とある泊地に着任した提督のお話   作:ふじこれ

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1週間って早いんだねって事を体感しております。
長くなってしまった……今回も誤字脱字だらけかもしれませんがよろしくお願いします


二章 27話『羅刹、宵にて ④』

―続き

 

―東第三鎮守府 門前

 

芙二「アビス。今すぐ動いてほしい」

アビス「それはここの妖精を募ってほしいと言った事ですか?」

 

芙二「そうだ。十中八九、手が足りなくなる」

アビス「そうですか。それならば仕方ないです。私は先に行ってますね」

 

―アビスが離脱しました―

 

 アビスを先に行かせ、芙二は行動しようと思って叢雲達の方を見る

 

叢雲「……静かね」

夕立「それは夜だからっぽい」

 

叢雲「いやそんなんじゃないわ。昼間の時とは打って変わって……」

サラ「そうなのですか? サラにはよくわかりませんが……なんだか不気味です」

 

芙二「……とっとと話をしておく。先に八崎さんと合流しよう、いいか?」

叢雲「構わないわ」

夕立「了解っぽい」

 

時雨「分かったよ」

サラ「提督、了解です」

 

 皆に合流するといい、許可を問い八崎の居る医務室 前へ干渉して移動するのだった。

 

―医務室 前

 

 瞬時に建物内にきた芙二達。その時に時雨が驚きのあまり声を上げる

 

時雨「わっ! 慣れないなぁ……」

芙二「まぁ慣れないのが普通だろう。さて、入ってからは目的を話す」

 

叢雲達「「了解です」」

 

 あらかじめの目的を小さな声で話し、伝えておく。叢雲達にも了承を取れたので医務室へ行こうという。

 叢雲達は“医務室“へ歩くのかと思っていたら芙二は自分達の目の前の壁を3回ノックする。

 なんで、司令官(提督)は壁をノックしているのだ?と疑問に思うもすぐに疑問は解消される

 

八崎「はい。芙二提督殿でありますか? という事は艦娘の皆さんも一緒という事ですか?」

芙二「えぇ。連れてきました。これから作戦会議にしましょ」

 

 壁の中から八崎の声がしたのだ。そして何もない壁に何かついているように掴み引いて中に入る。するとそこには横になっている艦娘とここの提督とここの艦娘が居た。

 芙二は向こうの反応を無視して話始める

 

芙二「神城提督殿、うちの艦娘を連れてきました。戦力としては十分ですよ。簡単に深海化したものを潰せるでしょう」

神城「え? は、あぁ……え」

 

 芙二の言ってる事に対して信じがたいものを見る目で見ていた。

 深海化した艦娘を潰せる艦娘を連れて来たって?

 普通の艦娘ではないか……と。それにまさか()()()()()()()()なんて……最悪だと思っていた。

 

芙二「さて、皆。軽く自己紹介してしまって」

叢雲「分かったわ。駆逐艦 叢雲よ。昼間ではお世話になったわね。今夜もお世話になるわ」

時雨「僕は駆逐艦 時雨。演習の話は聞いたよ。僕は吹雪っていう艦娘を見てみたいなぁ……」

 

夕立「私は駆逐艦 夕立! 夜戦は久々っぽい! 任せて!!」

 

 叢雲、時雨、夕立と簡単な自己紹介が終わり最後は()()()()になった。

 彼女は重い口を開いて、自己紹介をした。

 

サラ「私は()()()()()()() 航空戦艦 サラトガです。よろしくお願いいたします」

 

 東第一泊地を強調して話すサラを見て神城は冷や汗を垂らして下を向いていた。

 芙二にはこうなることは分かり切っていたので早く話を始める。

 

 事は一刻を争う事態となっているのだ。

 意味のない沈黙で時間を無駄にしたくない。

 

芙二「ふぅ。自己紹介は終わったな? これにて作戦を話す。聞いてくれ」

 

