とある泊地に着任した提督のお話   作:ふじこれ

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散歩してたら、頭に浮かんだ。こういう時、メモって機能あるといいよね。
狂っていると見られる基準とは一体……勿論、ノープロット。話しは進んでます。


アンリエルとヲ級とル級

 

 

 

―続き

 

 2030年 6月 25日 PM 02:34

 

 ヲ級の部屋にル級と部屋主のヲ級が雑談していた。窓から見える空模様は快晴だ。

 部屋の空気の入れ替えとして、ヲ級が窓を開けると気持ちの良い風が入って来たのでそのまま開けっ放しにしていた。また一度座ると、ル級が雑談の続きを話し始めた。

 

ル級「ソウイエバ……ヲ級。アノ男トハ、ドウダ?」

ヲ級「軽井ノコト?」

 

 そうだ、とル級。軽井とはどうなんだと。

 

 なんでそんなことを聞くのかというとさっきまで職員たちについて個人の感想を言い合っていたからだ。

 

 初めに所長である宮部から始まった。あいつは変態だとか調教(あいぶ)が上手くて危ないだとか。

 黒い噂を聞いたけど、どうだとか。そして今、軽井の番となったのだ。

 

 ル級は軽井とまともに会話し始めてまだ数日しか経っていない。

 それに比べてヲ級は4ヶ月も会話した回数や思い出……というかそういった事はル級の倍以上ある。

 それを聞いて、軽井という男について知ろうとしていた。

 

ル級「デ、ドウナンダ?」

ヲ級「エェット……軽井ハ……」

 

ル級「軽井?」

ヲ級「深海棲艦ヲ差別シナイ良イ人。最初ハ少シ怖カッタケド……」////

 

ル級「フム?」

 

 頬を赤らめて言うヲ級を見てル級は頷き考え込むような姿勢を取る。ル級の目には軽いという研究員はただの研究員にしか見えなかったのだ。

 

 だから、ヲ級の様な言動がやや理解できないが――まぁ接してきた時間の差だと自身に思わせてることにして次はあの双子についてだ。

 

ル級「次ハ――アノ双子ダ」

ヲ級「……」

 

ヲ級「急ニ黙ッテドウシタ?」

ル級「嫌ナコトヲ思イ出シソウ。ダカラ……簡潔ニ」

 

ル級「ソウカ。分カッタ。余リ傷ヲ抉ルヨウナ事ハシナイ」

 

 ヲ級は先日の出来事が脳裏によぎる。それは怒り狂った仲間と争い、抑える事が出来ずに海に陸に多くの血が流れた。そして敗れた方は深い深い海の底へ沈められて消えていったという悲しい記憶。

 

 それは思い出したくない。思い出すと頭がズキリと痛むからだ。

 思わず、頭を押さえてしまう。ヲ級は先日の事はル級に話していない。

 

 仲間の死体を見せられてあんな記憶を読んだなんて言ったらル級はすぐに暴れ出すことが目に見えていたからだ。しかしル級は今のヲ級を見ていて、少しだけ気の毒に思った。

 

ル級「姉ノホウハドウダ? 名ハ――リリアダナ」

ヲ級「リリアハ……」

 

 リリアの事を考えた時だ。急にズキリと頭が痛む。 

 先日のことを思い出そうとするとどうしても頭痛に見舞われるのだ。

 

 簡潔に言おうと思ったヲ級の顔色は悪くなっていく。

 ル級は一度辞めて、別の話題にしようと思ったがヲ級は簡潔に言った。

 

ヲ級「軽井達ノ中デハ、嫌ワレテイルホウ……」

ル級「ソレハ、分カル。アノ独特ナ雰囲気ガ苦手ダ」

 

 研究員たちの中では嫌われている、という言葉に納得するル級。

 そして自身の感想も話していた。

 しかしヲ級は続けたそうにしているのでこれ以上は話さなかった。

 

ヲ級「ゴメン、マダアル。軽井ノ目線ダト狂ッテイルラシイケド」

ル級「ケド?」

 

