とある泊地に着任した提督のお話   作:ふじこれ

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台本形式のタグ外そうかなぁ。でも書いてると誰が誰だか分からなくなるとき、あるんだよなぁ。


四章 8話『海月姫 after ①』

 本日は六月二日。東第一泊地は先日の作戦を終え、大本営からの電文で今日まで休みを言い渡されている。とはいえ、簡単な哨戒任務と遠征任務はこなさないといけないのでそれだけは行っているが。

 

 午後三時のおやつどき。寮内にある青葉の部屋にて榛名、磯波、霞という珍しいメンバーが青葉の部屋に集まりつつあった。

 

青葉「今日はわざわざ集まっていただきありがとうございます」

 

榛名「こちらこそ、誘ってくれてありがとうございます。ちょうど暇をしていたのでありがたいです!」

 

磯波「えぇっと……青葉さん、ありがとうございます。ところで、話と言うのはなんでしょうか?」

 

霞「こんにちは、青葉さん。とりあえず、扉を閉めてもいいわよね?」

 

 招待をしてきた青葉に挨拶をする中、最後に入ってきた霞は扉を閉めてもいいか聞く。青葉は「大丈夫ですよ~」と言い何やら支度をしているようだった。部屋主の許可を貰った霞はゆっくり扉を閉めて皆の方へ歩く。

 

青葉「ささ、適当な所に腰をかけてください。本題はそれからです」

 

榛名「そういうことなら……失礼します」

 

磯波「お、お邪魔します」

 

霞「分かったわ。適当に座るわね」

 

 四人が腰を下ろし、少しすると青葉が紙コップと冷たい麦茶の入ったピッチャーを持ってきた。一人一人の目の前においては麦茶を注いでいく。全員分、注ぎ終わると「おかわりは自由ですのでどうぞ~」とにこやかに言った。

 

青葉「さてさて。青葉も座ってと。コホン。本日はわざわざ――」

 

霞「それさっきも聞いたわ。とっとと本題に入りない」

 

青葉「……そうですね。こんなことに時間を使う暇があるんなら、ということで。今日は皆さんに先日の作戦の感想を聞いておこうと思ったんです! 私が選んだ内容について感想を聞かせてください!」

 

磯波「えっそれってインタビューってことですか?」

 

青葉「そうですねえ……そういう意味もあります。ほんとは長門さんとか提督とかに聞きたかったんですけどどうも両方忙しそうで。特に長門さんはまだ本調子ではないっぽいですし。休息の邪魔をするのは如何なものかと」

 

霞「そこで暇そうな私たちに? 別にいいけど、大したことは言えないかも知れないけど?」

 

青葉「いえいえ! そんな大層なことは言わなくていいんですよ。皆さんは作戦に参加したというよりかは戦場で戦った人、という表現が正しいですかね?」

 

榛名「なるほど! そういうことでしたか。このインタビューは後に何かに使うんですか?」

 

青葉「いえ、特に予定はないですね。私の趣味のようなものですのでお気になさらず」

 

 まぁあとで提督に見せますけど、と思っていた。自分自身で完結させるには惜しい材料と思っているからだ。それに提督ならこういったことにも興味を持ちそうな予感がしたのだ。

 

青葉「時間が惜しいのでとっとと始めますね。まずは榛名さんと磯波ちゃんにですね。空襲警報が鳴る中、多分提督おひとりで殲滅するとこを目撃したと思うんですが、それについてどうですか?」

 

榛名「そうですね……あの時は榛名達も忙しくて見る余裕なんてなかったですね。磯波ちゃんはどうですか?」

 

磯波「うーん、そもそもどこにいたのかすらわからなかったです。気が付けば、艦載機が同時に爆破していったので……」

 

青葉「なるほど、なるほど。やっぱり提督は私たちに姿を見られるのはいやなんですかね?」

 

霞「え、どうしてそうなるのよ」

 

青葉「普段なら見せてくれるじゃないですか。人間のように振舞う時も獣の姿の時も」

 

榛名「うーん……今回は多分民間人も対象だからだと思いますよ? 余計なことをなにも知らない人(護られている側)知られるのは面倒じゃないですか?」

 

青葉「そういうこともあるんですね……私たちに人権をー!とか少女を戦わせて上で胡坐を掻く軍を解散しろー!なんて声も聞きますし。確かに面倒ですね」

 

