とある泊地に着任した提督のお話   作:ふじこれ

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まだ艦娘は出てきません。


四章 2話『2039年 5月29日 ②』

芙二「今回も幼い頃からか? 赤ん坊のときなんてろくに覚えちゃいねーって。とはいえ、前世の自分がどんな人間だったのかすら覚えてないが」

 

 前は生誕に関することだった気がする。自分は双子の弟で、二歳下もまた双子の姉妹で。どんな娘か覚えていないが、なんとなく可愛かった気がする。子供のときの感性なんて当てにならないと思うが。

 

芙二「で、これから始まるのか……これは小学生の時、か? 【凌也くん、七歳の誕生日おめでとう】なんてプレートに書いてある。流石に赤ん坊の頃はないか」

 

 映像はカラーで動き始める。そこには誕生日の歌を歌われ、ニコニコの幼い自分がいた。歌が終わるとふぅ~~っと蝋燭の火を消して皆から『誕生日おめでとう』なんて言われていた。

 

 

 プレゼントを貰い、笑顔を見せている。いつかの日、亡霊に暴言を言われて、暗い記憶が蘇ったがこの時はまだ純粋だったのだと気づいた。幼い自分と兄である子供は姉妹からほっぺにキスまでされてにやけていた。

 

 

芙二「は~~……あんなにニコニコしちゃって。このころは楽しかった、嬉しいなんて思いが表情から伝わってくる。それじゃ、俺はどこからあんな恨めしい奴になるんだろうな」

 

 あの世界で伝わるおとぎ話の悪役と波長があうなんて、とんでもない。少なくとも七歳は、負の力がどうとかなんとかなかったのは確かだ。

 

芙二「次は九歳の記憶か。これは……友達を招いてお祝いしてもらっているのか」

 

 一つ飛んで九歳の記憶。二年前と変わらずの場所に友人と思える人物が集まっており、また例の歌を歌われて祝われていた。おもちゃを受け取り、『ありがとう』とお礼を言っている。この時もまだニコニコで純粋な子供だ。

 

 友人もニコニコと祝福している。親も祖父母も姉妹も、兄もだ。

 以前の言葉を思い返してみる為に目を瞑る。

 

『お前は――使えない。こんなことも出来ないのか!! ――や――だって出来ているのに!!』

 

『なんて子だ。お前なんて何の価値もない。死んでもいい存在だ。とっとと消えてしまえ!! 2度とその面をここに見せに来るな!!』

 

『芙二ってさ。偶によくわかんない事いうよね。それが気持ち悪いっていうか――――だからあいつ、きっと障害者だよ。だから、皆で無視をしておこうよ? ね?』

 

『なんだ、その顔は! 気持ちの悪い目を向けるな!! なら――こうしてやる! どうだ、これで少しは勉強しようと思っ――なんだ、その反抗的な目はッ! 聞き分けのない子だなぁ!』

 

『これがっ、愛のっ、鞭だ。はぁ……痛いだろう? お父さんも、お母さんもほんとはこうしたくないんだ。だけどな××や◆◆、▽▽が出来てるのに、凌也はどうしてこうなんだ?』

 

 

 あれ、なんか増えてない?と思い、再び前に映し出されている光景に目をやると全員笑顔だった。この言葉のシーンはいつからだろうか。過去、急に蘇ってきたテロリストなる姿のきっかけとなったのだろうか?

 

芙二「考えても仕方がない。次の映像を見よう。っと、これは――葬式か?」

 

 誰が亡くなったのだろう。両親?兄?妹たち?すぐに出てきたのはこれぐらいだが、回答は別のモノだった。

 

芙二「祖父か。病で亡くなったのか。誕生日近くに亡くなったのは、何とも言えないな。そのときの俺は何歳だ? 十一歳。なるほど。ならば、誕生日会は細々と行ったのか」

 

 予想を立ててみるものの、それは外した。誕生日会はいつもの通り、祝福されて行われた。だが、当の本人は祖父の逝去を引きずっているように見えた。それでも周りが何とか励まして、通年の表情ではないが、素直に受け止めていた。

 

芙二「少し表情に影が出来始めたな。こっから祖父の死を引きずるのか?」

 

 そう思っていると次の映像に移行した。次は十三歳の誕生日のようだ。

 

 しかし誕生日会というものはなくなったのか、部屋の中はとても静かだ。

 友人もおらず、少し涙目の自分がケーキを頬張っていた。

 

芙二「嬉し泣きか。それが出来るほど、幸福だったら、どうして――」

 

 ふむ、と頷くがどこか表情に影があることを見抜いていた。

 流石に思春期にでも入ったのか、と思ったが誕生日会のあと目を疑う光景がそこにあった。

 

 

芙二「そうか。そこから、だったのか」

 

 ここまで捻くれたのには訳があるだろう、と見ていたが光景を目の当たりにして妙に納得した。

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