とある泊地に着任した提督のお話   作:ふじこれ

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経緯を、ね。こう、さっくりと…ごちゃごちゃしてたらすみません…
前回の続きからです。今回は短め…?

R3 2/8 修正しました。あんまり変わってないかもです
R4 1/8 サブタイトルの一部を変更


零章 3話『運命様は残酷なようだ 後編』

 「転生させる」という言葉に芙二は驚きつつも静かに深海神棲姫は話し始めた。

 

深海神棲姫「理由は昔の話になるが、私たちはその種族名の通り深海で暮らしていた。他は無人島で暮らしているやつもいた。我々はその当時”旧い戦艦に乗る人々の思念が集合され、分霊として生まれ変わった”存在などと言われていた。人殺しなど無縁。そうは言われても艤装など扱えなかった」

 

 かつてを思い出すような素振りを見せる。

 

深海神棲姫「そこにひとりの人間がやってきて深海の資材を欲しいから『どうかと盟約、協定を』と言われた。最初は断ったが、何度か行われた話し合いが終わった。すぐに協定と盟約は結ばれ、その時の人間の喜びようと言ったら……涙を流している者もいた。しかしあの悪夢が起こるまでは」

 

 

 それを聞いて芙二は「その時代にはマトモなのはいるんだな」と深海神棲姫に向かって言った。目を伏せ何かを考えてから「まぁその時はな」と顔を曇らせて言う。

 

 その表情を見て何処か突っかかる言い方をするなと芙二は思った。それは置いておいて現状を見るかぎり、現実は理想と真逆の運命を突き進むかと嘆く。

 

 

深海神棲姫「だが長くは続かなかった。何百年か経ったある日、陸で大規模な戦争が起きた。陸から流れるもので海は汚れ、荒らされた。しかも向こうでは統率者が変わったらしい。それからが凄惨な出来事の始まりだった」

 

 

 大規模な戦争が勃発。(そこで善良者から愚者へ交代したというわけか。最悪だな)と芙二は渋い顔をしていた。深海神棲姫が続きを話す前に想像がつく。どうなったかが、安易に。目の前にいる姿があるからこそ、ではなく。

 

 

深海神棲姫「我らを見て人間たちは”醜い化け物ども、話しているだけで気持ちが悪い”と心無い事を隠すこともなく言い出した。それだけなら良かった。だけども我らと仲良く取引している身内が居るという事実が気に食わない輩がいたのだろう」

 

 

 険しい表情で経緯を話す深海神棲姫を見て芙二は”まぁありえそうな話だな。差別的なのはどこでもあるもんだな”と思いながら相槌を打っていた。話しの続きは中々されないので言いにくい事なのかなと思ったがすぐに続きを話し始めた。その時、芙二は深海神棲姫(お姫さん)の顔を見てこれから話すことが重要であることを理解する。

 

 

深海神棲姫「ある日取り引きに来た人間が乗っていた船をその輩の仲間が意図的に殺した。海にはかなりの量の血が流れた。理由は大きな貨物船だったからだ。燃える船と共に命と荷物も多くが海へ落ちていった。それを見た輩たちは口々にこういったのだ。あぁ今でも忘れられんッ!『化け物が人間を殺した!我らは殺された者の後悔の意を汲んでやつらを許すな!!奴らは皆殺しにするッ!』そう高らかに叫んでいた。我らは何もしていないのだ。完全に濡れ衣であった」

 

 

 芙二が聞く前に神棲姫は「本当に何もしていない」と泣きそうな顔をしながら言った。それを見て芙二は話に出てくる人間たちにとてつもない嫌悪感を抱いた。ただただ生きていた彼女らに要らぬ濡れ衣を着せ、挙句に殺そうとしていたことに。口には出さずに黙っていた。深海神棲姫にとってはかなり嫌でとても思い出したくない内容かも知れないが、何も知らない芙二に対して教えてくれる人柄に優しい人物という印象を与えていた。

 

 

深海神棲姫「人間を殺したなどと知らぬ罪を着せられた。そこからは海に多くの血が流れた。関係ない人間も私たちも輩達に踊らされ、命を落としていった。我らをよく思わない輩の狙いは我らを奴隷にする事。深海の資材を人間たちだけで独占すること。それだけと思っていた。その当時はな。とうとう我らは憎しみに飲まれた、始まったのだ。終わらない憎しみの連鎖が。扱えなかった艤装が扱えるとそこからは一方的な虐殺であった」

 

