とある泊地に着任した提督のお話   作:ふじこれ

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カフェインをキメて書きました。五時間かかったしなんなら迷走しました。


 22, 4/26:サブタイトルを変更しました。

     :あとがきを追加しました。


リ級 特異個体

―続き

 

  隔離部屋にて

 

 

 

リ級「……何しに来た。私を解放しに来たのか? なぁ、なんでお前らがいるんだ……」

 

 部屋の中に入ると自身の艤装を解除していたリ級は軽井と双子を睨みつけながら言った。

 その中にヲ級とル級がいると分かると声を荒げる。

 

リ級「ヲ級にル級……どうして人間なんかと一緒にいる! 見た感じお前達もあいつらに好き勝手弄られたんだろう!? ならばどうして怒らない! 殺さない! お前たちに憎悪(チカラ)があればッッ!! 」

 

ル級「ワタシタチニ、力ガアレバ、ナンダ?」

 

リ級「力があれば、人間に復讐することができる。確実に、殺すことができるのだ。この私に対してあのようなこと……!」

 

ル級「最初ハ良クテモ最後ハ、一人ダゾ」

 

リ級「それがどうした。私達は最初から一人だろう? 指揮を執る存在がいなければ、生涯孤独だ。私は仲間を呼ぶこと、創ることも出来ない。故に人間共に捕まるまで一人だ」

 

ル級「……ソウカ。ワタシハ、艤装ヲ扱エナイ。ダガ……」

 

リ級「艤装を扱うことが出来ない!? 何を言っているのだ? ……あぁ、人間共のせいか!! おのれ、人間!! 我らの武器も奪うのか!!!!」

 

ル級「ダガ、ワタシハ唯ノ、ル級ヲ超エル力ヲ得タノダ」

 

リ級「その力というやつが両手につけているメリケンか。たしかに戦艦クラスだと我々など一撃で致命傷を与えられそうだな」

 

ル級「……試スカ? オ前ノ頭蓋骨ヲ砕イテヤル」

 

ヲ級「ヲ! ル級! 挑発ダメ!! 戦イニ来タワケジャ、ナイ!」

 

ル級「言葉ノ綾、ダ。最悪ハ、ダガナ」

 

 

リ級「私はいつでも構わないぞ。貴様らも、そこにいる人間もまとめて始末してくれる」

 

 

 言葉の綾とは言え、ル級とリ級の間には一触即発の空気が漂っていた。ヲ級はリ級を躾けるがリ級は挑発をしてくる始末だった。

 

 双子や藤尾は様子を見守っているようで、終始ヲ級たちの会話内容を聞いている様だった。そんななか軽井が雰囲気を割ってリ級へ話しかける。

 

 

軽井「あーえっと会話をしても大丈夫かな、リ級。初めまして私は研究所(ここ)の職員の軽井だ。いくつか質問したいのだが、答えられそうな範囲は答えてほしい」

 

リ級「…………驚いた。この状況で私に話しかけるのか。人間は己可愛さゆえに逃げ出す生き物だと学んだのだが、例外のことを完全に忘れていた」

 

軽井「いや私もこれが仕事ではなかったら一目散に逃げているだろうさ。ヲ級たちや藤尾さん達がいるとはいえ、ね」

 

リ級「……ふむ。軽井と言ったな。……お前の肝に銘じて多少話してやろう」

軽井「それはありがたい。 「だが……」 なんだい。他に条件があるのか?」

 

リ級「この会話が終わったら私を解放しろ。無論、外へだ。一度しか言わないぞ。答えは、はいか首を縦に振れ。私に殺されたくなければ、分かるな?」

 

軽井「それは出来かねる。君は実験動物(モルモット)なんだから、ね。貴重なデータを逃したら犠牲になった職員に示しがつかない」

 

リ級「そうか。それが答えか? 肝の据わった軽井(ニンゲン)、お前ならいい答えが貰えると思ったが……」

 

 

 軽井の言葉を聞いてきょとんとしたのちに項垂れ、大声で笑い始めた。

 突然笑い始めたリ級を凝視する軽井たち。リ級からなにか不穏な気配を感じ取ったル級はメリケンを装備し構えだす。

 

 

