とある泊地に着任した提督のお話   作:ふじこれ

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書き溜めパートⅡ


二章 47話『南西諸島近海での戦い』

 

 

―続き

 

 

 サラトガ達は泊地近海を越えて、とうとう南西諸島海域へ乗り込もうとしていた。

 一度確認を取ろうと考えた。誰か遅れている者はいないかを確認するためだ。

 

サラ「……ふぅ。みなさ~ん! しっかりついてきてますか~?」

 

 声を掛けて確認を取る。すると後ろから……

 

川内「川内、います!」

足柄「足柄、ちゃんとついてきているわ!」

 

陸奥「こちら、陸奥。敷波ちゃんと皐月ちゃんがちょっとだけ遅れているわ。もう少し速度を落とせないかしら……って。ちょ、ちょっと! 西の方向に敵艦隊を発見! 距離は――300!!」

 

サラ「!? ほ、本当ですね……川内さんと足柄さんは皐月さんと敷波さんをお願いします!」

川内「サラトガさんはどうするのさ?」

 

サラ「私は奇襲を仕掛けます。敵はこちらに気づいてませんから。でも、すぐに攻撃が始まると思うので準備を――行きます! 航空隊 発艦始め!!」

 

 随伴の川内と足柄に指示を出すと陸奥が発見した敵艦隊へ向かって艦載機を射出する。

 そしてその艦載機たちは敵を捕らえた。艦載機の爆撃が見事に直撃し、当たった個体は黒煙を上げる。そして破片は海の中へ落ちていくといくつもの水柱を上げた。敵艦隊もこちらの存在に気づいたようで戦闘が始まった。

 

 艦載機から送られてきた敵の情報を早口で読み上げる。

 

サラ「軽巡へ級を旗艦においた水雷戦隊のようです。随伴に駆逐イ級が3体。私はもう一度攻撃を仕掛けます! 私が始めたら、皆さん各自で撃破をお願いします! では――サラの子たちお願いします!」

 

 そして早口で指示を出すとまたサラトガは艦載機を射出する。駆逐イ級の中で1体撃沈しそうなやつに狙いを定めて。

 

川内「陸奥さん達……大丈夫? 皐月ちゃん達も気を引き締めて!」

 

陸奥、足柄「「えぇ。大丈夫」」

 

皐月、敷波「「大丈夫(だよっ!)!」」

 

川内「いい返事をどうも。各自――行って。撃滅せよ」

 

 サラトガが攻撃を始め、川内達も続く。陸奥は弾着観測射撃を行い、駆逐イ級を一撃で撃沈させる。それを見てか、足柄も撃沈したやつよりも最後尾の駆逐イ級に砲撃を仕掛けて撃沈させた。

 

陸奥「あら? 案外、行けるのかしら」

足柄「まだ初戦よ? 肩慣らしには丁度いいじゃない」

 

 そう二人が会話していると“バゴォォン!!”と爆発音が耳についた。

 振り返ると残っていた駆逐イ級が燃えて撃沈していく瞬間であった。

 そして川内が敵旗艦を撃沈させ、ニコニコした顔でこう言い放つ

 

川内「あれ? 結構弱くない?」

皐月「あれ!? ぼくたちの出番は!?」

 

敷波「これが戦闘……普通に怖いや」

芙二「川内、これはまだ初戦よ。夜戦が伴う戦いはこれからだと思うぞ」

 

 皐月は出番がなかったと驚き、敷波は少しだけ引いているようだ。

 敵が弱いと言う川内に追いついた芙二がこれからだと言った。

 

川内「提督! 私の活躍見てた?」

芙二「勿論だとも。サラ、いい指示だったぞ。この調子で頼む」

 

サラ「提督、ありがとうございます。皆さん、戦闘お疲れ様です。怪我をした方はいませんか?」

芙二「そいじゃ、俺はっと……」

 

