とある泊地に着任した提督のお話   作:ふじこれ

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二章 22話『全てを曝け出す勇気 ③』

ー続き

 

 外にて。

 

芙二「夕立?」

夕立「……」プイ

 

芙二「……はぁ」ポリポリ

夕立「……?」キョトン

 

芙二「あんまり外ではしないからな?」

夕立「……」コクコク

 

芙二「……どうだ?」ナデナデ

夕立「……」ムフー

 

 芙二が夕立の頭を撫でると満足気な顔をする夕立。

 戻りたい一心だったが手を放そうとすると手を掴んで自身の頭へ戻す。

 

芙二「あのー夕立? また後でやってやっからよ~」

夕立「……」シュン

 

 芙二が手を放すと夕立は分かりやすく表情を崩す。

 夕立はその場から動かないので手をつないで引っ張って行こうとする。

 しかし動かない。

 どうしたもんかと思っていると夕立が口を開く。

 

夕立「提督さん。誰か見てるっぽい」

芙二「え? どこだ?」

 

 夕立が指さした方角を見ても何もない為、一応能力を使い調べる。

 するとそこには……

 

??「ちっ! バレたわ、うん。作戦変更して」

 

 そういって立ち去ろうとする影が見えたので芙二と夕立はすぐさま動く。

 

芙二「バレた? あんたは何者なんだ……!」

??「!? は、早い! 」

 

??『ブツ……何が早いんだ?』

 

瑞鶴(東第三)「男と夕立よ! 距離を詰めてくるわ!」

??『なに? 早くその場から逃げろ!』

 

瑞鶴(東第三)「分かってるわよ! 「何が分かってるんだ?」 ひぃっ!」

夕立「逃がさないっぽい……!? そ、その姿は……!!」

 

??『(……音声から察するに瑞鶴のやつバレたのか? しかしまぁ今は捉えられている場合じゃないな。)すまない、やつの回収を任せる』

 

芙二「お前は、瑞鶴か? でもその姿は……まるで」

 

 言い終える前に瑞鶴と呼ばれた少女は怒り、艤装を構える。

 

瑞鶴(東第三)「……ワタシをドウスルつもり? 捕まえて報告ナンテされたら堪ったモンジャないわ!! 機動部隊、発艦!!」ギリ

 

芙二「わ、待て待て!夕立、伏せろ!(あまり使ってばっかりは嫌だけど……!)」

夕立「!? む、無理っぽ____」

 

―バシュン!!

 

 芙二は夕立を庇い伏せる。艦載機から繰り出された攻撃は当たることなくコンクリートを破壊するだけだった。

 動かないでいると、走り去る音が聞こえたので頭を上げるとそこには誰もいなかった。

 

芙二「……ふぅ。あぶねぇな……大丈夫か? 夕立」

夕立「大丈夫っぽい……提督さんも大丈夫?」

 

芙二「ん、なんとかな。まぁ何もなければよかった、という事で戻ろっか」

夕立「りょーかいです!」

 

 

 

 

 

―?? 

 

瑞鶴(東第三)「……ごめんなさい、散歩に出かけていたら部外者がいるとは思わなかったわ」

??「全くだ。しかも艦載機まで出して……バレてしまったのではないか?」

 

??「それも含めて、だ。含めて計算している。その時の作戦も伝えたはずだが?」

瑞鶴(東第三)「分かっているわよ……今日の夜よね?」

 

??「そうだ。今日の夜中、決行する」

??「これで、皆が救われる……!」

 

??「そうだ、やつの寝首を掻いてやれ。そして人間を許すな!!」

 

 

 

 

 

 

 

―食堂

 

 芙二と夕立が食堂へ戻ると神城達はもう食べ始めておりその中で何名か、おかわりしていたのが見えた。

 

 2人に気がついた神城がスプーンを置いて、こちらへ歩いてくる。

 

神城「おぉようやく戻ったのか。しかし案外かかっていたな? そんなにかかって……あぁ、そうだな。しかたのない事なのかも知れん(悟り)」

芙二「おい、何悟ってんだ。神城提督殿。帰る前、話があるから少し待ってくれ。夕立、手を洗ってから食べよう」

 

 

夕立「分かったっぽい!」

神城「あ、おう。分かったわ(ん? 火薬臭い……? なんでだ?)」

 

 芙二と夕立は手を洗い、昼食を盛り付けて頬張るのだった……

 

