とある泊地に着任した提督のお話   作:ふじこれ

81 / 388
急に冷えましたネ。大丈夫ですか?自分は起きれない日が来そうで冷や冷やしてます(笑)
 

はい。今回も迷走しました。


二章 43話『今日は何の日?』

―続き

 

 

 

 時刻は四時二十七分。日の出まで後1時間はあるのだが早くに目が覚めてしまった。

 休日四日目だが、寝直す気になれず立ち上がろうとする時こつんと何かに触れた。

 

芙二「あ……」

 

 芙二は起き上がろうとした時、手が隣で寝ているサラトガの身体に触れてしまったが当人は起きる事はなかった。

 

 それを見てホッとするが昨日一言も話してない事を思い出した。

 頭を撫でる、頬を小突くというちょっかいを掛けようとするもそこまで仲がいいわけでもなので何もせず、起こさないよう注意して洗面台の方へ向かった。

 

サラ「…………」

 

 

 

 顔を洗う、歯を磨く、髭を剃る。毎朝、起きて必ずする。というか誰でもやってるのではないだろうか。昨日の東第三鎮守府へ行き試作段階のモノを出し、失敗をした。だからいつもやっている行動の中にもう一つルーティンを追加しようとしていた。

 

芙二「(能力というか、最悪に備えて……)……ん~」

 

 起きて早々の身支度をとっとと終わらせ、一人海岸へ行こうとしたその時だった。

 

サラ「提督……? どこか行かれるのですか?」

芙二「あぁ、サラ。おはよう。起こしてしまったのかな、それだとしたら申し訳ない。これから近くの海岸へ向かう所だよ」

 

サラ「おはようございます。私もついて行ってもいいですか?」

芙二「あ~えっと、構わないけど朝から見たくないものを見る羽目になるけど大丈夫?」

 

サラ「見たくないもの? それはどういう――――あぁ死体とかですか? それなら大丈夫ですよ。私達は相手を屍に変えますから慣れっこです」

 

 そう妖しい笑みを浮かべるサラトガを見て、一昨日の夜が頭をよぎる。決して慣れていい物ではないがもしかしたらそう変わる程のショックを与えたのではないかと。

 だが、一瞬だけ彼女の顔が左側だけ黒くなったのを芙二は見逃さなかった。

 

芙二「サラ…………!! それは?」

サラ「? どうかしたのですか?」

 

芙二「いやなんでもない。15分くらいあったら身支度は終わるかな?」

サラ「10分ほど待っていただけますか? すぐにしてきますので」

 

芙二「うんにゃ了解。あ、珈琲飲む? 待ってる次いでにやってしまうよ」

サラ「提督、ありがとうございます。砂糖とミルクはいらないです」

 

芙二「了解」

 

 そういうとサラトガは洗面所の方へ消え、芙二はやかんに水を入れるべく歩きながら一瞬見えたモノについて考察を始めていた。

 

芙二「(あれは何だ?) もしかしたら…………もうそんなに時間はないのか?」

 

 やかんをコンロにかけ、次の支度に移る。マグカップを2つ用意してインスタントコーヒーが入った容器とティースプーンを2つ持ってくる。

 沸騰するまでのたった数分間、仮説を立て残り時間について考えるのであった。

 

 

 

 

 しばらくするとサラトガの準備が終わり、入れたてのコーヒーを渡す。彼女は嬉しそうにありがとうございます、とお礼を言ってマグカップに口をつけた。

 

 それを見て芙二は先ほどのは変化は見間違いだと、そう思うことにした。それよりも先に様々な問題が終わってないからだ。それ以上に重要な事が起きたら正直なところ耐えられないかもしれない。

 

芙二「………さて、どうしようか」

 

 自身のマグカップを手に取り、熱いコーヒーを少し冷ましてから飲みながら一人、呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 泊地 近辺の海岸

 

 

 

 散歩がてら、2人は海岸へ来ていた。その際、芙二はサラトガに話しかけたのだった。

 

芙二「まだ、少し冷えるな」

サラ「そうですね。提督、今日の予定はどうなさいますか?」

 

芙二「予定かー……今日はちょいと八崎さんに相談事があってだな。その後は明日に向けての準備をーって呼びかけるつもりだ」

 

サラ「明日?」

芙二「明日はいよいよ、南西諸島海域へ行くんだ。だから、各々念入りに準備しといてってね」

 

サラ「そうなのですね。私は第一艦隊の中に入ってますか?」

芙二「ん~まだ、その辺は決めてないんだけどね。冷葉とも相談しないと分からないし」

 