 サラトガは皆に被弾の確認を取る。聞かれた川内らは各々、質問に答える。

 芙二は芙二で敵が撃沈した所からすぐさま魂を引き出して怨念を吸収し結晶化させて懐にある黄昏の欠片の中にしまう。

 浄化された魂を魂晶に変え空間に干渉してアビスの元へ寝る所へ放り投げる。

 

芙二「良し、こんなものか」

 

 そして皆の方へ向き、随時警戒を怠らないようにしてくれと指示を出すとサラトガ達はそのまま奥へ進んでいった。

 

 しばらくの間、サラトガ達は南西諸島近海を進む。先ほど戦闘が行われたとは思えないほど変わって海上は穏やかであった。

 今朝芙二(ていとく)が難しい海域と言ったのでどんな敵が出現するか、と緊張をしていたのに今の所一度しか戦闘は行っていないので拍子抜けと思うのであった。

 

皐月「さっきのははぐれ艦隊だったのかな?」

足柄「うーん……今回が初めての出撃だから分からないけど……川内はどう?」

 

 皐月が呟いたので足柄が返そうとするも彼女は今回が初の出撃である為、上手く返せずにいた。なので、この中で一番出撃経験が多そうな川内に聞くことにした

 

川内「そうだねぇ……そろそろ、戦闘が始まると思うよ。サラトガさん、敵影は見つけられ――――「皆さん! ここから北西の方向に敵艦隊発見しました! 距離は2000! 相手もこちらに気づいているようです。すぐに戦闘が始まります。警戒を厳として、各個撃破に努めてください」――っと。ほらね? さぁ、行くよ!」

 

 

 川内がそう話しているうちにサラトガから情報が伝えられ川内達は戦闘に入っていくのだった。

 

サラ「サラの子たち、お願いします! 艦載機、発艦!!」

 

 艦載機を射出し、開幕爆撃を行うと同時に敵の編成と数を知ることになった。

 

 開幕爆撃は敵に当たることなく落ちて水柱を上げるだけだった。

 

川内「サラ! 敵の編成は!」

サラ「敵旗艦はリ級です! 随伴艦は――キャッ!!」

 

 敵の編成を知らせようとするとき、サラトガの方に砲撃が飛んできたのだ。当たりこそはしないものの敵艦隊がもうそこまで来ている事が分かった。

 

 なんとか立ち直ったサラトガが再度情報を伝えるよりも先に川内が目視して、数を把握しメンバーに伝えた。

 

川内「……敵の数は――6隻! 皆! 随伴艦は軽巡が2隻、駆逐が3隻だよ! 先、行くよ!」

 

 皆に聞こえるように叫ぶように伝え、敵の注意を引くために砲撃を行う。

 それは芙二にも聞こえていた。

 

芙二「川内がなんとかしてくれたか……慣れてない者同士でやると十中八苦で混乱状態に陥りそうだと思ってたからな。戦闘慣れしてる者(ベテラン)を入れておくとやっぱり違うなぁ……俺も参加した方がいいか?」

 

 

 妖精さん印の装甲船のデッキから身を乗り出して援助しに行こうかと思ったがまだ早いかと思い、そのまま見ていた。

 流石に中破はまだ出ないと思うが。念の為を思って警戒しておく。

 

 

川内「サラ! 大丈夫?!」

サラ「えぇ……少しだけ掠ってしまいましたが大丈夫です! まだやれます!」

 

川内「そう。なら、私が敵を引き付けるからサラは艦載機を発艦させて!」

サラ「分かりました!」

 

 なんだかいつの間にか旗艦が川内に変わってるような気さえしてきたが気にせずにサラは艦載機を発艦させる。目標は重巡リ級へと。発艦された艦載機群は敵艦隊を捉え、爆撃していく。

 重巡リ級は倒せなかったが軽巡へ級が一隻撃沈したようだった。

 

サラ「やった! やりました!」

皐月「サラトガさん、ナイス! 敷波ちゃん、ぼく達も行くよ!」

 

敷波「う、うん」

 

