とある泊地に着任した提督のお話   作:ふじこれ

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今月終わりますね。また文章力が迷子になりました。


分断後は

 

 天井が崩れ、瓦礫の山に分断されたヲ級たちだが、特にセーレは大声を上げて驚いた。二人が深海棲艦だからって連中も対策なしで来ている訳ではないのに――と。

 

セーレ「ル級、リ級!? 何をして――」

ヲ級「セーレ。私たちは私たちのすることをやろう。あの二人なら楽勝のはずだから」

 

 「そうね。たかが人間と深海棲艦のポテンシャルを舐めてはいけないわ」そうリリアが言う隣で藤尾が「私達も人間ですが」と小さな声で言っていた。

 

リリア「リ級の計らいがあったからこそ、傷一つなかった。後で感謝しないと……」

藤尾「そうだ、今なら軽井さんに連絡できるのでは?貴重な時間を使いましょう?」

 

セーレ「藤尾さん……実は今電波が不安定なんです。だから一度や二度かけたところで繋がらないと思います」

藤尾「やってみなくちゃ分からないわ。まずは掛けてみましょ」

 

 この時、携帯を持っているのは藤尾だけであった。なので彼女の物を借りて軽井に掛けようと試みるが通じない。念のために周囲を警戒するヲ級たち。特に警戒しているのはヲ級で先ほど同様に特異艤装を出し、二機を偵察へ。もう二機を待機させていた。

 

ヲ級「敵はいないが、少しでも発見を遅らせる」

藤尾「え、それってどういう――」

 

 スガァァン! ボォン!! ズドーン!!!

 

 偵察に行かせていた艦載機を二機、自爆命令を行い自爆させた。こちらを隠すためだけの爆発だけで向こうの建物は半壊していく。意図せずに被害者も加害者も全員、爆炎の元に吹き飛ばした。

 

セーレ「ヲ級!? 一体何を……それにこの煙はっ 不味いんじゃないの?!」

リリア「けほっけほっ……あれ? 苦しくない。それに少し冷たい? 灰色の、霧?」

 

 土煙と灰色の煙が発生し、吸い込んだ藤尾とセーレは咽る。がしかし煙は煙ではなく灰色の霧が彼女らのいるところを満たしているようだ。しかし見通しが悪く、敵も味方も分からなくなりそうである。

 

ヲ級「! 倉庫? 資料室があるみたい。セーレ、どいて。壁を壊すから」

セーレ「えっあっ――つ、繋がった?」

 

 ヲ級は黒い横笛を縦に構えると壁向けて何度も振り下ろす。『ゴシャッ グシャッ ベキャッ』と鈍い音が響いていた。運よく、視界が悪く音しか聞こえてこないがたまに柔らかいものを叩く音も混じっている。それだけで凡その判断がつく。壁の近くに何があるかということ。

 

ヲ級「空いた。セーレ、こっちにきて隠れて? セーレ?」

 

セーレ「――――私は今ヲ級ちゃん、藤尾さん、リリアさんと一緒にいるから早くっ……あ、あれ?圏外になってる。そ、そんな」

 

藤尾「それで? セーレさん、軽井さんと連絡が着きましたか?そもそも無事でした?」

 

セーレ「は、はい。無事で所長ともいるらしくって。でも途中で切れちゃって……今はずっと圏外です。ごめんなさい、皆さん」

リリア「ま、安否が分かっただけいいじゃない。私もアンリに早く会いたいわ」

 

ヲ級「セーレ?軽井は生きてるって?」

セーレ「う、うん。そうだけど……ヲ級ちゃんの右目、青く光ってるよ。大丈夫?」

 

ヲ級「大丈夫。今は力を解放しているから。そうじゃなくて……生きているなら良かった。軽井はどこに向かっているって?」

 

セーレ「こちらの場所を言う前に通話が切れてしまって……もしかして軽井さんは食堂に向かっているのかもしれない」

 

リリア「完全な入れ違いになってしまうわね。どうする? ここで待つ?」

藤尾「ならこの部屋で隠れておきましょうか。ヲ級ちゃん、その霧どのくらい持つ?」

 

ヲ級「あと半日は余裕で持つ。お姫様から借りた力はまだ全然……」

 

 キリっとした表情で告げる。この状況は最悪よりまだマシで余裕そうに見えるも、このままでは破滅の一途であることは誰もが分かっていた。そんなときだ。リリアの腹部から”キュルルル…”と鳴った。そういえば、小腹が減っていたのを思い出す面々と恥ずかしそうに顔を赤らめるリリア。

 

 非常事態が舞い込んできたので感覚が麻痺していたのだろうと思った。多少の空腹はいいが、長時間の空腹、水分補給なしだとかなり厳しい。ヲ級を除く三人は人間であるが故に厳しそうだと判断したヲ級は自分だけでも何か食べれる物を探しに行こうか悩んでいた。

 

