今回限りのキャラが存在します。
―続き
軽井「んん……こ、こは……?」
私は一体何を……。それにここはどこだ。目の前が暗い。考えても仕方ないので部屋が暗いだけだと思う事にした。
意識がなくなる前は――あぁッそうだ!! 私は左腕を切り落とされた筈だ! え? ちゃんとある。なぜあるんだ?
軽井「う……で」
それにうまく口が動かせない。私は一体何日間寝ていたというのだ。あれから何があったんだろうか。
リリアやアンリエルは? 奮闘していたル級は? 藤尾さんは? それに――ヲ級は?
考えていても仕方ない、とりあえず起き上がろうと思い身体を動かそうとするも拘束されているのか全く動かせない。
軽井「ぁ? な……」
なぜ動かせない? まさか私は死んでしまったのか? 解剖のために拘束されているのか? くっ……力も入らないとは……。
嫌だ、私はまだ死ねないんだ。なんとしてでもこの場から動かないと。
力が入らないが無理矢理暴れると、拘束が外れたのか手足が動くようになった。
軽井「っ!」
ドテッ!
そんな音と共に臀部へ痛みが襲って来る。
……本当に私は何日間寝ていたんだ? ひと月も寝ていたとかありそうだな。
筋肉がやせ細ってしまったからこそ思うように身体が動かせないとか、か。
本当にまずい声も出せない、うまく動けないとなると助けを呼べない。
誰かが気づいてくれないかと思っていると、コツコツと歩く音が聞こえた。
誰か近づいてきてる。
ちょっとでもアクションを起こして気づいてもらわないと……
軽井「……ッ! ……ッ!」
ダメだ、声が上手く出せない。それに目の前は暗いから何が来るのか分からないから尚のこと恐ろしくなってきた。
コツコツとこちらへ向かう足音が良く聞こえる。
軽井は敵でないことを祈ろうと思い、ジタバタさせていた動きを止めた。
軽井「…………」
ダメだろうか。いや、もしかして誤魔化せるか?
わずかな望みに掛けた時、おそらく自分を見てだろう。
幼くはないが大人びてもない子供の声が聞こえてきた。
??「あれ? なんでここに人間がいるのさ」
軽井「…………!!」
驚いた。まさか子供がいる施設かなんかに来ているのか!
でも死体を見て冷静な態度で居られるのはあの双子ぐらいだろうし……はっ!
まさか、あの双子が死んだから私に声を掛けた子供は次の解体人……?
それならば、合点がつく。ならばここは解体場か。あぁやはり私は死んだのか――。
??「ねぇ。どうして死んだふりをしているの?」
軽井「!!」
??「あはっ…………なんで驚いた顔をしてるの? あれ? すぐに顔が曇っちゃった。なんで? なんで?」
軽井「こ……ぇ……せ」
??「? あぁ声が出せないの? それなら……はいっ! どう? 話せるようになった?」
軽井「ぁ…………ゲホッゲホッ……あー? 声が、出せるけど、でも」
??「でも? まだなにかあるの? 」
軽井「暗いのはなんでだ? まさか失目してしまったのか?」
??「あぁそれも、こうしてあげないとね」
なにかしたのか分からないが、パチンという音が鳴ると目の前がゆっくりと明るさを取り戻していく。
軽井「目が見える……! それに子供……じゃない?」
??「よかったぁ。目が見えるようになったんだね。ん? ぼくのことを子供と思っていたのかい? 失礼な人だね、君は!」
軽井「視力が使えないときに聴力で判断するのは常識だろう。だが、申し訳ない事をした」
素直に謝ると目の前の子供は『許してあげる!』といい、私が寝ていた?ベッドに腰を下ろした。
軽井「…………」
??「なになに? なにか質問?」
私を見下ろしている子供…………のような者を観察していた。
ツンツンとした紺青色の髪、幼い子供のような顔つき。
服装は子供のような服ではないな。どこか牧師が来てる服に似てるが……分からないな。それに見下ろされているので正確な身長は分からないが私よりもずっと小さい。百四十センチあるかないか。
だが、多分人間ではない。一言目のセリフで分かるが……という事は新手の深海棲艦か!?