ヲ級「ソコマデ……デハ無イ気ガスル」

ル級「フム」

 

 軽井達、人間目線では狂ってるらしい。いやまぁそうだなとル級。

 人間と深海棲艦じゃあ感じ方が違うと思っていた。

 

 でも真に狂ってないとはなんだろうか。狂うに真とか偽とかあるのだろうか。

 やはり深海棲艦の中でも違う価値観というか見方があるのだとル級は思うのだった。

 

ル級「……流石ダナ。ヲ級。話セテ、良カッタ」

ヲ級「ル級ハドウダ?」

 

 ふぅと一息つく。ゆっくりと深呼吸していく。息を整えて、ル級の方を向いて聞いた。

 

ル級「ワタシカ? ウ~~ン……荒tポイ、トカ?」

ヲ級「荒ッポイ?」

 

 荒っぽい、という感想。

 調教されてる間に何かあったのだろうか、とヲ級は思った。

 

 運ばれた後に何かあったとか、そう言ったことが真っ先に思いつく。言動とかその辺もあるのだろうか、と。

 

ル級「ヲ級ガ考エテイル事ハ、分カルゾ。トイウカ、凡ソガソレダ」

ヲ級「ソウナノカ?」

 

ル級「ソウダ。ワタシタチヲ深海棲艦デハナク『食肉(ニク)』ダ」

ヲ級「ニク……」

 

 肉としか見ていない事だろうか、とヲ級は思った。そういった一面があるから狂ってるのだと指差されるのかとも考えた。

 

 そういえば――セーレに勉強を教わった時に家畜の話を学んだことを思い出したのでそれを基にして考えてみた。折角なのでル級に言おうとしたとき、扉がノックされた。

 

ヲ級「ヲ? 入ッテモイイヲ!」

ル級「バッカ、止メテオケ!」

 

 ヲ級は警戒心というものがないのか入室許可を与えた。誰か聞かないヲ級にル級はチョップを食らわせていた。ヲ級は頭を押さえ、涙目になっている。扉はゆっくりと開いて行く。

 

 中に入って来たのは赤い長髪で蒼色の目をした少女=アンリエルだった。

 

アンリエル「流石に誰か聞いた方がいいと思うけど」

ル級「ホラ! 言ッテイルゾ!」

 

 アンリエルがもう少し警戒心を持った方がいいという声と共にル級ものっかる。

 涙目になりつつもヲ級は言い訳をする。

 

ヲ級「ウゥゥ……ダッテ大体軽井シカ来ナイカラ」

アンリエル「そう。あの研究員しかこないの」

 

ル級「ソウイエバ、アンリエルダッタカ?」

アンリエル「えぇ。戦艦ル級だったわよね」

 

 自分の本来の名で呼ばれたことに少しだけ嬉しくなる、ル級。

 

ル級「ソウダ」

アンリエル「あなた達、何を話していたの? 私も混ぜてくれないかしら?丁度暇だったの」

 

 いいとヲ級は言った。ル級とアンリエルはお互いに目を合わせて思った。

 なんでこうも警戒心がないのだろうか、と。アンリエルは今離してる話題は何かと聞いた。

 

 ル級は職員の感想を言い合ってると話し、聞いたアンリエルふ~んと目を細める。

 それを見たル級はそのまま補足して、決して悪口を言ってるわけではないと言った。

 

アンリエル「面白そうね、いいじゃない。そういうの」

ヲ級、ル級「「エ?」」

 

 案外乗り気に見えた、アンリエルの反応にヲ級とル級はびっくりした。

 

アンリエル「今、誰まで進んでるの?」

ル級「アンリエルガ、一番長イカラ。色々知ッテソウダカラ聞カセテ」

 

 流石に二人について話してるとは言えなかったのでル級は話の話題をすり替える。

 

アンリエル「まぁ私も長いけど、あんまり関わってこなかったから情報の偏りはあるけれどそれでもいいのなら」

 

