とある泊地に着任した提督のお話   作:ふじこれ

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寝る前に書けたー 深夜クオリティだー


生体管理室で起きたこと

 

 同日 二十時 五十七分 生体管理室前にて。

 

 遭遇する憲兵も特殊部隊の人間に斬られ撃たれ、燃やされ殴られ……などと普通だったら何処かの時点で確実に死んでいるだろうと思える攻撃を一身に受けた軽井だが脅威の再生能力の前には全てかすり傷程度に感じていた。

 

軽井「私の邪魔をするな。後でお前たちの相手をするものがいるのだから」

 

 低い声で告げると何か言う輩をすべて無視して、生体管理室の前まで来ていた。扉を引こうとするもびくともしない。人外の力を出力しているのにびくともしないのだ。内部で何かが起きているのは確か、だと直感で理解した。

 

軽井「内部でなにが起きているのだ? くそっ連中はそこまで追ってきているのに、私がわざわざ相手をしなくてはいけないのか!!」

 

 ガァン!

 

 早く恋人を探したいのか苛立ったように扉を殴りつける。『ベコン!』と大きく凹むも後ろには倒れずびくともしていない。「ふぅー……」と溜息を吐いて覚悟を決める。

 

軽井「さぁ来るなら来い。鬼ごっこは私の負けだが、同時にお前たちの人生も詰みだということを教えてやろう」

 

『化け物みたいなやつめ!! 応援を呼んだ。その余裕もすぐに見れ失くしてやるよぉ!』

 

『驚異の再生能力だが、半永久的な攻撃には耐えられないだろう!? ならば()()()()()に付き合ってもらおうか――!!』

 

軽井「相手からも”我々の実験”って単語を聞くとは思わないんだが。やはり人間はダメな生き物だな」

 

『敵を増やすような真似をしているゴミが何を言うんだ?』

 

 口々に言いながら手榴弾、火炎放射器を投擲されたりサブマシンガンが火を吹いていた。それを捌いたり身に受けたりと生体管理室の扉へは傷を付けまいとしていると、連中の背後が何やら騒がしい。

 

 どうやら応援が来たようだ、と考えた軽井は今度は攻めに入った。マシンガンをリロードしている者の胸には発勁を当て、内部破壊を試みる。直撃した者は後ろへ数歩下がっていく。

 

軽井「どうだ……?」

 

隊員B「は、ただ突き飛ばしただけでなに満足そうに……ゴブッ! ゴボボッ! ガェッ!!」

 

 口から血が噴き出た後に両膝をついて前のめりに倒れ動かなくなった。死んだ仲間に釘付けになっているところを軽井が見逃すはずなく、発勁やら手刀、腕を突き刺すなどして敵を屠っていく。だが、数の暴力にはどうしても敵わないよう。最後の一人を殺した後にまた弾丸が何十発と撃ち込まれた。

 

 だが、軽井は扉の前に立ち何としても通さないようにしていた。時に両目、頭を貫かれても。時に心臓、肺を貫かれ、破かれようとも。アキレス腱を器用に撃ち抜かれ、また急所を貫かれようとも。決して心折れることなく、開かずの(生体管理室の)扉を守り切った。

 

軽井「ブフッ……ハァ、お前たちの弾がなくなるまで相手してやるよ」

 

『なんだ、てめえはよ!! そんな不死身みたいな化け物きいてねーって!!』

 

『おいおいおい――深海棲艦以上の化け物がそこにいるじゃあねーかよ!』

 

軽井「ザマァ見ろ、この先にいる失敗作たち(宝物)に指ひとつ触らせてやるかっ」

 

 自身の姿を見て慄く、連中に中指を突き立てて怒りの感情を露わにする。だが、そんなことをしているとヲ級たちと邂逅するタイミングが段々と失ってしまっていく。どうしたものかと考えていると背後の扉が大きな音を立て始めた。

 

 その音に一同驚き、注目する。どうやら内部から何かで殴りつけられているようで大きな音を立てる。ベキ、ベキ、ベコォ!!と異音を出して扉がひしゃげた。

 

 中からはで腰伸びる長い薄い水色の髪、切れ長であり緑色の瞳を持つ外国人の少女が現われた。背は軽井よりも高く、顔もまだ成長途中であることが窺えるほど幼いものだった。だが、少女は軽井のことを指差してながらこういった。

 