 一息ついて話始める。皆の真剣な視線が芙二に注がれる。

 

芙二「深海化したものは徹底的に潰せ。これは()()()()()()()である。倒した後の事は俺に任せろ。そして誰が深海化して深海棲艦と成っているのかだが……」

 

夕立「提督さん?」

 

芙二「長門、瑞鶴は姫になっている可能性がある。前回の時と同様、まだ単体だが眷属みたいに雑魚を従わせたら厄介だ。そして後は吹雪と木曽だ。彼女らも__「司令官、吹雪がいるの?」あぁ、そうだ。彼女らも姫とまでは行かないが鬼並みと思ってもいいかもしれない」

 

時雨「だから注意して戦えって事だね?」

芙二「そうだ。時雨の言う通り最大限、警戒しても足りない可能性はあるだから____」

だから、その先が続かなくて皆頭に“?”を浮かべていた。そして深く溜息を吐く。

 

芙二「天に預けろ。負けそうだったら退け。撒け。俺と合流してしまった方がいいかも知れん」

叢雲「……運任せね。まぁそうなっても仕方ないかもしれないわね……ところで」

 

芙二「ん?」

叢雲「吹雪とはやらせなさい。昼間の仇は確実に討たないと話にならないわ」

 

時雨「いや叢雲、僕がやるんだよ」

叢雲「時雨の実力では勝てないわ。今回は諦めなさい」

 

時雨「言うねぇ……?」

夕立「時雨、吹雪戦は叢雲に預けた方がいいっぽい」

 

時雨「なっ! 夕立、君も!」

夕立「やってもいいけど、今の時雨じゃあ赤子同然で負けるよ」

 

時雨「……分かったよ。そこまで言われちゃあ、ね」

 

 叢雲と夕立に言い聞かせられた時雨はアホ毛をシュンとさせてベッドに腰かけた。

 

芙二「すまないな。うちの艦娘が」

神城「いや大丈夫だ。続けてくれ」

 

芙二「それ以外に6名 深海棲艦と成った艦娘がいる。それは姫級とは違い、人型ではあるが雑魚(イ級)程度だと思ってもいいかもしれない。だが、思わぬこともあるだろうから警戒は解かないように。一番の目的は正常である30名の保護だ。見つけ次第、ここまで持ってきてくれれば安全だ」

 

サラ「という事は、会敵してしまったら戦わずに逃げろという事ですか?」

芙二「そうだな、勝てない戦いに費やすのも無駄だ。最悪は俺一人で奴らはなんとかなる」

 

八崎「芙二提督殿でもそれは……」

芙二「大丈夫よ。それに私達がいるじゃない。例え同士討ちになっても、最後に立つのは私達よ」

 

夕立「そうっぽい。夕立は負けないっぽい!」

神城「……」

 

芙二「……良し、これから正常者の保護作戦を開始する。皆、行くぞ。瑞鳳、ついてきてくれるか」

瑞鳳(東第三)「……いいわよっ」

 

芙二「んじゃあ、まぁいこk「きゃあああああああああ!!」おっと。早速出番だ」

叢雲「どこからなの!?」

 

 作戦開始という時、丁度悲鳴が上がる。それを聞いて出番だと呟く芙二。

 悲鳴の方向を瞬時にわかる神城。

 

神城「これは……工廠の方からだ!!」

 

 そう叫ぶように言うと扉を壊さんばかりと突き進む。

 送れるように芙二たちも医務室を出て工廠へ向かった。

 

 

 

 

― 工廠 

 

 先ほどの悲鳴はとある空母が原因になってるようだった。頭から血を流しているようでポタポタとコンクリに染みを作っている。

 その艦娘とは先ほど涼月(?)に連れられた蒼龍だ。

 悲鳴を上げたのは島風の様でそれを快く思わない涼月は島風に砲先を向けている

 

 妙高は涼月を睨みつけていた。

 

蒼龍(東第三)「……っ!」

 