ヲ級、ル級「「ヨロシク、オネガイシマス」」

 

 初対面の時に見せた無表情ではなく、ル級が見たあの荒々しい表情ではなくこれが素なんだと思わせる表情をして話し始めたのだった。

 

 

 

 

 それから2時間ほど話は続いた。最近見た時の殺伐とした雰囲気は感じられなくてとてもふわふわした空気だった。色んな事が分かったし、今はもう働いてない人の話も聞けた。

 

 ふと、ヲ級は思った。解体屋とか言われてた人はどうなったのかということ。

 今ならなんでも答えてくれそうな気がしたので質問してみた。

 

ヲ級「ネェ。アンリエル。質問イイ?」

アンリエル「えぇ。あまりプライベートな事じゃなかったら構わないわ」

 

ヲ級「解体屋ハドウナッタ?」

ル級「解体屋? ソレハ――」

 

 ヲ級の質問は答えにくいものだった。なにせ、もういない。あの日のうちに()()()()()()()()()()()からだ。ル級は何のことだか分からないといった表情をしている。

 アンリエルが言い淀んでいるとき、別の声が部屋中に響いた。

 

リリア「それは、ね。ヲ級。もうハンバーグになってしまったからよ」

 

ヲ級、ル級、アンリエル「「!!」」

 

 アンリエルだけじゃなく、ヲ級やル級も驚く。気がついたら部屋の中に居たのだから。

 神出鬼没とはまさにこういうことか、思ったヲ級であった。

 

アンリエル「リリア……どうして?」

リリア「どうしてもこうしてもじゃないわ。仕事よ、仕事」

 

 部屋の時計に指差して後何分後に始まるから至急来てほしいと言われたのだ。

 だから、離れるしかなかった。

 

 楽しい時間はすぐに終わってしまうものだ、と思った2人だった。

 去るついでに一度、立ち止まりリリアがヲ級に向かって言った。

 

リリア「盗み聞きするつもりはなかったの。だから、許してちょうだいね」

アンリエル「なんのことです? リリア」

 

 前置きを入れて謝罪するリリアだが、アンリエルは理解できていない様だったので改めて言い直した。

 

リリア「私達の認識のことよ。深海棲艦を肉といった発言を気にしているらしいの」

アンリエル「……それは……」

 

リリア「大したことではないわ。私達は死体を処理するの。人間も深海棲艦も動物も死んで解体したら可食部は肉と内臓しか残らないでしょう?だから食べてしまおうかと。肉と言われれば誰も分からないでしょう?生で食べる物じゃないのだから、ね? ただそれだけよ。ただ、あなた達の肉はあまり好評ではないの。だからここにたまに来る盗人を捉えて与えてるのよ」

 

 

 

ル級「ソンナ、理由ナノカ……オマエ、壊レテルナ」

 

 リリアの答えを聞いた。ル級は本音を言ってしまったがリリアは気にすることなく、言い除けた。ヲ級の考えとはどうやら違ったようだ。

 

 ちなみにヲ級の考えは言葉を話せないから 家畜と同じとみられているのでは、だ。話せる個体とそうでない個体がいるだけだ。

 話せない個体が捕まり……いや話せても結局可食部を取られるので家畜と同じになるかもだが。

 

リリア「今更よ。私はそうでもないと生きられないの。まぁ天職ってやつじゃないかしら。さてアンリエル行くわよ」

 

 そう言い切るとアンリエルの手を掴んで扉へ向かった。

 

アンリエル「は、はい。では、また」

 

 リリアとアンリエルは部屋を去り、自分達の場所へ戻った。

 ヲ級は悩みが解消されたが、ル級は『肉』が当分食べれなくなりそうだと考えていたのであった。

 

―続く

 




ちょっと多いかも。飯食うって大事! 頭動かん。そして睡眠も! 性欲?知らん!
狂う基準は人それぞれ。真に狂うか、偽に狂うかも人それぞれ。
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