 

 ~食事シーンカット!!~

 

 え? 味はどうだったのかって? うちの艦娘も勿論の事、あっちの艦娘も提督も舌鼓を打ってたね。嬉しいわぁ……芙二さんテンション上がっちゃう(笑)

 それで何人か、また食べたいって言ってくれたね。いや~料理人じゃないけどいいよね。

 皆可愛い娘ばかりで~……あ、夕立? 違うよ? あーうん。

 

 それで、まぁ当然のように残ると。まぁ頭おかしいくらい炊いて、頭おかしいくらいに作ったからね。

 でもまぁ、結局何人か来てなかったからね。その艦娘にでも上げたらいいんじゃないでしょうかね。

 

 ――という事で。帰宅時間になりました。

 皆、眠そうです。まぁーうん、皆には先に乗っててもらってと。俺は神城提督に話すことがあるので少し離れますが。

 

 

 

 

 

神城「で、芙二提督殿。話しとはいったい?」

芙二「なにやら不穏な空気が漂ってますのでお気をつけて」

 

神城「不穏な空気……? 分かりましたよ、ではまた後でお願いします」

芙二「了解です。彼女(憲兵)も連れてきますね」

 

神城「……はい。でもここでいいんですか?」

芙二「あーうん、まぁ。ではでは、夕方頃に伺います」

 

 そういうと芙二は駐車場へ戻っていったのだった。

 黒塗りのハイエー〇に乗り込み、全員いるか確認する。

 

芙二「良し。全員いるな? 今日はお疲れ様! 無事勝てて何よりだ。疲れて、飯もたらふく食べて眠い奴もいると思うが聞いてほしい」

 

 ※

 

芙二「明日から三日間の休日とするんだが、まぁ買い物に付き合ってもらいたい。私服を買ってもいいし何か欲しいものを買ってもいい――って、だめだこりゃ。寝てるのが何人かいるわ」

 

 龍驤や川内、榛名も寝てしまっていた。初めての事で思った以上に疲れていたのだろうと思い、話を途中で切ってエンジンを掛ける。

 するとか細い声が1つ上がったので、声の方を向く。

 

神通「あ、あの提督? 1ついいでしょうか?」

芙二「なんだい、神通」

 

神通「買い物には誰がついてきてくれるのでしょうか? まさか提督が?」

芙二「いや八崎さんに頼んであるから大丈夫」

 

神通「そうなのですね」

 

 そういったっきり静かになってしまった神通。

 確かに確認しておきたかったことでもあるだろう。

 

 車を運転し、帰路につく。

 信号待ちしているときに気づく。さっきまで話し声が聞こえていたが途端に聞こえなくなるので確認すると1人を除いて皆、寝てしまっていたのだった。

 それを見て改めて“みんな、ありがとう“と心の中で思うのだった。

 

 

 

 

―東第三鎮守府 執務室

 

芙二達が帰り、神城と大淀は執務室へ来ていた。

 

大淀(東第三)「うわぁ……どうしたんですか? これ……凄いきれいじゃないですか」

神城「そうだろう、そうだろう」

 

大淀(東第三)「もしかして妖精さんが動いてくれたんですか?」

神城「そうだ、正確に言うと芙二提督殿が妖精さん達を動かしてくれたと言った方がいいかな」

 

大淀(東第三)「そうなんですね。ん? という事は芙二提督殿、もしかして妖精さんと話せるのですか?」

神城「本人曰くそうらしい」

 

大淀(東第三)「……今晩、会うのでしたっけ?」

神城「うん」

 

大淀(東第三)「その際に聞いてみてはどうでしょうか?」

神城「何を?」

 

大淀(東第三)「どうして見えないのか。どうしたら見えて話せるようになるのか」

神城「……分かった。聞いてみる」

 

大淀(東第三)「では、これから執務を……」

神城「え? やるの? ちょいちょいさぼってたから____」

 

 

― ??

 

瑞鶴(東第三)「艦載機から見てみる情報だけど呑気なモノね。全く」

??「そうだな、瑞鶴と同意見だ」

 

??「爆発させたのに音にすら気づかないってもうおしまいな気がするのだけど」

??「……その方がやりやすい」

 

??「そうね、そのまま闇に葬ってしまいましょうか」

 

 

 暗く、陽の光すらも入ってこない部屋の中で何人もの声がただひたすら、木霊し続けるのであった。

 

 

―続く

 

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