今月中にvs姫級までの話を書きたいなぁ。
無理だったら10月に回すかなあ……。
五月 十九日 朝五時三十分 工廠内 工房にて
あのあと結局、ろくに寝れなかった芙二は新たな武具の生産に入ろうとしていた。
つい先日、自身の扱う鎌に【ソウルイーター】と名付けた。
効果は凄まじく鎌自体に触れれば他人の生命を奪うことが出来るというもの。
芙二以外が扱えないようになっているため、他人にとっては地雷よりも酷いものだった。
足が吹き飛ぶなんて生ぬるい。一触即死なのだ。
艦娘も神も悪魔も精霊も心(神)霊も関係なしに殺してしまう絶死の大鎌。
それより扱いやすい武具を
芙二(といっても、俺が持ってるのはだいたい呪い系なんだよね。怨念結晶なんかそう。神の別側面のストックなんてないし……適当に付与してみるかっ♪)
そう思うと作業台に手当たり次第、付与しても大丈夫そうなものを置いていく。
フライパン、鍋、ノコギリ、鉈、六法全書、長靴、スニーカーなど。
適当に置いていって付与する内容をこれから決めようかと思っていた。
芙二(ノコギリや鉈は切れ味を良くしてみたいけど――誰か怪我したらまずいから刃を動かしている、もしくは当てているとき以外は柔らかくしてみよう)
と、試してみる。
すると柄を掴んだら温められ続けたゴムのようにぐにゃりと歪み、また液体のように床へ落ちて固まった。鉈はもっと酷かった。柄を掴むのはいい。鉄を握っているくらいに重く――いや重すぎるな質量保存の法則に反している。
どれぐらい重いのかはかろうと、工具の重さなどをはかれる量りに乗せる。
すると、ぐりんッ! ギ、ギ、ギ……と嫌な音を立てて目盛りを振り切った。
つまり刃を含めて二十センチあるかないかの鉈だけで十トン以上の重さがあるということだ。
芙二(アレぇ? 俺、扱うのド下手くそになっている?? 付与とかは出来た筈なのになぁ……)
重すぎる鉈や既に原形を留めていないノコギリを跡形もなく消滅させる。
芙二(…………え?
ノコギリ、鉈以外を再び虚構へ投げ入れる。
すっきりした作業台に絶死の大鎌を置く。
芙二(どうやら無機物は大丈夫なんだなぁー。あ、そうか。不壊付与とかすれば任意の相手は鎌の効果で死なずに済む。あーやっぱり寝てないからダメだわ。せっかく人間を辞めたのに――)
鎌を見ながら、これじゃあだめだな。と溜息をつく。
しかし気を取り直してとりあえず鑑定眼を駆使し、鎌をじっくりと観察した。
芙二「ふーむ、どこが違うとか分からんな。もしかして俺個人って呪いとか闇属性系以外と相性良くない? あ、でもタケミカヅチ様の神雷とかは扱えるから、単に経験がない所為なのかな」
鎌の柄を持ち、刃を下へ向ける。湾曲した刃自体がギランと紫色の光を一瞬だけ放つところを見ているとなんだか戦いたくなってきた。
サラトガと戦う事になったら敵軍本隊以外を受け持って一掃してみるのもいいな、と考えていた。
鎌を仕舞おうとしたとき、ガチャと扉が開く。扉の外からは不思議そうに覗く秋雲と目が合う。
芙二「お、秋雲か。おはよう、こんなところにどうした? 俺に用でもあるのか?」
秋雲「おはよ~提督~。いや夜間組だったからさ~艤装を片付けてたら何やら知らない場所があったから寄ってみただけ~……ってなんか物騒な物を持ってるじゃんか」
芙二「なるほどね。夜間組、ご苦労様。さっきこの大鎌を観察してたんだ。何かに使えそうかなって思ってね。そとに居る二人ごと、中に入っていいぞ。この鎌は仕舞っちゃうから」
秋雲「え? 提督に話したっけ~? まぁいいや。ヒトミ~、ゴーヤ~提督が中に入っていいって~」
と外に居るであろう、伊13ことヒトミ、伊58ことゴーヤに声を掛ける。
三人が入って来る間に芙二は大鎌を仕舞う。
あれは本当に艦娘ですら殺しかねない物だからこそ、早くしまう。
秋雲「それじゃお邪魔します~っておぉ~! 結構広いじゃんか? 提督はここでなにをしてるの?」
芙二「どーぞ。ここでなにをしてるか、か。自分の使う武具のメンテナンスが主かな。紫月さんは紫月さんで何か作っているような気がするけどね」
秋雲「なるほどねェ……提督さ、ぶっちゃけたハナシ――あの鎧姿見せてくれない?」
芙二「鎧姿? あぁ~別に構わんけど……」
秋雲から【魔竜騎装】のことを尋ねられる。メンテナンスは終わっているので、すぐに換装可能だが現在、部屋内には何も知らないヒトミとゴーヤがいる。だから返事に困っているとそのことに秋雲が気づいたようだ。
秋雲「なに? 随分歯切れが悪いけど……あ、なるほどね。そういうこと、ね。でもどうせ二人以外にもバレるんだから秋雲さん的にはいいと思うけどなぁ~?」
芙二「ま、そうだよな! どうせ、俺が暴れる事になってから説明するのは面倒だし。――――【魔竜騎装】!」
芙二と秋雲の話についていけないゴーヤとヒトミ。
バレると説明が面倒?という言葉に二人は提督が何か法に触れるようなことをしてるのでは?