 皐月に言われるまま敵駆逐2隻へ砲撃を行う。

 どちらかが打った砲弾は一隻には命中し爆発した。しかしまだ撃沈は出来ておらず中破と言った所だろうか。

 

 イ級の装甲が割れ、青い血液が海上に流れていく。

 もう一隻いたイ級は2人の方へ砲撃を行った。

 

皐月「わっ!? 仕留め損なった!!」

敷波「ほ、ほんとだ! 皐月ちゃん、逃げて!」

 

 仕留め損なったのが意外と言わんばかりに2人は動揺して弾が直撃しそうになる。

 

足柄「2人とも落ち着いて……それぇっ!」

 

 それを足柄が庇って被弾する。

 

足柄「くっ……痛いじゃない! 何するのよ!」

皐月「足柄さん、大丈夫?!」

 

足柄「えぇ、戦闘はこうじゃなくっちゃね! 一度で仕留められるとは限らないでしょ! ……っと!」

 

 陸奥に声を掛けられて、ギラギラとした目つきをして返事をした。足柄と陸奥はそのまま残っている2隻に砲撃をしたのだ。見事命中し、大爆発し黒煙を上げて沈んでいった。

 

陸奥「やったわ。皐月ちゃん達、大丈夫かしら?」

足柄「えぇ、ナイスショット!」

 

皐月「う、うん。大丈夫」

敷波「ありがと……」

 

足柄「残りは――“ドォォオン!!”――終わったみたいね?」

陸奥「えぇ、そうみたいね」

 

 残りの敵を気にかけるも、直後に大爆発する音が聞こえたので戦闘が終わったようだ。

 戦闘が終わり、負傷していないか確認を取るために点呼を行うがまだ潜んでいるかもしれないので警戒は怠らない。芙二は先ほどと同じ行動をしていたので割愛させてもらう。

  

サラ「皆さん、お疲れ様です。被弾された方はいらっしゃいませんか?」

 

陸奥「大丈夫よ」

皐月「足柄さんが私達を庇って被弾してるよー」

 

サラ「oh……大丈夫ですか?」

足柄「こんなもの何でもないわよ。まだ戦えるわ!」

 

 サラトガが心配そうな顔を向けるが足柄本人は大したことないと言い切った。

 それを見て、ホッと息を吐き引き続き確認をするのだった。

 

川内「私は大丈夫! そんなことよりねぇ、提督―! 夜戦は出来そうなの?」

芙二「多分、出来るぞー……(後、1回か2回戦闘があるな。今の所はゲームの時と変わらない、か。次でボスかその次か。小破、中破は免れないだろうな……)」

 

川内「多分ってなにさ」

足柄「まぁまぁ今日じゃなくてもその次でもいいじゃない。演習で私が相手してもいいのよ?」

 

川内「ほんと!? ねぇ提督! 足柄さんが付き合ってくれるって!」

芙二「ここを乗り切ったらいいぞー」

 

川内「やった! ありがとう、提督、足柄さん!」

 

 

 演習で夜戦してもいいと言われて、海上をぴょんぴょんとジャンプして喜ぶ。

 その様子を見て、負けてられないと燃える足柄。2人を除きほかは緊張感ないなぁと呆れていた。

 そんなこんなで点呼&被害状況確認が終わり、警戒しながら艦隊は先に進むのだった。

 

 海上を進む中で後ろから続く芙二に川内が声を掛けた。

 芙二は船内から外へ出てきて“なんだ?”と聞き返したのだ。

 

 

川内「そういえば、さ。提督は大丈夫なの? 私達についてきて」

芙二「ん、俺が人間だったらやばいけど人間じゃないから大丈夫。あ、でも冷葉みたいな人間もこの船の中に居たら大丈夫」

 

川内「どうしてなの? 見た目はただの漁船みたいな感じだけど」

芙二「この世にない鉱石を使って強化してるからな。深海棲艦の砲撃はおろか俺の攻撃すら跳ね返す強度に仕上げてある」

 

川内「……それだけでいいんじゃない?」

足柄「船だけだったら攻撃が出来ないんじゃない?」

 

