とある泊地に着任した提督のお話   作:ふじこれ

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寝れないのでノープロットで書いてしまった。あぁ眠くならん。散歩行くか。

R3 12/24
散歩中にそういえば……と思ったので一部加筆しました


経過報告 ③リリアとヲ級

 

―続き

 

 2030年 6月 16日 PM  05:18

 

 研究所外 廃棄場入口にて

 

 季節は梅雨。雨が降る季節である。深海棲艦(化け物)の研究をしているこの島も四季の影響を受けるらしい。今日は副所長からヲ級を連れて廃棄場へ連れて行ってほしいと言われたので連れてきている。

 

 なんでも、同胞の亡骸を見てどういった反応をするか見たいのだそうだ。

 ……あぁ悪趣味極まれりってこういうこと言うのか。いや違うか。しかしジメジメとして気持ち悪い。少しばかりかイライラするような気がする。

 

軽井「~ったく。一昨日、昨日と雨が降ってばかりなのは………嫌だな」

ヲ級「ヲ? ワタシハ、コノ季節(アメ)好キダゾ」

 

軽井「私は嫌いだ。カビが生えそうで嫌になってくる……今日は今月いち最悪かもな」

ヲ級「ソンナニ嫌ナノカ?」

 

軽井「あぁ嫌だ」

 

 ヲ級の問いに短く答える。あぁ本当に嫌だ。どうして私があの双子の元まで行かなくてはならないのだ。カウンセリングの申し込みをするべきか悩むレベルだ。

 ……終わったら行くか。

 

 

??「あの~……どちらさんっすか?」

 

 鬱だ、とそう思いながら廃棄場内を歩いていたらチャラそうな声が聞こえたので振り返るとそこには白い帽子をつけ、マスクをしている人間がいた。

 どうやらここの職員のようだ。私とヲ級は聞かれたので止まる。

 

 如何にも解体してる側の人間は白いエプロンを脱ぎ、近くの椅子に掛ける。

 そして私達が何も言わないのが気に食わないのか態度を少し変えてこう言ってきた。

 

??「あの~……ちょっと聞いてます? あ、たまに居るんすよねぇ……私達みたいな解体屋を毛嫌いする人間! 仕事の依頼ですか? それともお連れしている深海棲艦を――」

 

軽井「あの双子は居るか」

 

 私は目の前の解体屋にそういった。

 

解体屋「双子? あぁリリアさんとアンリエルさんですね。2人に何か用なんすか?」

 

軽井「あぁ副所長から言われて、来たんだが……もしかして今解体してるからだろうか」

 

 解体屋は2人の事を知っているらしい。そりゃ当然か。上っぽいもんな。

 しかし解体屋は『本当ですか~?』などと言っている。嘘に聞こえるのか、心外だな。

 

ヲ級「ヲ? リリア……!」

 

 ヲ級は遠くにいるリリアの姿に気がついたのだろう、小さな声で呟いた。私と解体屋はその声を耳にしてヲ級を見ると奥の方に確かに狂ってる双子の片割れ(リリア)がいる。

 

 しかし機嫌が悪いのか、こちらを睨みつけている。いや私とヲ級というよりかはエプロンを掛けた解体屋の方を見ているような……

 

解体屋「やべっ!」

 

 リリアの姿を見たのか、急に解体屋は焦り始める。そして椅子に掛けたエプロンを回収しようとする時、その椅子が独りでに動き、解体屋から離れたように見えた。

 

解体屋「!?」

軽井「なんか、持ってる?」

 

 解体屋は驚いてその場に留まる。私は私でなにが起きたのか、止まって解析しようとした。

 その時だった。ヲ級が急に声を上げて、私の白衣の裾を掴んだ。

 

ヲ級「! 軽井、伏テ!」

軽井「え、ちょ! ……は?」

 

 咄嗟の判断で解体屋の襟元を掴んでこちら側へ引く。『グェ!』だかなんだか聞こえた気がするが気にしない。解体屋は後で私とヲ級に感謝することになるだろう。

 

 ドガガガガッ!! ドガガガガ!!

 

 私と解体屋が居た場所に何かが放たれた。その場所は煙が上がり、黒く焼け焦げていた。

 

 上に小型マシンガンのようなものがあるのが見える。あの音はあれによる射撃だろうか?