と思っていた。
ゴーヤ「? な、なにが始まるんでちか……?」
ヒトミ「提督と秋雲さんは一体何の話をしてるのでしょうか」
まさか自分が所属している所の提督が、と不安が募っていく。
しかし次の瞬間、二人は別の意味で驚くのだった。
芙二「秋雲? これで満足か?」
秋雲「うぉぉぉ!!? すっげぇ――本物の暗黒騎士みたいっ! 提督、触ってもいい!?」
芙二「あぁ構わな――言い終える前に触るなよ、秋雲」
目の前にいた提督の姿が瞬きをする間に変化していた。
秋雲は暗黒騎士みたいだ、といって食い気味で提督に質問していた。
兜から困った様な声色が聞こえるも、秋雲は更に興奮した様子でべたべたと触れていた。
その様子を見て、呆れたように話しかけていた。
ゴーヤ「……てー、とくは――――」
ヒトミ「提督は――――」
ゴーヤとヒトミの言葉が重なる。
それくらい、考えが一致したのだ。
芙二に換装するように頼んだ秋雲はまだ興奮気味に鎧を隅から隅まで探っていた。
途中、一度寮へ戻りカメラを取ってくるからそのままで居て、と言いながら走って行った。
芙二「はぁ。秋雲のやつ――さて、続きをやろうかな。あ、二人とも今さっき何かを言いかけた? 大体のことだったら答えれるけど無理な質問もあるから、分かってくれると嬉しい」
と、鎧を着たまま作業し始める。
最初はガチャ、ガチャと金属の擦れる音が聞こえたものの途中から聞こえなくなってきた辺りでゴーヤが質問を投げかける。
ゴーヤ「てーとくは、何者なんでち?」
芙二「ん? 俺? 俺は
ゴーヤ「そ、そうでちか。じゃ、じゃあさっきはどうやって着替えたでちか」
芙二「そうだなぁ…………こうやってかなぁ?」
と少しだけ口角を上げながら『解除』と呟く。
すると青黒い色の鎧は黒い粒となって霧散していく。
質問をしたゴーヤも質問しそびれたヒトミも目を丸くし、口に手を当てて驚いていた。
なんと鎧の下は下着一枚ではなくタンクトップ一枚に、チノパンとラフな格好をしていた。
芙二「ま、こういうこと。秋雲が来るからまた鎧を着なくちゃいけないけど。他に質問はある? ないなら俺は作業に戻るね」
と、再度【魔竜騎装】を選択し鎧姿のまま
鉈とノコギリは失敗したけど、他なら大丈夫だよねと試そうとするときだ。
ヒトミが芙二が人間かどうかを質問する。
芙二「…………」
ゴーヤ「ヒトミ?! そ、それはいくらなんでもてーとくに失礼じゃ…………」
ヒトミ「あ、いやそうですよね。……ううん、ゴーヤちゃん。これは私が気になるの。違ったら提督にすっごく失礼かもしれないけど――どうなんですか、提督」
芙二「口外しないって約束できる? あ、いいや。今そうしてしまおう」
ゴーヤ「? 約束するでち。ゴーヤの名に誓って提督の秘密は口外しないって――」
ヒトミ「わ、私も提督の秘密を絶対に外へ漏らしませんっ!」
芙二「ありがとね、二人とも。覚悟を決めろ、なんて風に言ったけどここに所属する艦娘、妖精、人間は全員知っているよ。確かに二人みたいに知らない艦娘もいるみたいだけど」
作業を開始する前に、二人の方を向いてそう言った。
しかしゴーヤもヒトミも芙二を責めたりはしなかった。
芙二の口からの言われる答えに興味津々だからだ。
芙二「まず初めに。俺はお察しの通り人間じゃない。中には深海棲艦のようなことも出来るから、疑われたがノーと言っておこう。まぁ恩人は深海棲艦の神だけど」
ゴーヤ「!? 今さらっと、とんでもないことを口にしたでち?!」
と驚くゴーヤだがヒトミはやっぱり、と納得したように頷いた。
でも人間ではないならなんだろうかと思い、黙っていた。
芙二「それで俺の正体は……信じられないかも知れないが龍人族というものでな。この世のものではない。その力ゆえに俺だけで深海棲艦はおろか艦娘も人間も滅ぼせる」
ヒトミ「いま……なんて?」