川内「あ、それもそうか」

芙二「いや船に機関銃ついてる。左右に2つずつ。1分間に600発、出せる。これは対人戦だったら使えるかもだけど、対深海棲艦じゃ使えないだろ」

 

陸奥「味方も巻き込んじゃいそうね……」

 

芙二「巻き込む。だから、この船が殿を務めないと意味ない」

敷波「そういう事態が起こらないことを祈るしかないよね……」

 

川内「そうだね。あーでも分からないよね。 今朝言ってたようにこれから戦いが激化していくかもよ?」

サラ「それもそうですよね。……! 皆さん、警戒してください。偵察機から情報が入って来ました」

 

 楽しく雑談していたら旗艦であるサラトガの表情が険しくなり、空気も変わり始めた。

 それを即座に感じ取った川内らを筆頭に艦隊の雰囲気は団欒から戦闘へ移行した。芙二も気を引き締めて徐々に速度を落とす。このままだと皆の邪魔になるからだ。

 

サラ「前方300の位置に敵艦隊発見! 敵旗艦はeliteクラスのル級! 随伴はeliteクラスのヲ級2隻にリ級、他イ級2隻の艦隊です。皆さん、戦闘を開始します。気を引き締めてかかってください。では――艦隊、出撃します」

 

 情報を言い終わるとサラトガは艦載機を発艦させ、敵に奇襲をかけるのだが――それは成功した。敵の艦隊にダメージを与えたのだ。しかし敵はこちらに気づいた様だった。

 

川内「川内、行きます!」

芙二「……川内。ちょっと待て! 後10秒くらい待ってくれ!」

 

 奇襲が成功したのを確認した川内が敵艦隊へ突っ込もうとするのを芙二が止める。

 止められた川内は芙二の方を見て驚いているようだった。

 それを無視してサラに声を掛けた。確認すべきことがあるのだ。

 

芙二「サラ! 制空権は取れたか?!」

 

サラ「ん……こちらからだと微妙です! 提督は分かりますか!!」

芙二「制空権は――……こちらが優勢と見た! このまま戦闘を開始してほしい。川内、止めてすまなかった!」

 

川内「分かったよ~……これで夜戦出来なかったら提督を恨むかんねー!」

 

 そういうと川内は敵艦隊を撃滅しに足早に向かった。

 

芙二「これから指示を出させてもらう! まずは陸奥! マトは誰でもいい! 弾着観測射撃を行って敵にダメージを与えてほしいできたらそのまま撃滅! 出来なくても大丈夫! タイミングは妖精さんと相談してほしい!」

 

陸奥「分かったわ。妖精さん、お願いね?」

妖精さん「!」コクリ

 

 珍しく芙二が指揮を執って命令を出した。なるべく、分かり易いように。成功をイメージして――……陸奥が自分の肩に乗る妖精に挨拶をすると妖精はコクリと頷いたのだった。

 

 

芙二「次に足柄と皐月、敷波についてだ! 敵艦隊の動きに注意を払って砲撃してほしい。ル級やヲ級を狙うのもいいがその前に夜戦を行う前提で動くことを忘れるな! 硬い連中は陸奥やサラ、川内がなんとかしてくれると思うからリ級から仕留めてくれ頼む!」

 

皐月「分かったよ! でも――……」

芙二「なんだ、手短に頼む!」

 

皐月「司令官が言ったやつらを倒したら戦艦の方へ行ってもいいよね?」

芙二「構わん。足柄、お前の火力を期待してる! 重巡の力を見せてやれ」

 

足柄「そこまで言われちゃあ仕方ない、皐月ちゃん達行くわよ! ボス戦だから多少の被弾は覚悟しなさい」

 

敷波「了解です!」

皐月「了解だよっ!!」

 

 芙二が言いたいことを終えると足柄達も行動を開始した。

 南西諸島近海、最後の戦闘が開始されたのであった。

 

――――

 

皐月「司令官の指示通りに――それっ!」

イ級「!!」<ヒット

 

