とある泊地に着任した提督のお話   作:ふじこれ

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2轍テンションで仕上げました。

誤字脱字だらけかもしれないです。
よろしくお願いいたします。


二章 29話『羅刹、宵にて ⑥』

―続き

 

 

―海上

 

ガングート「……中々やるなぁ!! そうだ、もっともっと撃ってこい!」

 

 高らかに笑って攻撃してこいと挑発する。

 

夕立「うざいっぽい!」

ガングート「ハハハ!! こんなもんか!? いや絶対に違うだろう?」

 

 夕立の砲撃を避けて尚、挑発する。後ろから時雨と叢雲が忍び込み攻撃を当てる

 

ガングート「ぐォ!? ……中々いい攻撃だ。だが、それでは私を倒すことなど出来ないぞ」

 

 さっきからダメージを与えても大して効いてないと言ってばっかりである。

 

叢雲「案外強いわね」

時雨「そうだね。こいつどうやって始末しようか」

 

 距離を取ってひそひそと作戦を練っているとガングートが砲撃してくる。

 それにより一度、作戦会議は途切れる。

 

ガングート「……私も倒されてしまっては行けないからな。随伴を呼ぼう」パチン

 

 指を鳴らすとガングートの周りからズズズとへ級と思われる()()の深海棲艦が3隻現れる。

 

叢雲「新型!? いえ、あれはいつも会敵する個体(やつ)と同じかしら?」

時雨「そうかも? でも気を抜かない方がいい。奴ら赤いオーラを纏っているよ」

 

叢雲「本当だわ。これは……厄介ね」

夕立「でも結局沈めるだけっぽい。敵は沈める。私達の責務を果たすのよ」

時雨「そうね。ありがとう、夕立」

 

夕立「大丈夫っぽい!」

時雨「来るよ! 右から一隻動いたっ!」

 

人型A「……」スィー

ガングート「おい、お前達は囮となれ。厄介な相手だが私の指示を聞けば死ぬことはない」

 

人型B「……」コクン

人型C「……」コクン

 

叢雲「さっきの衝撃でボロボロだけど……行けるかしら」

時雨「叢雲! 僕に任せてっ!」

 

 時雨が近づいてきた人型の方へ接敵しに向かう。

 人型も時雨の姿に気がついたのか、時雨の動きを見て砲撃を開始する。

 

ドォン!

 

時雨「撃って来た! これでもくらえっ!」

 

ドォン!

 

 負けじと撃つも外れ、水柱が上がる。絶えず砲撃戦は行われ、水柱が多く上がり視界を遮った時別の人型が二隻、叢雲と夕立を襲う。

 

叢雲「――っ!」

 

 完全に油断していた叢雲は一瞬、自分らを襲った人型達を見る。

 顔は……いや頭部はヘルメットの様なモノで覆いかぶされていて確認できずーーすぐさま切り替えて攻撃に転じようとするも体が上手く動かない。

 先ほどのダメージといい、少しガングートと拳を交えただけなのに既に息が上がってしまっていた。

 

叢雲「しまっーー……「そうはさせないっぽい!」夕立っ!」

 

―ガツンと鈍い音が聞こえる。

 

 夕立が叢雲の方に居た人型に蹴り飛ばしたのだ。

 人型はバシャン、バシャンと跳ねていく。しかしもう一隻、居た。

 

 その一隻は隙が出来た夕立に対して近距離射撃を繰り出そうとしていた。

 

叢雲「させないわ!」

 

 

 カバーするような形で夕立の方にいた人型へ向かって自身の主砲で殴りつける。

 ガンと頭部を殴られた人型は目の前に倒れ込む。どうやら気絶したようだった。

 

叢雲「ふぅ……――夕立、大丈夫?」

夕立「え、えぇ。ありがとうっぽい。体大丈夫?」

 

叢雲「少しだけ動けるわ。でも困ったわね」

夕立「なにがっぽい?」

 

叢雲「今日の演習といい、さっきの衝撃といい……体は思ったよりも満身創痍みたい。ガングートを倒せるか分からないわ」

 