芙二「そうですよね」

サラ「…………あぁでも」

 

 第一艦隊へ入るという事は出撃できるということだ。サラトガはまだ出撃をしたことがない。だから、出撃したいというかと思った。ちょっとだけしょんぼりしてるサラトガを見て芙二は言葉を切らず、そのままつなげる。

 

芙二「南西諸島海域(あそこ)の攻略はここにいる全員の力が必要だと思うから惜しまず、参加させるさ。だが、それ以上に…………いやすまん。言葉が見つからなかった」

 

サラ「それ以上に、なんですか?」

芙二「あぁーっと…………強いて言うならサラやみんなが危ない気がしたんだ」

 

サラ「危ない? 何でですか? 敵が強いからです?」

芙二「敵は深海棲艦だけではない、から」

 

サラ「それは歓迎会を開いていくれた時みたいなのですか?」

芙二「それもある。俺らがいないときに攫われてしまうかもしれないから。でもそれ以上に――――」

 

サラ「ふふっ。提督は心配性なのですね。私達は並みの力ならどうってことはならないですよ。なので、逆に返り討ちに出来るかもです」

 

芙二「そうだな、それもそうか。自分の身に危害が及びそうだったら躊躇いもなく鎮圧することを許可しよう、それを大淀さんにでも伝えておこうかな」

 

サラ「それで…………提督はここで何をしようと思ったんですか?」

芙二「んーっと、自分が出せる限界を目指す練習?」

 

 っとそうだ、そうだ。サラトガとのおしゃべりが楽しくてついルーティンに加えようとしてる事を忘れてしまう所だった。

 

サラ「何故、限界を目指すんですか?」

芙二「昨日の昼に神城提督殿に呼ばれてね。それであの夜に見せたフォームを見せようとしたら結晶が足んなくてね。それで別のに代用したんだけど――――」

 

 限界を目指す理由を聞かれたので、知る為なんて答えようとしたけど昨日の出来事も交えて話すことにした。神城の名前を出したら、サラトガの顔が険しくなっていった。やはりまだ、根に持っているのだろうか。まぁそりゃ売られたらこうなるよなぁ…………分からなくもないが。

 

サラ「神城提督殿の所へ行かれたんですか。それと結晶ってなんですか?」

芙二「あぁそれは――邪悪な魂を鎮める際、怨念と魂の2つに分けるんだけど。怨念をそのまま持っていると危険だからね。それで持ち運ぶために結晶化させるの」

 

サラ「ほう、なるほど。それがなくてあの夜の姿はなれなかったと。それで代用というのは? 奥の手というものですか?」

 

芙二「あーそれもあるけど、深海化した吹雪がケモノの様になった時があったんだけどね。それを無理矢理能力使って戻した時滲み出た瘴気と呪いが融合しちゃったらしくてね。どうにかできないものかと思ってたら――まぁそういうことだよ」

 

サラ「つまりどういうことですか? 肝心な所を適当に纏めないでください」

 

芙二「まぁちょっとだけ見せる前に――――そこにいる亡霊たちから怨念を頂こうか」

サラ「え? 亡霊?」

 

 芙二が指さした所を見るもなにも見えず、朝日が昇り始めているのだろうか?空は明るくなり始めていた。

 

亡霊A『お前もその女も…………穢れてる』

亡霊B『お前の身体、この世のものではない! 蝕まれてる 蝕まれて――――』

 

芙二「あったりめぇだ! 俺だって好きで呪われ穢れてんじゃないんだよ。てめぇらこそ、こんな所できったねぇ事をしてないで成仏したらどうだ?」

 

サラ「提督? 急にどうしたんですか?」

 

 指を差した所へ向いて大きな声を出す芙二。何も見えないし、何も聞こえないので独りでにキレて今にも暴れそうな雰囲気であった。

 

亡霊A『我々は英霊になれなかった。貴様に何がわかる? となりにいるのは侵されてる艦娘か。貴様が原因ではないが、早く殺してしまえ。そんなもの動くだけで我らの気が触れるというモノよ』

 

亡霊C『やつらを殺すまで、成仏など出来ぬ。貴様ら奴らの死体を埋葬してたな。アレはどういうつもりだ? 奴らの肉体を腐らせて2度と蘇れなくさせたというのに――――』

 

亡霊A『魂がどうとか言っておったな。貴様、呪術を用いる家計の生まれか? そんなものが提督になるとは言語道断。海軍の質も落ちたというものだ』

 

芙二「…………」

 