皐月の砲撃がイ級に当たり損傷を与える。

だが、イ級も砲撃を行い皐月に当たった。

 

皐月「いっ!?」

敷波「皐月ちゃん?! 大丈夫!」<ボガン

 

イ級「!!」<撃沈

 

 被弾した皐月の動きが鈍ったのを見逃さなかったイ級はすぐさま装填して撃とうとするも敷波がそれをさせなかった。彼女が撃った弾は見事にイ級を撃沈させた。

 

皐月「! 後は――あいつだけっ!」<スチャ

敷波「そうだね」<ソウテンチュウ

 

イ級「……」

 

 皐月は残りのイ級に狙いを定め、敷波は次弾装填準備に入った。

 イ級は2人ではなく、別の方向を見ていた。それを隙と見た2人は砲撃をした。

 

皐月、敷波「「これで――終わりだね」」

イ級「~~~~!」<撃沈

 

 何かに気を取られていたイ級は避けることなく沈んでいった。2人はやったね!と言いながらハイタッチしていた。

 

足柄「おぉ! どうやら2人がやってくれたみたいね! それじゃあ――行きますか」

 

 2人の見守っていた足柄は目の前にいるリ級を仕留めに行く。

 リ級は足柄を仕留めるようで、先に砲撃をしてきた。足柄も回避をとりそのまま砲撃をする。互いの攻撃は当たらず水柱が生じて視界を遮る。

 

足柄、リ級「「!」」

 

 しかしこれで止まってしまうほど足柄もリ級もバカではない。それぞれ、違った攻撃を行ったのだ。水柱を避けるように動き、視点を変えて砲撃を行う。

 足柄を捉える事はなく、弾が落ちた所は新たな水柱が生じた。

 

リ級「!?」

足柄「ねぇ。知ってるかしら? 砲撃や魚雷を撃つことだけが私達の手段じゃないのよ?」

 

 リ級の背後には足柄がおり、そう呟いた。そのまま背後から零距離砲撃を行えばいいのかもしれないけど、東第一泊地の足柄は違うのだ。声に気づくとリ級は距離を取ろうとする。

 しかし足柄は距離を取らせない。それどころか顔面を思いきり殴った。

 

リ級「ベギュ……!!」ミシミシ

足柄「――とまぁ言ってみたりしたけど一番いいのはやっぱりこれよね?」<スチャ

 

 突然、殴られたリ級の視界は青い空を見てそのまま仰け反り倒れた。

 そしてリ級が起き上がり砲撃することはなかった。

 

陸奥「敵は――後何隻かしら?」

川内「ん~っとね……残り三隻! これはもしかして夜戦に行かないのでは!?」

 

陸奥「それもありそうね――あら、敵がこちらを見てるわ。川内が先に行く?」

川内「ん~私はいいや。それよりも陸奥の弾着観測射撃がみたいなーって思ってたり?」

 

陸奥「そうねぇ……できなくはないけどタイミングが今ではないかしら。川内、囮になれる?」

川内「先輩を囮って……まぁいいけど。3人が合流する前に倒しちゃおっか。私も暴れたりないし」

 

陸奥「サラは――敵を牽制してくれてるわ。というか、敵にダメージを与えすぎててもう満身創痍のように見えるけど……私達の出番あるのかしら?」

川内「え? ……ほんとだ!! 戦艦から煙出てる!? やっぱり私も――「川内、少し離れてなさい。見たいもの見せてあげるから」――ちょ、ちょっと!」

 

 サラトガは陸奥と川内が話してる間、ずっと艦載機を発艦させ攻撃をしていた。リ級やイ級たちが撃沈されたので内心、焦っていた。

 それでもヲ級に行動命令を出そうとする時()()()()艦爆の攻撃が当たり、行動不能になってしまった。ヲ級自身も発艦できずにいた。

 

ル級「ッ~~~~!」<大破

ヲ級A「……ッ」

ヲ級B「……!」

 