夕立「……そうね。実は夕立も限界が近いっぽい……あはは。あ、後でこいつ持って帰らないと」

叢雲「死んでなんかないわよね?」

 

 夕立はそういう叢雲の顔を確認する。

 そしてハッとしていた。

 叢雲の額には汗が滲んでいたのだ。

 

 言っていることに違いはないようだ。

 これは短期決戦になりそうだと夕立は確信して自身が蹴り飛ばしたもう一隻の人型の方へ向かう。

 

夕立「叢雲ちゃんはここにいて! 夕立がさっきのやつ片付けてくるっぽい!」

 

 そういって鬼気迫る表情で標準を合わせている時だった。

 黒い影が夕立の方へ向かっているのを叢雲は気づいた。

 

叢雲「(まさかあれはガングートっ!? 不味いわ、夕立気づいてない! あぁ……――くそっ! 身体が動かないわ)」

 

 動かない脚をガンガン殴りつけるもびくともしない。

 さっきみたいに咄嗟に動けずにいると影は次第に夕立の方へ近づいて行く

 

ガングート「……(叢雲とかいう奴を仕留めるのはそう難しくない! 夕立を殺してしまえば! 確実にっ!)」

 

叢雲「(夕立も少し疲れている所為か、標準がーー)」

人型B「……」ガコン

 

ガングート「良し、いいぞ! 取った!!」

夕立「!?」

 

叢雲「(不味い不味い! 殺されちゃうわ!! くそ、動けってんのよ私の脚ぃぃぃい!!」

 

 そういった瞬間、叢雲の脚は暴風に吹き飛ばされたかの様な勢いで夕立の方へ行った

 

ガングート「なっ!?」

夕立「! 叢雲ちゃん!?」

 

 驚く二人を無視してそのままガングートの顔面に零距離射撃をぶち当てようとする

 

叢雲「これで終わりよっ!」

 

ドォン!!

 

 叢雲の特攻とも言える攻撃はガングートへ炸裂した。

 その瞬間、爆破音と水柱、白い煙が上がる。

 

 夕立は叢雲の方を見た後に近寄ろうとするとき、笑い声が海上を響く。

 

ガングート「はははは!! まさかしてやられたぞ!! ()が無かったら倒されていた!! かくゆう私もかなりダメージを負わされたがな」

 

 ペッと血が混ざった唾を吐き捨てると黒く焦げた盾を投げ捨てる。

 夕立と叢雲はソレを見た瞬間、頭に血が上る。

 

叢雲「あんたーー……なんてっ」

ガングート「私が奴らをどう扱おうが勝手だろうが。しかし借りは返そうか、な!」

 

 叢雲の方へ向かってガングートは海上を強く踏む。

 踏んだ時、激しめの水しぶきがあがり波紋が出来るほどに。

 そんなに力を入れたかったら沈んでしまうのではないかと思われるほどに力強く踏み歩叢雲の前まで来るとーー……

 

 

ガングート「ふんっ!」

 

 ごうと音が鳴るのではないかと思われる程の拳が腹に入る。

 

叢雲「ガァ……!?」

 

 ベキベキと何かが砕ける音がしてその場に蹲り、夕飯に食べたものを全て吐いてしまう。

 

ガングート「……案外もろいな。いや最近の艦娘はそのくらいか。次はーー……貴様だ」

夕立「!?」

 

 疲れ切っていた夕立の心は貴様だ、とその一言だけで折れそうになるのだった。

 いや折れたのかもしれない。逃げる事もせずにその場に座り込んでしまう。

 それを見て、ガングートは嗤って砲を構える。それに夕立は泣き出してしまいそうになる。

 

夕立「――……っ!」

ガングート「泣くか?! 早く泣け、私との力の差を噛みしめて沈め!!」

 

 目と鼻の先の距離で怒鳴るように言葉を吐き捨てる。

 ビクと肩を震わせ、さらに動けなくなる。

 

 どうあがいても死は免れないからだ。

 いや叢雲を盾にすればどうにかなるかもしれない……と邪な考えが夕立の思考を支配しつつあった。

 

叢雲「ひゅー……ひゅー……夕、立……お゛え゛ぇ゛……」

 

