とある泊地に着任した提督のお話   作:ふじこれ

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芙二くんの誕生日


第四章 東の提督会議
四章 1話『2039年 5月29日 ①』


 本日の執務を終え、時計を確認すると時刻は午前二時を過ぎていた。食事すら取らず執務室に籠りっぱなしだったのでどうしようかと考える。

 

芙二「この時間だと、もう食堂も閉まっているだろう。ちょっと軽く食べて寝よ」

 

 午前二時だと流石に食堂は閉まっているだろーし。あーでもあの作戦終わりは結構遅くまでやっていたような……いやもう寝ているだろ。とっとと、飯作って寝よ。シャワーとかあと、あと。

 

 執務室の戸締りをして、自室へ帰って行く。

 部屋の中に入ってコートをソファーへ乱雑に投げ、足はカップ麺などが入った戸棚へ向かう。

 

芙二「確か……ここに~――あった。水を用意して、てきとーにお湯に変えてっと。ん?まだぬるま湯みたいな温度だな」

 

 

 カップ麺の容器をテーブルおいて、その隣に水の入ったやかん。ぬるま湯から何回か試行錯誤して、出来上がった熱湯を容器の中に入れる。三分待つ間に戸棚からコーヒーの瓶を持ち出してさっきの要領でホットコーヒーを作り、テーブルまで持って行く。

 

 

芙二「携帯、携帯はどこにしまったっけな。と、胸ポケットか。で、もう三分経ったかなぁ……?」

 

 カップ麺での時間はとても重要だ。時間を大幅に超えてしまえば、麺が水分を吸ってそれはもうべちょべちょした食べ物になる。画面に映し出されたのは【残り時間:1分31秒】と表示されていた。

 

 ほっとして携帯の画面を暗くしようとした時、日付が目に留まった。

 それは今日が芙二の誕生日であった。

 

芙二「そうかぁ。今日は俺の誕生日だったのか。向こうに居た頃は――あー、麻薬犯も吃驚な麻薬卵を作ったんだっけか」

 

 

 異世界が生まれ故郷だから仕方ないね。

 軍に入ってからはそういうのとは無縁だったからなぁ。わりと忙しくて誕生日を祝うとかなかった。それでも充実はしていたけど。

 

 タイマーがピピピと音を立てていることに気がつき、タイマーを止めカップ麺に手を付け始めた。ずるずると啜りながら、カップ麺のうまさを実感していたのだ。

 

芙二(向こうでもカップ麺食いたいなぁ……あっちの食い物をアレンジする所からか)

 

 食べ終わったカップ麺の容器と割り箸を捨て芙二は温くなったコーヒーを飲み、誕生日に行ったことを振り返ろうとした時だ。

 

芙二「ぅ! 急に頭痛が……根を詰めたことはないんだが――回復っと」

 

 持ち前の能力で痛みの治癒を試みるも成功しなかった。痛みはひどくなるばかりで、コーヒーを持つのもままならなくなっていく。自分の力でも治らない痛みに恐怖を感じつつも、なんとか空になったコップを置き、よろよろとして自分のベッドに向かう。

 

 身を預けるようにドサっと倒れ込むと、芙二の意識は闇の中へおちていった。

 

~~

 

芙二「また、ここか」

 

 そこは前に来たことのある空間で映画館にある巨大なスクリーン。それなのに一席しかなく、ここは芙二しか座れない特等席だといっているように思えた。

 

 スクリーンは真っ暗でなにも映し出していない。前回と同じようにポツンとある椅子に腰かけないとなにも始まらないと思い、腰かけた。前回はどんな感じだっけか、と思い出そうとしているとスクリーンが動き出した。

 

芙二「今回は、誕生日に関することか」

 

 前世の記憶は断片的でしか覚えていないので、これはありがたかった。

 ただ、このような痛みで誘導するのは金輪際辞めてほしいと思う芙二であった。




『あなたの断片的な記憶をダイジェスト動画で!』

 あのあと芙二くんは闇堕ちします。
 元々漆黒寄りだった気がするけど、きのせいでしょ。
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