磯波「艦娘に人権を適応していいのか分からないですけど、海軍及び陸軍、空軍の解散なんてしてもいいんですかね?そんなことしたら、人間なんて三年経たずに滅びちゃいそうですけど」

 

青葉「それをさせないのが、私たちです――ってそうじゃない。話題が逸れ始めたので修正ですよ、修正! 最初の質問の感想は不明、と。では次の質問です!」

 

 そう青葉が次へと進める中、霞は「自分達に人権かぁ」と考えていた。人間であるための権利が適応されたら他の子たちの待遇は変わるのだろうか。……その辺は大本営の大鳳などを頼ればいいかと思った。

 

青葉「これは私にも言えるのですが……深海化した時雨さんを見てどう思いました?」

 

榛名「うーん、心強い味方ですかね? 指揮を執りつつ戦闘もこなす提督とは別の意味で。艦娘でもあるので、話しやすいです」

 

青葉「ふむ、話しやすいと。磯波ちゃんは?」

 

磯波「私にもあんな力が欲しいと思っちゃいますね。意外だと思うかもしれないですけど、仲間を守りつつ貢献できたら……と考えると」

 

青葉「分かります。でも一回深海化して裏切る必要がありそうですね……青葉はそこまでして欲しくはないです」

 

霞「裏切らなくてもいいような方法はどうせ司令官が見つけるわ。私たちは私たちのやるべきことを為せばいいの。磯波にだっていいところはあるのだから大事にしなさい」

 

 意外そうな表情をする磯波と青葉。霞は自身の言葉のあとの沈黙が耐えられなくて突っ込むも榛名は微笑み、磯波は「そうですよね」と妙に納得していた。司会の青葉は霞にも聞こうとする。

 

霞「私? 時雨はそうねえ……それまでが過酷だとしても彼女は強い艦娘よ。あ、練度がどうとか深海化して力がどうとかじゃなくてね。司令官と出会って、夕立と再会できて彼女は邪悪な力をモノに出来たと思うの」

 

 だから……と二の句が続かなくなるも周りはにやにやしていた。それどころか青葉は熱心にメモを取り続けている。

 

霞「榛名さんと被っちゃうけど、心強い味方という印象かしら。それで青葉さんはどうなの?」

 

青葉「そうですねえ。敵に回したら厄介、ですかね? 耐久は駆逐艦にしてはある程度でしょうけど火力と速力が馬鹿にならないです。それとただの深海化ではなく()()な深海化。その点も気にするところですね」

 

磯波「特異な深海化? それは何ですか?」

 

青葉「それはただ深海化という工程を踏んで深海棲艦となるわけではなく、何らか外部からの力が加わり本来では発揮しない能力を携えた艦娘を差します」

 

霞「それは司令官が言っていたの?」

 

青葉「そうですね。時雨ちゃんの他には泊地外にもう一人いるのだとか。あとは叢雲ちゃんですかね」

 

磯波「え!? 叢雲ちゃんがそうなの?! それじゃ、一度――」

 

青葉「司令官がもう処置を済ませたと言っているので大丈夫だと思いますが。それに叢雲ちゃんは誘拐先で実験と称した拷問を受けたそうです。そこで得た力は……【蛇】だそうです」

 

磯波「蛇?」

 

青葉「どんな効果かは青葉には分かりません。叢雲ちゃんのようにこうして、望まない力を得る場合もあるらしいです」

 

磯波「後で叢雲ちゃんに聞いた方がいいですよね?!」

 

霞「よしなさい。本人も知ってほしくはないでしょうからここだけの話ということにしておきましょ」

 

磯波「でも、叢雲ちゃんの身に何か起きても――」

 

榛名「本人も傷ついているかも知れないですし、今はそっとしておきましょうよ。所で青葉さん、そんな事を話しても良かったんですか?」

 

青葉「え、まったく良くないですよ。でもお三方なら問題ないような気がしましたので。さて、気持ちを切り替えて次は楽しいことを話していきましょ」

 

 シリアスな雰囲気になりそうだったのをなんとか路線変更して夕飯の時刻まで雑談を楽しむ彼女らであった。

 

 




->特異な深海化:艦娘が深海化する際に外部からの力で変質、変貌する状態。普通に深海棲艦という分類になるのではなく、【特異型】と別に分類される。

 今の所の該当例は時雨、清霜、叢雲、夕雲。

 東第三鎮守府の深海化した艦娘は該当しない。
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