 不規則な呼吸をして夕立の名を呼ぶも、次の瞬間血混じりの吐瀉物を吐く。

 

夕立「叢雲……ちゃん。動か、な、いで……夕立は……大丈夫だから」

 

 涙のしずくを流しながらも叢雲を安心させようとして微笑む。

 月明かりが差し、その顔が印象強く映った……そして夕立の斜め上からイラついた声が聞こえる

 

ガングート「もう、終わったのか? すぐに再開するから大丈夫だ。安心して沈め」

 

 そういってガングートは夕立に向かって引き金を……引いた。

 

ドォン!!

 

 それでもなんとか叢雲が手を伸ばそうとした瞬間、大きな水柱が上がりその波に叢雲は乗ってしまい夕立との距離が引き離される。

 

 水柱が静まるも黒い煙はもくもくと上げり続ける。

 絶望してしまった、叢雲の心は夕立が殺されてしまったと思わせる

 

 ガングートが何か言ってるが耳に入らない。

 勝てそうになかったら撤退しろという司令官との約束も守れず、仲間を失った悲しみに包まれるとき……私達とは違う()の声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

時雨「夕立と叢雲を殺させやしないよ」

ガングート「なっ!? 貴様――……その姿は!!」

 

 

 夕立とガングートの間に誰かいた。その人物の名前はーーーー

 

 

時雨「……ぎりぎり間に合ったようだ。大丈夫かい? 夕立、叢雲」

 

 時雨だった。さっき、一番に接敵しに行った。ニコリと笑って声を掛けてくる。

 

ガングート「な、貴様……――その姿は深海棲艦だなっ!! しかも私と同じ姫かっ!!」

 

 

 驚くのは無理もない。時雨が庇ってくれたのだがその姿は先日戦った姫級の姿……確か旧駆逐棲姫といっただろうか。

 その姿のままであった。しかしどこかおかしい。

 ただ白いだけではなくバチバチと鳴り発光しているような気がする……――

 

 

時雨「……とっとと倒してしまおう。二人共、少し待ってて」

ガングート「……貴様、完全に深海棲艦と成ってるではないか。では何故、怨念に支配されない」

時雨「支配されてたよ。最近までは、ね。でも提督が僕を救ってくれたんだ」

 

ガングート「はっ! たかが人間が……いや貴様の所は何か違うか」

時雨「見たまんまさ。そろそろ、行くよ?」

 

 ガングートは構える。目の前の小娘には何か侮れないモノがあると感じたからだ。

 それは的中する。次の瞬間、鋭い蹴りが飛んでくる。 

 受けまいと防御に徹する。時雨の脚とガングートの腕が接触する時、バチィ!!と音を立てて眩い光を発したと思えば、身体がピリリと痺れる感触に襲われる。

 

ガングート「なっ!? (なんだ?! 何が起きたんだ!! 分からん、だが少しだけ思うように動かないッ?)」ビリ

 

 そんな事に驚いている僅かだが反応が遅れ、隙が生まれる。時雨はその隙を逃さない

 

時雨「ふっ!」

 

 蹴りを繰り出したと思えば、すでに体勢を変えており短い掛け声と共に拳を繰り出す。

 またも防御をするガングート。そして次も腕が痺れて動きが鈍る。

 

 隙が出来れば出来るほど、物理的な攻撃を加え続ける。主砲を放つわけではなく、魚雷で殴るわけでもない。ただただ、殴り蹴る。

 

 身体の痺れが深刻になってくると防御もままならなくなる。

 やがてサンドバックと化したガングートを見つめる時雨の顔は歪になっていった。

 

 そして気絶していた人型達はガングートの元へ近づき護るように間に入る。

 庇われたガングートは距離を取ろうとする時、ぼそりと誰も聞き取れないような声量で吐き捨てる。

 

ガングート「……お前は本当に深海棲艦なのか?」

 

 しかし庇おうがなんだろうが時雨は拳を揮うのを止めない。殴り、蹴り続ける。

 数十分ひたすら攻撃をし続ける。やがて鈍い音がなると一体、沈むように倒れる。

 だがそれでも止めない。自身の拳が、服が、顔が血で汚れようとも時雨は止まらない。

 