??「ねぇ! いつまでぼくのことを見つめてるのさ!」
軽井「あぁすまない。一つ訊ねるが、私は死んだのか?」
??「死んでないよ。ただ、肉体は眠っているだけ。君の魂がどうしてぼくの世界に来てるのかは理解できないね」
軽井「そう、か。私はまだ生きてるのか」
??「服装からして別の場所から来た人みたいだね。ここにはどうせ長く居れないから、それまでぼくのいい暇つぶしになってよ」
軽井「あぁ構わないが……なんて呼べばいいんだ?」
??「そうだねぇ。アズでいいよ。君こそなんて言うんだい?」
軽井「私は軽井だ。それではアズ、君の正体はなんだ? 新手の深海棲艦か?」
アズ「深海……? なにを言ってるのか分からないけどそんなものじゃないよ。聞いて驚くなよ!? ぼくの正体は――」
どうせ人間だとか、外なる神とか異界の獣とかよくわからない解答をするんだろうな。
深海棲艦を知らない世界、か。夢の世界には深海棲艦こそいない平和な世界なのかもな。
アズ「天使だ!」
軽井「へぇ――天使ねぇ。……天使!? つまり私は死んだ!?」
アズ「ちっが――う!! 天使は天使でもぼくは格が違うの!」
軽井「格ねぇ。なにがどう違うのか、見せてよ」
アズ「ふふん。いいとも! これがぼくの真の姿だ――――!!」
そう叫ぶと、むむむと力んだアズの身体が光を放ち始める。
急に光ったため私は目を瞑って、身体を丸めてしまう。
軽井「……ど、どうなった?」
アズ「ふふん! どうだ。これが我が真の姿! 軽井よ、とくと見よ!」
一人称が変わっただけか?
いや違う。鳥みたいな白い羽が四枚生えてる!本当に天使なんだなぁ。
軽井「そうか。そうか。分かったよ。その状態だと何が出来るんだ?」
アズ「今の状態だと――あれ、もう時間切れ!?」
軽井「ありゃ。背が、縮んでいくな。時間制限とかあるのか?」
アズ「今は、理由があって……仕方ないの。でもさっきみたいにちゃんと天使になってる状態だと本来の力を使えるの。でも今は使えない」
軽井「そうなのか。本来の力って?」
アズ「相手に明確な◆を贈る力。それは皆に平等に訪れるモノ。決して覆ることはない」
軽井「一部聞き取れなかったが、まぁいい。早く元に戻るといいな」
アズ「うん。あ、一つ気がついたことがある! 軽井、ぼくと同じ匂いがする!」
軽井「匂い? どんな匂いだ?」
アズ「う~んっと……濃い匂いじゃなくって仄かに匂うようなそんな感じなんだけど」
軽井「いい匂い? 良くない匂い?」
アズ「良くない匂い! ぼくを
軽井「殺した……? アズは殺されたのか? だから――本来の力が使えないのか」
アズ「そう、軽井についてる匂いを嗅いで少しだけ思い出したんだ。あの
軽井「そうか。アズも大変なんだなぁ……本来の力ってものはどれくらいしたら使えるようになるのか?」
アズ「分かんない、けどまだ時間はかかるかな」
軽井「そう、か」
アズ「ねぇ、もう少しだけお話しようよ。きっと軽井はすぐに目覚めちゃうから、ね」
軽井「構わないぞ。
(ヲ級たちの事も心配だがとりあえずここから帰還する方法を模索しないと)」
こうしてアズと軽井は部屋を変えることなく話始めた。
夢が覚めるのは、もうすぐ。
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アズ「~~……それで人が唱えた性善説と性悪説に目をつけてね」
軽井「あ~……それって確か本質について、か……それに目をつけて何をしたんだ?」
アズ「……本人には知らない事だけど、勝手に可能性を植え付けたの」
軽井「可能性? なにの?」
アズ「人という殻を破り、ぼくの
軽井「友達? もうすでになってるんじゃないのか? 何日たったのか分からないけど呼ぶにはいい関係だと思っているが?」
アズ「えぇ!? 軽井とぼくが友達!? 生まれて初めてだよぉ~~!」
軽井「友達いなかったのか」
アズ「そ、そんなのじゃないけど……」
軽井「隠すことはないぞ。もう私が友達なのだからな。離れていてもどこかでまた出会えるからな。寂しくないだろう?」
アズ「軽井は善い人みたいだね。
(決めた。二人目は性善説を信じて軽井に可能性を植え付けよう。
きっと、良いトモダチになってくれる)」
軽井「いやいや。私は悪人さ。どこかで罰が当たるんだろうさ」
アズ「善い人ほど、そういうことをいうのだと思うけど。それに本当に悪い人であっても軽井の根は善い人だと思うよ」
軽井「ふぁ……夢の中なのにとても眠くなってきた」
アズ「時間みたいだね。君は最初のベッドで横になって目を閉じるだけ。再び目を覚ます頃は現実だろうね」
軽井「そう……か。それでは、またな。アズ……」
ベッドで横になった私はアズに話しかけながらゆっくりと目を閉じた。
次起きる時はヲ級のことを聞かなければ……。
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アズ「あーあ。行っちゃった。
アズ「二体いてもいいけども……善/悪の二柱。上手く使えば、あの世界から死という概念そのものを消すことが出来るだろうね」
アズ「早く元に戻れないかなぁ……ったくそこまでして殺す必要はなかったろ」
軽井が去ったあとの夢の世界にて――世界を混沌に陥れようと画策する天使が一人いた。
―続く
新キャラクター:
天使 アズ:咒いの品にて殺された天使。
本来の力はわずかにしか使えない。
子供のように無邪気だが本当の姿は――。
世界を混沌に陥れることを望んでいる。
彼に本来の力が戻ったら◆という概念がなくなり、
◆を贈られ平等な循環は決してなくなる。