ヲ級「ル級? ナンデ、構エテ……」

ル級「アイツハ、ソウイウ気ラシイゾ。ヲ級モアノ双子ヲ、見習ッテカ構エロ」

 

 二人の会話を聞いていた双子も藤尾でさえ真剣な表情をして態勢を整え始める。まるですぐ戦闘が開始するみたいに思った軽井は周りを見てハッとする。

 

軽井「……なんだ。これ、は……リ級が起こしているのか?」

 

 目の前のリ級から黒い霧のようなものが噴き出し始めている。

 これがリ級の力だというのか?と軽井は感じた。自身では全く想像がつかない事象に寒気を覚える。

 

リ級「さて、私は行くぞ。軽井、貴様の首を撥ねたあとは刃物を構える女の首も撥ねていこう。その後は皆殺しだ。……ヲ級にル級。私の邪魔をするのはいいが、同じ末路をたどることになるが構わないな?」

 

 項垂れたまま笑っていたリ級は首を持ち上げて軽井の方を見て言い放った。

 

リリア「……結局こうなるのね。軽井さん、殺してしまうけどいいわよね?」

アンリエル「相手は呑気に答えを待ってくれないから首を縦に振って――」

 

 軽井に許可を求めるリリアと首を縦に振れと促そうとするアンリエルだったが言葉は断たれた。

 

 

 ガキン! ガキン! 

 

 

 金属同士のぶつかる音が周囲の状況を一変させる。

 

リ級「……ほぉ? 人間が対応できる限界を超えて動いたのだが防いだか。だがこれはどうかな?」

 

 高速移動したリ級はリリアの頭を砕こうとするもアンリエルによって止められる。

 ほんの数秒前は、艤装を纏っていなかったリ級だが今は纏っている。

 

 アンリエルの短剣とリ級の艤装が擦れる音が聞こえてくる。リ級の力は増していくばかりで今にも押し切られてしまいそうだ。

 

リ級「まだ耐えるのか! ならば……!!」

リリア「させないわっ!」

 

 さらに力を込めようとするリ級の後ろからリリアが自身の得物を振り下ろす。

 

リ級「……甘い!」

リリア「なっ! 防がれた! ……でも胴はがら空きになったわ! 藤尾さん! 任せたわっ!!」

 

 リ級の両腕には大きさは中くらいだが見た目は黒く白い歯が目立つ生物型の艤装を纏っていた。双子の攻防により一瞬、両手を塞がれていた。胴へは隙だらけであったが藤尾は違和感に気がついた。

 

藤尾「えぇ! 任されまし……!? 二人ともッ!! その場か――」

リ級「……二人、退場だな」

 

 焦った表情をしながら藤尾は叫び声を上げようとしたときリ級は大声で言った。

 今さっき鈍器のように使っていた艤装だがその口が開いていることを知る。

 

軽井「リリア、アンリエル!! 今すぐその場から距離を取れ!」

 

リリア、アンリエル「「言われなくても!!」」

 

 

 軽井の言葉と同時に開いた口から僅かに銃口が飛び出ており双子を捉えていた。

 銃口の位置をずらすためにアンリエルは短剣の角度を変える事により、銃口の先がずれ後ろへ跳んだ。

 

 リリアの得物はすぐさま弾かれ、後方へ着地するやいなや右へ移動する。

 

 ドォン! ドォン!

 

 部屋内へ二回だけ砲撃音が鳴り、辺りはコンクリが砕かれ土煙が舞う。

 晴れるとそこには跪いて足から血を流すリリアと頭から血を流しよろめくアンリエルの姿だった。

 

リリア「痛った! ちゃんと避けたはずなのに。ぐぅ!右足から血が……あ、アンリ!! 逃げて――」

 

 コンクリの破片はリリアの膝下を切るように飛んだようでふくらはぎ辺りを傷つけていた。痛みに叫ぶことはなく、妹の名前を叫ぶ。

 

 妹の身に死が近づいているからだ。咄嗟に逃げろと言葉が出る。

 

アンリエル「ぐぅ……破片が当たるとは……」

リ級「思っていなかったか? まずはお前からだ――――」

 