 最初は頼もしいと思って見ていた、叢雲と夕立であったが一方的な暴力を見続けているうちに時雨を心配していた。

 

叢雲「……様子がおかしいわ」

夕立「そうっぽい……あっ……――最後の一隻が倒れたっぽい!」

 

 ガングートを庇っていた人型達は誰も残らず殴り倒されてしまった。

 夕立がそういったのを皮切りに叢雲は時雨に駆け声を掛ける

 

時雨「……ヒヒヒ」

叢雲「時雨……?」

夕立「時雨、大丈夫?」

 

 話しかけると短い何かを発したようでそれをもう一度と聞き返そうとする時、夕立が悲鳴を上げる。

 

夕立「……ひぃっ!!」

叢雲「何よ! 何を見たの……?」

 

 恐る恐る聞くと青い顔をして震えだした。

 

夕立「……」ガクガク

叢雲「夕立! 何を見たのよ!!」

 

 震えたまま何も言わなくなった夕立に問い詰める叢雲だが次の瞬間、笑い声が辺りを包む。それを聞いて夕立と叢雲、ガングートは戦慄する。

 

 

時雨「アハハハハ!! ねぇ、次は貴方達? ねェ!! ボクと遊んでよ!!!

 

 歪んだ笑みを浮かべて楽しそうにしている時雨が居た。

 死にかけの人型をべしべしと叩きながら笑う。

 

叢雲「まさか、怨念に支配されたの……?」

夕立「最悪の展開っぽい」

 

 呆れつつ、どうしようもない状況に絶望していた。

 すぐ目の前には狂いかけの時雨、奥には姫級になりかけのガングート。

 

 どう考えても詰みである。かっこよくでてきたと思えばこれだ。ため息も吐けない。

 まさかこうなるとはだれも思わなかった。しかし意外な一言を告げられる。

 

ガングート「はぁ……私の負けだ、と言いたい。降参だ」

叢雲「え? 諦めるの? どうして?」

 

ガングート「あんな狂った顔を見せられ、動けなくされ続けたら誰でも戦意は失うモノだ」

夕立「そんなに狂っていたっぽい?」

 

ガングート「あれは殺戮兵器そのものだ。貴様らの提督も苦労しそうだな。まぁ私達が言えたことではないがな」

叢雲「で、どうするの? あんなの相手したくないんだけど」

 

 指を差して苦い顔をする叢雲。それに同意っぽいと夕立。そこでガングートが案を持ちかける。

 

ガングート(東第三)「残していた力を込めて殴る。だから貴様らは奴を攻撃し続けて欲しい」

叢雲「それだけでいいなら、大丈夫よ」

夕立「なんだか本末転倒な気がするっぽい……でもそれじゃないとこの事態は収束しないのは分かってるからっ!」

 

ガングート(東第三)「良し、いい返事だ。では、行くぞ!!」

叢雲、夕立「「了解!!」」

 

 ガングート→ガングート(東第三)

 

 誰が予想したであろうか、まさかの展開である。

 

 叢雲と夕立は装填しては射出を繰り返す。弾が無くなるまで。

 ついでに魚雷も発射させる。

 

 その様子を見て時雨は楽しそうな顔をしてそれに応じるのだった

 

 

 

 一方、芙二は。

 

芙二「叢雲達大丈夫かな……? いやまぁ行けるか、ダメだったら俺が出るわけだし……」

 

 そう呟いて、長門こと戦艦棲姫を探して歩く。

 

芙二「いや大丈夫か。別に俺がいなくったってなぁ……」

 

 誰も聞いてないと思い、言葉を漏らして歩き続ける。

 ふと気がつくと、潮の香りが鼻につく。工廠から寮へ進んでいたかと思えばいつの間にか砂浜へ来ていたみたいだ。

 それだけ心配してるという事かと思い、戦艦棲姫を探すのを止めて休憩する。

 

 砂浜に腰を下ろして、空を見上げると雲がなく、よく月が見えた。

 