亡霊A『そうだ。貴様の隣にいる艦娘の肉体も魂も全て2度と動かぬようにしてやろう。皆よ、この男は我々が拘束しておく。残りはあの艦娘の四肢を奪い、魂を腐らせてやれ。そうすれば、もう二度と再生はしない。深海棲艦にもならないだろう。ふぉっふぉっふぉ』

 

 

芙二「…………あ゛ぁ゛? 今なんつった」

サラ「提督? ど、どうかされました?」

 

 明らかに様子がおかしい。しばらく黙っていたが突然、ブチ切れ始めた。怒りのオーラが身体から漏れている。顔というか肌が見える所に血管が浮き出ている。

 

 

亡霊B『ふん。たかが呪術を使う小僧が粋がった所で事態は変わらん。この日のこの時間、ここへ足を踏み入れた貴様らが悪いのだ』

 

芙二「何の日だ?」

 

亡霊C『そんな事も知らないのか。今日は4月XX日。旧東第二区深海空襲慰霊の日だ。忘れ去られる事ではないだろうに。70年前の惨劇を知らない者がよくもこの地の提督になろうとしたな。阿呆すぎてなんとも…………』

 

芙二「成仏しないのは、憎いからか。深海棲艦が?」

 

亡霊D『それだけじゃない。我々を見捨てた海軍、国も滅ぼしたいくらいに憎い。艦娘を撤退させなければ我々はまた違った死に方をしたはずだろう』

 

亡霊B『成仏? 我々をただの亡霊と見ているのか? 呪術でどうにかできると? 莫迦も休みやすみ言え、まぁ貴様には感謝しよう。準備が整った。あの艦娘を殺せるからな。さぁ皆の者よ、我らを裏切った憎き艦娘とその海軍の人間を憑き殺せ!!』

 

亡霊たち「「「 ――――!! ――――!! 」」」

 

 

 

 

サラ「きゃあぁぁ――――!? な、なんですか、一体!? この黒い物体って――」

芙二「おや、サラにも見えるようになったか。可視化させる事もしなくていいな」

 

 悪意を増幅させた亡霊たちがサラを憑き殺そうと群がってくる。それはサラトガにも見えたそうで悲鳴を上げる。その悲鳴を聞いて我に返った芙二は呑気に言っていた。

 

サラ「まさか提督はこれらと話していたんですか!?」

芙二「まぁね。あ、でも今日は慰霊の日らしいから後で手でも合わせておくか」

 

亡霊C「要らん! 貴様の様な人間の安い情など我々には屈辱でしかない!!」

亡霊B「そうだ。貴様たちは()()()()()()()()()()だ。そのままじっとしてろ!!」

 

 

 悪意も憎悪も殺意も――すべてを剥き出しにして言葉を吐き、心も殺そうとして来る。

 そのことを聞いてサラハ眉間に皺を寄せるが芙二はその言葉で過去のトラウマ(思い出)が引きずり出たのだった。

 

芙二「…………サラ、すまん」

サラ「え? キャッ!!」

 

 芙二は急にサラトガを突き飛ばし、倒れた地点から直径2mの結界で形成されたけた円の中に閉じ込める。

 

サラ「これは――? で、出られない?! 提督、出してください!」

 

 ガン、ガンと結界を殴るが壊れる所か傷一つつかなかった。それを見て亡霊たちはさきに芙二から憑き殺そうと決め、群がったのだ。

 

芙二「…………」

 

 目を瞑り、空に向かって顔を上げていた。そしてそっと耳を澄ませると怨嗟の声が聞こえていたがそれ以上に聞こえる声があった。

 

『お前は――使えない。こんなことも出来ないのか!! ――や――だって出来ているのに!!』

 

『なんて子だ。お前なんて何の価値もない。死んでもいい存在だ。とっとと消えてしまえ!! 2度とその面をここに見せに来るな!!』

 

『――ってさ。偶によくわかんない事いうよね。それが気持ち悪いっていうか――――あいつ、きっと障害者だよ。だから、皆で無視をしておこうよ』

 

『なんだ、その顔は! 気持ちの悪い目を向けるな!! なら――こうしてやる!!』

 

『こんなことになるくらいだったら――――()()()()()()()()()()()()()()()

 

 あぁ聞こえる。俺を貶す声が。心が弱いだけ、敏感なだけで。人よりもちょっとだけ出来る速度が遅いだけで。過去の暗い記憶がよみがえる。

 『やめろ、これ以上は思い出させるなッ!!』そう思っている時、声がひとつ増える。その声は紛れもない自分だ。転生する前の自分。

 