 ひどく悲しい結末であった。一線を越えてしまった彼女らはもう二度と戻れなくなってしまっているのはすぐに理解できる。

 

芙二(だって殺されそうになったら抵抗するしかないよな? 逃げればいい? その逃げ道も潰されたら? やっぱり抵抗するしかないよな……あぁほんっとにクソッタレな話だ。吐き気がしそうだ、まぁ内臓とかないけど)

 

 

 話が進んでいくごとに深刻な顔つきになる深海神棲姫。芙二も芙二で聞く度に決して嫌悪感を出さないように相槌を打った。だってここまで聞いたら人間が滅ぼされるべき悪のように感じたからだ。そこまで幼稚というわけではないが、酷く感情が昂っているのを感じている。

 

 

深海神棲姫「我らは、その時の我らは知る由もなかった。輩たちのもう一つの狙いを。我らが死体の山を作り終える頃、達成されてしまった。そのとき私は気づいてしまった。連中の言う通り、我らは人殺しの化け物なんだと。しかし仲間たちは殺し殺され、傷付き無念にも倒れ半数も数を減らしていた。私を含めて数人の意識は血に汚れた復讐心は晴れていた。それは私を含めて一部であり、それでも半数近い人数は復讐に狂ってしまっていた。終わったと言い聞かせても、決して彼女らには言葉は届かなかった」

 

 

 言い終わると神棲姫の顔はさっきとは違って悲しく寂しい、そんな表情をしていた。両手で顔を覆い、嗚咽を漏らし始めた。それほど思い出したくない事であったのだろう。

 

芙二(血を血で洗ったら……そりゃあ止まらないだろう。たとえ正気な者が何人もいた所で意味はないだろうな)

 

 普段掛かってるはずのリミッターが吹き飛んでハイになってるのだろうと安易に想像がついた。血の狂気だか、精神が参ってるのかはその当時の人間でしか分からない。しかしそこまで深刻な問題になってしまったのならもう関係修復は困難だろうなと思っていた。

 

 

深海神棲姫「それでも私達は統率者として彼女達を鎮めようとした……がしかし私達の声は狂ってしまった彼女(仲間)達には届きやしなかった。私たちは狂ってしまった彼女達を沈めよう(楽にさせよう)としたが負の感情に支配され本来の姿とは異なる新たな進化をしていた彼女達に敗れて深い深い水底に沈められてしまった。おそらく彼女達はさらに進化しているだろう。独自のな。以上が理由だ」

 

 

 そういうものか。ほんとうに聞くに堪えない酷い話だった。深海神棲姫の表情から見るに嘘は言っていないのだろう。これで嘘吐きであったら役者になれる。

 

 

芙二「話を聞いて大体の予想はつくが質問いい? その狂ってしまった彼女たち……もとい深海棲艦は増えているのか?」

 

 

深海神棲姫「増えている。新たな姫や鬼が誕生していると報告が入っている。その度に大規模なものや中規模なものが起きていると。近年では艦娘が轟沈して姿を保ったまま我らに似た状態になる個体いるという報告も入っている。そして人間の上は腐り果てているようだ」

 

 

芙二「仲間がいるのか? それは先の話で言っていた、生き残りか?」

 

深海神棲姫「そうだ。私の仲間がいる。奴らは自分の領域を守護していたりと色々だな、定期的に情報をもらっている。思念を伝達できるから離れた所でも出来る」

 

芙二「ところで、転生しても人間なの?すぐ死ぬから人間でもタフにしてほしいんだけど」

 

 

深海神棲姫「人間であろう。転生者ってのは大体祝福(ギフト)を授かるもんなんだがそれにもう一つプレゼントしてあげようか。特別に【深海神姫の寵愛(しんかいしんきのちょうあい)】を授けよう」

 

 続けて「人間なのは確定として、だ。タフになるかは分からない。私の知る人間はタフでなくても賢く立ち回り、長く続く歴史の一手を刻んでいたぞ」と真面目な顔で言う。

 

芙二「深海神姫の寵愛?どんな効果があるの?」

 

深海神棲姫「それは! 使ってからのお楽しみ。旅立つ前に私からの餞別だ、これもつけてあげようか。」

 

深海神棲姫「【()()()()()()()()()()】……説明は要らないかもだけどもいうね、まんまだよ。干渉する事ができる、誰かに。程度というのは私が試したことがないからな。”全てを救う”なんてただの祝福程度では難しいだろうからな。しかし貴様なら可能かもしれないが。この二つの能力をうまく扱って欲しいものだ」