芙二「月が出てやがる……だが満月じゃぁねえな。時間が分かんないがーー……」

 

 ガングートを沖まで飛ばしたので陸からは決して見えないと思いつつ、服のぽっけから新品のペットボトルを一本取り出して封を開けて飲む。

 

 え?そんな戦闘しておいてどうして無事なのかって?……能力の応用って便利よね。

 まぁそういう事だ。あまり気にしないで、な。

 

 

芙二「おや、来客たぁ珍しい。お嬢さんは……――誰だ?」

??「……」

 

 飲みかけのペットボトルしまうとこちらに向かってくる影に言葉を投げるも影からの反応はない。

 

芙二「あんた、深海棲艦(あいつら)じゃぁないな?」

??「……シテ」

 

芙二「あ? 今、なんていった?」

??「私を……――殺して」

 

 目の前にいる影はボソボソとそう伝えてきた。

 黒い靄がかかっており全体的な姿を認識することは出来ないが売り言葉に買い言葉をやるわけにもいかず理由を聞こうとする。

 

芙二「えっと誰だ、お前? そしてどうして俺にそんなお願いをするんだ?」

赤城(東第三)「私は航空母艦 赤城です。どうしてと、いうのは貴方が人智を越えた力を持っているから……――です。お願いします、私を……私を……――」

 

 ??→赤城(東第三)

 

芙二「赤城だって……――? 先に言っておくが殺すことは出来ない。この力は殺すために使うのではなく助けるために使う、と決めている」

 

赤城(東第三)「そうーー……ですか。なら、私は……いえ私も……あぁ成っても構いませんよね?」

芙二「そうなっても殺しはしない。俺は絶対に、やらない」

 

 

赤城(東第三)「私はこれで……」

 

 そういって立ち去ろうとする赤城を引き留める。

 

芙二「木曽たちがどうなったのか知ってるだろう?」

 

赤城(東第三)「えぇ。見てましたから……それでも私はやります」

芙二「加賀は生きているのか」

 

赤城(東第三)「……加賀さんは関係ないです。私の意思ですから」

芙二「はぁ、そうか。ならば仕方あるまい……長門との戦闘(話し合い)前にこちらも片を付けるか」

 

 引かない赤城に芙二は溜息を吐き戦闘体勢に入る。盾のみを装備して赤城を威圧する

 ここで引かなければ、容赦なく動くぞという意味を込めて。

 

赤城(東第三)「ッ!? ……やはりそれはッ……私達と似て、いや違う。そんなに恐ろしく、ない」

 

 芙二が持つ盾を見て気圧され、青ざめる。

 それでも自身の艤装を展開し引く意思はないと言い表す。

 

芙二「そうか、それが答えか。ならば____行くぞッ!!!」

 

 答えを受け取り、少し溜めてから言い切り大きな盾を赤城に揮おうとした時だった

 

??『~~~~~~~!!!!』

 

赤城(東第三)「え?」

芙二「ぁ?」

 

 盾を振りかぶろうと、それを回避しようとする時に突然海から咆哮のようなモノが聞こえた為、一度中断して二人は海上を見つめ始めたが何も起こらなかった。

 そして芙二はその隙を逃さずに盾を解除して拳で鳩尾を思いきり殴った。

 

赤城(東第三)「ぐぇっ」

 

 潰れたカエルの鳴き声の様な短い悲鳴を吐き出すと赤城は意識を失いその場に頭から倒れた。

 

芙二「ふぅ。良かった。でも今のは誰の声だ? ……いや本命の登場か」

 

 倒れた赤城の元へ行き、海の方へ振り返り呟く。海は何もなかったかのように静まり返っていた。

 芙二は赤城を担ごうとする時、戦艦棲姫(本命)が現れる。

 

深海長門「こんばんは、芙二提督殿。普段なら皆が寝静まってそうな時間帯に一人で海にいるのは些か危ないのでは?」

芙二「こんばんは、戦艦棲姫(ながと)。あんたこそこんな所になんの用だい」

 

深海長門「いや私は瑞鶴のいう事が本当かどうか気になったのでな。こうして、出向いたという所だが……そこに何故赤城が居る? ははぁ……? もしや襲われたのか?」

 

