今年もよろしくお願いします。
また後で活動報告をあげます。
抱負をいうぐらいですが、まぁなんとかしていきたい。
1/16 誤字を修正しました。
サラ(……ここはどこでしょう?)
目を覚ますとそこは暗い海の底だった。光もなく、上下左右暗闇の中で不安が心に満ちていく。だが、一人ではないことに気がつく。隣には深海海月姫……いや深海海月姫の残滓が喚き散らしていた。
サラ(この様子……どうやら提督たちが黒い私をやっつけてくれたのですね)
悩みの種がなくなり、胸のつっかえが無くなると自然に取り除かれていくのが手に取るように分かる。隣にいた残滓の表情が変わる。それは見たことのない表情。怒りだ。彼女を唆して、笑っていたのに作戦が失敗したとなると残滓は怒り狂っていた。
『おまえ、意識を取り戻していたのか!? その表情、気に食わんな。どれ、もう一度。いや次こそは魂魄さえ取り込んで完全な個体としてやつらの目の前に君臨してやろうか』
クククと笑みを浮かべる。残滓の言動を聞いたサラトガは危険だと判断して、暗闇の中に溶け込もうとするもすぐに捕まってしまう。
サラ「はな……して! 私はもう二度と、あなたに使わせて堪るものですか!」
『フン。肉体から離れている貴様ではこの力に敵うまい。』
どす黒い塊が彼女に触れ再び、新たな形として生まれ変わろうとする。しかしふいに両者の頭上に光が差す。不自然なほどに明るい光。鮟鱇の光とは違い眩き、熱を持ったもの。
「あの光は……もしかして」と手を伸ばすと光は白い鎖となって彼女の腕を繋ぎ止めた。それと同時に残滓と彼女の精神を分断した。急に分断された残滓は状況の理解が出来ていない。
『なに!? なにが起きたんだ!』
芙二「や、サラ。迎えに来たよ、エスコートは必要かい?」
そこには軍服を着た芙二がいた。鎖の先は彼の手に繋がっており、光の正体は彼の行いであった。
サラ「提督!」
『なっ……』
芙二「おぉ!?深海海月姫……いや、もとい残滓か。やっぱり艦娘の力はすげえな! 土壇場で意思を僅かな力に変換するんだからな! これが火事場の馬鹿力ってやつかね」
人間もそういうときあるから、艦娘だけってわけじゃないけどね、と歯を見せて笑う。
芙二「とりあえずっと……失礼、サラ」
サラトガの腕に繋がれた白い鎖を引き自らの懐へ抱き寄せる。残滓は芙二の姿を見てわなわなと震える。『貴様の存在そのものがっ! すべてを狂わせた!』『なんで貴様のような奴がっ……そんな所で胡坐を掛ける!?』
怒号を飛ばされ、一瞬キョトンとする。しかしすぐに小刻みに震え始めた。くく、と笑いを堪えているようだ。
芙二「なんでって、俺がエゴイストだからさ。お姫さんとの約束もあるがね」
『それではっ貴様は――――』
おどけた芙二が言い終えると残滓を空間ごと閉じ込め、一思いに圧縮した。耳障りな雑音を立てる事もなく潰された。そして残滓のすべてが混ざり合い禍々しい色を放つキューブと変わった。
それを懐から黄昏の欠片に入れる。
芙二「さて、帰ろうか。泊地へっと……サラ? どうした?」
サラ「提督、ごめんなさい。私、自分の中の悪いものを抑えられませんでした。皆さんに迷惑をかけて――――
『いやいやいや、迷惑だなんてとんでもない。サラが深海化していたのにも関わらず、治すのを後回しにした俺にも責任がある!本当に申し訳なかった。兆候がある者は率先して治していくよ』
……でも」
互いに謝ったがサラトガの罪の意識は消えていないようだ。目に涙を浮かべて、今にも泣きそうだった。(ここで泣かれるとなー)と思っていた芙二。ピコンと頭に良案が出てきたようで、早速実行に移す。
芙二「サラ――ごめんな」
サラ「提督? まだっんむ!?」
彼女に軽く口付けをする。突然のことに驚いた彼女は固まる。すぐに離した芙二は「どうだ?引っ込んだか?」といたずらっぽく笑う。
サラ「えぇ? まぁはい。てっ提督は――――」
芙二「はい。話し合いはここまで! みんな上でサラのこと待ってるからさ。行って元気な姿をみせてやりなよ」
強引に霊体だったサラトガを一つの魂に形を変えて、空っぽの肉体に詰め込み浮上を促す。陽の元へ向かう彼女を見送った芙二は船内にある個室へ移動した。
きっと今頃、彼女の元へ艦娘が集まっているだろう。泣いてたり、笑ってたり、安心したリと。感情豊かで仲間思いな
芙二「(東第三と本営の支援艦隊の艦娘には後で、ということで。)
やっぱ先に話すやついるよな」
作戦で使っていた特殊チャンネルではなく、
プツ
『なんだ? わざわざここに掛けてくるってことは――――まさか!?』