 しかし涼月の後ろから木曽がコツコツと歩いてきた。

 

深海木曽「おいおい、まだ生きてんのかよ」

妙高(東第三)「……他の皆さんは……」

 

深海木曽「まだ生きてるぜ。しっかし半深海化した天龍達も味方と思ったらなぁ……敵とは、な。全く分からん世界だ」

 

蒼龍(東第三)「……天龍さんはっ!」

??「まだ、死んでないけどあの傷じゃあ立てないわ」

 

蒼龍(東第三)「……! 瑞鶴……!! その姿は……!!!」

深海瑞鶴「あれ、意外にシブトイ? それでも……翔鶴姉ぇを……よくも!!」

 

蒼龍(東第三)「違うわ! 飛龍は翔鶴も私も貴女も守ろうとs「煩い!! 黙ってよ!! もう帰ってこないんだから!!!!!」……瑞鶴」

 

妙高(東第三)「……早く私達を解放して! こんなことをしてなんになるの!?」

深海涼月「ダメです。貴方達は私達の仲間になってもらいますので」

 

 そういって蒼龍に砲を向ける。ぐっとたじろいでいると後ろから声が聞こえる。

 

??「そう! なら、私はもう大丈夫よね!」

妙高(東第三)「み、満潮ちゃん!!!」

 

満潮(東第三)「天龍さんをよくも……!! 龍田さんまで再起不能じゃない!!」

深海木曽「はっ! 知った事かよ!! 笑えちまうぜ、この期に及んで友達ごっこかよ!」

 

 半分白くなりどう見ても深海化が進んでいる満潮は拳を当てようとするも当たらず躱されてしまう。

 そんな一言に対して鼻で笑って見下すような発言をする木曽。

 しかしそんな木曽の発言を許さないとでもいうようにまた1つ影が差し込み奇襲を仕掛ける。

 

??「……あらあらぁ~? 元仲間の木曽さんでも許しませんよぉ~?」

 

 それは油断していた木曽に直撃する。

 

深海木曽「ぐぁっ……荒潮ぉぉぉお!!!」

荒潮(東第三)「朝潮姉さんの仮は返しました……なんて言えませんが!」

 

深海木曽「……2度同じ攻撃が通用すると思うのか?」

荒潮(東第三)「……ッガァ!!!」ベキベキ

 

 攻撃は失敗し、ゴロゴロと転がり廃材にぶつかり落ちてきた廃材の下敷きとなる。

 

満潮(東第三)「……荒潮姉さん!!!」

??「よそ見してて、いいのですか?」

 

満潮(東第三)「なっ!? あんたは……!」

??「黙ってください」

 

満潮(東第三)「【ゴキャ、メキメキ】……」

 

 吹雪は思いきり腹を殴りつけ骨が砕ける音が耳に入り蒼龍達は目を伏せる。

 白目を剥いた満潮は宙を舞い、工廠内の壁に激突して崩れ落ちた。

 

妙高(東第三)「……(どうすれば……)」

 

 どうすれば逃げられるだろうと思っていた。

 こちらは負傷している子たち。向こうは深海棲艦と成ってしまっている元仲間。

 

 力の差は歴然といったレベルで逃亡は不可と悟っていた。

 そして木曽たちは解体(処刑)の準備をしていた

 

涼月→深海涼月

 

 

深海涼月「……」

 

 

 

神城「な、なんだこれは!!」

 

芙二たちよりもいち早くたどり着いた神城は工廠で起きている惨状に驚き叫んでしまう。

 

深海木曽「……ほぉ?」

蒼龍(東第三)「て、提督……」

 

深海吹雪「……は? 殺されに来たんですか」

 

 そんな神城の声を聞いて蒼龍達は“なんでこのタイミングで……”と顔を青くしており、木曽は探す手間が省けたと思い、吹雪は怒っていた。

 