 このまま生き残った我々だけでも撤退しようとした時、まだたいしてダメージを負ってないヲ級は陸奥達に気がついた。敵戦艦(陸奥)が弾着観測射撃を行うために標準を合わせていることに。

 

 そして仲間に声を掛けようとする時、砲が放つ音が聞こえ――ヲ級の意識は暗い闇の中へ消えた。

 

 

陸奥「川内? 見たかしら」

川内「見たとも。すっごいんだね! じゃあ――次は私の番! サラ! 聞こえる?」

 

サラ「! は、はいっ! 何かありました?!」

川内「このまま攻撃を仕掛けて! 敵は残り二隻なのお願い!」

 

サラ「は、はぁ。分かりました……巻き込まれても知らないですよ!」

川内「大丈夫! そこは避けるから!(気合いで)」

 

サラ「……! 敵の攻撃が来ます! 避けて――「分かった! じゃあ――……行ってくる!」あ、ちょっと!?」

 

 川内は敵目掛けて行動した。馬鹿正直に突っ込んだ。それを見たル級は殆ど動かない身体を動かし、自らが爆発するかもしれないが――道連れにしてやろうと思った

 動けるヲ級は艦載機を発艦させ、川内に傷を負わせようとするのだが……川内はヲ級目掛けてクナイを投げた。

 

ヲ級B「!?」

陸奥「え? 今、何か投げた?」

 

サラ「確かに投げました……何を投げたんでしょう?」

 

 意外な行動に目を丸くする3人。投げられたクナイのうち一つがヲ級に当たりちょっとだけ痛そうな顔をした。

 

川内「えぇ……(まさか当たるとは思わないじゃん。意外に当たるモノなのね……次は――足柄を見習って殴るか)」

 

 そのままヲ級の前まで来ると砲を構えて撃つ素振りをした。ヲ級は回避しようとするのではなく、このまま一発喰らわせようとしたが川内が撃つのは弾ではなく拳だった。

 主砲ごと頭を殴りつけた。グチャと嫌な音が聞こえるとヲ級は前のめりに倒れ、動かなくなり沈んでいった。

 

川内「……ふぅ。次は――ル級か」

ル級「……ッ!」

 

 川内とル級の距離は10mほど。しかし川内は何かに気づいたらしく明後日の方を向いていた。ル級もつられて川内と同じ方を向くが、目にしたものは数十機の艦載機であった。

 

川内「さて、このまま――およ?」

ル級「?……!!」

 

 艦載機による攻撃は川内を巻き込んで行われた。

 当然、逃げられることもなくそのまま爆発したのだった。爆発の熱は川内に伝わらなかったが生じた波は川内に降りかかった。

 致命傷を受けたル級はそのまま海の中へ消えていった。

 

川内「ぺっ……本当に巻き込んだなー……うえぇ……全身濡れたよォ~」

陸奥「いや私達濡れるもんでしょ?」

 

サラ「敵は――全部沈んだようですね。皆さん、戦闘お疲れ様でした」

川内「お疲れ様―」

 

敷波「サラさん、皐月ちゃんが被弾しちゃったよ~」

皐月「いやこんなのへっちゃらだって……いてて」

 

足柄「まぁ中破してないのは凄いと思うわ。流石よね」

皐月「足柄さんこそ、凄かったよぉ~……あんな戦い方もあるんだなーって勉強になったもん!」

 

足柄「ふふふ。でもあんな戦い方はあんまりしちゃダメだからね?」

皐月「はーい!」

 

 戦闘を終え、確認を取り合っている時に芙二はさっきの戦闘と同じように怨結晶を黄昏の欠片に。魂晶は懐にしまいこむとキラキラと輝きを放つ物に目を奪われ触ってしまった。

 

 すると輝くものはさらに輝きを放ち芙二を包む。流石の艦娘達もその光には気がつく。

 

足柄「なに、なに!? 残党!? 夜戦へは行けるの?」

皐月「わっ! 眩しい!」

 

敷波「皐月ちゃん! 警戒して!」

川内「いや――違うみたいよ?」

 