『……憎い。変わらず、その場にしゃがみ込んで耐える自分が憎い。他人が向ける、貶す視線が、嘯く口から吐かれる言葉が憎い。そうだ、こうしてやれば良かったんだ。――――全員、殺して回ってやる。それで幸福な終わり(トゥルーエンド)だ』

 

『――――まだ、邪魔をするかッ!? どこまで俺を馬鹿にすれば気が済む! この世界のなんて――――』

 

 引き金は引かれ、芙二の意識は暗い昏い底へ落ちていく。

 その時、白い服を着た黒髪の少女が手を伸ばして芙二に触れる。

 

亡霊A「なんだ、あいつ。空を見上げて走馬灯でも見てるつもりなのか? 今が好機だ。あの呪術師を殺せ!」

亡霊C「憑き殺せば、怖くない!」

 

亡霊B「あのバカを殺したら女も殺せ」

亡霊D「艦娘は再生能力が高い。ただ殺すのではなく――――」

 

 口々に勝手な事をいい、芙二に乗りかかり埋め尽くす。すぐに死ぬのではなく、魂を蝕み腐らせてから殺す為に時間がかかる。それでも数十人規模で亡霊に憑かれてしまえば、金縛りの数倍ほどの圧力がかかった。

 一般人であれば、段々と呼吸が出来なくなり1時間もあれば殺されてしまうほどに憑かれていった。

 

サラ「提督…………! ――――え?」

 

 自分だけ結界内に居て安全なサラはいてもいられなくなる。芙二の事を短く呟くも次の瞬間には目を疑った。

 “トプン”と砂浜から水の音が聞こえ、芙二も取り憑いていた亡霊達も消えた。海水が染み出していたのか。考察するも染み出しているようではようだ。そこからは乾燥した砂がさらさらと出ていた。

 

亡霊A「!? なにが起きたのだ!!」

亡霊B「わ、分かりません! ただあの小僧も消えました!!」

 

亡霊A「そんなもの見ればわかる!! 何が、起きてるんだ!?」

 

 

 亡霊たちもそう騒ぐしかなかったようだ。

 しばらくして――先ほどの場所から赤い液体が溢れだした。

 それを見た亡霊たちは安堵を浮かべ、サラトガは血の気が引く思いだった。

 

サラ「まさか死んで――――」

亡霊C「ビビらせおってからに――――」

 

 “びちゃ、びちゃ”という液体滴る音が聞こえ始めた。辺りを見渡すもどこにもそんなものは見えない所か先ほどの場所は何もないただの砂浜になっていた。

 

亡霊A「何が―――「ぎゃぁぁぁあぁ!!」な、なんだ!?」

 

 この不思議な現象に亡霊たちは恐怖する。そして唐突に仲間の絶叫が聞こえ、更なる恐怖の底に陥った。

 

??「ハァァァァア…………」

 

亡霊達、サラ「「!!」」

 

 亡霊もサラトガも突然聞こえた吐息の様な声に怯え、愕然とした。

 

芙二「亡霊の魂は案外美味いな……(ガリッガリッ)…………サラ、おまたせ」

亡霊A「な、お前なにして」

 

芙二「あぁ? 魂を喰らってんだろうが。見て分かんねぇの? あーあ、苦痛なくしてやりたかったのに。残念だ。…………(ガリッ!)」

 

 突然、二m程の尻尾の生えた男が紫色の玉をガリガリと音を立てながら嚙み砕いていた。それを見た亡霊は顔を青くして叫んでいた。

 亡霊に対して、ぶっきらぼうに今嚙み砕いているのは魂だと答えていた。

 

 それを聞いたサラトガは閃いたのだ、アレは提督だと。でもいつもの表情よりかは険しく、なにより恐ろしく見えた。

 

芙二「んっと、はぁ。美味しかった。っと後は何体ぐらいだっけか…………ふむ。30体か」

 

亡霊B「おい、他の者はどうした――「喰った。全員分の魂を、な」な、なんだと!?」

 

芙二「吾は呪術師でもなんでもねぇ。世界を知らないただの小僧だ。吾の優しさを踏みにじり、ましてや部下を殺すと宣言されたのだ。黙ってはいられないだろう? それに――」

 

亡霊C「…………」ガチガチ

 

芙二「昨日の失敗も今さっき取り返せた。そうだ。これに名前を付けよう。安直かもしれんが魂を喰らう穢獣(ビースト)モードって所か」

 

 舌なめずりをしながら芙二はそう名付ける。

 偉そうな亡霊は他に苦楽を共にした亡霊(仲間)達を殺した小僧に復讐を思いつくも、恐怖が上回ったため指示を出すことにした。

 