芙二「俺が、な。いや襲ったというよりかは懇願に近い形だったがな」

深海長門「そうか。では、一応第一艦隊旗艦として頭を下げるべきかな」

 

 頭を下げようとする長門に静止を呼びかける。

 そして芙二は赤城を少し離れた場所に下ろし話し出す。

 

芙二「赤城は限界に近かったように見えたけど? 仮に神城を殺して全員殺して、そして深海棲艦の様になったとしてもすぐにガタが来るぞ。赤城の様な奴は絶対に現れる。それでも止まらないのか」

 

深海長門「止める気はない。いい加減、あの男の元に居るのは飽き始めたんだ。それにこのままゆっくりと衰退していくのは嫌なのでな。それにすぐガタが来る? そんなわけないだろう?憎しみ、怒りに支配され続けるのだから。それでもそういった個体が出るならば……排斥してしまおうかな」ククク

 

 ニヤリと笑って言い放つ長門。

 それを見て芙二はまだ続ける。

 

芙二「お前……いやお前達が作ろうとしているのは何だ? 心を持たない無機物(どうぐ)か?」

深海長門「深海棲艦(仲間)だが? あのように生に縋りつき無様に生きる無機物(ガラクタ)は不要だ」

 

芙二「……必死に戦い生きる仲間をガラクタ呼ばわりか。お前もそうだったのではないか? それを忘れ、いや忘れたと己を欺いて……人間にも艦娘にも()というモノがあるのを知らないのか。それすらも否定するのか、理解が出来ないな」

 

 

深海長門「やはり人間には理解されないか。ふっ……はははは!! 分かり切っていたな、あぁ! そうだ。そうだ。やはりそうでないとならない、なぁ!! これでいい。分かり合う事は無理だと、理解した__よって私はこれから貴様を殺した後に生者を探し、目の前で! 首を折って血で満たしてやる!!」

 

 強い憎しみを含んだ言葉は芙二に向けられる。

 その宣言を聞き終えるとゆっくりと換装しいつでも動けるようにする。

 長門との会話はこれにて終了した。これから行われるのはどうしようもない、戦闘である。

 

 どちらかが倒れるまで、続くのだ。

 

戦艦棲姫「さぁ、かかってこい!! 私と貴様、どちらが最後に立っているか。今、決着をつけようか!!」

 

 それが言い終える前に芙二は砂浜を蹴って戦艦棲姫の方へ向かった。

 

―再び 海上 

 

 海上ではいくつもの水柱が上がっていた。それにしても時雨も叢雲達と同じでボロボロのはずなのにけろりとした態度で攻撃をいなしていく。

 

時雨「アッハハハ!! ねェ? もう終わり?もう終わりなの? さぁ、もっと来てよ!!」

 

 攻撃が少しでも緩くなるとこうして煽ってくる。

 そしてその後に思いきって詰めてくるのだ。

 

 その度に叢雲と夕立は避けなくてはならない。

 夕立はまだ動けるのだが叢雲がそろそろ限界のようだった。

 

 何回か攻撃されるうちに被弾し始める。

 当たるたびに嬉しそうな顔をして集中狙いしてくる時雨。

 

 その顔はどんどん歪んでいく。

 このままでは危ないと思った夕立は攻める。

 

夕立「叢雲から離れろっぽい!!」

時雨「おっとぉ! ハハハ! 危ない危ない。君は番犬みたいだね! それなら躾けなくちゃね!!」

 

 ターゲットが夕立に変わり、主砲を構え始める時雨。

 旧駆逐棲姫戦が再び始まったのだった。

 

夕立「今の夕立は、この前とは違うっぽい!」

時雨「ハハハ!! そうだったかな? まぁいいや。主砲、撃てぇ!!」

 

 ドォン、ドォンと放たれ夕立の元へ飛んでくる。

 こういう攻撃が来ることは分かっていたので対処しつつ、距離を詰めて攻撃する

 

 鈍い音が海上に響く。それは夕立の攻撃が旧駆逐棲姫にヒットしたようだった。

 しかし夕立は痛みに顔を顰める。限界が近づいていたのだ。

 