藤尾「あ、あの……飴、食べますか? 空腹を騙すのには使えるかなって思うんですけど」

リリア「貰えるのなら是非……ちなみに何個あるんですか?」

 

藤尾「17個ですね。上着の左右ポケットの中に5個ずつ。ズボンの左右にも入っているんですよ。イチゴ、パイン、ミント、ハッカ。どれでもいいですよ」

 

 お腹が鳴っていたリリアはイチゴ味の飴を受け取ると、包みを破いてすぐに中に放り込んだ。口の中でコロコロと転がしては「美玖さん、ありがとう」と感謝していた。藤尾は「いいんですよー。こういう時は、特に。他人のもので良い事しようとする人がいないだけマシです」そう言った。

 

 セーレもヲ級もそれぞれ飴を受け取って、口の中にいれ空腹を紛らわせていた。大きな音を出さないようにしながらひそひそと女子会の続きをし始めたのだった。

 

 

 

 ――急襲されてから三時間が経過しようとしていた。施設のある島、周囲の海辺には海軍、陸軍の船が多く待機しており、上からの指示で新たに送り込まれる隊員と艦娘は静かに時を待っていた。

 

 

 島の中心部からは爆発音と悲鳴が絶えず聞こえ、行われている事の凄惨さにある艦娘は縮みあがっていた。その艦娘の名をアイオワ。アメリカ合衆国が作りし戦艦の名を冠する彼女もまた艦娘として生を受けていた。深海棲艦を作っている人間を捕縛する、という任務で来ているのだが実際はこれである。

 

 守るべき、守られるべき人間同士で殺し合い、事実を海に、土に捨て去る。言い表しようのない気持ちをどう吐き出そうか、迷っていると共に来ている駆逐艦――雪風に肩を叩かれる。

 

雪風「アイオワさん、大丈夫ですか?」

アイオワ「oh……ごめんなさい、雪風。まさかこんなことになるなんて思っていなかったの」

 

雪風「分かります。まさか雪風も()()()()()で使われるなんて思わなかったですから」

アイオワ「運、目的? それはどういうことなの?」

 

雪風「それは――」

 

『おい、艦娘ども!! なにをこそこそとしているっ!! そんなに出たきゃ行かせてやろう!! アイオワ、雪風!! 宮部という人間を捕縛して連れてこい!!』

 

 上官は怒鳴り散らすように命令を下した。アイオワと雪風の他にも何人か憲兵と別部隊が引率してきたが、その眼付きは特にひどいようでアイオワの胸部にほとんどが向けられていた。

 

雪風「アイオワさん、行きましょ。人間なんて私たちの力には敵いません。でも攻撃されそうになったら気絶させなくていいですよ」

 

アイオワ「……分かっているわ、雪風。後ろの人たちが殺しちゃうからでしょ? これじゃあどっちが悪か分からないじゃない」

 

雪風「戦争なんてそんなものですよ。国、種族が混じり合うものは、特に」

 

 死んだ目でそういう雪風が心配になったアイオワは頭を撫でる。一瞬、びっくりした雪風は何か言おうとしたが「ありがとうございます」そうひと言、お礼を言って惨劇が行われる施設(じごく)へ足を進めた。

 

 

 

 

 

 同日 二十時 十一分 黒煙の上がる食堂にて。

 

 目的地へ近づこうとしただけなのに武装した人間と数人鉢合わせ、容赦なく攻撃されたので逃げていたらいつの間にか、鬼ごっこをする羽目になった。最終的には頭、腹部に十二発の弾丸を受けつつも四人の頭部を粉砕した。軽井がそれを行ったのを見て敵は『化け物ッ!』そう悲鳴を上げて立ち去った。

 

 急いで食堂に戻った頃には食堂内部は焼けており、死体が黒焦げになっていた。そんな状態にあたった軽井は『嘘だ、嘘だ。何かの間違いだ』と呟きながら炎の中にはいっていく。

 

 高温の中に曝された軽井の服や肌、肉は焼かれるが、即座に再生していく。下着は全て燃え切って全裸になりつつもセーレやヲ級の遺体を探す。が、見つからない。判別がつかなくなっている可能性はほとんど捨て、ただ生きていることを想定して炎の中から出てきた。

 

軽井「このまま出会ったら確実に引かれるな。服は、どこかに……あった。それを拝借して、と」

 

 既に事切れている者の衣服を剥ぎ取り、血で濡れているのでそれを着たまま今もなお燃え盛り爆発する食堂の中に入る。

 

 そして二分程したあとに、血塗れの戦闘服を乾かした軽井が戻ってきたのだった。高温に曝されたが、あまり燃やされることなくまた焦げて黒くなるも気にしてはいられないのでその格好でヲ級たちを探しつつ、宮部の指示を全うしようとしたのだった。

 

 

軽井「早く生体管理室へ行かないと不味いな。もしかしなくても既に解き放たれている可能性はあるが」

 

 

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