芙二「……神城、叫ぶ……な……あ」

瑞鳳(東第三)「そうだよぉ~……提督ッ……ハァ……ハァ」

 

叢雲「私達はなんとも……え?」

時雨「なんだい、これは……」

 

 ようやく追いつい叢雲達は様々な言葉を漏らすも目の前の惨状を見て、サッと血の気が引くのであった。しかし何故か八崎はまだ到着してなかったが。

 

深海木曽「……おいおい、聞いてねぇぞ! なんでうちの艦娘以外もいるんだよ!! 手間が省けねぇじゃないか!!」

 

 神城以外に到着した人数を数え終わったのか声を荒げていう。

 

神城「……お前、木曽なのか?」

深海木曽「あぁ!? そうだが!? 今更何しに来やがった!!!」

 

神城「ッ!」

 

 木曽の怒号は神城を萎縮させ、あまりの剣幕に顔を顰めて言葉を詰まらせる。

 その中で吹雪は笑って話し始める。

 

深海吹雪「アハハ……殺されに来たのですよね。良かった、今ここで蒼龍さん達を見せしめに殺してから、東第一泊地の提督とその艦娘達も殺して、最後にあなたを殺しますので。簡単に壊れないでくださいよ? 陸翔提督」

 

叢雲「……私達を殺す? 何を言ってるのかよく分からないけども」

神城「今なら引き返せる! だから戻ってこい!!」

 

 神城の説得も鼻で笑い、涼月に向かって指示を出す

 

深海吹雪「……涼月ちゃん、やって」

深海涼月「はい」

 

 何がまだ戻れるだ、そんな幻想から引き戻して“現実を見せてやる”と思った吹雪は冷たい口調で涼月に指示を出す。

 涼月も涼月で短く返事をすると神城ではなく、()()()に向かって発砲した。

 何発も何発も撃ち込まれたのだ。

 

 

 発砲音が工廠から辺りに伝わり誰かが発したであろう悲鳴はかき消され、芙二達も神城も目の前で起こった事実を止めることなどできなかった。

 

 コンクリが破壊され白い煙が上がり芙二たちも吹雪達も飲み込む。

 そして段々と血の匂いが混じりだした辺りでこれは不味いと思うも行動できずただただ事が終わるのを見るしかなかった。

 

 カチン、カチンと音が辺りに鳴り、煙が晴れる頃に芙二達と神城は見る事になる。

 

 

 無慈悲な惨撃から島風を庇おうとしたサラトガ、妙高、蒼龍が無残な姿で倒れていたからだ。

 3者から庇われ血を被った島風はなにがなんだか理解できてなかったようで、もう動かない彼女らを泣きながら揺さぶっていた。

 

 そんな状態を見ても吹雪、涼月は冷たい眼差しで崩れ落ちた彼女らを見ていた。

 木曽は“やれやれ“といった素振りを見せ、瑞鶴は嗤っていた。

 

 神城は目の前の惨状を見て信じられないと言った顔をしてその場に座り込み、芙二はしかめっ面で殺意を秘めた目を向けていた。

 

神城「っ!? 蒼龍! 妙高!! さ、サラトガァァ!!」

 

 

 泣き叫びながら動かない彼女らの方へ近づこうとするも“動くな、これ以上動くと島風の首が飛ぶぞ”と低い声で脅す。

 脅された神城は“ぐぅぅ……!!”と泣きながらその場に蹲る。

 

 叢雲達は未だに何が起こったのか理解できてなかった。

 目の前で仲間(艦娘)が殺されたという現実が理解できなかった。

 

芙二「イカレてんなぁ??