 前回と比べて強くなっているのは分かるかもしれないが、しかし無傷ではないのだ。

 すでに負傷しつつある夕立の一撃では旧駆逐棲姫にダメージを与え、中破させるのは厳しいようだった。

 

 叢雲もそれに加勢しようとするも体力の限界が近いせいか思うように海上を動くことが出来ない。

 

叢雲「クソっ」

 

 悔しそうに呟く叢雲とは裏腹に物理的に攻撃してきた夕立を見てさらに興奮する時雨。

 

 痛みに喘ぐ夕立に対して装填を済ませていた主砲を撃つ。

 いつもの夕立ならそのまま避けれたかもしれないが痛みの為、動けず命中してしまい爆破音と共に吹き飛ばされてしまう。

 

夕立「うぅ……クッソ……」ボロ

 

 顔は煤で黒く汚れ、服はボロボロになっておりどう見ても大破していると見える。

 このままでは夕立が危ないと思いつつも動くことが出来ない為、自身を恨み続ける叢雲

 

叢雲「あ」

 

 頭の中に何か閃く叢雲。

 原理はよく分からないが私も深海化すればこの状況を打破できるのではと思い始め自身を強く恨み始める。

 

叢雲「これ……は?」グググ

 

 しばらく恨んでいると黒い感情と共に力が漲ってくる感触に襲われる。

 これなら__と思い、無理やり自身の肉体を奮い起こす

 しかしその時だった。

 叢雲は気づいていなかった。

 

 ボロボロの夕立に時雨が近づいてきていることを。

 ある程度、近づくと時雨は顔より少し下で手を合わせてテンション高めに話し出したのだ。

 

時雨「オぉ!! まだ動けるなんて凄イ凄イ!! じゃあ次はこれだぁーー……っと」

 

 目と鼻の先で脚に装着されている魚雷を外すと夕立に向かって投げ始めようとするが突然、気の抜けた声を出して前のめり倒れ魚雷を手放す。

 

 手から離れた魚雷はポチャンと海の中に落ちていく。

 不発弾とならないか少し心配であるが……

 

時雨「……え? なんで動かナい、の?」

 

 自身の身体がどうして動かないのか理解できずにいると急に沈む感覚に襲われる。

 

時雨「え、なんデ!? ナンデ! ナンデ!!」

 

 そのまま沈み始める時雨。

 どうやら、元となった時雨の肉体が限界点を突破していたようだ。

 思わぬ決着だが、そのまま時雨を沈めるわけには行かない。夕立は動くことは出来ない。

 

 ガングートもその声を聞いて近づいてくる。

 

ガングート(東第三)「どうかしたか?」

叢雲「どうやら決着がついたようだけど……」

 

ガングート(東第三)「私の出番はなかったのか。少し残念だ」

叢雲「いや私を運べるかしら……」

 

ガングート(東第三)「構わないが。それでこいつをどうするのか?」

叢雲「沈ませる訳には行かないからこのまま気絶させられる?」

 

ガングート(東第三)「了解した。時雨よ、己の力に呑まれるとは愚かだと学習しろ」

 

時雨「ナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ!!!!!!

 

 訳が分からないの叫び続ける時雨の頭部にガングートが思いきり拳を揮い、海面に叩きつける。

 時雨の頭があった位置からは2m程の水柱が上がり波を立てた。

 それが静まってくると時雨が浮いてきたのでなんとか動ける夕立がそれを回収するのだった。

 

 

ー続く

 

 

 




巻き上げ感パないけどまぁいっかなぁ。

やっぱり成長してなくない? 俺氏??

オリジナル技:赫焉一閃(かくえんいっせん)
:狂獄龍忌呪の使用、そして派生技の狂獄から選べるスキルの一つ。
 自身が持つ力を全て熱量として変換し、対象に向かって強力な攻撃を繰り返す

 ※バルファルクの襲撃を魔改造したモノと思っていただければ……威力は流星一条(ステラ)みたいなものです。


という事で今回もありがとうございました!!

※話しが長いので分けました。
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