芙二「言い過ぎだと、思うだろう? 誇大表現だと、誰だってそう思う気持ちは分かる。俺自身がどうにかして、説明してやりたいが正直今はそれどころではない」
と二人から視線を外しながら、言葉を区切る。
しばらく二の句を繋げない芙二を見ながら、ふとヒトミもゴーヤも冷葉から聞かされていたことを思い出す。
仲間のサラトガが沈んだのだ。
あまつさえ、深海棲艦として生まれ直しているかもしれないという状況に置かれていた。
芙二「……誰に話しを聞けばいいか、か。冷葉とかかなぁ。俺の一撃を味合わせたから、分かると思うけど赤城とか時雨、夕立、川内三姉妹に、夕張でもいいね」
ゴーヤ「分かったでち、あとで冷葉補佐以外にきいてみるでち」
芙二「冷葉は苦手か?」
ゴーヤ「い、いやそうじゃない、でち。ただ今は忙しそうだから、ちょっと」
ヒトミ「私もあとで聞いてみます。て、提督――それともう一つ――――」
と、次の質問をしようとした時だ。
芙二が少し大きな声を出して外にいる連中に声を掛ける。
芙二「戻ってきていたなら、入ってくればいいじゃないか、秋雲。それと夕張に紫月さん、八崎さんも。中に入ってきてもいいですよ」
外にも聞こえる音量で話すので、少しだけ驚くふたり。
秋雲は苦笑いをしながら入ってきた。それに続いて八崎や紫月、夕張も入ってきた。
芙二「盗み聞き、とは思わないけど、うん。耳はいいんだ。だから――八崎さん達がこそこそ、話してるのは丸聞こえだよ。俺の大鎌がなんだって? 深海棲艦や不審者を狩るのに向いてる?」
八崎「あ、いやそういうものに向いてるなあ、と決して馬鹿にしてたわけじゃなくてですね」
芙二「知ってるよ。そのうち、あの大鎌を使うんで。近くで見れば――いや普通に死にます。カメラ越しで見ていてくださいな」
八崎「は、はい。了解です。それで、その鎌はそんなに危ないものなのですか?」
芙二「はい。俺以外が扱う事は困難ですし、俺以外が触れたら死にます。即死です。痛みもなく、死にます。だから俺は絶死の大鎌は誰にも扱わせません」
紫月「それは僕でさえも? 艦娘はバケツをかけても、ダメなのかな?」
芙二「はい。生物ならば、確実に命を奪われます。奪われらそのまま消失します。無機物なら朽ちます。理由は知っての通り元になった神の側面を混ぜているので。我ながらとんでもないものを作ったと思ってます」
紫月はうんうん、と頷いて、八崎は少しだけ呆れていた。
ゴーヤとヒトミは芙二が語った情報を呑み込むことができずに、ただ座り直していた。
秋雲は無言でカメラを使用して写真を撮っていた。
芙二は秋雲に資料以外で使うのは禁止な、といい、
それ以外だったら許可すると言いつけていた。
芙二「あ、紫月さん。さっき付与した物なんですけど、これを武器に加工することは出来ますか?」
とエンチャントした素材を見せようとしていた。
紫月は首を捻って唸り、八崎はなんですか、これと指を差していた。
芙二「これは【
八崎は普通の妖刀とは?と首を傾げ、紫月は面白そうだと目を輝かせながら芙二にどういった形にしてほしいかを聞いた。
芙二「や、妖刀なので刃こぼれしないように――って俺がそう、付与すればいいな。俺がまぁ■■から抽出するものを結晶化しておくので試行錯誤をしていってほしいです」
なるほどね、と紫月。
芙二は続けて『あとでここに赤色の箱を置いておきます。そこに結晶化させたものを放り込んでおくので、よろしくお願いします。たとえ腕や足が飛んでも生やしてあげるので気にしないでください』といい締めた。
ゴーヤ「腕や、足が飛んでも生やしてあげる…………?」
秋雲「提督とんでもないことをさらっと言わなかった?」
とそれぞれの感想をいい、芙二と紫月の会話を不思議そうに聞くのだった。
芙二の付与術、特化しすぎた結果他が全然育っていない。
元は干渉する能力からの派生(だった気がする)だけど今はいちスキルとして確立しています。だから堂々と
インフレが加速しそうだなぁ……。
伏字は今後回収されます。