 

 そう呟くと臨戦態勢に入る。そして八崎が遅れてきて芙二に状況を伺う。

 

八崎「遅れました。これは一体……」

芙二「見ての通りだ。奴らは元仲間を躊躇いもなく殺した。まだ、更生の余地ありかと思って荒療治をしてやろうかと思ってたが……」 

 

八崎「では、私は倒れている彼女らを入渠施設へ入れてみます。他の所の入渠施設利用私でも大丈夫でしたっけ」

 

芙二「いや瑞鳳がいるから聞いてみても……いやそこで無念に蹲ってる男も連れて行って。邪魔になるから」

 

八崎「了解です。それでは叢雲さん、時雨さん、夕立さん、サラ、動けますか?」

 

 急に名前を呼ばれてハッと我に返り、目の前の惨状を見て吐き気を催していた。

 

サラ「八崎? なんですか? ウッ……」

 

 濃い血の臭いに思わず、口元を抑えるもサラトガを見ずに話しを続ける

 

八崎「そこに倒れている彼女らを運ぶのを手伝ってくれますか?」

サラ「……もう死んでいるのでは? 生存は絶望的かとも……」

 

八崎「今、この場は死体云々で運ぶ、運ばないを決める場ではないです。まだ、死んだ程度でしたらどうにかなりますから。一緒に運んでください。あ、それと神城提督殿でしたっけ」

 

サラ「分かりました……でもタイミングはどうするのですか?」

八崎「それは芙二提督殿がなんとかしてくれます。っと、おい! そこで寝てんなら貴方も動いてください!!」

 

時雨、夕立「「!?」」

神城「……でも俺は……」

 

 サラトガの質問を答えた後に蹲って泣いている神城を一喝する。何故か夕立達も驚いていた。

 そしてグジグジいってる神城の元へ歩いていく。

 

八崎「貴方何年提督してるんですかっ!! 学校でまだ助かるかもしれない命を無駄にしろと教わったんですか!」

 

 そう言われると涙を拭いて立ち上がる。

 そしてその流れを見ていた吹雪達は神城に向けて馬鹿にしたような態度を取っていた。

 

 いや正確には笑いを堪えていただけだったが。

 

深海瑞鶴「ふふふ……アハハハハ!! なに、他所の憲兵に尻蹴飛ばされてキリっとしてんのよ」

深海木曽「全くだ。それにこの状況で死体を担いで逃げられると思っているのか? どんだけ馬鹿な奴らなんだよ。もう一度、現実を見せてやった方がいいか? なぁ!!」 

 

深海涼月「もう一度、撃ちますか?」

深海瑞鶴「そうねぇ……あ! 今度は向こうを撃ちなさいよ! 涼月が持っている機銃の弾全て使い切って魚雷も使いなさい!」

 

島風(東第三)「もう……蒼龍さん達には何もしないでぇ……」ガクガク

深海瑞鶴「い や よ!! 私と翔鶴姉ぇにしたこと全てを思い知らせてやるわ!!!」

 

芙二「……叢雲、時雨、夕立、サラ。これから俺がする事は全て目を瞑れ。と言っても俺の事知ってる時点で片足っ突っ込んでるが(笑)」

 

深海木曽「……何を言ってるんだ? あぁお前も奴らと同じだな? やはりつくづく人間は理解できない、な」

芙二「勝手に勘違いしてんじゃねぇよ。クソアマが」

 

 中指を突き出し“クソアマが”呟き指を下げると芙二は神城の方へ歩き出す。

 神城の腰に携えてある拳銃を奪いリロードを済ませ銃口を木曽の元へ向ける。

 

 思わぬ行動に神城達は驚き、静止を呼びかけるも聞かずに発砲する。

 “パァン! パァン!”と2回撃つが当たらずに工廠の奥へ消えていった。

 

 目掛けて撃たれたという事象に木曽は腹を立てて吠える。

 神城は当たらなくてよかったと安堵していたが木曽が吠えたことによりびっくりして腰を抜かす。

 

深海木曽「……」ジロ

深海吹雪「……木曽さん、私が出てもいいですか」

 

深海木曽「……ダメだ。あいつは俺が殺す」

芙二「殺してみろよ、そのおもちゃで」

 