 

 ふむふむ、これで救っていくのか。どうやって干渉していこうか考える。(血に飢えてるなら、血を海に撒いたら鮫のように寄ってこないだろうか。いやないか)なんて冗談を脳内で呟く。

 

芙二「ありがとう。でもこれだけじゃないんだろ?」

 

深海神棲姫「そうだな、それからの事はあの世界が決めること。私にはこれくらいしかできそうにない…」

 

芙二「いいんだ。それに丸腰じゃ無理かもしれなかったのに、深海の神姫から直々に祝福を授かるなんて奇跡としか言いようがない。目標を達成出来る可能性は上がるわけだし……本当に礼を言うのはこっちだよ。改めてありがとう」

 

 何度も礼をする様子を見て深海神棲姫は照れ臭そうに「もうよいと言っているだろう」と褒めちぎりだした芙二を止める。ニコニコしながら芙二はさりげなさを装って疑問をぶつける。

 

深海神棲姫「ふむ、いいぞ。」

 

芙二「あの世界に終わりは必要か? 必要ならその首を縦に振ってくれ」

深海神棲姫「必要ではない。……何故それを聞いた?」

 

芙二「一般的にクズだからと殺し尽くすなんてやったら立派な殺人鬼だ。周囲は俺を怖がって、近づかないし馬鹿は追いかけ回すかも知れない。一々対応していたらキリがない。授かった能力を使ってでも殺すのなら、もういっそのこと終わらせる方がすべての為だと思ったからだ」

 

深海神棲姫「ふむ。私もそれを考えなかった訳ではない……が。今考えても仕方ない。転生するんだ、赤ん坊からのスタートだ。精々、二度目の人生を楽しんでこい」

 

芙二(もう時間か。あとの事は転生してから考えるか)

 

 自身が輝きだした、足元から光の粒になって消えていく。少しもったいない気がした。なんでそう思うのかというと。まぁ芙二自身、成人してこれからが本番だったわけだ。クソッタレな人生は紆余曲折してようやく形になるものとか勝手に思ってたわけで。突然死した人もこんな感じなのかな?なんて考えてみたり、まぁ悟ることが多い人生でしたがまぁ、イイとしようと考えていた。

 

芙二「最後にありがとう、また今度ちゃんとした姿で」

 

 もはや見えなくなった深海神棲姫に向かって呟いた。

 

 さよなら、我が第一の生よ。

 

 次は計画直前で死なないように気を付けて。

 

 ======

 

 

 ~南西諸島方面のある小島の港~

 

兵士1「おら、さっさと歩かんか!」バシッ

?「ッ!」

 

兵士2「なんだ! その目つきは!? もう一発くらいたいか!!」

?「……」

 

兵士3「ん? だんまりかぁ?」

兵士4「早く歩け! 止まるんじゃァない!!」バシ

 

?「0;ix0。u(我に触るな)」ボソ

 

兵士1「んん? 何だってぇ??」

兵士2「何か言ったのか? 聞こえなかったぞ」

 

兵士1「気のせいかもしれない。しかし上はなんでこんな少女を――もしかして慰み者にしろってかw」

兵士2「それはないと思うぞ。確かこの島にある研究所の材料かなんかだった気がするけど」

 

兵士3「うわぁ、それは……あの変態どもに使われるんだろ?なら、俺らで回しちまう?」

 

 やや清潔感のある褐色肌の少女を見て下衆な発想を口にする。だが、すぐに仲間から諫められ不貞腐れ気味となる。

 

兵士4「いや……やめておこう。上にばれたら大変だ。俺らまで材料にされてしまう」

 

兵士1「はぁ~もったいないなぁ。早く帰って娼館行こうぜ」

 

 ゲラゲラと下品に嗤い「お気に入り譲が~~」と話し始める。 

 

?「hr˝7¥4s˝m・(クズ野郎どもめ)

 

 ギリギリ聞き取れないほどの声量で毒を吐く少女。

 

兵士1「ほら、さっさと歩けよ!」

 

 歩くのがとろい少女を薄汚れたブーツの裏で押すように怒鳴る兵士は後に地獄を見る事となるのだが、それはまた別にお話。

 

 

 

ー続く

 




次はようやくですね。転生(?)
読みにくいかと思いますがそこら辺はすみません

艦娘の登場はまだまだ先です。

では、次回もどうぞよろしくお願いいたします



  
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