十月 二十日 午後七時 本営 憲兵棟 ある一室にて。
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薄暗い部屋の中で会話をする二人の姿があった。一人は銀髪の外ハネするショートヘアで夕雲型の制服を着ている艦娘の名は――
彼女の向かいに座っているのは今、白峰と呼ばれた男がいた。容姿はボサボサの白髪交じりの黒髪、目には濃い隈が出ているが、瞳の奥には何か執念を感じさせるものが宿っていた。
白峰「そうか、ついに尻尾を掴むことが出来たのか。それは素晴らしいな、秋霜。
秋霜の話を聞いて、白峰は頷き報告した彼女を褒めていた。そして低い声で同僚であり自分らの隊の長である
白峰「秋霜。正直に言いなさい。篝隊長はいまどうなっている?」
秋霜「隊長はとても喜んでおられます。今か、今かと我々と共闘するよりも先に最重要人である
白峰「そうか。一応、隊長の様子も気にしていてくれ。篝が暴走すると我々の計画が狂いかねないのでな」
目を伏せ、最悪の状況を想像する白峰と秋霜。元凶である宮部數徒を殺されてしまってはこれからの対策が出来なくなってしまう。今かき集めて、まとめている情報の中では宮部數徒は人間であり、ただの研究所所長だということ。もしも隊長である篝が凶行に出てしまい、命を落としてしまえばすべてが水の泡になるということだ。
白峰「秋霜、報告は済んだのか」
問いに彼女は頷き、白峰は溜息を吐く。その態度を見てか「お気持ちは分かります。白峰さんが考えていることも……」と一言呟いた。
白峰「どうして人間と深海棲艦の戦争を終らせる為に存在する施設が裏切るのか、理解に苦しむ。ましてや人間も艦娘も深海棲艦も実験動物のように扱い、それを――……」
それ以上言うと嫌な記憶が蘇るために二の句は続けない。無意識のうちに左手を握りしめていたようでグッと力が入り血管が浮き上がっていた。表情も段々と険しくなっていく。だが、すとんと落ちるように普段の表情に戻っていく。
白峰「いかんな。この歳になるとつい、な。ゴホン!……秋霜。今日はもう下がりなさい。作戦決行時、私は所定の場で待っている。君は決して遅れてはならない。他の者にも影響があってはならないからね」
そう言うと彼女は頷き、ゆっくり歩いて部屋の外へ向かう。ガチャ、扉が開き「お疲れ様です。私は先に失礼します」そう聞こえてきた。白峰は短く「ご苦労」と伝えた。
一人になった部屋の中で席を立ち、写真立てが掛けられている箪笥の元へ歩く。そして写真の中で微笑む女性と小さな男の子に対して「もうすぐ仇が討てそうだよ」優しい口調で語りかけ、皺が増えてきた指の腹で惜しむように撫でていた。
もうちょっとで番外は終わりを迎えますね。