芙二「あぁそうだ、冷葉。作戦は成功だ。俺達の勝利だ」
『はぁ!? それはっ本当なのか――――えぇ、作戦成功!? みなさーん! サラトガさんの救出成功しました!』
キーンと高い音が聞こえ、冷葉と大淀の会話が始まった。どうやら聞き耳を立てていたようで、執務室は次々に艦娘の声が聞こえてきて賑わいをみせていた。
芙二(これは……切った方がいいな)
収束がつかなくなっている向こうの状況を見て、静かに通話を終了する。個室から出ると、こちらにも耳をそばだてていた艦娘と会ったが皆、とても喜んでいた。互いに抱き合っている者もいたし、涙する者もいた。
気配を消すように、立ち去りデッキへ上がるとボロボロの長門たちとサラトガと合流を果たしたのだった。その夜はとても静かに療養する者で溢れていた。
近々、作戦を終え艦娘を労う会を行うのだと芙二と冷葉が話し合っている所に丁度立ち会わせた足柄と青葉が寮内に広めたおかげでとても賑わいをみせた。
作戦に参加した艦娘を呼んだが、本営組は任務があるとかで来れる艦娘だけで集まり、宴は始まったが大いに盛り上がり楽しい時間となった。
夜宴も終わり、芙二は執務室にいた。電気をつけ窓を開けて、煙管を口に咥えていた。作戦で使用したものを振り返った。アイリ・ブルグレスとの接触、自分目当ての鬼と姫。常識的な攻撃をしない、海月姫。
それと自分の反省すべき点。
芙二(悠長にし過ぎたのが、今回の反省点だな。
ふぅー……と白い煙を吐きながら、次を吸おうとしたとき扉がノックされる。
芙二「はーい、どちらさまー? 開いてるからおいでー」
がちゃ、と開きその先にはサラトガがいた。
サラ「提督……今少しいいですか?」
芙二「構わないけど……なんかあったか?」
聞き返すと、少し間が空く。何か言おうとしてることは分かったので、向こうが口を開くまで待っていようかと思ったその時だ。
サラ「コホン。航空母艦、サラトガです。再び着任しました。また勝利を刻みましょう。よろしくお願い致します」
芙二「あー……ん゛ん゛。
サラ「はい。合わせていただいてありがとうございます。それで、もう一ついいですか?」
芙二「あん?なんだよ、言ってみてくれ。余程じゃないと応えられないなんてないと思うが」
サラ「提督は私たち艦娘と、その……結婚する気はあるんですか?」
芙二「は? ケッコンカッコカリ、じゃなくて?」
サラ「あ、いえさっき軽くですが私に口付けをしたじゃないですか。それってもしかして、と思ったのですが……違いましたか?」
芙二「あーえっと、この世界だと一般的に艦娘と軍人……人間は結婚しないんだっけか」
サラ「そうですね。昔大鳳さんに聞いて見たんですけど、そう言われました。大鳳さんの寂しそうな表情が忘れられなくって。もしそうなら……」
最後まで言い切ることが出来なくて、表情を曇らせる。先程とは一転、不安そうな顔をしていた。芙二が言葉を発さないのが、怖いのか無意識のうちに自分の手を握っていた。
沈黙の緊張に耐え切れなくて、芙二が回答する前に言う。
サラ「もしそうならっ! 早めに言ってください。こ、この思いを終わりにしな――」
芙二「するぞ」
サラ「え、は? なん、て言いましたか?」
芙二「吾は艦娘と結婚する、と言ったんだ。人外の身分だからな。人間じゃあソリが合わん」
それにごにょごにょ、と言葉尻がしぼんでいく。しかしサラトガにとってはどうでもいい事だった。結婚できる。ケッコンカッコカリではなく、結婚ができる。
サラ「それなら……この気持ちを諦めなくてもいいんですね?」
芙二「そうだな。サラの好きな相手は分からないが、結婚する時は祝福をしてやろう」
サラ「え、なにか誤解を……」
芙二「残念だが、吾には決めた相手が居てな。そいつに気持ちを伝えねば他の娘の気持ちは受け取れない」
サラ「そう、なのですね」
芙二「出会ってまだひと月と少しだが……何とかなるだろう」
一人しょげるサラトガと言い終え再び煙管を吸う芙二。小さなすれ違いが解消されるのはまだ先のことである。
それと二人の話し合いを聞いていた艦娘が一人、びっくりした顔で寮内にある自分の部屋へ戻ったのだった。
『そんな司令官が、私たちと結婚?……そんな可能性があるなんてっ!』
彼女は興奮して、中々寝付けなかったのである
年超しちゃったけど三章完!です。
この話は五章(多分長い)を終えたら完結させます。
その後はタイトルとか諸々を変えて書こうと思います。
四章は割と短い……と思います。多分。
では改めて。
駄文、稚拙な文章ですが今年もよろしくお願いします。