?「へぇ? いうねえ、おじさん! あの子たち、失敗作じゃなくて宝物なんだ。あんなに酷いことを平気でやったのに、ね?」

 

軽井「だ、誰だ。君は……リリアたちの友達か?」

 

アイリ「リリア?誰それ。私はアイリ。見ての通りここで監禁されていた、ただの少女よ」

 

『おいおい、聞いたか?人身売買までやるのかよ。こいつらマジモンのゴミだ』

 

『お嬢ちゃん、おじさんたちと共に帰ろうな。こんな怖い所から、な!』

 

アイリ「バッカじゃないの

 

 特殊部隊の連中にそう悪態をつくと軽井の方へ向き直って「ねえ、おじさん。ナイフない?」そう言うと部隊の中で一人の男がナイフを取り出して手渡した。

 

アイリ「ありがとう。これで殺せるわね」

 

 受け取ったら軽井の首を皮一枚残して斬り、ついでに自分の長い髪も肩までバッサリと切った。突然のことに軽井も特殊部隊の人間も言葉を失くていた。軽井はドサリと横に倒れ、動かなくなった。

 

 特殊部隊の人間はアイリに拍手して、褒めた。ついでにナイフも「返してくれ」と言うとアイリの動きが少しだけブレた。ほんの少し、ブレただけ。そう見えた。数名の隊員が目を擦って確認していると自身の身体がボロボロと朽ちていく。

 

『う、うあああああああ』

 

『なにが起きてっ』

 

『俺の手っ いや足も、急に朽ちて塵に変わっていく』

 

アイリ「そこのおじさんみたいな耐性は持っていないの、そう。おじさんが異常なだけ、か」

 

 急に朽ちていく隊員たちの発狂した声を無視して首の皮一枚繋がっている軽井に話しかける。首が繋がっていないからか無回答なのが癪に障ったのか、ダメもとで首と切断面を繋げると数秒後に完治して唸り声だが発せるようになった。

 

アイリ「おー、すごい。おじさんが見た目は人間なのに中身はぜんっぜん違うんだね。私と同じ。人外なんだ」

 

軽井「あー……んん、ゴボッ! ゴホゴホッ……酷い目に会った。アイリって言ったか。急に切るなんて酷いじゃないか」

 

アイリ「私、血を吐きながら責められるのは初めて。いや始めから全員、殺すつもりでやったのに生きてるおじさんに吃驚したよ」

 

軽井「それはどうも。――ってあれ?特殊部隊の連中は? 撤退したのか?」

 

アイリ「いやあそこ」

 

 指差した先を見て、口をあんぐり開ける。そこには黒い塵がいくつもあるだけなのだ。どうして塵になったのか分からないが今はアイリという少女に感謝するばかりだと思っていた。

 

軽井「原理は聞かないでおく。ありがとう、アイリ。ところでこの内部にいた生物は何処へ行ったか分かるかい?」

 

アイリ「あー、全員始末した。言い方が悪いか。救ってやったんだ、この終わりのない地獄から。……もしかしてここの生物を全部解放しに来た? だとしたら悪いことしちゃったか。でも安心して。これから人間は全員、殺すって決めているから」

 

軽井「そう、か。全員殺すのか。殺さないでほしいメンツもいるのだが……」

 

アイリ「器用な事は出来ないけど、一応気に留めておく。そのメンツの名前は?」

 

軽井「ヲ級、リ級、ル級、藤尾、セーレ、リリア、アンリエル……くらい?」

 

アイリ「どうして深海棲艦が混じっているか分からないけど、人間と行動するくらいだもの。きっと絆されているのね。分かったわ、一応それっぽいのにあったら問答してみる」

 

軽井「ありがとう。アイリはこれからどうする?」

 

アイリ「私は単独行動の方が性に合っているわ。それじゃあね、おじさん」

 

 話し終わるとアイリは薄暗い廊下の奥へ消えていく。やることが一つしかなくなった軽井だが、途方に暮れていた。なぜならヲ級たちの居場所が分からないからである。崩落して埋まっていたリ、死体で溢れていたりして今までの地図を一新したくなるほどの惨状だからである。

 

軽井「もう一度通信を試みたら繋がるかな……」

 

 そういって携帯を取り出して、先ほど繋がった番号へ連絡するのだった。

 




登場人物

->アイリ:異世界から拉致され、奴隷兼モルモットとして監禁されていた。
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