サラ「え?」

陸奥「そうみたいね。あれは――艦娘?」

 

 光の方を見て驚く仲間たちに川内が冷静に判断する。

 陸奥は段々と弱まっていく光の中から人型の影を見つけた。光源の中心にいた芙二は目の前で形成されていくモノに話しかけようとした。

 

芙二「――え? お前さんは――」

??「名取といいます。ご迷惑をおかけしないように……が、がんばります……」

 

川内「わぁ! 久しぶりに見た! 時雨ちゃん以来!」

足柄「え? 時雨ちゃんもドロップ艦なの?」

 

サラ「これがドロップ艦と呼ばれる艦娘なのですね……?」

皐月「わわっ! 新しい仲間だー!」

 

陸奥「へぇ……思ったよりも……」

敷波「司令官~? 大丈夫?」

 

芙二「大丈夫。ちょっと目がチカチカするくらい」

敷波「それは大丈夫じゃなないじゃんか。もぉ~……一旦船の中に戻ったら? あ、サラさん! 司令を船内へ入れてくるよ!」

 

サラ「え? 何かありました?」

敷波「いや目がチカチカして足元がふらつくっていうから心配でね……」

 

芙二「う~ん。閃光玉で目を眩ます虫の気持ちが分かった……あ、そうだ。名取も含めて皆、船内へ。そのまま帰投しよう」

 

名取「ふぇ!? 私のせいで、すすすみません!」

芙二「いや気にしないで……敷波、ちょっと肩貸して」

 

敷波「いいよ? んっと。あれ、意外に司令官軽い?」

芙二「いや()()()()()

 

敷波「へ~……軽くしてるってどういうわけさ。本当に人間じゃないんだね」

芙二「詳しく知りたかったら、夜来るといいさ。敷波が眠くなるまで話してやるよ」

 

敷波「ほ、本当? いいの? あたしなんかに話してもいいことないよ?」

芙二「いや元々打ち明けるつもりだったから、気にしないよ」

 

 敷波は芙二と共に船へ向かった。状況を理解できてない名取はオロオロしていたが、川内達から説明を受けると少しだけ理解したようだった。

 

 そしてその後は名取を連れて川内達は芙二と敷波のいる船へゆっくりと向かっていった。

 船内は見た目以上に広くて少し困ってしまうサラトガ達であったがその頃になると芙二は回復したようで雑談をしながら、帰投していったのである。

 

 

――――――

――――

――

 

 南西諸島近海 ー海上にて

 

憲兵「……わぁ。驚いた。こんな所で艦娘と深海棲艦がやりあってるなんて思わないよ。でもこれはいい知らせかも知れない。ここまで艦娘が来るのだから……あの娘を助けてあげられるかも?」

 

 水上を歩く青年はそう呟いて彼女の待つ島へ戻った。

 

少女「あれ、早かったのね? やけにニコニコしてるけど何かあった?」

憲兵「いや実はね。さっき艦娘を見たんだ。深海棲艦と戦っていたよ」

 

少女「本当!? 話しかけられたの?」

憲兵「いやそこまでは行けなかったけど――司令官と思われる人も一緒に居たからきっと大丈夫。次はいつ来るかは分からないけど、割と早く来ると思うよ」

 

少女「良かった。気は早い気がするけどあの怪物に襲われて、遭難した時はダメだと思いかけた私を助けてくれてありがとう。紫月(しづき)さん」

 

紫月「いやいや。僕もここの海域に用があったんだけどね。なんかあまり良くないモノに当たっちゃってね~……まぁ夕張(ゆうばり)、君との遭難生活も悪くはなかったよ。最後までよろしくね」

 

夕張「えぇ。私からもよろしくね!」

 

 

 

―続く

 




新キャラクター

・行方不明届が出されてる憲兵 紫月(しづき) (れい)
・南西諸島海域にて怪物に襲われて、遭難した艦娘 夕張(ゆうばり)


南西諸島海域編は始まったばっか。
……急な変更マジ勘弁
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