亡霊A「撤退――――」

芙二「逃がすわけないだろう? 小娘(サラ)の結界解除、多重結界……砂浜全域に、だ」

 

亡霊達「「ギィッ!?」」

 

 バチン!という音が聞こえ、亡霊たちはその場から逃げられないということを悟る。

 

芙二「さて、袋の中のなんとやらだ。このまま()()()()()()まで、苦しみながら死に絶えろ」

 

亡霊達「「ひぃっ……」」ブルブル

 

 悪い顔をしながら芙二は言った。そして亡霊たちは意気揚々な最初と違って青を通り越して白くなっていた。

 

サラ「(ゴーストにも血は通って……?)」

芙二「サラ、目を瞑って耳を塞げ。多分、生者に一番効く」

 

亡霊達「「!」」ブルブル

 

サラ「(このままでは――マズイ! そもそもそんなのがあるとは知らなかったとはいえ……彼らは荒らされたと思われても仕方ないですよね)」

 

 冷静になれば、彼らは自分達の場所を荒らされたと勘違いしても仕方がないかもしれない、とそう思い辞めてもらう様思ったのだった。

 

芙二「辞世の句を読んどけ。過去の英霊になれなかった者よ――――悔いて死ね」

 

 このまま亡霊たちに干渉しようとした際、サラトガが大きな声を出した。

 

芙二「サラ? どうかしたのか?」

サラ「あの提督。私はそこまで気にしてないので…………」

 

芙二「フム」

 

 サラトガが言った事を踏まえて、先ほどの亡霊たちを見る。

 死ぬ前よりも恐怖している事が分かったが、成功のお礼に魂の消滅はさせずに怨念だけは奪っておこうと考えたが、絶望する顔が見たいので表面上では却下することにした。

 

芙二「ダメだ。それは出来ない」

サラ「そ、そんな」

 

 そしてサラトガの目の前から怨念たちは姿を消した。

 

サラ「――――――!!」

芙二「さて、と」

 

 サラトガの声にならない悲鳴を耳にするとまだ目の前にいる亡霊たちに話しかける。

 

芙二「さて、貰うもんはもらっていく。覚悟しろ」

亡霊A「や、やめ――え?」

 

芙二「怨念だけはもらっておいてやる。後はいらねぇよ。ほら、他の奴もとっとと何処かへ行きな」

 

 そういうと芙二は懐から小さめの鳥籠のようなものを取り出し、入り口を開けると白い勾玉のようなものが無数に飛び出す。

 

芙二「魂なんて喰らえない事はないが今回はまぁいいとしようか。さて、残り時間は四十九日だ。今日から死んだことにしてやるからやりてぇことしな」

 

亡霊C「なんで四十九日?」

芙二「怨念は頂いた。これは俺のおやつになる。返してやらんぞ」

 

亡霊B「見逃してくれるのか?」

芙二「そもそも無知な俺が悪い。この町の慰霊碑がある所を訪れて手でも合わせてやるよ。それで勘弁しろ」

 

亡霊C「は、はぁ」

サラ「提督、なんてことしたんですか!」

 

 

芙二「おっと――彼女がお怒りだ。誤解を解くために向かうが今度、あぁやってみろ。現実を見せてやるからな」

 

 黒い笑みを亡霊たちに見せると亡霊たちは縮みあがり、ふよふよと各自の家に戻るのだった。

 

 

 

サラ「提督、本当に殺してしまったのですか?」

芙二「いんや? 殺してないよ」

 

サラ「え?でも殺したのでしょう? あの時姿が見えなくなりましたけど…………」

芙二「いや不可視にしただけ。彼らは残り四十九日という短い時間を生きて消えていくさ」

 

サラ「それは良かったです。提督? 元に戻られないのですか?」

芙二「え? あぁそだ。元に戻んないと」

 

 そう思い、ビーストモードを解除しようとするのだが…………

 

芙二「サラ。やばい…………戻んない」

サラ「え!? どどど、どうするのですか!?」

 

芙二「まぁ人間じゃないって公言してるからある程度は気が楽。まぁーそのうち戻るでしょー」

サラ「えぇ…………(尻尾が動いてます…………触ってみたいですね)」

 

 亡霊騒ぎが終わる頃には時間は経ち六時三十分となろうとしていたのだった。

 

―続く

 




一日に何本も書くのって難しいですね。
さっき調べたんですけど今日の朝って冷えるらしいですね。

では、次回もよろしくお願いします
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。