 芙二が煽る事により、木曽のヘイトはさらに高まる。

 今にも弾けそうな緊張がこの場を支配していく。

 

 少しでも動いたら衝動で赤く染まりそうな程に。

 それでも芙二は八崎に指示を話すと同時に自身の懐をまさぐる。

 アレはないかと思って。

 

芙二「あー八崎さん。やっぱり運ぶのはいいや。そのまま移すから」

深海木曽「……だから、逃がさねぇって! 言ってるがよぉぉお! やれ! 涼月ィイイイィ!!!」

 

深海涼月「承知しました」

 

 芙二が話し終わった時、木曽の怒りのまま叫び状況は一変した。

 ドガガガガガと音が辺りに響き先ほどよりも長い時間、白い煙が上がり続けた。

 最初聞こえていた悲鳴も次第に聞こえなくなったため、死んだかと思い撃つのを止めさせる。

 

 そして煙が晴れるとそこには芙二が居りただ一人向こうを睨んでいた。

 

芙二に目を合わせると魂を引き抜かれるのではないか、そう思わせるような得体の知れない何かを感じ取り一歩下がった。

 

芙二「……ふぅ。まぁ神城たちにゃー……口封じでいっかぁな。それに蒼龍達も命に別状はないだろうし。こういったら失礼だけどお前ら(艦娘)って案外しぶといんだな」

 

深海木曽「……お前、何を言って……」

芙二「ん~? なんでもいいじゃんかよぉ~」

 

深海吹雪「黙ってくれませんか? 煩いのはその口ですか?」

芙二「おーおー! おっそろしいじゃん!? 俺っていま大ピンチ?!」

 

 わざとおどけて見せ、眼前の敵を煽る。すると場の雰囲気が一変するのを感じた

 

深海木曽「……斬られたいようだな」

深海吹雪「撃たれたいようですね……」

 

深海瑞鶴「私も出るわ!!」

深海涼月「……」

 

 ヘイト集めは成功したようでイライラしてるのを見ると、道化師になれるのでは?!とさらに笑う。そして敵の中から珍しい奴がいるので自分の記憶と照合して確認する。

 

芙二「……あれ? その涼月は? あぁ……防空埋護姫じゃねぇのね……いや俺戦ったことないから憶測とデータを見る事しかできないけど……」

 

深海木曽「何をぶつくさ言ってんだ!」

芙二「あーえっと? 遅い」

 

 しびれを切らした木曽が芙二へサーベルを抜いて斬りかかるも余裕で回避する。

 ついでに後ろへ周り込む。

 

 後ろへ回り込んだ芙二に対して今度は吹雪が拳を振るわんとしてくる。

 それも避けて、わざとコケるのだが思いの他勢いがあった様で思いきり尻もちもつく。

 

芙二「い゛でぇ゛!?」

深海木曽「馬鹿が、運はもう尽きたんだな? 黙って俺に殺されてろ!!」

 

 立ち上がり自身の尻を痛そうに撫でていると木曽がサーベル片手に突っ込んでくる

 撫でるのを止めると武蔵戦で使った艤装に換装するついでに今回得た怨念を全て食らい尽くす。

 

芙二「……茶番はいいかな」

深海木曽「なんだ! 命乞いか!! 今更遅いんだよ!!」

 

芙二「(んー、感情のままに暴れてみる? いや今回は特別だぞ☆)」

深海木曽「死ねェ!!」

 

 勢いよくサーベルを振り下ろす。

 芙二は避ける事も守ることもしておらずそのまま刃は左肩から入り右脇腹を抜けた。

 

 そして尋常ではない量の血が溢れだし、噴水の様に沸いた。

 斬りつけた木曽も吹雪も瑞鶴も呆気なさ過ぎて大笑いしていた。

 しかし涼月は数秒で出しきり重力に従って沈むように倒れるはずなのだがいつまで経っても倒れない、血も止まらない事に違和感を覚えていた。

 芙二を中心にして血はまだ流れる。

 