 アンリエルはよろめきながら立ち上がり自身の目頭を押さえ独り言をつぶやこうとするとき、ふと声が聞こえる。

 

アンリエル「やばっ! 「多少の痛みは我慢しろ」 べごッ!?」

 

 死が迫ったアンリエルをル級は殴り飛ばした。何回かバウンドし、ゴロゴロと転がったまま動かなくなった。

 

リ級「は? 貴様は――――――私の邪魔をするのかル級。その場で固まっていれば死ぬことはなかったというのに」

 

ル級「アノ双子ニ呆気ヲ取ラレタダケダ。ココノ人間ヲ侮ッテイタ」

 

 そう言葉を返すと、再度構える。リ級がメリケンと呼んだ武器だがその見た目が変わっていた。ル級が扱うモノはモンクが使うナックルへ変わっていた。

 ナックルの色は黒くトゲが生えていたので殴られたらとても痛そうであった。

 

 ル級がやる気だと理解したリ級はふと思った事を聞いた。

 

リ級「そうか。なぜ貴様らは片言なのだ? 私を煽っているのか? ならば答えねばならぬよな!!」

 

ル級「オマエコソ……ヤメダ。今ハ オマエヲ黙ラセル。ヲ級!!」

 

ヲ級「!! ナ、ナニ!」

 

ル級「アノ双子ヲ、出口マデ投ゲテオケ。生マレ変ワッタ ワタシノ チカラ。トクトミロ!!」

 

リ級「おもしろい。艤装も扱えないイ級にも劣る深海棲艦なぞ、恥さらしだ。そのまま殺して海へ捨ててやる」

 

 

 笑いながらリ級はル級へ砲先を向ける。ル級はリ級の視界から消えるように動いた。

 

 隔離部屋内にて、変異個体(モルモット)同士の喧嘩が始まった。

 

 砲撃音と爆破音だけが聞こえ、二人は戦いに夢中になったよう。

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

 

 ヲ級は殴り飛ばされたアンリエルの元へと走って向かっていく。一度、艤装は解除し抱え上げる。

 

 どうやら気絶しているだけのようだ。とりあえず息はあることを確認し、アンリエルを抱えながら軽井たちの方へ向かう。

 

 

ヲ級「ヲ……ワタシハ マタ 動ケナカッタ」

アンリエル「…………」

 

 

軽井「大丈夫だと思う。リリアとアンリエル、ル級がおかしいだけだから」

 

 

ヲ級「カルイ……」

 

軽井「彼女は私が担ぐよ。だから出口を開けてきてほしい…………ル級はすぐに倒れる」

 

ヲ級「ヲ!? 分カッタ……軽井モ、早クキテネ」

 

 軽井にアンリエルを渡したヲ級は出口へ走る。開ければ、負傷した双子を外へ避難させられるからだ。非戦闘員の軽井も外へ出れるはず、と思い動く。

 

軽井「藤尾さん! リリアの様子は――「大丈夫。気絶しちゃってるアンリちゃんよりかはまだね」良かった。今、ヲ級が出口の確保に行ってます。確保したらル級に合図を送りましょう」

 

リリア「アンリ、アンリは! 良かった。気絶してるだけ、生きてるわね」

 

軽井「ル級を恨むのはナシだ。あれはアンリ「恨むなんてしないわ。あの瞬間、アンリの頭上には死相がより濃く出ていたわ。ル級が手を出さなかったら確実に死んでいた」……そうか」

 

藤尾「でもまだリリアちゃんにも、軽井さんにも見えっぱなしですよ?」

リリア「そういう藤尾さんにも見えてるわ。この部屋に居たらずっと見えっぱなしなんじゃないかしら……?」

 

軽井「それもそうか。早く出口へ行こう」

 

 藤尾やリリアは早足で出口へ向かう。軽井はアンリエルを担いでゆっくりだが出口へ向かって進んでいた。後方では爆破音や叫び声が絶えない様子ではあったが。

 

ヲ級「デグチ、デグチ……ンット。アイタ! カルイ、アイッ――「全員、武器を捨てろ!そのまま大人しく――――」 ヲ!?」

 

 道を開いたヲ級の目は希望が宿った。嬉しくて嬉しくて、報告しようとしたときに扉は勢いよく開き武装した職員が何人も入ってきて声を張り上げ言った。

 

