることになろうとは……先日誘拐された艦娘は大丈夫ですか?」
芙二「心配していただきありがとうございます。彼女はもう復帰し、戦場へ出ていますよ。私も彼女達のような屈強な肉体があれば……すぐに現場復帰できたのでしょうけど」
山方「はははは……我々は人間です。研究班や技術班が開発してくれることを祈りましょう。それで次なのですが……」
と、芙二の話したシナリオ通りに話し合いは進んだ。
聞きたいことを聞けたのか満足した表情で三木沢は同行していたビスマルクの様子を見てくるといい、部屋を出て行った。中には芙二と山方の二人が残った。
山方「少し私情を挟みますが、いいでしょうか?」
芙二「構いません」
山方「ありがとうございます」
芙二に礼を言うと、山方は話し始めた。
爆発の起きた地はかつての故郷らしい。
その時本土で仕事をしていたのだが、部下から突然の連絡が来ると『故郷を破壊されたるかもしれない』というから信じられなくなり他の者も急遽呼んできたのだと。
そりゃあ故郷が破壊されたら、悲しいだろう、と思いながら芙二は頷いた。
山方「私たちがつく頃には、もう島はめちゃめちゃで……」
芙二「で、その時に自分たちがいて……」
山方「そうです。これが定かであるか、分からないのですが当時連絡をくれた部下に詳しい情報を聞いたんです。そしたら、遥か空にドラゴンを見た、というのです」
芙二「ほぅ……」
目を見開いて驚くように反応する。それに加えて一言『ドラゴンですか』と。
山方「私もこんな重要なときにふざけんな!とつい、怒鳴ってしまいましたが部下は困りながら嘘を否定し、
動画!そういうこともあったか!
まぁくっきりと映ってない事を祈って……
山方「それで、作り物のようなドラゴンが実際に空を飛んで島へ向かって攻撃を放った時を見て震えてしまいました。我々の理解のいかぬところで空想、幻想が息をしているという事実が理解出来なくて」
芙二「それはそうですよね。私も実際にそんなのがいたら怖くて逃げ隠れてしまいそうです」
なんて言いつつも実際に対峙して、戦闘を終えたが。
山方「それで質問なのですが……芙二提督殿は見たのですか? そのドラゴンを……」
おっと、その質問は想定外だ。
が、しかし山方さんよ。すまないが、はぐらかせてもらう。
芙二「いや爆発の衝撃で気絶してまして……実際に視たかと言われれば怪しいです」
山方「あ、そ、そうですよね。あの爆発で生きていただけでも奇跡だと思います。私のくだらない質問は忘れてください」
芙二「いやいや忘れるなんてとんでもない。故郷を思う気持ちは分かりました。非情派を壊滅できるように、微々たる力ですが協力させて頂きます」
山方「ありがとうございます。では、我々は帰らせて頂きますので。本日はありがとうございました」
芙二「いえいえ。こちらこそ、ありがとうございます。三木沢さんとビス子……いえビスマルクを迎えに行きましょう」
そういって、二人は応接室を出た。
芙二はそのときに無効化していたものを全て解除したのだった。
食堂で笑顔で甘味を頬張っていたビスマルクの隣には非番であろう艦娘達がいた。
静かに緑茶を飲んでいた三木沢も他の艦娘と会話していた。
芙二と山方が入るなり、艦娘達は会釈し、また会話に戻っていった。
山方「芙二提督殿は最近ここに配属されたと聞きます。なのに、艦娘の心をこうも掌握しているようで……なにか特別な事を?」
芙二「いやいや。ただ私は彼女達に寄り添い、彼女達と共に海を護って行くだけです。ときに作戦のあれこれで衝突することもありましょう。しかしそれは過程だと思い、大事にしていく予定です」
山方「そうなのですね。若いというのは武器にもなります。それにここの妖精さんを見ていると、芙二提督殿が頑張っている事が分かります」
芙二「ありがとうございます」
続けて『我々も甘味を頂きますか』と言ってカウンターへ向かうのだった。
このとき、三木沢は艦娘達から視線を外して芙二と山方の方を観察するように見ていた。
次からは多分冷葉くん目線が多めになります。