 流石に大笑いしていた3人も笑うのを止め、吹雪が念のため死体うちをする。

 “ドォン”と音を立て芙二の頭部へ飛んでいく。

 

深海木曽「死んだだろ」

深海瑞鶴「そうね。頭部を失えば立ってられないはずよ」

深海涼月「……そうですね」

 

 しかし吹雪の放った弾は芙二の頭部をすり抜けて行きその後、地面に当たり爆発する。

 それを見た吹雪達はポカンと口を開けていた。

 

 芙二から流れる血はどんどん多くなっていった。

 明らかに人間や深海棲艦でも艦娘でも流せる量の血ではない

 そんな量を流せば、失血死は免れない。

 

 気味が悪いと思った吹雪や木曽、涼月はありったけを芙二に撃ち込む。

 これだけ撃てば何発か当たって確実に死ぬだろうと思って。

 

 爆発音が鳴り辺りに白い煙が立ち込める。

 その時、下卑た笑みを浮かべる悪魔がそこにはいたのであった。

 

“せめて、10分は持ってくれよぉ?……呵呵呵”

 

 

―入渠施設内 

 

 芙二の能力により怪我をする事なく入渠施設前に送られる八崎と神城達。

 そこにはたくさんの妖精が待ち構えていた。

 そして妖精は八崎と会話するとぐったりとしている蒼龍達をせっせと中へ運んでいく。

 

 神城には妖精の姿は見えておらず、蒼龍達が中に浮かびながら奥へ進んでいくのを見てやっと妖精が居る事に気づくレベルだった。

 

 八崎たちは中へ入るもそこで神城は男だからという理由で脱衣場待機となるが。

 

―以下、浴場

 

八崎「……これで良し」

 

 中に入ると入渠させてない蒼龍達が居り、妖精は八崎達に指示を出す。要は蒼龍達を入れてやって欲しいという事だ。

 それとバケツの事も言っていた。

 皆、それらを了承して行動していく。

 

 そして瑞鳳達が人数分のバケツを抱えて持ってくる。せっせと湯船に入れていく。

 入渠させて数分、彼女らに変化が訪れる。

 負傷して生きているかどうかさえも分からなかったがみるみるうちに傷が癒えていく。

 

 皆の顔が明るくなる中、八崎に向かって一人の妖精が訊ねる。

 

妖精A「……えっとあなたは憲兵?」

 

 すると八崎は“えぇそうです”と一言呟き濡れた手や腕を妖精から貰ったタオルで拭き取る。

 

妖精A「ここの提督を捕まえに来たのですか?」

八崎「違います」

 

妖精B「それはさせまs「違うって!」へ? どうして?」

 

 質問をした妖精とは別の妖精が勘違いをし始めるが質問をした妖精が正す。八崎は呆れた様子でまた話し始める。

 

八崎「まぁ一応、芙二提督殿に委ねるつもりですので。私としては捕まえてしまった方がいいかもですが……現実を知ってしまうとなんとも言えないですね」

 

妖精A、B「「……」」

八崎「まぁそんな所なので私は芙二提督殿の方へ向かいますねっ」

 

 黙ってしまった妖精を尻目にしてそう言うとずっと黙っていた島風が声を上げて八崎を引き留める。

 

八崎「えっと貴方は? ここから出ない方がいいですよ」

島風(東第三)「そ、そうかもしれないけど……あ、あのっ! まだ雷ちゃんが……雷ちゃんがっ」

 

 泣きそうな顔で必死に八崎に訴えかける。“雷“と聞いて八崎には雷という艦娘に何かあったなと思うが一度、雷を知っている叢雲達からすれば考えたくない事があったと思ってしまい泣き出す島風に声を掛ける。

 

叢雲「そういえば雷は? 昼間見た時は元気だったじゃない。どうしてここにいないの?」

 