 ヲ級は開かれたドアに当たり左側へ転ぶ。そんなヲ級をよそに職員の声は更に大きくなる。

 

救護員C「負傷人を確認しました! いますぐ救護を行ってください!!」

救護員A「隊員、速攻行け! こんな危険地帯、救護したら撤退するぞ!」

 

隊員たち「「了解です」」

 

 

 室内の視界はとても悪く黒煙と土煙が辺りを漂い、あちこち轟音が鳴り響いていた。

 そんな環境でも武装した職員は軽井達の元へ急ぎ駆けつける。

 

救護員B「負傷人、確保! すぐに撤退しま――」

 

 リリアとアンリエルを見つけた職員は無線を使って連絡し連携を取って二人を担架に乗せると引き上げようとした。そのとき、一番大きな音が鳴り響く。

 

 職員の声は掻き消され、こちらに向かって土煙が迫ってきた。

 

職員たち「「――」」

 

 土煙はそのまま軽井達を飲み込むも出口へ抜けていく。残された軽井たちは安否を確かめると職員は担架に乗った双子を運び出す。

 

 双子が運び出されるのを確認し、救護班は撤退する。武装した職員は残りこれから鎮圧を行うそうだ。軽井はル級に声を掛けようとする時、こちらへ黒い物体がかなり早い速度で近づいてくる。

 

軽井「……あ」

 

 その物体は見たことがある。あの日、カメラに記録されていた――――。

 

 ボトッ

 

軽井「えぁ?」

 

 誰かの白衣の切れ端と左腕が転がっていた。その断面からは赤い液体が滲み出ており、あっという間に白衣を染めて――

 

軽井「あぁぁあああぁぁああぁあああぁぁぁああああああ!!!!」

 

 熱い、熱い熱い熱い熱い熱い熱い!!

 

 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!

 

 突然、自身の左腕に激しい痛みが生じた。痛みを堪える事は出来ず、喉が裂けるほどに叫ぶ。左腕を見るとボタボタと赤い液体が流れ出ていた。

 

 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!

 

 右手で赤く滲む白衣から出る腕を拾い上げるとまだ温かい。腕だ、私の。

 

軽井「うっ…………お゛え゛ぇ゛ぇ゛! 」

 

 ビチャビチャ

 

 腕が切り落とされたと意識したら、ショックで吐いた。何度も吐いた。

 吐いても吐いても、痛みは治まらない。脳が現実逃避を試みるも失敗に終わる。

 

 意識は混濁していく。しかし痛みで引き戻される。腕が痛む、熱い、焼けるようだ。

 痛い、痛い痛い痛い…………。左腕が熱い、焼ける、焼ける。

 

 

軽井「…………」

 

 

 思いきり叫ぶあまり喉は裂け、口から血を吐いて膝から砕け落ちた。

 切られた個所からは止め処なく血が流れ続ける。

 

 

 =======

 

 

 目の前のことをようやく理解した藤尾と職員は『『軽井さん!!』』と名を呼んだ。

 

軽井「…………」

 

 反応はない。それだけでさっきの双子よりも危険だと察する。

 

藤尾「早く、行かないと」

 

 軽井の元へ行かないとリ級に殺されてしまう。目を向けると死神が歩いて向かっていた。

 だが、藤尾の足は恐怖で竦んで動けなくなっていた。

 

 そんなとき――――――…………

 

職員A「うわぁぁあああ!!!!」

 

 そう叫んで、職員が銃を乱射しようとした。心が恐怖で満たされた末の行動に見えた。

 

職員A「…………ああぁぁああああぁぁぁ――――ギャベッ」

 

 叫び声が消えた。上顎から上が消えたからだ。軽井の元へ近づく死神は力なく倒れる職員だったものに対して軽蔑した目線を送っていた。

 

リ級「黙れ。これから、楽しい事をするのに貴様は必要ない。故に、だ」

 

 ル級との戦闘でボロボロにされたリ級は乱れた髪を掻きながら唾を吐き捨てる。

 身体は打撲痕が多くつけられていたのを見るとかなり激しい戦闘をしていたのだろう。

 

リ級「女、軽井を殺したら次はお前だ。そこにいようが逃げようが殺す」

藤尾「…………」

 

 リ級は藤尾に死刑宣告をしながらゆっくりと意識のない軽井の元へ近づいて行く。

 

軽井「…………」

 

 ドン!