 

軽井、解体屋「「っ!」」

 

 私達の顔は曇る。もしヲ級が危機を察知していなかったら確実に殺されていただろう。

 ヲ級はヲ級で一息ついている。そして私は奥にいるリリアを睨んだ。

 

リリア「……」

 

 相変わらず無表情で……いや何故か怒りの表情を向けられている。訳が分からない。そしてこちらに向かってきた。

 

 近距離なら確実に殺せる、ということだろうか。

 

 こっちに来て私とヲ級の姿を見て、嫌そうに口を開いた。

 

リリア「はぁ。なんで邪魔をしたの?」

軽井「私とヲ級ごと、殺そうとしたろ。なんでだ?」

 

リリア「? 私は貴方達を狙ってないわ」

軽井「でもな……」

 

 はて?というような顔をしたまま首を傾げるリリアに対し、私は何を言っても無駄な気がした。所で解体屋の姿が見えないような気がするのだが。

 

 あいつは何処に――?

 

―バシュッ!

 

解体屋「グァ!」

 

 後ろからだ。後ろから、変な音と解体屋の声が聞こえた。

 

軽井「解体屋!」

解体屋「チックショウ……痛え……血が止まらねぇ……!」

 

 私は倒れている解体屋の元へ駆けつけ、声を掛ける。

 良かった、息はあるようだ。

 

 しかし彼はキレており、リリアの元へ殴りかかろうとする。その時だった。

 

―バシュッ

 

 数秒前の音がまた聞こえたと思ったら急に目の前で倒れ、解体屋は動かなくなった。

 

軽井「殺したのか?」

リリア「いいえ。まだ、殺してないわ」

 

軽井「まだ……?」

ヲ級「ヲ……?」

 

 私とヲ級はリリアの『まだ』に引っ掛かり首を傾けていると横から『リリア~』と別の少女の声が聞こえてくる。その声で私は察した。アンリエルだ。

 

 アンリエルの腰にはピストルが掛けられていた。麻酔弾でも打ったのだろうか。だとしたら凄い命中率である。

 

 とうとう双子が揃ってしまったか、と。いや別に問題はなんだけど。

 この場からすぐに逃げたい。しかし仕事は仕事だ。

 

リリア「アンリエル。ここに侵入した盗人を捕まえたわ。さっきの肉と混ぜてしまおうと思うのだけど……」

アンリエル「人肉は食べない方がいい。人肉は……そうだ。捕まえている人間に食わせて観察しましょ?」

 

リリア「そうね。そうしましょう。では、先に運んでちょうだい」

アンリエル「はーい」

 

 双子の会話は終わり、妹の方は解体屋をかごの中に入れて運んでいった。なんか会話がおどろおどろしいものだった気がするが……双子といい所長といい変人しかいないのか。

 

軽井「はぁ……」

ヲ級「ヲ? 軽井、ドウシタ?」

 

 つい溜息を漏らすとヲ級が声を掛けてくる。癒し要素は君だ、ヲ級と思いつい手を伸ばそうとする。いかんいかん、仕事を終わらせないと。

 

リリア「ヲ級……あなたが来るとは思ってなかったよ」

ヲ級「ヲ? ナンデ?」

 

リリア「そりゃあ私達が……いやよそう。奥に行くから、ついてきて」

 

 ヲ級に対して、何か言いたそうな顔をしたが何も言わずにいた。

 私はなんとなくわかってしまった。

 

 同胞である深海棲艦の死体や生体を無情に解体しているから、恨んでいるとかそういったものじゃないか、と。

 

 そんな事を思うのは――まだ狂ってないんじゃないか?と思ってしまうがまぁ憶測は辞めといて手招きするリリアの元へ行った。

 勿論、ヲ級の手を握って。

 

 

廃棄場 解体部屋

 

軽井「うっ」

ヲ級「フフ……軽井? 凄イ顔シテル! フフフ……!」

 

 私は中に入るや否や強烈な刺激臭により、吐きそうになる。しかし隣のヲ級はあんまり気にしてないようだ。笑われて……羨ましいな! 昔から血の臭いは慣れないものだ。

 

リリア「……要件は?」

軽井「ヲ級に……オェ……深海棲艦の死体を……うげぇ……見せてくれ」

 

 刺激臭に包まれる中、私は吐き気を押さえながらなんとか言い終える。

 やばい。バケツをくれ。吐く。絶対に吐く。後なんで全然平気っていう面なんだよォ!?

