とある泊地に着任した提督のお話   作:ふじこれ

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続き。最近、どう書けばいいか分からなくなりました。


経過報告⑥ 深海棲艦でも浅瀬で遊ぶのだ

 

 八月がもう終わりそうな今日この頃。もうそろそろ九月だというのに、研究所の周囲の気温は酷暑であり人間は熱中症になる危険が上がっていそうだと、軽井はぼやく。

 

 隣で「そうはいっても仕事だから仕方ないですよー?」などと軽井に話しかける藤尾がいた。彼女の服装は麦わら帽子を被り、水着に着替えていた。なまじスタイルがいいし、出ているところは出ているので軽井以外に付き添いで来ている職員の注目の的になっていた。

 

軽井「……デカい、デカいと聞こえてくる。全くうちの職員共は……――いてっ!?」

 

 ちらりと藤尾を見た後、背後から聞こえてくる職員の反応に苛立っていると後頭部に何か硬い物が当たる。ボトっと落ちたものを拾い上げるとそれはガンガゼだった。イガグリのように黒い針が外側に向けられていて、かつ先端に毒がある。

 

 人間であれば、毒で何かしらあるかもしれないが既に人間を辞めた軽井にとっては当たった箇所が少し痛むだけで特に何もなかった。

 

 それよりも誰がこんな根暗な研究員にぶつけたのか、それが一番気になっていた。

 

軽井「思い当たるのは――……」

 

ヲ級「軽井~~!こっち、こっち!」

 

 呼ばれたので振り返るとそこにはヲ級とリ級、ル級がいた。それぞれ違う色の水着を着ていた。しかも三人の手には大量のガンガゼを抱えており、これからこちらに投げてくるのは容易に理解できた。

 

軽井「他の女性(ヒト)ばかり見てる軽井が悪いんだ~~!!」

 

 そう叫ぶと、三人はガンガゼを雪合戦の雪玉代わりに投げてくる。リ級とル級が剛速球でガンガゼを投げてきて、ヲ級が優しく上に投げてくる。ガンガゼが空気抵抗に負けてややトゲトゲした玉になって降り注ぐのを見て軽井は思った。

 

軽井(私の彼女、人間みたいだなぁ。まぁ本来は深海棲艦(人類の敵)なのだけどね)

 

 もはや諦めだ。緩急ついたガンガゼを避けられるほど体力は回復していない。故に自身へ向かって来るガンガゼを全て受け入れたのだった。

 

 その後、軽井の心配をする声が聞こえてきたのだとか。

 

 

 

 

 

 

 

?「なぁあれって深海棲艦だよな? ジルさ、どう見ても――」

 

?「敵とか肌の色、種族とか関係なしに見るとどう見ても少女だよな。オレらはこんなのと戦争してるんだな。ノクナル、飼いならせたのはあれらだけだ。それに軽井さんもヲ級と結ばれて良かったじゃないか」

 

 研究所から配布された橙色のライフジャケット、黒いビーチパンツを着た職員は話していた。彼らはヲ級と結ばれた軽井を見て深海棲艦との新たな未来、可能性を感じていた。

 

 だが、結ばれたのは人類の敵という肩書を持っている個体ではなく研究所で人間用のモルモットとして飼いならされた個体だ。それがジル、ノクナル両者にとってネックであった。

 

藤尾「そうそう。軽井君もヲ級ちゃんも結ばれて良かったよね!」

 

 二人の背後にはいつのまにか藤尾が立っており、会話を聞かれていたようで混ざってきた。ジルもノクナルも水着のより彼女の大きな胸に視線は釘付けだった。

 

 すぐに気が付きクスリと笑みを浮かべ、両方に歳を聞いた。

 

ジル「オレの、名前はジル・ベルフットっです。歳は今年で20歳になりますっ」

 

ノクナル「ぼくは谷口・ノクナル・サザリンです。歳は16歳です」

 

藤尾「ふむふむ。ジル君は深海棲艦はどう思う?」

 

ジル「オレが生まれる前から人間と戦争している人外です。艦娘も人外ですが、人間の味方であるので……いやそれだけです」

 

藤尾「そうだね。深海棲艦らは人間視点(私たち)から見れば、そうなるし艦娘も然りだよね。だけどね、一歩下がって見てみると人間も深海棲艦も艦娘も大差ないんだ」

 

ノクナル「あの大差ないとは……なんですか?」

 

 二人は大差ない、その言葉の意味を考える。だが、先に続きを話し出したのは藤尾だった。だから二人は静かに彼女の言葉を待っていた。 

 

藤尾「知性を持った血の通った生物だよ。種族とか文明の有無は放っておいても。ジル君が言った通りかなり昔から深海棲艦と戦争をしている。この戦争は終わらないよ、どっちかが滅ぶまで。私たちが老齢になってもね」

 

ノクナル「でもぼくたちが研究しているのって、作り出しているのって深海棲艦じゃ」

 

藤尾「その辺は詳しく知らないけど、そうだね。ここのお偉いさんが何をしたいのかは分からないけど、少なくとも戦争終結に向けて動いてるわけじゃない」

 

 静かに断言する。ジルもノクナルも闇バイトでここに来ているので詳しくは知らない。だが、深海棲艦が【悪】で艦娘、人間が【善】というのは子供の頃から教えられていた。

 

 ここの内容は表向きは製薬会社と聞いていた。中身は艦娘や人間、深海棲艦をも実験動物として扱うところだったが高額な報酬の為、黙って従っていた。

 

ノクナル「陰謀論……ですか? ここがそういうのに関わっている、と」

 

藤尾「()()()の私を雇うくらいの場所だから何も無関係な場所じゃないんじゃない?」

 

ジル「殺人鬼? まさか、藤尾さん、あなたは」

 

 冷や汗を流し続ける二人。藤尾が適当に嘯いた言葉は今はどうでもよく【殺人鬼】というワードに反応している様だった。明らかに様子がおかしいことに気が付いているが藤尾はあえて無視をする。

 

 暇を潰すのに適当なハナシの続きをしようとしたとき、奥の方にいる軽井に声を掛けられる。

 

軽井「おーい! 藤尾さん!! ヲ級達がビーチバレーするというので混ざってくれませんか! 私の体力だと持たないので~!!」

 

藤尾「呼ばれちゃった。せっかく()()()で来ているとはいえ秘密は守ってちゃんと仕事してね」

 

 優しく伝えると、砂浜をザクザクと駆け足で軽井の元へ向かって行く。二人の表情は強張っており、期間を終えたらこれを機に闇バイトを辞めようと思ったのだった。

 

 

 

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