とある泊地に着任した提督のお話   作:ふじこれ

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久しぶりに書けた。以前よりも落ちてる気がする。まぁいいか


投薬実験 被検体三号

 

 

―続き

 

2031年 2月 14日

 

 今日は世の中でいうところのバレンタインデー……だが、この島においては関係ない。

 女性職員は世の行事に疎いわけではないと思うが、熱心に研究へ取り組んでいるし我々男性職員も異性から貰うチョコレートよりも研究の方で成果を出す方が嬉しいと思っているクチが多いだろう。

 

 無論、私もそのクチだ。世の中にはそういった行事に興味のない男性がいてもいいだろう。

 そしてなによりここは本土からかなり離れた孤島(トコ)に位置している。

 

 定期的な配給にはそういった甘味は含まれているかも知れないが……いやそんなことはどうでもいい。

 

 本日は例の部屋で三体目の投与実験を行う。被験体は先日鹵獲した赤いオーラを纏ったリ級だ。

 オーラの色からしてエリートクラスだと思われる。

 

 よくもまぁそんな危険生物をほとんど傷がなく鹵獲したものだ。我々のような研究員だったら束になっても鹵獲など不可能だろう。

 

 やはり鹵獲や人身売買を行う事を活動の主としている連中はどこか人間としておかしいのかもしれない。

 

 それでもまぁ人間としてどこかおかしい連中が成果を出してくれたからこうして我々は研究に力を注げるというわけだが。

 

軽井「今日の個体は確か元気なんだよなぁ……麻酔を数十発撃ち込む話にならなければいいが」

 

 そういって【生体実験室】の扉をノックしたのだった。

 

 

 ======

 

 

 中に入るとそこには宮部とヲ級、ル級、他職員が待機していた。扉から入ってくる軽井を見て宮部が口を開く。

 

宮部「軽井君も来たことだし、始めようか。そこの研究員クン、先日鹵獲したリ級を連れてきてくれないか」

 

職員「所長、もう手配してあります。あと15分ほどで実験動物(リ級)は到着予定です」

軽井「そうか。では、軽井君と共に準備を始めてくれ」

 

職員「はい。分かりました。軽井君、始めよう」

軽井「そうですね」

 

 そういい、軽井達は支度を始めた。ル級の時のように投薬後、暴れる可能性を危惧してその場にいる全員は何かしら武装を身に着けていた。

 

 ヲ級やル級は自らの意思で艤装を取り出し、纏うことが出来るらしい。といっても海上ではないので艦載機や砲はうまく扱えないだろうけど。

 

ル級「……軽井。ワタシノ艤装ハ……ダメダ。使エナイ」

 

 しょんぼりと肩を下げて軽井に告げる。軽井や宮部は知っていたが今回同行した研究員は知らないようで口を挟んできた。

 

職員「な、なんだと!? 所長、聞きましたか!! あの実験動物(個体)は自らの艤装も出せないんですよ! 今回の個体が暴れたら我々は――「うん、知ってるとも。だから()()()()()()()んじゃないか」 え、なにを言って……」

 

 宮部の言ってることが理解できないという顔をしている職員を無視し、軽井に指示を出す。

 

宮部「軽井君、今回の試薬はなんだったかね。リストを持っていればだが、見せてほしい」

 

軽井「分かりました。ちょうどファイルの中にあるので少しお待ちを」

 

 宮部の指示を受けた軽井はファイル内の資料を取り出し、そのまま渡す。

 

宮部「ありがとう。ふむ、今回の試薬はA.D.Pはいつものことだが……ほう、先日買い取った艦娘の血液も入れるのか。量はどれほどだね?」

 

軽井「量は50mlほどですね。艦種は戦艦と海防艦を1対1の割合で混ぜてます」

宮部「ふむ、ふむ……今回はどのような状態になるかね……?」

 

軽井「今回は、ですが血液同士で拒絶反応を見せるかも知れません。ですが前回同様、我々と話せるほどの言語能力は得ると確信しています。それに未知の何かを見せてくれるかもしれないですね」ニヤ

 

 宮部は『なるほど。まぁ思いつく限りのことをしてみようじゃないか』といい、資料を軽井に返した。

 

 しばらくして時間通りに拘束された被検体(リ級)が到着した。鎖が食い込むのではないかと見えるほどがっちり拘束されていたためかリ級は大人しかった。

 ただ表情が生きていることを確認させるには十分な状態であったのでさらにきつく締めあげた。

 

 リ級は我々を睨みながらも食い込む鎖に『ギィッ』といい顔を歪めていた。

 

 それでもヲ級やル級はぐるぐる巻きにされているリ級に話しかけようと近づいていった。

 

 黒い帽子を深く被り、防護服を身に着けた職員は『B班、被検体をお届けに上がりました。

 この個体は非常に気性が荒いため用心してください。では、失礼します』とそういい部屋を抜けていった。

 

宮部「……さて職員君、軽井君。始めよう、か」

 

 軽井はリ級の首元に麻酔を打ち込む。打たれた最初は吠えていたがしばらくすると表情が落ちていくように静かになった。

 

職員「意識が落ちているうちに四肢を拘束してしまおう」

 

軽井「そうですね。ヲ級、ル級は少し離れていてくれ。これからやる事は君たちにとって非常に辛いことかもしれない。無理にここに残り耐える必要はないから、ね」

 

 職員が宮部に許可を取ろうと動くなか軽井は真面目な顔をして二人に言った。

 ヲ級やル級は互いに見合わせていたがル級が離れない意思を告げると軽井は頷いて普段見せない優しい表情を浮かべながら二人の頭を少しだけ撫で始めた。

 

 

宮部「軽井君、研究員君、投薬を始めてくれ」

職員「分かりました。軽井君、やるよ」

 

 軽井は宮部と職員、両名から呼ばれたので二人の頭から手を放して返事をして被検体の方へ歩いて行く。

 

 

 

 

 

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 突然、撫でられたル級はヲ級の方を見た。きっと驚いているに違いないと思ったからだ。

 

 しかし現実は違った。

 ル級の目に映ったのは頬を桜色に染めながら軽井の背を見つめるヲ級がいた。

 

 血色の悪い肌に対して、その色はひどく目立った。

 

 

 

 

 

―続く

 

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