 

リリア「そう。分かったわ。研究員さん、向こうで吐いて。向こうなら掃除する時、楽なの」

 

 そういって、指で刺された方を見る。そこを見るとさらに吐き気を催す。

 何故なら――人と思われる死体や深海棲艦の死体が積みあがっていたからだ。

 しかし、吐き気は限界まで達したので急いで駆け込み――。

 

 

リリア「……それじゃあ。行きましょう」

ヲ級「……ヲ」

 

 軽井がいなくなり、少しだけ苦手な少女と二人きりになったヲ級。

 これから行くと言われたので小さく頷き少女の後を追う。

 

 

 

 

 

リリア「ここが深海棲艦の死体があるとこ……ろ」

ヲ級「……」

 

 リリアは全てを説明しなかった。その理由はヲ級にあった。

 何かに絶望したような表情をしていたからだ。あの時の自分達と重なって見えたのだ。あの時、あの場所で――。

 

ヲ級「何故…………?」

リリア「!」

 

 ヲ級の悲しそうな声でリリアは嫌な記憶を読み起こさずに済んだ。そしてリリアは驚く。

 先ほど深海棲艦の死体を見せた時は絶望していた表情をしていたのだが――今の表情はというと泣いている。

 

ヲ級「ナンデ……コンナコトガ…………出来ルノ?」

リリア「…………」

 

 ひっく、ひっくとしゃくりあげるようにボロボロと泣くヲ級をただただ見ているしか出来なかった。まさか、泣かれるとは……予想してなかった。

 

 リリアは怒るものだと思っていたからだ。

 しかし結果はどうだ。怒るどころか泣いているので、どう接していいか分からなかったので率直に聞いた。

 

 

リリア「…………ヲ級。私達は憎いか」

ヲ級「ウウン、ゼンゼン。デモ……カナシイ」

 

 ただただ悲しいと言い、泣き続けるヲ級。リリアはこの空気に耐えられなくなってきた。

 そんなとき、さっき焼却炉行きの死体の山でゲロった軽井が戻って来た。その顔は少しだけげんなりしていたがそれ以外はいつもと変わらない様だった。

 

軽井「ヲ級? 悲しいのか?」

ヲ級「ウン。デモ怒レナイ」

 

軽井「どうしてだ? 感情は溜めるもんじゃない。悪い物を溜めすぎると……「見タノ!!」何をだ?」

 

ヲ級「……仲間ノ記憶」

軽井、リリア「「!」」

 

 仲間の記憶。これは私達が行っている黒い事も見られた可能性がある。

 これを知られて逆上されたら絶対に死ぬ。聞かないわけにはいかないと思い聞いた。

 

軽井「……私達のことも見たのか」

 

ヲ級「ウウン見エテイナイ。見エタノハトテモ悲シンデイル、オ姫様。ズット昔ニ仲間ト争ッテズット下ヘ追イヤラレタ」

 

 

 私の質問には首を振った。つまり見ていないのだ。

 それはそれとしてよかったが、それよりも興味深い事を聞いた。

 悲しんでるお姫様? 深海棲艦の姫級だろうか。それに仲間と争い追いやられた、か。

 これは予想以上のことが分かったな。ヲ級には悪いが後で聞いて纏めようか。

 

 

軽井「それだけか?」

ヲ級「ウン。ソレダケ……ココニハ、居タクナイ」

 

 辛そうな顔をしているヲ級を見ているとこれ以上は危険な気がしたのでとっとと帰ることにした。

 

軽井「そうか。それじゃあ私たちはお暇するかな。ありがとう、リリア。ここを見学させてくれて。アンリエルにも、そう伝えておいてくれよな」

 

 私はそういうとちょっとだけ辛そうなヲ級を抱えて廃棄場を後にしようと思っていたのだが、リリアが口を開いた。

 

リリア「分かった。その……ヲ級のケアをしてあげて、ね」

軽井「あぁ勿論そのつもりだ」

 

 ヲ級のメンタルケアも考慮しつつ、私達はヲ級の部屋へ向かったのだった。

 その後、盗人とか言われた男がどうなったのかは知らない。

 

 

―続く

 




あ~クリスマスだ~~~! FGOのレイドやるからいいし。なんなら書くわ。

新キャラクター説明いるか? いや書いとくか。

新キャラクター 偽解体屋/盗人=岡本 紺戸(おかもと こんど)(故) 
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