 そう聞かれると島風は暗い顔をしてぶるぶると震えだし黙ってしまう。

 その雰囲気にただならぬ事があったと思い、口を割らせようとするもあっさりと話し出すのだった。

 

島風(東第三)「私達があそこに行く前、涼月ちゃんに__」グス

叢雲「あの涼月になにをされたの!?」

 

島風(東第三)「……致命傷を与えられたの……グス」ポロポロ

叢雲「致命傷ですって!? 部屋は、部屋はどこなのよ!」

 

夕立「ちょっと叢雲ちゃん怖いっぽい……でも部屋を教えて欲しいっぽい!」

島風(東第三)「……ついてきて。早くしないと雷ちゃんが死んじゃう……」

 

 手で雑に涙を拭き取り、入渠施設(ドッグ)を出ようとするとき八崎が止めに入るも島風は抵抗して雷を助けに行こうとする。

 

島風(東第三)「話してっ! 早く行かないと!!」

八崎「今は危ないです! だからここで皆さんと居てください!」

 

島風(東第三)「嫌だよぉ……! 行かせてぇ……」

 

 行くんだという事を聞かない島風に八崎は手を焼く。

 しかしその様子を見て考えた妖精達が提案を持ちかける。

 

妖精C「憲兵さん。島風ちゃん達を行かせてあげてくれませんか」

八崎「……外は今、芙二提督殿と奴らが交戦中ですので……私が参戦しないと……」

 

叢雲「八崎さん。司令官なら大丈夫だと思うわ。ここは私達と共に雷ちゃんを迎えに行きましょ? それと今後について考えてしまってもいいかも知れないわ」

 

八崎「今後と言うのは?」

叢雲「外で待機している神城提督に医務室へ戻って起きてくる艦娘のケアを、とか誰が待っているかとか、そんな事よ」

 

八崎「なるほど……それはいい案かもです。今は時間が惜しいですし仕方ありません。我々の独断で動きましょう」

 

時雨「そうだね。ごちゃごちゃ言ってたら間に合うものも間に合わなくなっちゃうから」

夕立「じゃあ夕立は島風ちゃんといくっぽい」

時雨「僕も行くよ。元々戦う目的だったしね」

 

サラ「サラも……「いやサラは瑞鳳と妖精さん達とここで残ってください」どうしてですか!」

八崎「サラは夜こんな状態で艦載機を扱える?」

 

サラ「っ! ……ですが提督を護衛するというのが私のっ」

叢雲「大丈夫よ。司令官は化け物染みてるの知ってるでしょ?」

 

サラ「はい。それでもっ」

八崎「けが人が運ばれるかも知れないから、お願いします。サラ。貴方達にしかできないんです」

 

サラ「……分かり、ました。瑞鳳さんとここの妖精さん達、よろしくお願いします」

八崎「サラ、ありがとう。文句は後で芙二提督殿にでも伝えてください」

 

サラ「えぇ。そうしますね。では、八崎さん行ってきてください」

八崎「はい! 島風ちゃん、案内お願いします」

 

島風(東第三)「うん……ありがとう。憲兵さん。みんな……」

叢雲「大丈夫よ。応援に来たのだから」

 

夕立「そうっぽい! 夕立が皆倒すっぽい!」

時雨「ははは……僕も一応ね」

 

 浴場を出て神城に声を掛け、島風と共に雷を迎えに行くのだった。

 

―瑞鳳(東第三)とサラトガが離脱しました―

 

 

ー続く

 

 

 

 

 




短くまとめたいよぉ……なんて思ったけど登場人物多いと自然と多くならない?
え?気のせい?そっかぁ……才能ないから仕方ないよねっ!

という事で、今回も読んでくださりありがとうございました。
では次回もよろしくお願いします



そういえばお気に入りが増えてて少しだけ嬉しかったです。
ありがとうございます。

話しが長すぎたので分けました。
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