 

 ふいに後方からそんな音が聞こえた。瓦礫だらけの絶望的な状況で動ける奴がいたのだろうか?と藤尾はそう思った。

 

リ級「……その傷でまだ動けるのか、ル級よ」

ル級「…………カルイダケハ、コロサセ、、、、ナイッ!!!!」

 

 片腕が千切れかけ、満身創痍なル級がリ級へ食らいつく。

 

リ級「だが、単調な攻撃には飽きたのだ」

ル級「ガァアァアァァッ!!!!」

 

 決死の一撃を放とうとした時、ドス!ドス!ドス! と嫌な音が響く。

 

ル級「……ガハッ……ァァ」

 

 リ級の顔面に当たる瞬間、黒い何かがル級の肉体をめった刺しにした。

 

リ級「…………無駄死にだな。まぁ艤装も使えない、この理解しがたい力も扱えないお前にしてはよくやった方だな」

 

 ボロボロになったル級の肉体は床に崩れ落ち、グシャと音を立てた。

 リ級はこれで邪魔ものがいなくなったと溜息を吐いて、軽井の首を掴み持ち上げる。

 

藤尾「や、やめ――」

リ級「なんだ? お前が先に死にたいのか、よくわかった。ならば、さきに殺してやる」

 

 黒い霧がリ級の身体から出て、形を作る。黒いトゲのようなものを何個か作ると思いきり投げる。

 

藤尾「っ!?!!?」

 

 身を丸めて防御の姿勢を取るが、トゲは肉体を貫通するように抜けていく。トゲが抜けるたびに激痛に襲われる。

 

片手で掴もうとするも掴めず、すり抜けては激痛に襲われる。

 

藤尾「――――――!!!???」

 

リ級「無駄だ、お前にそれは掴めない。死ぬまで、投げ続けてやる」

 

 にたりと笑いながらトゲを投げ続ける。

 十分が経つ頃には藤尾は仰向けに倒れ伏していた。外傷はなくとも、様々な痛みに曝され続けたら最悪死に至る。しかし藤尾は運が良かった。

 

 次が飛ばされることはなかったからだ。

 

リ級「…………死んだと思っていたぞ。ヲ級――」

ヲ級「…………」

 

 黙ったまま、怒りの目を向ける。

 ボロボロになっていた藤尾だがヲ級の見たことない表情に驚きを隠せていなかった。

 

リ級「その目は、なんだ。人間に対してじゃないな? それも私に対してのように見えるが?」

 

 気に食わないなという表情をするリ級。ずっと黙っていたヲ級が口を開く。

 

 

 

ヲ級「…………お前は、お前だけは。絶対に――」

 

 

 目の前でル級や藤尾たち(大切な人)が壊されていく。

 そしてなにより目の前で大好きな人(軽井)が壊されていく。

 

 

 

     『赦さない』

 

 

 

 

 それが――それだけが一番赦せなかった。

 

 

 今、激しい怒りがヲ級の肉体に変化をもたらす――――…………

 

 

 

 

―続く

 




既存のキャラクター:


 リ級 変異個体:

 普段と同じ艤装を扱える。

 この個体の特異能力は自分の周囲に黒い霧を発生させ、相手の精神に負荷を与える。
 リ級自身の感情が昂ると黒い霧自体を物体があるように扱い、回避不可の棘を作り出す。
 この状態の棘は大変危険であり、防ぐことは出来ず触れてしまった部位から感じたことのない激痛に襲われ理性を失う。
 何発も当たるとショック死する。

 
 ル級 変異個体:
 
 A.D.Pの投薬により、艤装を扱えなくなったル級。
 しかし肉体の上限を無理矢理更新されたせいか深海棲艦にはない俊敏さと怪力を会得した。
 物理に特化したため、対峙した敵はル級の俊敏さは目では追えず殴殺される。



 この話のボス一号です。あと何体かいます。

 
 
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